〈最終面〉動き出す正義(中編)
・・・何か今章、回想話ばっかりですね。しかし、こういう展開の構成しかできないのが作者。我ながら悲しくなります・・・(涙)。
ぽわわわわわわんっ・・・
史織「・・・、うっ・・・。」
アシュリー「あっ!気が付きましたか?」
史織「ア、アンタは・・・。ここは・・・、えっと・・・。」
梓慧「ここは私の家だよ。古屋の。って言っても、さっきの場所のすぐ奥なだけだけどね。」
千理「ふう・・・。一先ず、これで安心ですね。」
史織「・・・。何か知らない顔がいるわね・・・。」
横になってアシュリーさんに介抱されていた史織さん。見知らない怪異たちに囲まれているせいか、少し動揺しているようです。
史織「・・・はっ!!そうだ・・・、い、彩羽はっ!!??」
アシュリー「あの人間の子ですか?あちらでお休みになってますよ。」
彩羽「すぅ・・・、すぅ・・・。」
アシュリー「手当てはもうやれるだけしたんですけど打ち所が悪かったせいか、まだ目覚める気配がないんです・・・。でも、今のあの寝顔を見れば分かる通りもう少しここで安静にしていれば、きっと目覚めると思いますので。」
史織「そう・・・なの。うぐっ・・・!」
アシュリー「あぁっ、まだあなたは治療中なんです!大人しくしていてください!」
史織「ご、ごめんって・・・。」
気が付いただけで、史織さんはまだまだ傷だらけの状態ですものね。アシュリーさんが引き続き手当てをしてくれるようです。
史織「・・・で、今更だけどアンタら誰?」
梓慧「ちょっ・・・!!!お前さん、千理様に向かってなんて口の利き方を・・・!!」
千理「まあまあ、構いませんよ。私は、誰に対しても常に公正な対応をしますから。」
梓慧「う、う~ん・・・。」
とりあえず、皆さん自己紹介してくれるようです。
千理「貴方と会うのは初めてですね、古屋の司書。私は松正千理。今は訳あって、この若鄙の地にいます。」
梓慧「私は平成梓慧。こちらの千理様の・・・まあ半分助手みたいなもんだ。普段はこの鉱山で暮らしているけどね。」
アシュリー「私はアシュルン・ホルクスって言います。アシュリーって呼んでくれたら嬉しいです。」
史織「ふ~ん・・・。」
ぽわわわわわわんっ・・・
史織「で、アシュリーは何でそんなに元気なのよ。さっきまであんなに弱ってたのに。」
アシュリー「梓慧さんが私を霊花治療してくださったおかげで魔力も充分に取り戻せましたから。おかげで今は、こうやって自分で生み出した魔力をあなたに上手く注ぎ込んで傷を早く治そうと頑張っているんです。」
史織「そ、そう・・・。ありがと。」
アシュリー「いえいえ。あなたたちも私のことを助けてくれましたから。」
史織「わ、私は別に・・・(照れ)。彩羽がそうしたいって言ったから、付き合ってただけよ。そもそも何で・・・。」
サリアン「・・・。」
史織さんの目にサリアンさんの姿が映ります。
史織「ア、アンタ・・・!!!」
アシュリー「まま待ってくださいぃぃ!サリアン様も今は落ち着いていらっしゃいますからぁぁ、あなたもどうか落ち着いてぇぇ。」
史織「ぬぐぐ・・・。」
サリアン「・・・ごめんなさい。貴女たちには、悪いことをしたわ。」
史織「えっ?」
サリアン「アシュリーがいなくなって、そのアシュリーが傷ついているところを見て、少し冷静な判断ができなくなっていたわ。・・・まあ、貴方たちを『襲撃』したことについては、特に謝るつもりはないけど・・・。」
史織「あぁー?」
サリアン「でも・・・、アシュリーの手当てをしてくれていたあっちの人間の子を人質に取るっていう恩知らずで卑怯なことをしたことについては、しっかりと謝罪させてちょうだい。」
