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スパッタ村の戦い

どうも!放浪者です!今回の作品は初投稿ということで、私も非常に緊張しております!もし、今後、私の作品を読みたいという方が一人でもいらっしゃる限り、精一杯頑張りたいと思っております!では、皆様!拙い文章ではありますが、今後とも是非よろしくお願いします!




第0話 スパッタ村の戦い




精霊と人間の歴史、それは一体いつからであろうか……

精霊の存在は一般的に認知され、人々の生活に慣れ親しんでいった……そんな人間の中でも精霊と契約を結び、その力を自在に操る者達がいる。人は彼らを精霊使い《スピリットマスター》と呼ぶ。




ゼリア大陸にある田舎の小道を歩いている一人の少年がいた。

「そろそろ着く頃だと思うんだけどな……」

少年―シャイン・エンジェルがボヤいた。

この少年、逆立った金髪に碧眼、中性的な面持ちである。

しばらく歩を進めると、眼前に小さな村が現れた。

「おっ、あそこだな!」

そう言うとシャインは小村へと足を運んだ。

寂れた村落。漂う負のオーラ。倒壊した建物はさながら、嵐の後のようだった。村人にも覇気が感じられない。この村で不吉な何かが起きたことは部外者であるシャインにも容易に想像出来た。

「あなた、旅人さん?」

しばらく、村を散策していると、村人の一人である少女が話しかけてきた。

「まぁ、そんなところだな」

シャインは女性の投げかけに応じた。

「私はナポリターナ。皆は私のことをナポリと呼ぶわ……ここ、スパッタ村の住人よ。気の毒だけど、あなた この村には立ち寄らない方がいいわ。」

ナポリと名のる女性が警告する。年端16といったところだろうか。オレンジの長い髪がよく似合っている可愛らしい美少女であった。

「どうして?」

シャインは訝しげな面持ちで質問した。

「一月程前からこの村は、ある盗賊集団のナワバリにされてしまったのよ」

「ある盗賊集団?」

「そう、盗賊名は巨人の盗賊団ジャイアントキリング……三人の盗賊によって構成されてるわ。縮れた髪に巨体のリーダー、アンドレ。金髪白人のエイプ。黒髪の東洋人、犬丸。いづれも精霊使い《スピリットマスター》よ」

「精霊使い《スピリットマスター》ねえ……」

神妙な面持ちで答える。

「最悪な連中よ。いきなりこの村に現れて、容赦なく暴れまわったわ。恐怖心を植え付ける為にね」

「そんなに強いの?そいつら」

「強いなんてものじゃないわ。化け物よ……奴らまるで怪物の様に姿を変えて、この村を荒らし回ったの。戦った大人達は皆……」

消え入りそうな声でナポリが呟く。

「次に奴らが来るのはいつ?」

「今晩よ、奴ら、一月後に沢山の貢物を貰いに来るって言ってたわ。でも、元々貧困なこの村にはもう、そんな余裕は無いわ。村長が求めた救助も全然、来ない……次に奴らが来たらこの村は本当に終わりよ」

発せられた言葉には諦念の情が滲み出ていた。「そういう訳だから、あなたも早くこの村から逃げなさい」

そう告げるとナポリは颯爽とその場を後にした。

「夜か……」

誰も居なくなった場所でシャインが呟いた。





日は暮れ、あっという間に夜が訪れた。緩やかな風が肌に触れる。春はもう、すぐそこまで来ている。

ビアンコ村長が、村の中心に人々を集めた。初老である。集まった人々は約50名。盗賊の襲撃により村から逃げ出した者、亡くなった者もおり、集落にいる人口はかなり減少していた。

「皆、よく聞いて欲しい。儂は今宵、奴らを前に貢物の繰り延べを掛け合ってみようと思う」

繰り延べ……つまり延長である。村長は盗賊と交渉し、貢物献上の延長を図ろうとしているのだ。しかし、この意見に反対する村人が一人……

「村長、奴らに交渉など通じるのでしょうか?私は奴らに話し合いが通じるとはとても思えません。もし、交渉が失敗したら、今度こそ、この村は終わりなのでは無いでしょうか」

最もな意見である。あんな惨劇の後だ。不安は拭えないだろう。

「うむ。しかし、かと言って故郷であるこの村を捨てるわけにもいかん。先祖代々受け継がれてきたこの村は絶対に渡すわけにはいかんのじゃ。もしもの時の為に、せめて女、子供だけでも避難していてほしい。ワシの見立てだと、あと数日もすれば、国より派遣された精霊使い《スピリットマスター》がワシらを助けに来るじゃろう。それまで何としても耐えるのじゃ」

