〈後日談〉一通りを終えて
何だか最近投稿ペースが遅くなってきているのは完全に作者の個人的都合で申し訳なく思っている中、遂にこの回にて『第三章』は終了となります。(あんまり後日談感はないような気がしますが・・・。)大体約二か月程で終わっていた『第一章』・『第二章』と比べると、なんと約四か月もかかっていた『第三章』でしたが・・・、まあそれは別に構わないです・・・よね?引き続き、贔屓にして下さっている方には感謝をしつつ、またの次章をお待ち頂けると嬉しい限りでございます。
史織「ふっふふのふ~ん。」
ご機嫌な様子で何かの作業をしている史織さん。
史織「・・・よしっ、いい感じね。後はこっちにこれを入れて・・・と。」
じゅわぁぁ~
史織「おおー!この反応、これよこれ!じゃあ最後に・・・。」
ぬくぬくひやひや
史織「『純正霊魂』を一緒に釜に入れて蓋閉めて放っておけば完成よね。ほいっと。」
しゅわしゅわしゅわわ・・・
たむっ
史織「ふふっ、大丈夫そうね。よーし、後はゆったりしてよ~っと。」
ふむふむ。史織さんはどうやら何かしらの秘薬を調合していたみたいです。そういえば、最初に『純正霊魂』を手に入れた時の最初の目的は秘薬の調合でしたもんね。
あの日から二日経って、現在午後四時頃。今は絶好のゆったり日和です。
そして、しばしの時が流れて。
史織「あぁ~・・・(恍惚)。いいわねぇ~・・・、このゆったり感。私が求めているこの時間こそが何よりの至福だわ~~。」
まあまあなんと幸せそうなご様子だこと(呑気)。
ですが、緩み切ったこの表情、誰かに見られるとマズいんじゃないですか?
史織「だいじょーぶよ。別に見られて困ることもないし、そもそもここに来るようなヤツなんて・・・、ヤツ・・・なんて・・・。」
あっ・・・(察し)。
史織「むむむ・・・。事実とはいえ、自分で言ってて悲しくなってきちゃった・・・。」
???「そんーな史織に、おっくりものー!」
おや。誰か来たみたいですよ。
史織「むっ、この感じは・・・。」
リミュー「わたしだよーー!」
史織「ふふっ、やっぱりね。(そういえばこの子、確か小冬が言ってたわね・・・。)」
リミュー「今日はね、史織に贈り物を持って来たの!」
史織「あら、何かしら。(ここは、知らないフリをしておきましょうか。)」
リミュー「じゃじゃーん!」
史織「あら~、きれいね。こんなにたくさん、私にくれるの?」
リミューさんが差し出したのは、もうこれでもかと詰め込んだ色とりどりの花々。あの時集めていた花でしょうかね。
リミュー「うん!伊予にお願いしてね、お花をきれいに生けられるよう一つにまとめてもらったの。」
よく見ると、花の根本部分に伊予さんの工夫の成果が見て取れます。
史織「へえ~、アイツも器用なことするのね~。」
リミュー「・・・でもね、ほんとにほしかったお花は見つけられなかったの・・・。ごめんね?」
史織「何でリミューが謝るのよ。これだけでも充分嬉しいわよ。ふふっ、ありがとね。」
リミュー「・・・そう?」
史織「ええ。リミューが私のために摘んでくれた花だもん。大切に生けさせてもらうわ。」
リミュー「えへへ~。」
史織「せっかくこんなにいいもの貰ったんだし、茶菓子くらいなら出したげるわよ。」
リミュー「いいのー?やったー!」
史織「ここで待ってなさい?居間から取ってくるから。」
リミュー「はーい。」
史織「(この花、居間にでも飾っておこうかしら。)」
とりあえず、貰った花々を飾るため居間へ戻ります。
すると史織さん、何かに気付いたようで。
史織「(あれ?この花って・・・。)」
・・・・・・
史織「はい、お待たせー。」
ことっ
リミュー「わーい!ありがとー。・・・えっと、これは何?」
史織「あぁ、これ?桃山よ。しかも、栗が入ってる良いヤツ(どや顔)。はむっ。もぐもぐ・・・。うん、美味しいー。」
リミュー「・・・?」
史織「もしかして、食べたことない?」
リミュー「わたし、いつも甘いおかしは伊予に作ってもらってるのしか食べたことないの。『なまくりーむ』ってゆーのをよく使ってるって言ってた。」
史織「え・・・?なま・・・何?」
リミュー「なまくりーむ。」
史織「・・・よく分かんないわね。でも、桃山にそのなまくりーむってのは入ってないんじゃないかしら。桃山の中って、基本的に白餡だし。」
リミュー「あん?」
史織「そう。餡子よ餡子。」
リミュー「ああ!あんこなら知ってるわ。黒くて甘いやつでしょ?」
史織「そうそう、それよ。桃山の餡子は白いんだけどね。」
リミュー「へえ~、色が違うあんこなんてあったんだ~。ふふっ、帰ったらおねえさまや伊予たちにも教えてあげよーっと。」
史織「そうね。アイツらって普段はあんまり外に出かけないって言うし、色々と自慢してあげなさい。はむっ。」
リミュー「うん!はむっ。・・・おいし~。」
・・・・・・
史織「そういえば、さっきくれた花の中に一つだけど霊花があったわよ。ちゃんと見つけてるじゃない。」
リミュー「あれっ、そうなの?う~ん・・・。でも、小冬がご本で見せてくれたお花と形と色がおんなじのなんてあったかなぁ?」
史織「霊花にも色々種類があるからね。」
リミュー「・・・あれ~?どうしてわたしがれーかを探してたってこと、知ってるの?」
史織「あっ、いや、その・・・。小冬から聞いたのよ。」
リミュー「そっか。じゃあ、れーかがあったんなら、これで史織のほしかったれーこんさんもきっと手に入るね!」
史織「ああー・・・、うん。そうね。(ま・・・、いいか。)」
本日もいい天気。古屋図書館は今日も平和です。
一方、御魂邸では何かが行われているようで・・・。
宮「いやああぁぁぁぁーーー!!!や、やめてくださいよぉぉぉーーー(迫真)!!!」
燈紅「ふっふっふ、そうはいかないわよ?」
珠輝「うふふ、宮~。頑張ってぇ~。」
裏庭の中央部にて宮さんが手足を縛られ、半分磔状態な様子を珠輝さんたちが回廊部から眺めています。
・・・一体何の儀式なんですかね(笑)?
