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第二話

私立国際大榎学園の中央に、学校名の由来ともなっている巨大な榎がある。

樹齢300年を超えている巨木は、その雄大な枝葉を揺らし、己の足本に配された遊具やベンチに四月の陽光を柔らかく散らし、降らしていた。

うららかな昼下がり、おしゃべりに興じる女生徒達や小等部の子供たちが遊具で遊ぶ様をぼんやり眺めながらヴィヴィアン・フォーサイスは、豊かな金髪を揺らしながら、退屈さを打ち消さんが如く大欠伸をした。


アメリカから来日してからの数日は、映像でしか見たことのないオリエンタルな異国情緒に感激していたものの、それが一か月を経た今、自分の生活範囲で得られる分の異国情緒は喰らい尽していた。

本国では既に著名な画家としての地位と、芸術家としての精神性を確立してた彼女は、芸術科の授業というものに熱心になることもできず、部活動としては絵画部に所属はしているものの、抽象画を画く彼女は、他人の批評や自分以外の作品に興味を示せないまま、漫然と日々を腐心のまま過ごしていた。


では何故、留学生制度を使ってまで遥々日本まで訪れたのか。

答えは「なんとなく」である。


日本の食べ物は美味しそうだし、ファッションやアニメなどの独自の文化にも興味はある。現代社会にニンジャやゲイシャガールが居ない事は判っていたが、一縷の望みをかけていた部分もある。


とりあえず行ってみたかった。その程度の軽い動機だったのだ。


着崩した制服から覗く腹部を下品に掻きながらもう一度欠伸をした。


――暇つぶしにブカツにでもいこうか。


天賦の色彩感覚を持つ、金髪碧眼の少女は気怠そうに退屈と戦うのだった。



 「――ええと、ヴィヴィアンさん?」

なにをしているのですか。と聞いたのは絵画部部長だった。鳴物入りで入部した米国の若手芸術家の奔放さは、ここ数週間で痛いほど分かっていたが、今日は特に常軌を逸していた。

第一美術準備室。静物画のモチーフである小道具類を奇妙なバランスで積み上げたり、自分の絵を的に、どこからか持ち込んできた錐をダーツに見立て遊んでいた形跡を残して、乾燥棚に置かれている部員の作品を乱雑に物色していた。

歴史に尋ねてみても、芸術家というのは奇人変人が多いとは聞いてはいたが、実際、奇人変人と接した場合に適切に対処できるほどの人生経験を絵画部部長、西野香は積めてはいなかった。

今一度声を掛ける。

「――ヴィヴィ?」

「Hey!カオリ、この絵を描いたのは誰!?」

金色の怪物は、突然一枚の絵画を持って西野に詰め寄る。

「え、ええ!?」

猛獣に迫られるような感覚を覚えた西野はたじろいだが、ヴィヴィアンが持つ静物画とも印象画ともつかない、一枚の絵に目に見とめ

「ええと、それは――」






 五月。放課後、以前より増した陽光が、学園に柔かな熱と活力を与えていた。

第二部活棟三階の一番奥まったところに位置する、扉に模型部と筆書きで描かれた一室で三枝正義は充実した時を過ごしていた。

先輩方の遺した『遺産』の数々は素晴らしいものだった。

活動記録は、数々の技法や着想、工具や塗料の手入れの仕方、古ぼけてはいるものの作品の写真の数々、書かれた当時の模型業界における流行や雑誌の切り抜き、それに対する部員の意見等、かつての部員達が残した溢れんばかりの痕跡が、三枝に、模型に対する啓蒙を促した。

部室中央の長机には時代を感じる薄汚れたカッティングマットが置かれ、その上には以前組み上げた軽装甲偵察車がある程度の塗装を施され、鎮座していた。

長机と学習机、パイプ椅子数脚以外には、『遺産』の入っていた段ボール箱が二つしかない閑散とした部屋だが、三枝正義は、放課後はこの部室で充実を過ごし、寮に帰ってからは、活動記録に記された技術の編纂に明け暮れた。寮にまでプラモデルを持ち込まなかったのは、溶剤の臭いやランナーの細かな切れ端でルームメイトに迷惑をかけない為の配慮からである。

柔道を諦めてから、ここ一か月の暗中模索の中、ついに目の前が拓けたような高揚。三枝青年の脳は朝起きてから夜眠るまで模型一色に染め上げられていた。


――ふむ。と一息。

三枝はsd.kfz253に施されたニュートラルグレイが乾燥しきるまでの間、『遺産』のひとつである塗装ブースの組み立てに勤しんでいた。記録によれば、以前、部費を貯めて念願のエアブラシを購入したが、塗装ブースの設営までは考えていなかったらしく、度重なる苦情にあって急遽、廃品のモーターや掃除機のホースなどで作り上げたそうだ。