村長は事件の起きた直後、助けを求めるべく、国へと村人を派遣していた。

しかし、こんな田舎である。救助がやって来るにはかなりの時を要するのだ。

泣き出す少女、不平を言う若者も居たが、村長の意見に皆、従わざるを得なかった。





村長の招集から、約1時間が経とうとしていた。ナポリは村のはずれにある草むらで、一人佇んでいた。

「よっ」

声の主はシャインだった。シャインは草むらに座っているナポリの横に寝転んだ。

「ああ、あなた……」

言葉に詰まるナポリを見てシャインは自分の名前を明かしていない事に気がついた。

「俺の名はシャイン・エンジェル。シャインって呼んでくれ」

「そう、シャイン……」

「こんなところに居ていいのか?」

「いいのよ。あなたこそ、まだ、こんなところにいたの?」

「ああ……元々、この村に用があったからな」

「ふーん、こんな村にね……」

小さい沈黙の後、ナポリが語り始めた。

「私ね、幼い頃から両親がいなくて、この村に住んでるおばあちゃん……マルゲリータさんと一緒に暮らしてたの」

「そっか」

シャインがなんとなしに相槌を打つと、ナポリは続けて語り出した。

「すごく良い人だった……優しくて、私にとっては本当の母さんのような存在」

ナポリは過去を偲ぶように語っていく。

「でも、前の襲撃の時に……」

ナポリの声が震え出した。

「ねえ、どうして⁈どうして皆が殺されなければならなかったの?私達が一体何をしたって言うのよ!」

ナポリが声を荒げた。殺された仲間の悲しみや憎しみ……様々な想いを綯い交ぜにして……

「ねえ、教えてよ……なんで、どうして……」

ナポリはその場でシクシクと泣き始めた。

「俺は……」

シャインが言いかけた瞬間、二人の会話を遮るように四足獣の唸り声が響き渡る。唸る轟音。それは突然訪れた。木々に居た鳥達が一斉に逃げだした。

「奴らが来たわ」

ナポリが涙を拭い知らせる。

「そうみてえだな……」

シャインはムクリと腰を上げると、音がする方へと歩き始めた。

「どこへ行くつもり?」

「奴らの所にさ、この村を守らねえとな」

シャインはなんてことなしに言ってのける。

「な、何を言ってるの⁈どうしてあなたみたいな子供が⁈むざむざ殺されに行くだけよ‼︎」

「心配すんな、俺は強い……それに、俺も精霊使い《スピリットマスター》だ」

「⁈」





山の中だと音は良く通る。騒音はどんどん近づいてきた。

村の中心には村長を始め、村人達が集まっている。

村長の警告通り、女、子供は避難をしており、その場にいるのはいずれも良い年をした男の大人達であった。

「いよいよじゃな……」

ビアンコ村長が声を漏らした。

「村長、本当に大丈夫なのでしょうか?」

青ざめた顔で問いかけたるは村人のザピであった。何処にでも居そうな中年の男性である。

「うむ。最早、これしかあるまいて。腹をくくるのじゃ」

村長が返答した数分後、遂にそれは現れた。

暗闇の中、赤く光る眼光。巨大な身体はさながら怪物の如し。鳴り響く地響き。その主はマンモスであった。否、ただのマンモスでは無い。紫の毛並みに覆われており、派手な装飾品を身につけ、並みのマンモスの三倍はあろうかという巨体に、三人の盗賊を乗せ、厳しく出現した。

「止まれ」

男が合図をすると巨獣は歩を止めた。

「約束だ。貢物をよこせ」

おそらく頭目と思われる男が口を開いた。背丈、2メートルをゆうに超え、鍛え抜かれた体をしている。縮れた髪に殺気の満ちた目をしている。

中心にいる巨漢の横には左右に部下だと思われる盗賊が静かに座していた。

「すまない。もう少しだけ待ってほしい。今、この村にはそなたらに献上出来る貢物など無い。せめて、後、3日だけでも……」

村長が土下座をしながら懇願する。

「貴様の事情など知らん。我らは巨人の盗賊団ジャイアントキリングこの地、一帯は俺たちの支配下であり、貴様らは俺たちのために生かされている。貴様……この村がどうなってもいいのか?」

