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若鄙の有閑  作者: 土衣いと
短編その1・『うに』の話
93/94

〈中〉巨大うにの行方

最近は投稿間隔も長く空くようになってきちゃいましたねぇ。しばらくはこんな感じが続きそうです。



今回、後書きの設定はお休みです。

 その日の夕方頃。史織さんたちの様子はと言うと・・・。

柊「・・・で、それがこれなのね。」

史織「そうそう。よろしく頼むわね。」

小冬「お手数おかけしますわ。」

団員達「「お、おおぉぉ~・・・。」」

史織さんは巨大うにの処理に悩んだ結果、柊さんにお願いすることにしました。

柊「じゃあ皆。荷台まで運ぶの、お願いね?」

団員達「「かしこまりました!」」

この巨大うに。半分は史織さんと小冬さんの取り分で、もう半分は自警団の取り分ということを条件にして運搬作業をお任せすることにしたのです。

史織「いやー。柊が暇してて助かったわ。」

柊「全くもう!別に暇だったわけじゃないわよ。史織ちゃんが私にお願いーって言うもんだから訓練時間を削って、その上皆にも無理言って手伝ってもらってるんだからぁ~。」

それを聞いていた作業中の自警団員達が弁明に入ります。

団員A「いえいえ。我々は別に構いませんよ。私は里の外に出るの、久し振りでしたし。大佐や史織さんたちのお役に立てるのであれば何よりです。」

団員B「そうですよ。我々はいつでも皆さんの力になりますから。私も外出任務は結構好きですし。」

団員C「私もその・・・ここに来れたってだけで・・・、その・・・。」

史織「ふふふっ。皆、ありがとね~。」

団員C「っ!?・・・ど、どういたしまして・・・(恥)。」

小冬「(・・・あらあら。うふふっ。)」

史織「ん、どうしたの?顔、赤いわよ?」

団員C「いっ、いえっ!べ、別に・・・。」

史織「・・・大丈夫?」

団員C「ーーーっ!?」

史織さんが心配しますが、逆に団員Cさんの顔がどんどん赤くなっていきます。

柊「あー・・・、えっと史織ちゃん?悪いんだけど、彼に渡すお水入れてきてもらえる?」

史織「え?え、ええ。別にいいけど・・・。」

そう言って、一先ず史織さんを退席させました(・・・・・・・)