――なるほど粗雑な造りだ。

組み付けを完了させ、コンセントから電気を供給。スイッチを入れれば、耳障りなモーター音とともにハンドメイドの塗装ブースは、この放逐された10年が無かったものかのように空気を室外に排出し始めた。

偉大な先達の遺産をひとつ復活させたことで、少し誇らしい想いを抱きながら、天板に貼られたビックリマンシールを指で撫でた。


「Hiya!マサ!」

勢いよく扉が開かれ、金髪碧眼の美女が砕けた挨拶と共に油絵用のキャンパス台一式を持ってやってきた。

「こんにちは、フォーサイスさん」

それは?と聞かれ少年の様な笑顔で答えるヴィヴィアン

「今日からココをワタシのブシツにするの!静かでlocationもgoodだしネ!」

はあ、それは構いませんが――

「やっぱりartって一人で静かに向き合うものだと思うの。face to face、ね?」

カイガブのブシツは人が多くって、集中できないわ。と続ける。

「しかし、主として所属しているのは絵画部でしょう?」

模型部設立に力を貸してくれた事は有難いが、彼女の在るべき場所をないがしろにしてほしくはない。三枝はその想いで尋ねた。

「カイガブはカイガブで顔は出すわよ。contestもあるしね。workspace…atelier…そう、アトリエ!」

勝手気ままに自分の作業環境を整えながら答える。

パイプ椅子を組み付けキャンバス台の前に構えて完成のようだ。

「ね、ステキでしょ?」


「Guten tag…わ、すごい」

「こんにちは」

ヴィヴィアンのアトリエの完成と同時にアルベルタと褐色の少女が入室してきた。

キャロライン・ヘースティングズ。イギリス国籍のインド系イングランド人の少女は早速ヴィヴィアンの作業スペースを見て

「ヴィヴィ、貴女、また『アトリエ』を増やしたのかしら。」

これで一体何か所目よ。とため息交じりに問いかける。

「シツレイね、キャロル。ワタシくらいのartistになれば世界中にアトリエを構えるのなんて当然じゃない」

もうすでに何か所も彼女のアトリエがあるのか。

悪戯少年の笑顔で答えるヴィヴィアン。

「高名な芸術家様が世界中のアトリエの家賃で破産しなければいいのだけれど。それと、そっちは――」

塗装ブースに目を移す。その目は興味を示していた。

「これは――」

「待って、当てるわ。…エアブラシ用のブースね。ひどくおんぼろだけれど」

眼鏡の少女は見事に言い当てた。

「最初に会った時から思っていたが、ヘースディングスさん。貴女は実に聡明だ」

常日頃の彼女の所作から感じていた称賛をつい口に出してしまう。

「キャロルでいいわ。景正君」

さも、聡明なのは当然だとも言いたげに。

「あ、ボクも、アルって呼んでほしいな、カゲマサ…」

はにかみ、照れ笑いを浮かべるアルベルタ。見れば手に1本の白百合を持っていた。

三枝の視線を感じ

「これ、貰ってきたの。その、ブシツ、サミシイかなって思って、チャドー、いや、サドー…」

「華道部」キャロルが補助に入る。

「そう!カドーブ、から」

人見知りのアルベルタからの相談を受けて、キャロラインが労を供したのだろうことは容易に想像できた。

「みんな、ヤサシイね!」

その溢れんばかりの笑顔を受け、先月の一件の傷跡が心配するよりも深くなかったことに、一同は安堵するのであった。



 模型部の活動とは、実際には三枝が独り、ただただ、プラモデルを作成している事に終始している。

三枝以外の4人は元々別の部に所属しており、各々が気が向いたときに訪れる程度で、訪れたとしても、各々が好きに絵を描いたり、音楽を聴いたり、本を読んだり、ノート型パーソナルコンピューターと向き合っていたりしているのであった。それでいいと模型部部長、三枝正義は考えていたし、それどころか設立に力を貸してくれたことに深い感謝を感じていた。特に、後に聞くところによれば、三枝の再入院中に、加茂下から相談を受けて東奔西走してくれたのはアルベルタらしい。その件で礼を示したところ