「すまない。この通りだ、だが、儂らには……」

「もう、よい。従わないのなら消すまでだ。この村を破壊し、全てを奪い尽くすことにしよう」

「ブォーン」

盗賊の宣言と共に巨獣は吠えた。大気を揺るがすその振動に村人の希望は完全に打ち砕かれた。

「村長……」

ザピが絶望に満ちた表情で声を漏らした。

「ああ、もう終わりだ……すまない皆」

完全に終わったと誰もが思った。今後、起こるであろう、暗い暗い未来……

村は破壊され、村人達は殺されるだろう。

誰もが思った。終焉の刻だと……

「踏み潰せ」

頭目が命令すると、巨獣は村長めがけて、大きく足を振り上げた。

「ちょっと待った!」

機先を制す絶妙なタイミングで声が発せられた。

その場にいる一同全員が声の主を見る。

金髪碧眼に逆立った髪の毛。中性的な面持ち。

「誰だ貴様は……」

怒気の表情を浮かべ頭目が問いかける。

「俺の名はシャイン・エンジェル、お前達を止めに来た」

颯爽と現れた少年は全く動じずに返答する。

「お主はまさか異郷の……」

村長が驚いたように声をかける。

「そういうこと!後は俺に任せて皆、避難しててよ。ちょっと騒がしくなるからさ」

おおよそ、その場に似つかない口調で答えると、村長は不可思議に思った。

この少年は一体、何者なのだ。何故こんなにも動揺せずにいられるのだろうか……と

この絶望的な状況において、少年には微塵も焦りや不安が感じられないのだ。

それどころか、この溢れんばかりの自信は一体……

「村長、早くこっちへ‼︎」

ザピの声に村長はハッと我に返ってその場から退いた。

「止めに来ただと……身の程知らずが。消えろ」

頭目が声を発すると、巨獣が吠えた。

巨獣の咆哮により、現実へと引き戻される。

そう、現実は何も変わってなどいないのだ。

「アテナ、起きろ」

落ち着いた声で、シャインが言った。

「はい」

シャインの声により呼び起こされ、天使の精霊、アテナが現出した。

「なんとっ!お主まさか……」

村長が驚いた声を上げる。

「貴様……」

同様の驚嘆は盗賊も同じであろうか。

「状況は?」

「把握してますよ。あなたの中で全部見てましたから」

シャインの問いかけにアテナが答える。

「なら、手間が省けた……やるぞ!」

シャインがそう言うと、アテナはよりいっそう輝きを増した。

「いくぞ!」

シャインは準備を整え、合掌を始めた。

それはまるで気を整えるように……

辺りは光に包まれている。

「皆、離れるのじゃ!」

村長の掛け声とともに村人はその場から離れた。

この場にいる全ての者が釘付けになった。

一体、これからここで何が起きるのだろうかと。

そこに少女が一人駆け寄って来た。ナポリである。

「シャイン‼︎」

異様な光景を目の当たりにして、思わず叫んだ。

シャインは一瞥すらせずに気を整えると合掌したまま声を発した。

天使形態エンジェルフォーゼ

シャインとアテナが一体化したように見えるのを最後にあたりは光に包まれて何も見えなくなった。

闇夜を照らすは聖なる光。神聖なる光が無情なる闇をかき消した。







光がおさまると、そこには天使と化したシャインが立っていた。

天使の羽根に天使の輪、片手に剣を握りしめ、静かに佇んでいる。

「嘘……」

ナポリが驚愕に満ちた表情で声を漏らす。

村人達も皆、驚きを露わにしている。

「あの少年が私等を助けに来た精霊使い《スピリットマスター》だったのか……」

村長が愕然としたまま囁いた。

「さあ、こっちは準備万端だ、いつでもいいぜ」

シャインが落ち着いた声で言う。

「天使の精霊だと⁈バカな……伝説の精霊をなぜ貴様が……」

驚愕に満ちた表情で頭目がシャインへと問いかけた。

「まあ、色々あってね……アテナとは俺が契約した」

「フッ、まあいい……どうやって、貴様がその精霊を手中に収めたのかは知らんが……ならば貴様を殺し、その精霊を奪ってやる」

頭目の声と共にマンモスが襲いかかってくる。

シャインに向けて足を大きく振り上げ、そのまま全体重をかけ……スタンプ。

凄まじい地響き。

振動に大地は揺れ、辺りに衝撃が走る。

辺りは土煙に覆われ何も見えなくなる。

しばらくすると、土煙がおさまり、薄っすらと人影が見え始めた。

「おいおい、こんなもんか?なら次はこっちの番だな」

シャインは片手で難なく巨獣の踏み込みを受け止めていた。

そして、片手の剣を振り上げ……一刀。光る一閃。

次の瞬間、巨獣は鮮血を巻き上げ、両断された。

断末魔の叫びを上げ、巨獣は生き絶える。

盗賊はタイミングを見計らい地面に着地する。

「まさか、オクモスが倒されるとはな……飼いならすのに苦労したが……貴様、許さんぞ‼︎」

頭目が目を血走らせながら言った。オクモスとはこの巨獣の名前であろう。

「そいつは悪いことをしたな。で、次はあんたらの番?それとも……もうやめる?」

余裕の表情を浮かべ、シャインが言った。

「調子に乗るなよ小僧。我らを怒らせたことを後悔するがいい。行くのだ!犬丸、エイプよ」

「はっ!」

頭目の声に従い、二人の盗賊が歩み出た。

エイプは体格のいい、金髪の白人。

犬丸は黒々とした髪に東洋人の面持ちだ。

「一瞬で終わらせるぞ」

「当たり前だ」

盗賊エイプが問いかけ、犬丸が答える。

「現れよ!我が精霊、ジェネシス」

「ウキキ、やっと出番かぁ〜?」

エイプの背後に猿の精霊が。

「目覚めよ。我が精霊、パトよ」

「フッ、我が主人、存分に……」

犬丸の背後に犬の精霊が出現しした。

「化け猿形態モンキーフォーゼ

大犬形態ドッグフォーゼ

二人の盗賊が高らかに声をあげると、途端に周囲に光が立ち込めた。

エイプは白く大きな猿へと変わり、犬丸は黒い大犬へと変わった。二人とも当時の面影は残したままである。

両者とも、二足歩行のところを見ると、姿形は違えど、ベースは人間なのだろう。

それぞれが変身し、それぞれが姿形を変えた。まるで先刻のシャインの様に……

本当の戦いはこれからなのだ……





動物型ビーストタイプか……」

シャインが呟いた。

「ふん。覚悟するんだな、いくぞっ‼︎」

犬丸が声を発すると共に二匹の獣が襲いかかって来た。

シャインは二人の攻撃を軽快に交わしつつ反撃の機を伺う。

(早いな……)