団員C「はあ・・・はあ・・・。」

団員B「おいおい、大丈夫かよ。」

団員A「はっはっは。若いね~。」

柊「ごめんなさいね?史織ちゃん、昔っから疎くって。」

団員C「い、いえ・・・。私の方こそ、すみません・・・。作業に戻りますね・・・。」

団員A「まあ、元気だせって。相談くらいなら、乗ってやるから。」

団員B「そうそう。まだ脈がないと決まったわけじゃないんだからなー。」

仲良し自警団員達は作業に戻っていきました。

小冬「ふふふっ。史織は相変わらず人気者ですわね~。」

柊「本人にあんまり自覚がないのが厄介よね~。」

小冬「そうですわよね~。」

小冬・柊「「ふふふふふっ。」」

史織さんを慕う(・・)人は大勢いるってことですね。

史織「・・・。アンタたち、何笑ってんのよ?」

小冬「いーえー。何でもありませんわ~。ふふふっ。」

柊「そうよ~。あ、お水渡してくるわね。ありがと。私も運ぶの、手伝ってくるわ~。」

そう言うと、柊さんは団員達の元に向かいました。

史織「んもー・・・。何なのよ・・・。」

・・・・・・

そして、運搬作業が終わった頃。

柊「じゃあ史織ちゃん、小冬ちゃん。私たちは帰るわね。」

史織「ええ。助かったわ。」

小冬「お気を付けて。」

団員達「「失礼します!」」

柊「よし。里に向けて、出発ー!」

団員達「「せーのっ。」」

ギギィ・・・、ゴゴゴゴゴ・・・

団員達「「えいさっ・・・。うおぉぉー・・・。」」

巨大うにを積んだ荷台がゆーーっくりと動き出します。

たとえ巨大うにの半分だけとはいえ、どうやら相当な重さのようです。

史織「・・・あの調子で大丈夫かな?やっぱり私たちも付き添う?」

小冬「確かにちょっとは不安ですけども、ここは皆さんを立ててあげましょう?皆さんにも使命感がありますから。」

史織「・・・そういうもんかしらね。」

小冬「さて、私たちは早速新鮮なうにを堪能するため、早くうにご飯を作りますわよ!!おっきいうにをゴロゴロ入れますわよっ!!!」

史織「・・・アンタは早くうにを食べたいだけじゃないの?」

小冬「正直、もうお腹がぺこぺこですわ(キリッ)。お腹いっぱい、うにご飯が食べたいですわ(キリリッ)。」

史織「・・・。今日はもう泊まっていきなさい・・・。」

小冬「あら、うふふっ。史織ってば優しいですわねー(上機嫌)。」

今日はいつもより賑やかな夜になりそうです。


 もうすぐ日が暮れてしまいそうになった頃。柊さん率いる自警団員達は少し休憩していました。

柊「・・・やっぱり私も一緒に押すの、手伝うわよ。皆だけしんどい思いしてるのに、悪いわ。」

団員A「い、いえ・・・。ここは我々三人にお任せを・・・。はあ・・・はあ・・・。」

団員B「大佐には周辺警戒をして頂ければそれで・・・。もう暗くなってきましたし。」

柊「それはそうだけど、この辺はもう比較的安全区域よ。警戒に集中しなきゃならないほど危険な場所じゃないわ?」

団員A「ふふふっ・・・。大佐、これは我々の意地みたいなもんですよ。大佐の前で、カッコつけたいっていうバカな男の意地ですよ。」

団員C「そうです・・・!ですから、大佐は大佐にしかできないことをお願いします。私たちでもできることは私たちに任せてください!」

柊さんの、外の任務における最大の役割は周辺警戒。これにより、不意の襲撃から自警団員を確実に守ることができるのです。

柊さんの実力と能力(・・)があるからこそ、自警団員の誰よりも安全にできることですね。

柊「・・・もう~。意固地な人たちね、全く。・・・ふふっ。」

団員B「よーし、じゃあそろそろ行くか。」

団員C「はいっ。」

団員達「「せーのっ!」」

ギィィ・・・、ゴゴゴゴゴ・・・

再び、自警団員達は疲れながらも荷台を押し進めていきます。

・・・っていうか逆に、ここまで荷台を重くしているうに(・・)が異常過ぎるんですよねぇ(笑)。


 柊「・・・あれっ?」

団員B「ん、どうされましたか?大佐。」

あれからしばらく経って、里の入り口がもうそこに見える所まで帰って来た時。

柊さんがふと空に目をやります。

柊「あそこから・・・何か、飛んでくる?」

団員C「か、怪異ですかっ!?」

団員A「お、お前たち!け、警戒を!!」

柊「い、いえ。多分あれは・・・。」

???「ひーらぎさ~ん!」

上空から誰かが降りて来ました。

団員A「ん?この声は。」

柊「やっぱり。」

ひゅ~、すたっ

千鶴「皆さん、どうもこんばんはです。」

もうすっかり里でもお馴染み、千鶴さんです。

柊「はい千鶴さん、こんばんは~。」

千鶴「もうすっかり日も暮れちゃったっていうのに、外でのお仕事ですか?」

柊「ええ。ちょっと史織ちゃんの所までね。」

千鶴「史織さんの?ところで・・・あのー、その、これ(・・)なんですけど。」

千鶴さんが荷台に積まれた巨大うにを指差します。

柊「ああ、これ?さっき史織ちゃんの所で貰って来たの。半分だけどね。里まで持って帰る任務の途中だったの。」

千鶴「ええと、そのー・・・、なんですけど・・・。」

何だか千鶴さん、ちょっともじもじしてますね。

団員A「あのー、お話の最中にすみませんが・・・。」

柊「ああ、そうね。もう里もすぐそこだし、皆は先にこれを本部前まで運んで行ってもらえる?私は後から行くから。」

団員達「「はいっ!」」

ということで、先に自警団員たちを帰すことにしました。もう暗くなってますしね。

柊「それで、私に何かお話?」

千鶴「えっと、その、さっきの(・・・・)は史織さんの所で?」

柊「そうよ。なんでも、庭に突然ずど~ん!って降って来たんだって。おかげで史織ちゃんのお芋が全部ダメになっちゃったらしいんだけど。悲しい目をしてたわ、ふふふっ。」

千鶴「へ、へえ~・・・。(ガクガクブルブル)」

柊「でも、大きすぎてどうしようもないーって言うもんだから、半分は自警団にあげるっていうことで貰って来たのー・・・って、あれ。千鶴さん?」

千鶴さん、すっごい汗だらだらでブルブルと震えまくってます(笑)。

柊「おーい。千鶴さーん、大丈夫?」

千鶴「はひっ!?え、ええーと・・・、さっきの(・・・・)は自警団の皆さんで分けっこするつもりなんですか?」

柊「んー、そうねぇ。まだちゃんとは決めてないんだけど、里の商人さんたちに買ってもらおうかなって。あんなに大きなうにだったら欲しがる人も多いと思うし。」

千鶴「う~ん、ですよねぇ~・・・。」

柊「・・・?」

柊さんには今一千鶴さんの意思が伝わっていないみたいです。

千鶴「あ、すみません。お時間取らせてしまって。ありがとうございます。それでは。」

柊「あら、里に何か用事があったんじゃないの?」

千鶴「い、いえ。ちょっと別の用事ができちゃったので。」

柊「そう?もう暗いから気を付けてね。」

千鶴「はい。おやすみなさーい。」

そう言うと、千鶴さんはあっちに(・・・・)飛んでいきました。

柊「ふ~む。あっち(・・・)は史織ちゃんのとこよね。・・・もしかして千鶴さん、うにが欲しかったのかな・・・?」

・・・・・・

千鶴「ううぅぅ~・・・。まさか、よりによって(・・・・・・)史織さんの手に落ちていたなんて・・・。高御さま~、木実さま~、どうか私に力を貸してください~(涙)。」

古屋図書館の方へ急ぐ千鶴さん。はてさて、一体どうするおつもりなんでしょうかね?

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