史織「・・・そのことは私じゃなくて、彩羽に直接言ってやりなさい。私はもう・・・、気にしないことにするから。」
サリアン「・・・ありがとう。」
とりあえず、サリアンさんと和解することができたようです。これで一安心ですね。
千理「さて、古屋の司書。」
史織「・・・長ったるい呼び方ねぇ。私は古屋史織ってゆーの。史織、でいいわよ。」
千理「・・・そうですか。では、史織。そちらの人間彩羽を含め、貴方たちは一体何故こんな所までやって来ていたのですか?」
史織「私たちは単にこの鉱山の調査に来ただけよ。自警団の任務で彩羽の特別訓練も兼ねて、ね。この洞窟に入ったのもたまたまだし山銅を採掘しながら奥まで進んでいたら、アシュリーが倒れているのを見つけたの。それで少しの間彩羽が手当てをしていたら、急にサリアンが襲ってきたのよ。」
千理「ふむ・・・、なるほど。これで全ての事情が繋がりましたね。ということは、梓慧さえしっかりと私の言い付けを守ってくれていれば・・・。」
サリアン「私がその人間たちを襲う理由も生まれなかったはずだ、と・・・。」
梓慧「ギクッ・・・!」
史織「ちょっとちょっと、そっちばっかりで勝手に納得しないでよね。私にもちゃんと分かるようにそっちの事情も説明しなさいよ。」
サリアン「私はさっきも言った通り、いなくなったアシュリーを捜してここまでやって来たら、貴女たちがいた。後は知っての通りよ。」
千理「そうですね・・・。私と梓慧の事情については詳細に説明しておく必要がありますね。」
ということで、千理さんがここに至るまでの経緯を話してくれるようです・・・。
ある程度前の日のこと。堅くな鉱山の洞窟内での出来事。千理さんが梓慧さんの所へと歩いてやって来ました。
千理「梓慧、久し振りですね。」
梓慧「ん、あぁっ!千理様!いやぁー、これはこれはどうも。お久し振りですね~。」
久し振りの再会に少し心躍るような様子のお二人。
梓慧「どうなさったんですか?わざわざ千理様がこんな所まで歩いて出向かれるなんて。」
千理「いえなに。ついでにこの地を久し振りに自分の足で巡ってみたかったもので。この地を愛する者として、たまにはこうして皆の様子を見て回りたいと思っているのですよ。」
梓慧「ふふふ。ですが、千理様が外を歩いているところを他の怪異に見られては少々騒ぎになりますよ?」
千理「そこまでのことですか?私も皆と同じ、怪異の一人だというのに。」
梓慧「千理様を含め五種族長の方々ってだけで、我々一般の怪異は畏怖の念を抱いてしまうものなんですよ。」
千理「・・・いつその話を聞いても、やっぱり理解に苦しみますねぇ。」
梓慧「千理様が気にすることはありませんって。」
そうやってしばらくの間、談笑をした後。
梓慧「それで、何か仕事を頼みに来られたんですか?何か用があって来られたんでしょ?」
千理「えっ・・・?あぁ、いや、特段これといった用はなかったんですが・・・(照れ)。」
梓慧「・・・ありゃっ?」
千理「んんー、こほんっ。実は、近々定例会議を開こうという話になりまして。」
梓慧「あぁ~・・・。その噂、本当だったんですね。」
千理「あら、知っていたんですか?」
梓慧「最近何だかその噂をよく耳にしていたんですよ。いつ、誰が言い始めた噂かは全然分からないんですけどね。けどそのせいか、ここ最近怪異たちは皆ちょっと萎縮気味になってたんですよ。『あの五種族長たちが久し振りに動き始めるぞー。』ってな感じで。活発な怪異も皆自分の住処で大人しくなっちゃったり、未だに外で活動している怪異は少ないって聞きましたし。皆それくらい千理様たちのことを畏れているんですよ。」
千理「ふむ・・・。いや、別に畏れられる程のことはしてないと思うんですが・・・。」