シャインが心の中で呟いた。

数多ある精霊の中でも動物型ビーストタイプは特殊性が低いぶん、単純なパワー、スピード、ガードの面においてバランスのいい力を発揮す

る。

殊、戦闘において彼らほど適した種族はいないのかもしれない……

エイプと犬丸のコンビネーションは絶妙であった。

片方へ攻撃を加えようとすると、もう片方から鋭い一撃が繰り出される。

息の合った、連携プレー。幾千もの実戦経験が可能にする板挟みの一手であった。

二人とも完全なる獣に変わったかと思いきや、人型に近い形態へと変化して、臨機応変に対応してくる。

シャインが劣勢なのは誰の目にも明らかであった。

「イヌ・カキ‼︎」

犬丸が自身の右手から瞬間的に爪を伸ばし、鋭利な刃物のごとくシャインに向けて切りつけた。

「ぐっ‼︎」

シャインはギリギリのところで自身の剣を盾にするが、衝撃を受け止めきれず、後方へと弾き飛ばされる。

建造物にぶつかり、そのまま瓦礫に埋もれてしまった。

「シャイン‼︎」

ナポリが叫んだ。

シャインは未だ瓦礫の下である……

「ふん、他愛もない。我らに刃向かうからこうなるのだ……さあ、とどめといこうか」

犬丸が勝ち誇ったように切り出した。

その刹那、まばゆい閃光があたりを照らす。

「まだだぜ……」

光差す方向へ皆が目を向ける。

瓦礫が浮かび上がり、金色に輝くシャインが現れた。

「しぶとい……」

犬丸が眉間に血筋を浮かべる。

「だが、何度立ち上がろうが結果は同じだぁ!!」

エイプが声を荒げ、シャインに向かって殺意を剥き出しにし突進して来た。

シャインはエイプの攻撃をすんでのところで交わし、跳躍する。

上空30メートルほどまで飛翔すると、シャインは自らの持っている剣を消し、代わりに新たなる武器、弓矢を召喚した。

「天弓・アルテミス」

シャインによって命名されたその弓は金色に彩られており、荘厳なる雰囲気を醸し出していた。

シャインが弓を引くと、光が矢に収束していく。まるで、力を溜め込んでいくかのように……

ビリビリと大気が揺れ、木々がざわめく。

(まずい……)