宮「ひひひ、姫さまあぁぁぁーー!!せ、せめてこれだけはご勘弁をーーー(迫真)!!!」
珠輝「ごめんね~?皆が、そろそろ久し振りにやりたいのー、って言うからね~。燈紅に相談したら、じゃあ宮に引き受けさせましょう、って決めちゃったから~。」
燈紅「これも、皆が望んでいることなの。分かってちょうだい・・・(迫真)。・・・ふふっ(笑)。」
宮「燈紅さま、笑ってるじゃないですかあぁぁぁーー!!!」
燈紅「これで、この前までのお仕置き分は全部帳消しにしてあげるから。我慢しなさい?」
宮「ががが、我慢なんてできませんってぇぇぇーーー!!!」
ふわっふふわっふふわっふ
よく見ると宮さんを縛り付けてある柱の頭上に、屋敷中の霊魂さんたちが気分よく浮遊し踊っています。
つまり・・・?
燈紅「さあ、もうそろそろ皆も我慢できない様子ね。では、姫。」
珠輝「ええ。じゃあ皆~!せ~の~・・・、かかれーー!!!」
ぶわあぁぁぁぁぁーーーー!!!!
宮「ひいいぃぃぃぃやぁぁぁぁーーーー!!!!!」
・・・・・・
宮さんへのお仕置き実行中、その様子を見守る珠輝さんと燈紅さん。
珠輝「うふふっ、宮も皆も楽しそう~。」
燈紅「ふふふ、まあまあ姫。宮も、楽しくて笑っているわけではありませんから(笑)。あれはあれで、人によってはかなり辛いものなんですよ。・・・くすぐりというものは。」
珠輝「そういうものなの~?」
燈紅「ええ。・・・さて、私はあれが終わった後のために用意しておいた筋弛緩薬を持ってきますね。」
珠輝「そんなもの用意してたの?」
燈紅「笑いすぎで顔がこわばった、なんてことになっては困りますから。お仕置きが終わった後も、しっかり仕事をしてもらいますので。」
珠輝「ふふ、手厳しいのね?」
燈紅「いえいえ、楽しいんですよ。」
お二人が冷静に話をしている間にも、御魂邸内には宮さんの笑い声が響き渡っていたと言います。
〈何か、色んなちょっとした補足〉
・史織対小冬戦にて、伝令役の霊魂とタガメは物陰に身を潜めて二人の決闘の様子をずっと窺っていた。しかし、並行して二人は何か相談をしていた。そして史織が一度倒された時、小冬に気付かれないように二人は史織の傍にすり寄った。史織が倒されたことにより御魂邸への小冬の侵入を許すかもしれないという危機、そして、史織本人の危機のため、伝令役の霊魂は自身の身を史織へと捧げた。おかげで史織はもう一度立ち上がることができた。霊魂とは基本的にひんやりと冷たいもの。史織は伝令役の霊魂が自分のために身を捧げてくれたことを知って、どう感じたのか。それはまあ、史織の言動に表れているか。
・霊魂は基本的に「材料として利用される」か「拠り所を失って自然消滅する」以外の手段で完全に消滅することはない。攻撃を受けて倒されても時間が経てば復活できるし、基本的に半不滅の存在である。伝令役の霊魂は今回史織のために身を捧げて消滅はしたが、完全に消滅したわけではない。身を捧げた地点で再び復活はできるが、ただ通常よりも復活にかなり時間がかかる。だから、霊魂たちにとって身を捧げる行為はよっぽどでない限りされない。でも、伝令役の霊魂は自身がどうなるかを分かった上で史織に身を捧げた。それだけ史織のことを信じていた、いや、信じたかったのかもしれない。
・史織は冒頭で何かの調合をしているが、燈紅のように他に色々なものを調合できるわけではない。できるのは古屋の秘薬の調合のみ。それはまあ作り方をそれしか知らないし、調合法もそれの心得しかないから。
・宮へのお仕置きは半分燈紅の趣味と化しているものの、珠輝も珠輝で結構楽しんでいる。宮からしてみれば、たまったもんではないが(笑)。まあ、お仕置きといっても宮が痛がったり傷つくようなことはしない。お仕置きの内容は基本、燈紅が仕事的に楽するためのもの、燈紅や珠輝が楽しめるもの、宮の反応がどんなものか燈紅が見てみたいもの、のいずれかが主な内容。結局は燈紅が内容を決めるため、燈紅の思うが儘の内容になるのは致し方ない(笑)。