梓慧「にしても、本当に随分と長い間開いてなかったですもんね。どうして開くことに?もしかして、何か具体的な事案が・・・?」
千理「・・・えっと、実は・・・。」
・・・・・・
梓慧「ほうほう・・・。何だか、随分と平和的な理由ですね(笑)。」
千理「まあ、久し振りに彼女らと顔を合わせるというのもいいですし、近況等もいろいろと聞いておきたいこともありましたから。」
梓慧「えぇーっと・・・。じゃあ、どうして私の所に?」
千理「そ、それは・・・まあ・・・、貴方は私の大切な腹心ですから。私が会議へと出向く前に一声かけておきたかっただけですよ。」
梓慧「・・・ふふっ、嬉しいことを言ってくれるじゃないですか。でも、それならいつもみたいに『正義の門』を使ってここへ直接来ればよかったんじゃ・・・。」
千理「先程言ったでしょう?この地を歩いて見て回りたかった、と。それに、せっかく会議を開くんですから。一つくらい何かこの地における問題点を自分の足で探って、それを改善できるような案を皆に提案しないと。」
梓慧「相変わらず、千理様は真面目ですねぇ~。」
千理「当然のことです。という訳なので、私は今から高天野山に向かいながらもう少しこの地を見て回るつもりです。」
梓慧「えっ、今から?もう出発なさるんですか?」
千理「先に現地へ到着しておいて、いろいろと準備しておきたいこともありますから。」
梓慧「私も一緒について行きましょうか?」
千理「いえ。高天野山までは歩けば結構遠いですし、別に無理してついて来てもらう必要はありませんよ。」
梓慧「だったら尚更ですよ。お一人だと退屈でしょう?話し相手くらいにはなりますから。」
千理「・・・そうですか。では、共に参りましょうか。」
梓慧「はい。お供させていただきます。」
お二人が高天野山に向けて出発します。
その道中、洞窟内にて。
千理「・・・んっ?」
梓慧「千理様?どうかされました?」
千理「・・・この先の場所で怪異が・・・六、いや七人、集まっている・・・。」
梓慧「あぁー、多分さっき話したやつじゃないですかね。あまり外で派手な活動はしたくないような状況だから、洞窟内で仲間内で何か宴会でもやってるんじゃないですかね?」
千理「・・・いえ。七つある気力の持ち主のうち、一人の魔力だけが極端に弱っている・・・。」
梓慧「えっ・・・?それって・・・。」
千理「・・・ええ、そうかもしれませんね・・・。梓慧は私が呼ぶまでここで待っていて下さい。貴方も、あまり私と一緒にいるところを大勢に見られるというのは避けたいでしょう?」
梓慧「べ、別にそういうことはありませんが・・・。分かりました。」
千理「ふふっ、宜しいでしょう。では。」
そう言うと、先に千里さんが怪異たちの気力を感じる方へと近づいていきます。
そこには・・・。
ドカスカボコスカ、ドコスカボカスカ・・・
六人の怪異たちに囲まれて一人の怪異が袋叩きにされていました。
・・・もう見ていられないほど、酷く痛めつけられているみたいです・・・。
千理「・・・貴方たち。今すぐ、その悪質且つ非道な行いを止めなさい。」
怪異A「あぁー?何、うるさいヤツだなぁ。なぁ皆、コイツもまとめてやっちまおうよ。」
千理「貴方たちのような力の強い怪異が六人掛かりで、たった一人の力の弱い怪異を過剰に痛めつける行為。そんな正義に反する行為を、私は見逃す訳にはいきません。」
怪異B「じゃあ、アンタだったらいいって言うのー?」
千理「・・・ふっ、宜しいでしょう。纏めて掛かってきなさい。この私、松正千理が貴方たちの中にある道理を、正義を、その性根を叩き直してあげます!」
・・・・・・
梓慧「あ、あの~・・・、千理・・・様?」
千理「あ、梓慧。丁度今貴方を呼ぼうと思っていたところです。」
梓慧「何だかすんごい音が聞こえてきたんですけど、もしかして・・・。」