犬丸の本能がそう告げていた。

「待避だ!エイプ」

犬丸が警告するのと同時にシャインが声を発した。

「エンジェルブラスト‼︎」

シャインが矢を放つ。まさに閃光のごとく発射された矢は流星のような勢いのままエイプに直撃した。

村人たちの悲鳴。凄まじき衝撃波が周囲へ襲いかかる。






「皆、大丈夫か……」

「なんとか」

村長の問いかけに対し村人が答える。

シャインの警告通りその場を離れていた村人に危害は無かった。

時として数十秒が経った頃、やっと視界がひらけてきた。鼓膜が爆音を受けた影響か、音が聞こえ辛くなっている。

「あっ!あそこ」

ナポリが指差すと、村人たちは一斉にその先を見た。

弓矢の落下地点にはクレーターができており、さらにそこには変身の解けたエイプが仰向けに倒れていた。

変身フォーゼとは契約精霊との融合であり、宿主が精霊と一体化することによってその力を自らのものとし操るのだ。

しかし、本体である宿主に深刻なダメージがあった場合、精霊とのリンクが切れ、変身フォーゼを維持出来なくなる。

「ふぅ、やっと一匹だな」

そう言うと、シャインは弓矢を消し、地上に降りてきた。

「己、貴様……」

犬丸が怒りに満ちた表情を浮かべシャインを睨め付ける。

「もう、やめとけよ。あんたらのコンビネーションは認めるが、一対一なら勝ち目はねえぞ」

シャインが自らに付いた埃を払いつつ忠告する。

「ほざけ!」

シャインの忠告を無視し犬丸が駆け出した。

「パト・ラッシュ‼︎」

繰り出される高速の黒拳をシャインは難なく交わしていく。

そして、犬丸の手を片手で薙ぎ払い、空いた横腹へ肘打ちを食らわせる。

「カハッ」

犬丸の体はよろめいた。

「だぁッ‼︎」

その隙にシャインは流れるように拳を突き出す。

放たれた拳は犬丸の顔面にクリーンヒットした。

犬丸が吹き飛ばされ、岩盤へと衝突する。

「うぅ……ま、まだだ……」

瓦礫を持ち上げ犬丸が起き上がってきた。

しかしダメージが大きかったのか、片膝をつきながら血反吐を吐いた。

「タフなやつだ……俺の攻撃をまともに食らったってのに」

「貴様ごとき小僧に私が負けるわけが無いのだ……盗賊としての誇りにかけ、貴様をここで殺スッ‼︎」

ジャキッと犬丸の黒爪が瞬間的に伸びた。

「そっちがそのつもりなら……」

シャインはそう言うと右手に再び天剣を召喚した。

「ウオォォオ」

犬丸は跳躍し、掛け声と共に黒爪をシャインに向けて振り下ろす。

「ハァッ‼︎」

シャインも同様に金色に輝く剣を犬丸へと振り下ろす。

剣と黒爪はぶつかり合い、周囲へ凄まじい衝撃を放った。

「な、何ッ‼︎」

シャインの剣は犬丸の黒爪を両断し、そのまま犬丸の体を一閃……

「ガハッ」

犬丸が吐血し、そのまま倒れ込んだ。

閃光を発し、姿は人間のそれへと戻っていく。

犬丸は白目を剥き人間の姿のまま地に伏した。

「さぁ、終わらせようぜ……この戦いを」

シャインは剣を頭目へ向けて突き出した。

終に敵は頭目だけとなった。

従わざるを蹂躙する巨漢の盗賊―アンドレか……

今まさに、村の救世主と成らんとする天からの使者―シャインか……

この村の命運は両者の手に委ねられたのだ。







「フン……ガキが」

アンドレが血筋を浮かべ、呟くと地響きがしだした。

「お出ましか」

シャインが不敵に笑う。

頭目の背後に巨人の精霊が現れる。

黒々とした巨体に赤い瞳をしており、見ている者を戦慄させた。

「オォォオオッッ」

巨人の慟哭が村中を木霊した。

「くっ!ビリビリ来るぜ。これが、あんたの精霊か……」

シャインは自然と柄頭に力を込める。

「皆、逃げるのじゃ‼︎」

村長がそう言うと、村人たちは悲鳴をあげながら駆けて行った。

(来るッ‼︎)

シャインが心の中で呟やいた直後……

巨人形態ギガースフォーゼ

頭目が一声をあげると周囲に爆風が巻き起こった。

「くっ!」

近場に居たシャインは身構えながら必死に爆風に耐えようとする。

砂埃が晴れるとそこには巨人と化した頭目の姿が……

大きく黒々とした出で立ちはさながら、この世の終焉を物語っている様である。

手には木製の棍棒を握りしめている。

「フフフフフ……ハーハッハハハ‼︎」

盗賊―アンドレの声が村中に響き渡った。

「こうなったらお終いだ……貴様も、この村も、何もかもな」

体長、ゆうに10メートルを超える遥か高みから、アンドレは語りかけた。

「そうはいかねえよ、その為に俺がいる‼︎」

シャインは臆さずに言い放った。

「フン、威勢の良さは褒めてやるが……ここまでだ」

ズシリ、ズシリと巨人はシャインとの距離を詰めて来くる。

「いくぜ」

仕掛けたのはシャインであった。

飛び上がり、アンドレの左脇腹目掛けて一閃……

しかし、巨躯は瞬間、体をズラし、傷は浅手に留まった。

(浅いか……)

シャインが胸の中で呟き、再び斬りつけんと振り返ると、そこには大きな棍棒が……

「何ッ⁈」

すんでのところで回避……袖が千切れとんだ。

シャインは体勢を立て直すと再びアンドレへ向けて切り込んでいく。

(デカイくせに早え‼︎こりゃ、一撃食らったらアウトだな……)

たった一往復のやりとりで、両者は互いの力量を察知した。

シャインの蓮撃はアンドレにヒットはするが、分厚い皮膚に阻まれ、致命傷とはならず、またアンドレの重い一撃も未だ空を切るばかりである。

シャインがアンドレの攻撃を避けうるのは、これまでの実践経験によって生まれた直感と鍛え抜かれた身体によって為される身技であろうか。

互いの命を掠め取らんとする両者の攻防はどちらも一歩も譲らない熾烈な戦いとなり、二人の周囲へ激動の嵐を巻き起こした。






シャインとアンドレの戦いが激しさを増している頃、村の人々は村長の忠告に従い、村の中心部から離れていた。

「ここまで来れば大丈夫じゃろう」

巨人の姿を遠方に捉えつつ村長が呟いた。

「村長、あの少年は一体……」

「彼は儂らを助けに来た精霊使い《スピリットマスター》じゃよ」

落ち着き払った口調で、村人の疑問に村長が答えた。

「あの少年が⁈す、凄い……」

「うむ。彼は本当に我らを助けに来た、天よりの使者なのかも知れん……」

二人の戦いを眺めつつ、感慨に浸る。

(シャイン……)