「カゲマサは、ボクを助けてくれた、ダカラ、ボクもカゲマサを助けたい。コマタトキハオタガイサマ、ね?ニホンの、いい言葉、だよネ!」

しどろもどろに、だが懸命に、顔を真っ赤にして説明してくれた。

今の充実した日々があるのは道を示してくれた加茂下と、協力してくれた彼女達に因るものだ。そう思う度、胸に熱い感謝が込み上げる。


「ね、カゲマサ?」

感慨に耽っていたところを呼び戻された。

「そのクルマ、ずっと弄っているけれど、まだ完成じゃないノ?」

アルが上目遣いで問いかける。

活動記録から見出した技法の数々を試しているのだ、と説明するが、実を言うと、金が無いのでプラモデルを買えないのだ。

雀の涙ほどの部費を塗料や細かい備品の購入に充てたもので、今月分の部費はほぼ0である。

そもそも元より清貧を旨とすべしとの教育を受けた三枝は、身銭を切ろうにも実家から小遣いらしい小遣いを貰っていない。

つまり来月までプラモデルを購入することは出来ず、入ったとしても1000円の部費をやりくりしなければならない。

頭を悩ませるところだが、まだドラゴン社のsd.kfz253は手を掛ける余地があることが救いだった。

アルバイトで小銭を稼ぐことも考慮したが、身体的な都合で選択の幅が大分狭められている。

思考を留め、金銭的な理由でプラモデルを買えない、という哀しい事実は伏せることにした。

もし、それを知られれば、目前の可憐な少女は喜んで身銭を切りかねない。


「――三枝」

抑揚の無い冷たい声が聞こえた。特に不機嫌というわけでもない。エレオノーラ・ラヴリネンコは常にそうなのだ。

「エレナー!マイゴになったのかとオモッタ!」

長身のロシア美女に子犬のように駆け寄るアルベルタ。応じて頭を撫でるエレオノーラ。聞けば最近上達してきたアルベルタの日本語学はひとえにエレオノーラの教育の賜物らしい。何を考えているかよくわからない寡黙な女性だが、人見知りのアルベルタが懐いているところを見れば悪い人間ではないことは十分に理解していた。

「加茂下からこれを貴方に渡すようにと」

差し出されたのは『8.8cm Pak.43 Waffenträger』と書かれたプラモデルの箱だった。重厚感を感じる、一門の大砲を携えた戦車と思しき箱絵の隅にはDRAGONの社名が記されている。

「わ、またGermanのPanzerkampfwagenだね!良かった、ね、カゲマサ!」我が事のように喜ぶアル

「日本語に訳すと…武器、運搬車かしら。戦車とは違うのではなくて?」己の知見を知らしめるキャロル

「You must be happy aren't you?いい加減飽きてたでしょそのクルマ――ってどうしたの?」からかい調子で問いかけるヴィヴィは呆然とする三枝に気付く。

三枝正義がもし、信仰心に篤かったのならばきっと目の前の銀髪長身の美女を女神と崇め、滂沱の涙を流しながら惜しみない讃美を高らかに謳い上げた事だろう。

エレオノーラ・ラヴリネンコは、何故か敬愛の眼差しを向ける日本人の男子の脳内を理解できず首を傾げるのだった。





翌日、三枝は第五美術準備室に加茂下を訪ねていた。勿論昨日の礼を言う為だ。

「いや、流石に観念してこの部屋の整理をしていたらさ、見つけちゃったんだよ。資料の下敷きになってたんだあのプラモデル。何年前から忘れられていたのかわからないけどさ。気にせず作っちゃっていいよ。たぶん、君の先輩のだから」笑いながら加茂下は言った。

「それにしても、うまくやってるのかい、あのメンバーと」

「おかげさまです。感謝の言葉もありません」一礼をする。

以前のような狼狽えは無く、流石に三枝景正という人間に慣れたのか、笑顔を返し「そりゃよかった」と続けた。


――実はね、内心心配していたんだ。と加茂下。

「芸術家ってやつは…大体どこか変なところがあるからね。三枝君、真面目だから、性格の不一致とかでストレスを抱えていたら嫌だなあ、って思ってさ」

はあ。と釈然としない。三枝から見れば皆、十分理知的に見える。

「あ、まだ聞いてないかな。彼女らみんな、その道では一線を超えた天才ってやつなんだよ。」

三枝に向き直り、続けた。

「君が助けたアルベルタちゃん。彼女は気弱そうに見えて世界的に有名なピアニストでね。幼いころからピアノやってて、あのザルツブルク音楽祭でソロでピアノを披露したこともあるんだって」

「それとヴィヴィアンさんかな。印象画を得意とする彼女は、すでにニューヨークで個展を開けるくらい有名なアーティストでね。オークションで彼女の作品がとんでもない高価格を叩き出したこともあるんだ」

「次にエレオノーラさん、彼女は絵画や彫刻だけじゃなくピアノや弦楽器、果てやオペラや創作ダンスまでこなすっていうんだ。驚きだよね。ロシアで大統領から勲章貰ったこともあるんだってさ。万能の天才ってやつだね」

「最後にキャロラインさんだね。彼女は世界的な資産家の娘さんでね。ご実家さんは芸術作品のオークションなんかの元締めやってるんだ。彼女自身もとても聡明でね。過去の芸術作品への知見だけじゃなく最新のテクノロジーを使ったアート作品なんかをバンバンネットを使って配信してる」