千理「ええ、想像通りかと。」
千理さん、あの力の強い怪異たち六人を相手に完封。一切のかすり傷もなく完膚なきまでに叩き潰しました・・・(衝撃)。
千理「どうやら六人のうち一人は私のことに気が付いたみたいでしたね。他の五人は叩き伏せましたが、残りの一人は私に謝罪した後、気を失った五人を連れて逃げていきましたよ。」
梓慧「(相変わらず、やることがえげつないねぇ~・・・この人は。)」
千理「それよりも、問題なのはこの者です。あの六人に随分と酷く痛めつけられていたようです。私が見つけた時には既に意識はなかったんですが・・・。」
梓慧「う~ん・・・、妖魔ですか・・・。この辺りだとあまり見ない顔ですね。」
千理「とにかく、今はこの者の手当てを急ぎましょう。一度安全な場所へ。」
梓慧「なら、私の家まで。私の縄張りはこの鉱山に住む者ならほとんどが知っていますから、そこなら安全かと。」
千理「分かりました。急いで戻りましょう。」
一先ず、傷ついた妖魔を抱え一度梓慧さんの縄張りまで引き返します。
・・・・・・
梓慧「ふう~・・・。とりあえずはこれでいいでしょうか。」
千理「そう・・・ですね。これ以上の手当てをすることは今の私たちにはできませんから。」
梓慧「申し訳ないです。ここじゃ大したことはできないので・・・。」
千理「貴方が謝る必要はありませんよ。しばらくこのまま様子を見ましょう。」
梓慧「分かりました。」
最低限の応急措置だけを済ませたお二人。もうしばらく様子を見ることにしました。
・・・、しばらくして。
妖魔「・・・、うぅっ・・・。」
梓慧「おっ?」
妖魔「や、やめっ・・・。もう・・・私は・・・。」
意識が朦朧とする中、千理さんたちを見て怯えているようです。
千理「私たちは貴方の敵ではありません。貴方を襲っていた怪異たちはもうここにはいませんよ。安心して下さい。」
妖魔「ああっ・・・(安堵)。助けて・・・くれて・・・、あり・・・がとう・・・。」
ガクッ
梓慧「ありゃ。また気を失っちゃいましたね・・・。どうしますか?」
千理「・・・。これ以上の手当てはできないとしても、やはりこの者を放置することはできません。しっかりと回復してもらうまでは私たちが最後まで面倒を見るべきです。」
梓慧「ふふふ。そう言うと思ってましたよ。」
千理「・・・ですが、私もそろそろ高天野山へ向かいたいのです。もしかすると、この者のような目に遭っている怪異が他にもいるかもしれません。」
梓慧「た、確かに・・・。最近よく耳にした噂の影響で萎縮気味だった怪異たちが気持ちのむしゃくしゃ感を発散するためにこんな真似をしているのかもしれませんしね。」
千理「あっ・・・。」
梓慧「え?」
千理「そう・・・ですよね。ということは、間接的には私がこれを引き起こした原因の一つと言えます。やはり、私がこの事態の収拾に当たらないと・・・!」
梓慧「あ、いや、そういう意味で言ったわけじゃ・・・。」
千理「梓慧。」
梓慧「は、はいっ。」
千理「私は今から高天野山へと向かいます。もしこの者と同じような目に遭っている者を見つけた時は、少々雑ではありますが『正義の門』を使って貴方の下へと直接送り届けます。申し訳ないですが、貴方にはこの者を含めた負傷者の手当てと回復するまでの保護をお願いします。私も、この事案についての解決案を会議にて提案することにします。では・・・、この者の保護を頼みましたよ。」
梓慧「もちろん、この梓慧にお任せを。」
そう言うと、千理さんは洞窟を後にしました。
梓慧「さぁ~て、どうするかなぁ~・・・。この妖魔、かなり弱ってるみたいだし、当分は起きそうにもないしなぁ~・・・。何とかして起きて話くらいは聞いておきたいんだけど。」