ナポリが心配そうに戦いを見つめた。






実力伯仲に見えた攻防であったが、均衡は一瞬にして崩れ去った。

アンドレの攻撃を紙一重でかわし続けたシャインであったが、どんな強者であろうとも常に100パーセントの状態でいることは出来ない。

張りつめられた緊張の糸はほんの一瞬、プツリと切れた。

一瞬の硬直……スキと呼ぶには、あまりに乏しい全身の強張りをアンドレは見逃さなかった。

「しまった‼︎」

シャインは致命的なミスに気付き叫び声をあげた。

アンドレはニィ……と笑みを浮かべ、棍棒をシャインに向けて振りおろし……凄まじい力が鈍い音を立てて直撃した。

棍棒の力をその身に全て吸収したシャインの肉体は激しい勢いのまま後方へと吹き飛ばされ、そのまま無慈悲な音を上げ、地面へとめいいっぱい叩きつけられた。

「フフフ、ハッハハハ」

巨人が笑い声を上げる。

「くっ、ちくしょう……」

シャインがボロボロになった体を起こそうとした刹那、全身に激痛が走る。

「ガッ」

シャインが痛みに堪え、身悶えていると、巨人が声を発した。

「フッ、貴様はよく戦った……この俺、相手にな。だが、貴様ではこの俺には絶対に勝てない‼︎何故か?」

勝ち誇った笑みを浮かべる。

「それは、貴様にはもう俺を倒せる力が残っていないからだ‼︎先の戦いで貴様は力を使いすぎた。繰り出す大技の連続……もはや貴様には俺を倒せるだけの精霊力スピリットフォースが残っていない‼︎」

精霊力スピリットフォースとは文字通り精霊エネルギーの事である。

術者は一般的にこの精霊力スピリットフォースを使い活動するのであるが、それが尽きると活動を維持できなくなり、最終的には変身フォーゼが解けてしまう。

シャインの精霊力スピリットフォースは今、まさに尽き欠けようとしていた。

「それは……どうかな?俺はまだ戦えるぜ……‼︎

シャインは何とか体勢を整えた。

「フッ、強がりを言うな。お前にはもう力はほとんど残っていない。現に俺を斬りつけた貴様の剣撃は俺の命には到底届いていないッ‼︎」

事実であった……シャインが与えてきた数々の剣撃は浅手に留まり、深手とはならず。その力は明らかに衰えていた。

「さあ、終わらせてやろう……」

言い終わると巨人は自らの手に力を溜め、赤く光る玉を出現させた。

「癇癪玉‼︎」

癇癪玉とはアンドレの怒りをエネルギーの玉に変換し、放つ技である。

アンドレの抱えているストレスが強ければ強いほど、癇癪玉の破壊力は絶大なものとなるのだ。

「フンッ‼︎」

掛け声とともにアンドレは赤色の玉を地に佇むシャインへ向けて投げつけた。

「くっ‼︎」

シャインは一瞬のうちに跳躍し、なんとか玉の直撃を避けた。

癇癪玉は地面へとぶつかると凄まじい爆発を引き起こす。

激しい爆発音は閑静なる村の静寂を貫いた。

「きゃあっ‼︎」

ナポリの悲鳴が……爆風は避難していた村人たちにも襲いかかった。

爆発による衝撃がおさまると爆心地にはクレーターができており、その大きさは、先ほどシャインが作ったそれと同等のものであった。

「貴様……まだそんな体力が残っていたとはな」

シャインは跳躍し、上空へと難を逃れたのだった。

「へっ、だから言ったろ……まだまだこれからだってよ‼︎」

金色に輝く闘気を発しシャインは言い放つ。

その力強い瞳には未だ、輝きが衰えず、闘志が漲っていた。

「フッ、いいぞ、小僧……貴様、いい感じでイラつかせてくれる……イライライライライライライラ」

アンドレは眉間に血筋を浮かべ……自身の手に再び赤い玉が作られていく……

「チッ、またその技か……‼︎」

「ウオォォオ……癇癪玉‼︎」

アンドレが右手に特大の癇癪玉を完成させた。

「フッフッフ、この最大級の癇癪玉、貴様に再び避けられるのは惜しい……‼︎しかし、俺は確実に当てる方法を見つけた」

(何をする気だ……?)