この学園の歴史も長いけど、これだけの留学生が一度に来たってのは初めてじゃあないかな。理事長達も鼻息が荒くて――


加茂下は言葉を続けるが、12年間柔道一色で染め上げられた男児の脳はそれらの情報を上手く処理できずにいた。

――何故そのような才能をもつ人間達が一同に会してしまったのか。会させてしまったのか。アルベルタ嬢の奮闘によるものだ。それは何故。自分の、三枝正義の為だ。とすると、自分は、世界中が期待する若い才能に、無駄な、無為な時間を割かせてしまっているのではないか。そうだとすれば――


――それにしてもさ、彼女達もヘビーだよね。


加茂下の言葉に、思案の海から引っ張り出された。

「あの若さで、世界中から期待されるって、凄いプレッシャーだと思うよ」

勝利することを約束させられていた、数か月前までの、いち競技者としての自分を思い出した。一地方の、一学園の期待だけでも相当な重圧になっていたことを思い出した。それが世界中の、となると――ゾッとする。

「だからさ、彼女達にも息抜きできる場所ってのが必要なんじゃないかなあって、思うんだ」

教育者として、というより一人の大人としての呟きに思えた。


「願わくば三枝君。君は彼女達の対等な友人として、何でも話し合える仲になってくれればいいなって思うのさ。それに――」


それに?


「君は意に介しないだろうけれど、あんな美人4人に囲まれた日々なんて、他の男子生徒から見たら、そりゃあもう、薔薇色の青春ってヤツなんだぜ」






 梅雨も近づく五月の後半。午後からの土砂降りの雨が、築数十年の部室棟をがむしゃらに叩いていた。

少し伸びた坊主頭をタオルで拭い、雨漏りの心配をしながら今日も模型部部室に向かうと、すでにヴィヴィアンがパイプ椅子に胡坐をかき、卓上の白百合とにらめっこをしていた。

「早いんだな。フォーサイスさん」

「shut up.distracted」白百合から寸分も目を離す事無く呟くように返す。

米国生まれの奔放な芸術家の神経質な部分を、最近になってやっと理解できて来た三枝は構わず席に座り、自分の作業の準備に着手する。

ヴィヴィアンの視線が一輪の白百合の何所を抉り取ろうとしているのか、何を抽出しようとしているのか、芸術に疎い三枝には解る筈もない。

背後のキャンバスは来た時と変わらず白紙のままで、傍には食べかけの総菜パンとイチゴミルクの紙パックが転がっていた。とするとこの白百合との睨めっこは昼から続いているのだろうか。


加茂下から頂戴したヴァッフェントレーガーは、アルの甲斐甲斐しい手伝いもあり、惚れ惚れするような仕上がりで組み上がっていた。

ドラゴンモデル社製品の履帯は、実物の1/35のサイズ、幅数ミリのシューを1枚1枚組み合わせて接着していくのだが、活動記録から過去を訪ねると、やはり苦行と称されるほどのストレスを先輩方も味わっていたようだった。

――それにしても、アルの小さい指が片側88枚、両側で176枚のシューを淡々と組み上げていく様は見事だった。

今一度先日の出来事を反芻する。手伝いを願い出たアルベルタは初心者にも拘わらず精密な作業をミス一つなくやってのけた。

「ボク、こういう小さいシゴト、好きかも!」と笑顔を見せた少女。ドイツ人は手先が器用、という国民性が本当にあるのか分らないが、模型に関しては一日の長があると考えていた三枝の自負を覆いに揺るがせた。


組み上がったヴァッフェントレーガーを、今日から塗装するつもりだったが、突然の雨でそれも危ぶまれた。

雨天時にエアブラシを使用する場合、コンプレッサーは空気中から湿気、つまり水分も取り入れてしまう。それがラッカー系の塗料と混ざり吹き付けられると塗料の変色や乾燥不良、塗りムラを起こしてしまう。更には換気をし辛いので、雨の日にエアブラシを使用するのは厳禁、と活動記録に記されていた。

――筆で塗るか、いや、アルのお陰で綺麗に組み上がったのだ。折角だからエアブラシを使ってみたい。アルと、他2人は用事で今日明日と来れないそうだし、今日は資料の編纂に充てるか。

