のんびり死体と物まねと小さい鯛
さて、前回はカワハギ様について、皆さんに熱い想いを伝えたが、うまく伝わっただろうか。
我ながら文才のなさに、涙が出そうである。
だけど、釣りの楽しさは伝えたい。
なぜかって。
楽しいからさ。
その後、私は何度も何度もカワハギ様に出会うために海に出かけた。
海は最高であった。
海は凄い。
なぜかって。
海だからさ。
※のんびり死体は、テンドンを多用する、うざめの不審者です。
海で、ファミリーマー〇で購入したお弁当を食べる。
3つ星をあげたくなる。
グッと、ノンアルコールビールを飲む。
讃美歌を歌いたくなる。
どんなのか知らないけど。
最高の調味料は海であると、私は確信をしたのであった。
あと、海で弁当を食べた後は、その袋に必ず拾ったゴミをひとつ入れて、家に持ち帰って捨てる。
海の釣り場は、非常にゴミが多い。
でも全部捨てるのは、正直めんどい。
だけど海は好きなので、そういうルールにしている。
出来れば皆さんもやってもらえたら嬉しい。
さて、釣りの話に戻ろう。
あの爺さんが重要なアイテムであったのか、カワハギ様には中々出会えなかった。
きっとあの爺さんからは、カワハギ様向けの、マイナスイオン的なものが出ていたのかもしれない。
「シラサエビ」が重要なのかと思い、シラサエビを生きたまま持ち運べる専用のブクブク付きクーラーボックスも購入した。
ちなみに2980円だった。
シラサエビは、一盛1000円もしたが、それも購入した。
カワハギ様用の竿も購入した。2980円だった。
はげ針とよばれる、カワハギ様専用の針がついた、胴付きの仕掛けも用意した。
500円だった。
ウキは、まだ使い方がわからないので買わなかった。
だって、竿が引いたら釣りあげるのに、なんで必要なのか、この時はまだ理解していなかった。
消費税をいれて、総額は8000円に近い。
わが軍の戦力も、相当強化されたのだ。
これならば、カワハギ様もあらわれるに違いないと思っていた。
意気込んで、海に向かう。
海は今日も海である。
空は今日も空である。
のんびり死体もまた、のんびり死体である。
これはキタね、いけちゃうね、出発の時は、そう思っていた。
しかし、別の魚がそれで釣れてしまうのである。
誤解が無いように言おう。
のんびり死体はどんな魚も好きだ。
優劣は、あんまりない。※カワハギ様だけちょっと上、あとは同列。
しかし、カワハギ様を釣ろうとすると、必ず釣れてしまう、微妙に思ってしまう魚がいた。
それが、鯛だ。
それも小さい奴。
鯛って釣れたらうれしいでしょって思うかもしれない。
「くさっても鯛」なんて諺があるくらい、鯛は良い魚とされる。
しかし、のんびり死体的には、今一つな魚なのである。
なぜなら・・・。
関西では「チャリコ」と呼ばれる鯛の子が大量に釣れる。
そりゃもう、どうしていいかわからないくらい釣れる。
見えているカワハギ様を押しのけて釣れる。
カワハギ様がお食事なさっているのに、どこからかチャリコの群れがやってきてしまう。
漫画で見る、バーゲンセールの時のおばさんくらいの勢いで現れる。
きっと海の中は、鯛だらけなのではないだろうか。
そう思わせるくらい釣れてしまうのである。
ちなみに、サイズは小さい。
それでも20センチくらいはあるし、お味もまぁ良いほうではあるのだけれど。
そのせいで、のんびり死体的には、チャリコは特別感の全くない魚なのである。
そのうえ、鯛にしては小さいために、釣ると罪悪感さえついてきてしまう。
何とも言えない魚なのである。
小鯛の笹漬けとよばれる、ちょっとおしゃれな料理を知っているが、こんなに大量に釣れるとありがたみも薄れてしまう。
「エビで鯛を釣る」とは、こういう意味だったのだろうか。
なんか違う気がするが、意味がわからなくなってしまうくらい釣れるのだ。
しかしだ、あることをきっかけに、チャリコも良しと思えることがあった。
南蛮漬けにすると美味しいらしいのである。
しかし、南蛮漬けなど作ったことが無い。
どうやら酸っぱい料理らしい。
昔給食で食べたことがある。
ううむっ。
と、レシピをネットで調べ挑戦してみる。
キッコー〇ンのレシピ、お醤油で有名だし、これで行こうと思う。
玉ねぎはそんなに好きじゃないから省いた。
丸ごとでもいいらしいが、骨が意外とごついので、3枚におろし、南蛮漬けを作る。
甘酸っぱい匂いが台所に立ち込めて、なんだかソワソワする。
気になって仕方ないので、フライパンの中のチャリコをちょっと菜箸でつまむ。
暫く「お口の中が宝石箱やぁ」と、似ていない物まねを連発する。
ノンアルコールビールを飲む。
勝利の舞いを踊る。
美味しいので、ぜひ試してほしい。
ちなみに、おっきい鯛は、まだ釣ったことが無いので、そちらの報告は後日まで待ってほしい。
いつか釣るはずだから。