アンドレはニィ……と笑みを浮かべる。

「こうするのだァ‼︎」

アンドレは次の瞬間、癇癪玉を村人たちのいる方角へとめいいっぱい投げつけた。

「し、しまった‼︎」

赤色の玉は放たれた大筒のごとき勢いのまま、村人たちへと向かっていく。

「そ……そんな。村長‼︎」

「な、なんということじゃ‼︎」

村人たちの眼前に今にも爆発せんとする赤色の玉がぐんぐんと迫って来た。

(シャイン……‼︎)

ナポリは目を瞑り、祈る様な姿勢のまま心の中で少年の名を唱えた。

次の瞬間、村人たちの眼前で玉が弾けた……

村人たちの悲鳴が轟き、かつてないほどの爆煙が周囲へ立ち込める……

しばらくして爆煙が晴れるとそこには両腕をクロスさせ必死に村人を庇ったシャインの姿が……

「な、なんと!」

「シャイン‼︎」

村長とナポリが叫んだ。

「フッフッフッフフ」

巨人の高笑いが轟いた。

「分かっていたぞ‼︎天使の精霊使い《スピリットマスター》よ‼︎お前が村人たちを庇い攻撃を防ぐことはな‼︎」

巨人が勝ち誇った様に言い放つと、シャインはその場に倒れこんだ。

「シャイン‼︎」

ナポリがシャインを抱きしめる。

「シャイン‼︎ねえ、起きてよ……ねぇってば‼︎」

ナポリの涙がポタポタとシャインの顔にこぼれ落ちる。

「クハッハハハ‼︎勝った‼︎俺の勝ちだ‼︎」

ナポリの悲痛な叫びも……巨人が発する勝利の雄叫びも……シャインには届いていなかった……




(シャイン……シャイン……)

俺に語りかける声……誰だ?

ハッとシャインが気づくと目の前にはアテナが佇んでいた。

「アテナ……ここは?」

眼前には綺麗な花畑が広がっていた。暖かい陽光……

「あなたの精神世界ですよ」

「精神世界?」

「そう……この空間にはあなたと私しか居ません」

「そうか……ハッ、アテナ‼︎皆は⁈村人たちはどうなった⁈」

「まだ生きてますよ……瀕死になったあなたのおかげでね」

「そうか……よかった。アテナ‼︎俺を今すぐ、元の場所に戻してくれ‼︎まだ、俺は戦わなきゃいけないんだ‼︎」

「止めても無駄みたいですね……分かりました。ただ、シャイン……あなたの身体はもうボロボロ……変身フォーゼも解けかかっています。ですので、次が最後の攻撃だと思って下さい」

「分かった。ありがとう‼︎」

周囲の景色が薄くなっていく……

「必ず勝って下さいね……シャイン」

アテナは優しく微笑んだ。







目が醒めるとそこにはナポリを中心に村人たちの姿が……

「シャイン‼︎」

「おぉ……目が覚めたか」

心配する村人の声が……

「皆、俺は大丈夫……危険だから少し離れていてくれ」

一言告げると、ムクリと起き上がり、数歩前に歩み出た。

村人たちと距離を取り、前方に目を向ける。

眼前には全てを滅ぼさんとする漆黒の巨人が……

「貴様、まだ生きているとはな……しぶとい奴だ。だが、そんなボロボロな身体で何が出来る?今度こそ貴様の息の根を止め、この戦いに終止符を打ってやる‼︎」

「確かに俺の身体はもう限界だ……力もほとんど残っていない……だが、そうだとしても、俺は闘る《やる》‼︎アテナが残してくれた最後の力を振り絞って‼︎」

ゴゴゴゴゴゴ……と地響きが鳴り始めた。正に最終ラウンドのゴングの如く……

「いくぜ、天弓・アルテミス‼︎」

シャインが弓矢を召喚し、標的へと的を絞った。

「はああっ‼︎癇癪玉‼︎」

対するアンドレは癇癪玉を右手に練り上げる。

「まだだあー‼︎限界まで溜めろぉ‼︎残っている全てを‼︎」

シャインは弓矢に於ける力のチャージを限界まで高めた。

「小僧‼︎我が最大なる一撃の前に沈め‼︎これで最後だ‼︎」

アンドレは渾身の力で己の棍棒に癇癪玉を叩きつけた。

それはまるで、野球におけるバッターがボールを打ちつけるように……

「バット・エンドォォー‼︎」

大地を揺るがす巨人の一撃は今、放たれた。

バットエンドとは癇癪玉を棍棒で叩きつけることにより、その威力を何倍にも増幅させる技である。棍棒に当たる瞬間に癇癪玉が破裂しない様にする繊細なパワーコントロールがあってこそ成せる技だ。