と思案していると、突然ヴィヴィアン・フォーサイスが叫び声をあげて立ち上がった。


三枝は、頭を掻きむしりながら陸に打ち上げられた魚のように体をくねらせる若き前衛芸術家に声を掛けることもできず呆気に取られていた。


「‥‥‥なにか言いなさいよマサ」

嘆くような声。くしゃくしゃになった金髪の隙間からこちらを恨めしそうに見つめる瞳が見えた。

「言葉もないよ。フォーサイスさん」

平静を装いながらも、内心は文字通り言葉を選ぶ余裕は無かった。

「hystericalでイカれたなヤツだと思ってんでしょ!言いなさいよ!」

それは、言葉に悲壮感や真剣味は一切無く、まるでアメリカン・コメディのように芝居がかった物言いだった。

三枝正義がアメリカン・コメディに明るければ、小粋な返答も出来たのだろうが、生真面目な性格の彼は愚直に対応するしかなかった。

「フォーサイスさん。貴女のような芸術家先生に申し上げるのも気が引けるが、もし良ければ気分転換でもどうだろう」一応の敬意を示す。

「例えば?」不貞腐れる様子を見せながら

「そう、例えば、プラモデルを、作るとか」すでにしどろもどろになりつつある。

「それ、paintしていいの?」不貞腐れつつ気怠気に卓上のヴァッフェントレーガーを指さす。

「それは駄目だ」それは自分とアルベルタのものだ。

暫くううん、と唸って

「Okey!わかったわ!待ってなさい!allright!?」

何か得心した様子で突然部屋を飛び出すヴィヴィアン。無言で見送る三枝。

待ってなさい、と言われはしたものの、その日ヴィヴィアン・フォーサイスが部室に戻ってくることは無かった。


 



 翌日も残念ながら、雨だった。今日も過去の活動記録の中から、技法やアイディアの編纂に努めようとノートを開いた刹那。背後に轟音と風圧を感じた。ヴィヴィアン・フォーサイスがドアを蹴り飛ばしてやってきたのだ。手にプラモデルと思しき箱を抱えて。

「Hey!マサ!buildupするヨ!」

ワイルドボアを狩って来たから焼いて食おう、と言わんばかりのワイルドなハイテンション。顔は昨日とは打って変わって憑き物が取れたかのように晴れやかな笑顔だった。



 『M1A2 ABRAMS operation iraqi freedom』

箱にはそう書かれてあった。左下にはタミヤのマーク。つまりは昨日、部室を飛び出してこれを買い求めに行った、と?

「non,違う。帰ってAmazonで注文して寝たわ」平然と言い放った。

昨日、閉校時間になるまで待っていた気苦労が一切合切に霧散した瞬間だった。

「マサ、アナタモチロン知ってるわよね、我がアメリカが誇るperfectなセンシャ!」

紛争地帯を報じるニュースで目にしたことはある。

「今からこれをアナタが作るの。そしてワタシがpaintする。どう?nice ideaでしょ?!」

ワタシの偉大な作品のキャンパスを作れるのだから光栄に思え、と続けた。


ううん、と考え

「承服しかねる」との答え。


「ショーフク?NOってこと?」意外な返答に内心驚く

「一緒に作ろう。フォーサイスさん。きっと、その方が面白い」



 三枝の提案は、単純に、作る喜びを分かち合いたい、という思いからだった。先日のアルベルタとの共同作業の記憶が思い出される。友と同じ目標に向かって集中する、という、未だなんだか理解できていない感覚を、もう一度味わいたいと考えていた故である。


「ンー、Okey…まあ、その方が…」 

となんとか納得してくれた様子のヴィヴィアンも

「ね、これはドコに着けるの?」パーツを素手でもぎ取る

「見て、コレワタシのDad」搭乗員を組み上げて父と呼ぶ

「BLAME!BLAME!」1/35の機関銃を構えて口鉄砲を撃つ

「Wow!最高にcoolじゃない!」組み上がった砲塔を自分の頭に乗せる

と、なにかと楽し気だった。


世界に誇る日本のタミヤ、その作りやすさ、クオリティに、三枝は人知れず感動していた。なにより、履帯が一体成型のゴム製で、巻き付けるだけで良いという点に痛く感激した。

タミヤのモデルだったお陰か、想定よりずいぶん早く組み上がった。ヴィヴィアンが無理やり手でもぎ取った所為で一部見苦しいところもあるが、及第点というところだろう。思ったより粗は目立たなかった。


時間も半端であるから塗装は明日からにしようと、提案する前に、珍しく活力が漲っている金色の猛獣は、筆と各色絵具の乗ったパレットを、両手と、更には口にも携え、明らかな闘志を燃やしていた。


「Okey!ワタシのジツリョクを見せてあげるっ!」


ヴィヴィアン・フォーサイスは、これまでのスランプを払拭するかの如く、怒涛の勢いで戦車型のキャンパスに色を乗せてゆく。

瞬く間に色が置かれ、その上を指で拭い、更に別の色が置かれる。時にスライスするように。時に叩きつけるように。

砲に、車体に、転輪に、次々と様々な彩色が施され、M1A2エイブラムスは極彩色に彩られてゆく。


(まさしく、色彩の奔流だ…)

