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のんびり死体と折れた相棒とサバ その1

なぁ、こんなことを言うのは、柄でもないかもしれないけれどさ。

人って物凄く困ったり、悲しかったりしたときに、ようやく成長するのかもしれないね。


俺はさ、こんな人間だから、すぐ人を茶化したり、ふざけてしまうけれど、本当はそれだけじゃなくてさ。

もっと人を慈しむような、そういう人間になりたいって思うときがあるよ。


格好つけたりとか、自分をよく見せようだとか、そんな気持ちは全部捨ててさ。

恥ずかしいとか、照れくさいとか、そんなちっちゃいことも全部捨ててさ。


側にいる人に、そっと笑いかけれるような、そんな人間になることが出来たらいいなってさ。


・・・。


会社のデスクに座り、お弁当を食べながら一人思う。

前回の敗戦により、皆が気を使って釣りの話をしてこない。


なんだか今日のエビピラフは、随分と塩がきいているなぁ・・・。

と、そんな日もありました。


しかし、のんびり死体は、嫌なことはすぐに忘れる特殊能力を持っているのです。

このチートを使うことにより、数日のうちにいつもと変わらない日常に戻ることが出来ました。

のんびり死体は、最強なのですよ。


日々思うことは、リベンジです。

誰にって?


そりゃ、海にです。


しかし、大雨や大風の日が続き、なかなか憎いあん畜生と再会できません。

毎日やきもきしています。


そして無い頭で考えました。

のんびり死体の脳はおよそ5グラムです。


「真の軍人は、敗戦から学ぶものさっ。」と、ニヒルに微笑みます。

※きもくない。


そして、雨の日には釣り具屋に行って、いろんな釣り具をみます。

最初の頃は、わけもわからずに見ていましたが、最近はいろんなことがわかります。


針の号数とか、形の違いに気が付きます。

針の号数は数字が増えるほど大きくなります。

2号はちっさくて、10号はごっついです。


例えばですが、釣り針にはいろんな種類があります。

袖張り、チヌ針、グレ針、サビキの針を見比べます。


袖針は、キス釣りに使う針です。

とっても小さくて細いです。

キスが小さな口で、餌を吸い込むように齧った時、うまく口に入るよう、とっても細いです。


チヌ針はごつい目です。

ちん〇んのように、ちょっと左に曲げてあったりします。

そうすることによって、強度を保ちつつ、魚の口にかかりやすくなっていたりします。


グレ針というのは、グレという、真っ黒なのにとても綺麗で、目のクリっとした魚用の針です。

チヌよりずっと細い感じがします。

しかしながら、大きさは多様です。

これはグレは、比較的小さなものから、50センチを超えるような大きなものまで、釣りの相手として愛されているからかもしれません。


そして、のんびり死体が一押しのサビキの針も、もちろん吟味します。

サビキの針にも、たくさんの種類があります。


実は随分と沢山の種類があるんです。

餌に見せかけるために、巻いてある布が違うものを見つけます。


ぱっと見だと、本当にアミエビのように見えるものや、ウィリーと呼ばれる、もわもわっとした糸をまいたものなんかが有名です。


トリックサビキと呼ばれる、針に色がついて、布がまいてないものもあります。

これは針に、小さなアミエビを実際に付けて釣るための針です。

トリックサビキ専用に、スピード餌付け器なるものもあります。


ピンク色の布を巻いたサビキは、とても万能ですが、やっぱり全能というわけではありません。

釣り場に合わせて、それも変えていく必要があったのです。


のんびり死体は、ようやくそのことを知ったのです。

最初からずっと釣れていたので、あまり学ばずにいたことに気が付きました。


釣りに詳しい人なら、のんびり死体はなんて馬鹿なんだろうと思うかもしれません。


でもね、人ってうまくいっているときって、あまり学ばないものだと思いませんか。

失敗して、悔しいって思って、それでもっともっと学ぼうと思うものだと。


そのうえで、前回の海のことを思います。

正しいかどうかなんてわかりません。


でも、戦いをシミュレーションすべきだと思ったのです。


小さな魚は見えるほど多いが、肉食系の魚が多く釣れていたこと。


おそらく、鯵たちは肉食の魚から逃げていたのかもしれません。

それであれば、御飯どころではなかったはずです。


そのうえで、釣り具屋の棚から、いくつかの仕掛けを選びます。

エビに見せかけたサビキでなく、小魚に見せかける透き通った色のサビキを、針の号数も何種類か購入します。


我が軍は無知であったかもしれません。

しかしながら、確実に成長を遂げています。

例えどれほど今が弱かろうと、そんなことは何てことないことなのです。


例えどれほど負け続けても、最後に勝てばよいです。


レジで会計をします。

そして、補強された我が軍を眺めて思うのです。


次話は、のんびり死体が勝利の美酒を味わう話となる事でしょう。

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