向かえ打つはシャイン・エンジェル。

背後には村人たちが……シャインが押し負ければ、全てが終わりである。

こちらも残る全てを賭けていた……

「うおおおぉ‼︎エンジェルブラストォォー‼︎」

放たれた矢は先刻のそれを遥かに凌駕していた。

何故、瀕死のシャインがここまで大きな力を出せたのか……

それは、残りの全ての力に加え、当に己のスピリッツをこの一投に込めたからであった。

赤色の玉と天使の矢が衝突する。

激しい衝突。かつて無い程の力のせめぎ合いに村、全体が震撼した。

「いっけええ‼︎」

シャインを筆頭にして村人たちが叫んだ。

「なっ、何⁈」

村人たちの想いを込めた一撃はアンドレの癇癪玉を押し始めた……

「貫け……‼︎」

シャインが声を上げると、天使の矢は赤色の玉を貫通して、そのまま巨人に直撃した。

「ぐわあああぁ」

巨人の雄叫びと共にあたりにかつて無い衝撃の波が襲いかかった。

強い爆風、振動、騒音……

一瞬にして周囲は何も見えなくなる。

数刻の後、だんだんと周りが落ち着き始めて来た。

「あれ、皆は⁈」

しばらくして、ナポリが周りを見渡した。

目の前の巨人は消えており、振り返るとそこには村人たちの姿が……

「ワシらは無事じゃ、それより……」

「ハッ、シャインはどこ⁈」

ナポリ全体を隈なく探すと……前方にシャインが倒れ込んでいた。

「シャイン‼︎」

ナポリはシャインを抱え込み身を案じる。

シャインはすでに人間の姿に戻っていた。

「う……うぅぅ……」

シャインは呻き声をあげ、薄っすらと目を開いた。

「シャイン‼︎」

涙を流しながらナポリが叫び声を上げた。

村人たちも駆け寄って来て喜びを露わにしている。

「盗賊は……奴らはどうなった?」

「勝ったわ‼︎あなたが倒したのよ‼︎」

「そうか……良かった」

事の顛末を聞くと、安心したのかシャインは優しく微笑み、再び眠りについた。

シャインの勝利を祝うかのように輝く光と共に朝日が顔を出した……









シャインが目を覚ますと……そこはベッドの上であった。

木造建築の家屋であり、細かい汚れや色の落ちた木柱は途方も無い年期を感じさせた。

「うっ」

体を起こそうとすると全身を痛みが走り抜けた。

なんとかして、重たい体を持ち上げると、体に包帯が巻かれており、丁寧な処置が施されている。

「シャイン!」

突如、扉が開き、ナポリが現れた。

「ナポリ……」

「シャイン、起きたのね。あなた、丸一週間も寝てたのよ」

「丸一週間も……ナポリ、ここは?」

「私の家よ。昔はマルゲリータさんと暮らしてたんだけど、今、ここに住んでるのは私だけ」

「そうか……盗賊は⁈村はどうなった?」

「盗賊は皆、捕まったわ。あなたが倒した後、国に連行されたの。村は大丈夫よ。と言っても大分、あの戦いで建物は壊されちゃったけどね」

「そうか……良かったぁ」

シャインは落ち着くと再びベッドに寝転んだ。

「シャイン……本当にありがとう。あなた、この村を救った英雄よ」

ナポリは優しく微笑みかける。

「いや、俺は当然のことをしたまでだ。それに、俺が勝てたのは皆のおかげだよ」

「私たちの?」

「そう、ナポリ達が必死に呼びかけてくれたから、俺はあの時、もう一度、立ち上がる事が出来たんだ」

そう、シャインが気力を振り絞り、最後まで戦う事が出来たのはナポリと、そして村人たちの声援があったからである。

「シャイン」

ナポリはシャインのおでこに優しくキスをした。

窓を差し込む陽光が二人を照らす。

外から、暖かい春風が流れ込んで来た。










あの戦いから約、二週間後、シャインはやっと自力で動けるようになった。

そして、このスパッタ村とも別れを告げる時が……

村の門にはシャインを見送るため、ナポリを始め、沢山の村人たちが集まっている。

「少年よ……ありがとう。改めて礼を言う。お主のお陰でこの村に再び平穏が訪れた」

「いいって、いいって、そんな事」

シャインは村長に礼を言われると顔を赤らめた。

「シャイン……ありがとう。また、会いましょう」

「ああ、またいつか‼︎」

ナポリに再会を誓うと、シャインは手を掲げ村を後にした。

シャインの門出を祝う村人たちの声が大きく聞こえる。

ありがとう……と、沢山の暖かい声。

シャインは思う。

この喜びを見るために自分は精霊使い《スピリットマスター》になったのだと。









「ふう……大分遠くまで来たかな。」

シャインは振り返るとスパッタ村がもはや小さいさな点のようになっていた。

「シャイン……傷はもう大丈夫なのですか?」

アテナが薄っすらとシャインの左肩あたりに現れた。

「ああ、もう大丈夫‼︎」

シャインはぐっと拳に力を込める。

「それにしても、今回の敵は強敵でしたね」

「ああ、かなり強かった……でも俺には勝利の女神が微笑んだからな」

シャインはアテナの方を見て、満面の笑みを浮かべた。

フッとアテナがシャインへ微笑み返すと二人は再び歩を進めた。

暖かい春風が背中を押す。彼らの冒険はまだ始まったばかりだ。

この話を考えてる時、最初の一話という事もあり、出来るだけシンプルに、かつ今後の作品のコンセプトを盛り込める様に意識した。しかし、作品を書き上げて気づいたことがあった。それは、話の長さである。どうやら、ネットで調べて分かった事だが、おおよそ一話あたりの長さは4000から8000字が平均らしい。そして、私が今回書いた一話の長さは約、15,000字。原稿用紙にして、36枚だという事だった。よって急遽、今回の話を0話とし、改めて第一話を書くことにした次第である。

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