三枝正義は目の前で次々と色を変えていくその様に、ただただ、見蕩れていた。


時間にして30分程経ってから、金髪碧眼の天才は一息つくと、筆を置いた。

拍手。

一流のエンターテイメントを見た後のような高揚感。三枝は目の前のアーティストに対して惜しみない称賛を浴びせた。

ドーモ、ドーモと、両手を上げ称賛に答える。

「フー、ヒサビサに楽しかった」満足そうな笑顔。

図らずしも一流の技を見れたことで三枝の胸も高鳴っていた。

「それはよかった。ではこの作品をカメラに納め――」

戸締りをして帰りましょう。と言う前に



「じゃあ次アナタのturnね」



――は?



「huh じゃないワよCollaborator?」背後から両肩を掴まれる

「アナタが言ったんじゃない。『一緒に作ろう』って――」体を机に向き直らされる。

「さ、completeさせてネ。私達の『作品』を!」目の前には極彩色のエイブラムス。


待て。アメリカを代表する新鋭芸術家が手掛けた作品に凡人の、しかもプラモデル初心者の自分が手を加えるのか?

この豪華絢爛な彩色にどう手を施せというのだ。台無しになるのがオチだ。きっとフォーサイスさんを落胆させる。


「ンー、どうpaintするんだろー」心底無邪気に、期待する声が背後から聞こえる。きっと彼女は、自分が体育コースから落第して美術コースに来た半端者だとは思っていないんだろう。


辞退するか。辞退すべきだ。この作品はこれで完成なのだ――

思案の渦の中。祖父、三枝権五郎の言葉が去来した。幼い日の出来事が思い出される。



「良いか正義。男なら、避けては通れない困難に直面するときがある」

「どうしていいかわからない、どう転んでも痛い目を見る」

「そんなときは、自分に言い聞かせるのだ。男なら、やってやれ、てな」

「どうせ痛い目を見るのだ。覚悟を決めて突っ走ってしまえ」


――男なら、やってやれだ



筆を取る。今や己の経典となった過去の活動記録に記された技法を思い出せ――


ヴィヴィアンが施した極彩色を保護するためまずクリアーの缶スプレーを全体に吹き付ける。乾燥を待って



墨入れ――溝や入りこんだ部分に毛細管現象を使って薄めたエナメル塗料を流し込む。はみ出た部分は綿棒で拭えば良い。


「oh,good!」まるで意思を持つかのように細い溝を進む塗料に目を輝かせる。


ドライブラシ――エナメル塗料のバフの淡い黄褐色を筆に取り、ティッシュペーパーで余分な塗料を落とす。

カサカサの状態で戦車を構成する面の角を叩くように筆を動かす。すると角周辺が強調され立体感が生まれる。


「nice!」食い入るように作業を見つめている。


チッピング――エナメル塗料をスポンジで掬い、これもティッシュで余分な塗料を落とし、角を中心を叩くように着色する。

千切ったスポンジの、複雑に起伏した面が、戦車にランダムな汚れやサビを表現し、それがリアリティに繋がる。


「great!」スポンジでこんな演出ができるのか、と感激している。


シャドウ――1/35のスケールでは実車とどうしても陰影の出来方に差が出てしまう。そこでエアブラシで極限まで薄めた暗色で影を演出する。

……待て、雨天だがエナメル塗料の場合はどうだ、先輩方はなんと記していたか――

ええいままよ、男なら、やってやれ、だ。

コンプレッサーと排気ファンのスイッチを入れ、エアブラシのカップに薄めたダークブラウンを充填して影を描きこんでいく。


「wonderful!」着々と現実感を増してくる極彩色の戦車に興奮し始めている。


パステルウェザリング――クレヨンを紙やすりで粉にしてエナメル溶剤に溶かし、足回りや入り組んだ箇所を塗り、泥汚れや埃を演出する。

つもりだったがピンクとイエローのパステルしか見つからなかった。勢いに任せ混色し、履帯と転輪を汚していく。


「Fantastic!」ピンクの砂漠を渡ってきたのね!と感心している。


これまで作業を保護するため、再び缶スプレーでクリアーを吹き付ける。全体を見れば上手くいったように思える。いや、まるで自分が施したものではないような錯覚すら覚えるクオリティであった。初めて尽くしだったが、すべてはひとえに偉大なる先達のお陰だ。深い尊敬の念を浮かべた。