妖魔「・・・、うぅ・・・。」
梓慧「困ったなぁ~・・・。」
それからどれくらいの時間が経ったか・・・、梓慧さんに妙案が浮かびます。
梓慧「・・・あ、そうじゃん!こいつは妖魔なんだから、魔力がないんじゃ思うように動けないんだ。つまり、魔力を補充してやれば目覚めるかもしんないね。あー・・・、でも、多分私の魔力じゃ何ともならないだろうし・・・、顔馴染みに頼むのも悪いか・・・。・・・ちょっとここから離れなきゃいけないけど、霊花でも採ってくれば何とかなるかな。確か、外れの洞窟奥に咲いてたよねー。」
なんと梓慧さん、堅くな鉱山にある霊花の群生地を知っているようですね。
梓慧「まあ・・・ちょっと目を離すことになるけど、大丈夫よね?まだしばらく目覚めそうにないし、何よりここは私の縄張り内。この辺りで私の縄張りを知らない怪異はいないはずだから、ここにいれば他の怪異が寄って来ることはないはず。もしかしたら千理様から誰かが送られて来るかもしれないけど、まあその時はその時で何とかするか(楽観)。」
あら、意外と落ち着いていますね。
梓慧「だいじょぶだいじょぶ~。これでも私は千理様の片腕。不測の事態が起きなければ、私がへまをすることなんてないからね~。」
・・・・・・
史織「・・・、へましてるじゃない!!」
梓慧「あ、あんたが来たことが最大の不測だったんだよ!!!」
千理「梓慧!!」
梓慧「は、はいぃぃっ!!」
千理「反省なさい。」
梓慧「はいぃぃ・・・。深く心に刻んでおきますぅ・・・。」
史織「まあ、アンタらの事情も何となく分かったような分からなかったような・・・そんな感じだわ。」
後編へ続く
◎追加版
(正義の五種族長)松正 千理 種族・天秤(一人一種族) 能力・理非曲直を正義する能力
若鄙創世期の時代、無秩序だった若鄙に平穏と秩序をもたらしたとされる偉大なる五種族長の一人。通称・小さな大正義。天秤の怪異であると同時に、一人一種族の怪異でもある。普段は若鄙の地におらず、自身の固有空間の中でその存在を保っている。必要な時、『正義の門』を使って若鄙の地に降り立つ。
想像を絶する真面目さとお堅さを兼ね備えた性格。だが梓慧曰く、「割と最近はマシになったかな?」とのこと。自身の中に絶対的な正義感を持っており、その正義感に基づいて自分の発言・行動を決める。他人が何か正義に反する行為をしていた場合、直々に制裁しようとする。まあ基本的に彼女に勝てる怪異はいないので、徹底的に叩き潰されて改心することになる。五種族長の面々は総じて絶大なる実力を持っているため、結果的に他の怪異たちからは畏れられる存在になる。
そして・・・、身長が低い。
(千理の腹心)平成 梓慧 能力・融通と柔軟に富む能力
通称・当意即妙の口利き屋こと、黄銅の怪異。真面目でお堅い性格である千理を補佐する役目を長年続けている。どんな修羅場に出くわしても持ち前の能力ですぐに順応・適応することができ、そのまま場を収めることができる。お堅い千理の仲介役として非常に機能している。基本的に千理が固有空間内にいる間は特に仕事がないため、普段は普通の怪異と同様に気ままに暮らしている。堅くな鉱山では名の知られた梓慧ではあるが、梓慧が千理の腹心であることを知っている怪異はほぼいない。
〈正義の門〉
千理の固有空間と若鄙の地を繋ぐことができる唯一の通り口。千理のみ扱うことができる特殊な移動手段。・・・いわゆるワープ。入口と出口が固有空間と若鄙であれば、いつでも開くことができ、どこへでも繋ぐことができる。でも固有空間さえ介せば、若鄙のある地点から若鄙の別地点へと移動することもできる。
〈高天野山〉
若鄙のどこかにある山。この山の頂上から行ける空間に、五種族長会議の開かれる場所があるらしい。