「hey!next!次はどうするの?!」

始めて目にする技法の数々に、すっかり興奮しているヴィヴィアンに促される。

nextと言われても、もう、今出来る事は全部やったつもりでいた。


「ねえ!next――」

「では花でも活けましょう」

車体の底にに水を含んだ、穴をあけたスポンジを仕込み、砲塔を取り付け、キューポラに白百合を差す。

極彩色の戦車に一輪の白百合が活けられた。


「―――」

顔を伏せ、震えるヴィヴィアン。

しまった、やりすぎたか?と若干の不安を抱く三枝。



「MARVELOUS!!!!!」



体全体で感動を爆発させる新鋭芸術家。今まで気にしたことはなかったが、豊満なバストが目の前で踊る様を見て、流石に気恥ずかしくなった。


「I’m blown away!!Was there such a way of expression!You are the best collaborator!!Ahh,oh my god――――」

興奮のあまり日本語を忘れたようだ。英語をよく解さない三枝には何を言っているのかさっぱりわからない。

鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしている共同制作者に「ah.sorry...」と息を切らしながら笑いかける。

「ワタシの彩色したFictionにアナタがRealityを与えたの。それにWhite Lily!ビックリしたわ、そんなヒョウゲンがあるなんテ――」

興奮冷めやらぬ様子での説明に、とりあえずの安堵を得た。思いつきで活けられた白百合にも、芸術家はなんらかの意味を見出してくれたようだ。


少女は一度、胸元に手を置いて深呼吸をする。そしてゆっくり、言葉を選ぶように語り掛ける。普段より随分しおらしい様に見えた。


「―――ワタシね、前にアナタの絵を見たの」

以前、加茂下に連れられて絵画部に体験入部したことがある。

「とっても、ヘタクソ、だったケレド――」

あの時描いた絵を見られていたのか。顔が引きつっていくのを感じる。

部長の西野さんが自分の絵を見たときの不思議そうな顔が忘れられない。消し去りたい過去である。

「――アナタのmind...I felt your spirit......Would you like to be a co-creator of my work?」

途中で日本語を諦めたようだ。伝えたい言葉が脳内の翻訳装置より先に口から出てしまう。

ahh,にほんごむつかしい。と豊かな金髪をわしゃわしゃと掻く。


――申し訳ない。無学な為、何を言っていたのかよく理解できないのだけれど、


続ける。



「君の助けになれるのならば、自分は力を尽くすことができる」



少女は、その無垢な言葉で、胸が高鳴りと、顔を赤らんでいくのを感じた。顔を伏せる。

「――thank you」

饒舌だった彼女の口からはそれ以上の言葉が出てこなかった。



紅潮させた顔を手で覆い、フゥ、と息を吐いて「サア、早く片付けて帰りましょ」と指示した窓の外はもう真っ暗だった。


片付けを手早く済ませる三枝の後ろで、スマートフォンで白百合エイブラムスの写真を撮るヴィヴィアン。

「ネ、こっち向いて」と促されエイブラムスとヴィヴィアンと三枝の3ショットも収められた。

片付けが済んで部室を施錠する段になってもヴィヴィアンはスマートフォンを熱心に弄っていた。

「フォーサイスさん」

「ヴィヴィって呼びなさい?」スマホから目を離さずに答える。

「……ヴィヴィ、先ほどから、何をやっているんですか」

「ンー、ABRAMSをー、Instagramにuploadシテルー」

いんすた?なんだって?随分前に型落ちしているガラパゴス携帯しかもたない三枝には理解が及ばなかった。


「コレ、良く撮れてるよネー」画面を見せて悪戯少年のように笑う。

画面には先ほどとった3ショットと、画面下にはぞくぞく数を増やすハートマーク。


「ヴィヴィ、もしかしてそれはエスエヌエスってやつですか」

「ya、ワタシのfollowerの数、スゴイんだよー」画面を操作して再び見せる。

followerの項に862kとあった。

「862人」

「non,non,エーット日本語でケイサンするとー」


「――86万、2千、人?」


「つまり世界中の86万2千人に自分が晒されているんですか」素っ頓狂な声が出てしまう。

「アハハ、そーなるねー。ア、コメントきた『Is he a boyfriend with a shaved head behind you?』だって!アハハハ」走り出す。

「ヴィヴィ、ネットリテラシイというものがあってですね、その写真を消してください」慌てて追いかける。

「ヤダねー!アハハハハ…」


雨はすっかり止んでいて、満天の星空には満月が浮かんでいた。






 昨日までの雨が嘘だったかのように、空は突き抜けるような快晴だった。

コンプレッサーと排気ファンは、ヴーン、という耳障りな音をかき鳴らしつつ、室内の空気を吸い込むという責務を十分に果たしていた。

三枝はそれらの責務に報いるかのようにヴァッフェントレーガーを灰色一色に染め上げていた。塗料の吸着を良くするための下地塗装である。

塗りあがったところで、一息をつき、昨日の出来事を反芻する。

――素晴らしいひと時だった。

あの極彩色の戦車を、ヴィヴィと自分が作った作品を、アルやキャロル、エレオノーラに披露したい。

披露したいのだが卓上に置いてあったエイブラムスが見当たらない。代わりにインスタントカメラで撮影された写真が数枚、無造作に置かれているだけだ。


「Guten Tag!カゲマサ!」アルが煌めく笑顔でやってきた

「こんにちは。久しぶりね?」寂しかった?の問いを含めた皮肉屋キャロルの二日ぶりの挨拶。

「ア、ヒサシブり!」新しい日本語を覚えるアル。


「こんにちは。音楽祭は如何でしたか」

エレオノーラを含めた3人は、某所の音楽祭に招かれていた。アルのピアノとエレオノーラのバイオリンの協奏。それにキャロルがプロジェクションマッピングを駆使した演出を手掛けたのだそうだ。結果は大成功、満場のスタンティングオベーションを受けた、と校内新聞が報じていたのを見ていた。

改めて住む世界の違いを感じる。


「スゴかったよ!エレナーとキャロル!アンなSitzung、ボク、はじめて!」

興奮に身を任せ身振り手振りを駆使して語る、と思いきや

「ア、Waffenträger!イロ、塗ってるの?」

仔犬のように忙しなく興味を動かす可憐な少女。

「ところで、あのあばずれはどこ?」

いつになく攻撃的なキャロル。もしヴィヴィアンが在室していたならば、その可愛らしい八重歯をむき出しにして今にも噛みつかん程の勢いだ。


タイミング良く、いや悪くか、

「Howdy!」

いつになく上機嫌で、今日も、扉を蹴破らんとする勢いのヴィヴィアン。

「――ヴィヴィ、あんたね…!」

早速喰いかかるキャロル。

「『アレ』はどういうことなの!貴女はモノの価値がわかんないの!?」

穏やかじゃない。いつもの聡明さをかなぐり捨てて詰め寄る。

アレ、とはなんだろう。わ、わ、と、にわかに慌てだす仔犬のアル

ヴィヴィアンはすでに察しているかのようだ。

「あら?Noble obligation。England生まれの貴女は、当然、わかってくれると思っていたノだけれど?」

飄々と、手を腰に掛けてドヤ顔で答える。ノブレス・オブリージュ。高貴なものが負う義務、と訳す。

「なにがNoblesse obligeよ、アンタのような田舎者が――!」

更に詰め寄るキャロル。

流石に仲裁に入る三枝、事の説明を求めた。



熱くなり過ぎたことを謝罪し、一息ついたキャロルは語り始めた。

「景正君、貴方とヴィヴィが昨日作り上げた作品があるわよね?」

頷く三枝、そうなの?と三枝を見上げるアル。何故か、してやったり顔のヴィヴィ。


「その作品をSNSにあげて、絶賛を受けたわね?」

再び頷く三枝、絶賛かどうかはわからないが、86万2千人に顔を晒されたのは心残りだ。


「その作品を1万ドルで買い取らせてくれと持ち掛けられていたのは知ってるかしら」

待て。1万ドル?日本円に換算すれば、100万円……?白百合の刺さった、たかが、プラスチック製の戦車が?


「それを、この女が、無償で、提供したのは?」

怒りが再熱してきている様子のキャロル。

話が大きすぎて釈然としない三枝。100万円を、要らぬと一蹴したのか?この芸術家は。


「ドコに、イッタの?このセンシャ」

エイブラムスの写真を手に、問いかけるアル。


「アメリカ陸軍」

ヴィヴィアン・フォーサイスは、しゃなり、と言い放つ。

卓上にあるはずのものが、無くなっているのは、既にアメリカの陸軍基地に発送されていたからか。


「――アンタみたいな恰好ばかりのBitchがいるから世の若いクリエイターが食っていけなくなるのよ!」

ついに怒りを爆発させるキャロル。怒りの原因が意外と社会派だった。

「フフーン。ユウシュウなワタシが、アメリカ国民としてのギムを果たしただけヨ」

余裕の表情を崩さないヴィヴィ。2人の言い争いをあわあわと不安げに見つめるアル。



――100万円がヴィヴィの手に入れば、共同制作者である自分に何割か、いや100分の1でもいい、請求できる権利を有していた筈。

と、考えるのは邪なのだろうか、しかし、1万円あれば模型部の財政は――


三枝義正は思案の渦に、力なく首を垂れる。



「Oh,ウレイをオビた、いい顔ねマサ!次のモチーフはアナタにしましょうカ?」

ご機嫌なヴィヴィアン。もうすっかりスランプは脱したようだ。


「タイトルは、そうね――『Droopy Friend』!」

早速、絵筆を構えて三枝を捉える。


三枝景正は、金色の傑物の弾ける笑顔を見て、まあ、いいか。とひとりごちるのだった。






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