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若鄙の有閑  作者: 土衣いと
始まりは大きな嵐から
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〈第三面〉金城湯池の守り人(後編)

この章の結末は悩みましたが、あくまで一つのルートとして考えてもらっても結構です。将来的には違うルートも・・・?やはり行き当たりばったりで展開を考えるものじゃあないですね(反省しろ)。

 伊戸「では、今度はこちらからいかせていただきますよっ。」

史織「ったく、受け流すのも精一杯だってのにっ!」

伊戸「はぁぁっ!!!」

伊戸さんの正面からの正拳突きです。

史織「さっきのよりはスピードがないわね・・・、これならっ!」

ガキィィィン!!!

史織さんがシールドで防ぎました。

伊戸「うぐぐぐぐ・・・!」

史織「んぎぎぎぎ・・・!」

シールドと正拳の激しい衝突、両者の力はほぼ互角です。

伊戸「ぬっぐぐぐぐ・・・、くっ!」

史織「ぐぬぬぬぬ・・・!イケる!!」

伊戸さんの一瞬の崩れを見逃さず、返す(・・)タイミングを決め込む史織さん。

史織「ちったぁ、効きなさいよぉっ!アンタの力・・・、お返しよっ!!『返戻到来』!!!」

伊戸「何っ!?」

ドカァァァァン!!!

至近距離からの『到来返戻』が炸裂しました!大きく伊戸さんが吹き飛びましたが、ど、どうでしょうか・・・!?

史織「はぁ・・・はぁ・・・、ど、どう!?」

伊戸「げほげほげほっ・・・、くぅ~!い、今のはなかなか効きましたねぇ。痛ったたた・・・。」

史織「でも・・・、笑ってられる余裕があるくらいにしか効いてないのね・・・。はぁ・・・はぁ・・・。」

うーむ、史織さんの『到来返戻』が決まったものの、まだまだ立っていられる伊戸さん。これは骨が折れる決闘ですね・・・。

伊戸「今のは速度を落とす代わりに威力を上げた正拳だったんですが、まさか正面から受け止められるとは思いませんでしたよ。やはり貴方は、ただの人間ではないようですね。」

史織「いやまあ、正真正銘、私は人間なんだけど。」

伊戸「さて、次は貴方の番ですよ?こちらはいつでも大丈夫ですから。」

史織「うぬぬ・・・!」


 その頃、クロマリーヌ館内にて。

当主「・・・ちょっと?何だか外が騒がしいみたいだけど、どうかしたの?」

側近「はい、どうやら久々に侵入者がやって来たらしく。伊戸が現在防衛に当たっていますわ。」

当主「へぇ、久し振りね。侵入者って。でも、ただの侵入者にしてはちょっと騒がしすぎない?」

側近「そうですね・・・。伊戸も久し振りの相手なので、張り切っているんじゃないでしょうか?」

当主「ふふふ、なるほど。ま、伊戸に守らせておけば安心だからね。」

側近「ふふっ、信頼していらっしゃるのですね。」

当主「当たり前よ、私が見定めた守護者なんだから。もちろん、あなたもよ?」

側近「お褒めに預かり光栄ですわ。」

当主「あなたたちが来て、色々あったけど・・・。あなたたちには凄く感謝してるのよ?」

側近「お嬢様・・・。ありがとうございます。」

当主「それに伊戸が庭を整備したおかげで、この辺りも昔の岩だらけな景色から緑溢れる景色に変わって。私、この景色とても好きよ。」

側近「あらあら、伊戸もさぞかし光栄でしょう。」

当主「伊戸が丹精込めて作り上げたこの緑の景色をもし壊す奴が現れたら・・・、ただじゃ済まさないわ。」

側近「ふふっ。仮に(・・)伊戸が壊してしまった場合、どうなさいますか?」

当主「あー?そんなことないだろうけど。少し程度なら甘く見てやるけど、基本はもちろん、伊戸でもあなたでもただじゃ済まさないわっ。」

側近「あら、これは気を付けませんと。」

当主「っていうか、さっきからさぁ・・・。」

ドカアァァァン・・・、ズガアァァァン・・・

当主「ちょっと張り切りすぎよ、伊戸ぉ・・・。」


 史織さんと伊戸さんの激戦はもう三十分経過しました。

伊戸「ふむぅ・・・。なかなかどうして、貴方は強いですね。私相手にまだ向かって来れるなんて。」

史織「はぁ・・・はぁ・・・、ぐふっ・・・!げほげほげほっ!」

伊戸「ですが、もう満身創痍といったところですね。まあここまでやり合えたことは、誇りに思ってもいいと思いますよ。」

史織「ったく・・・、タフすぎるでしょ・・・、アンタは・・・!」

伊戸「はっはっはっは!それが私の取り柄ですから!」

ああぁ、史織さん。ここまでなのでしょうか・・・。

伊戸「ではそろそろ、この決闘も終わらせましょう。久々に楽しませていただきましたよ。」

史織「(くっ・・・、マズいわね。このままじゃ・・・!)」

伊戸「ふふふっ、大丈夫ですよ。この高揚感に免じて決闘が終わった後、ひっそりと人里の近くまで貴方を送り届けてあげますから。そこで、のたられっぱなしも困りますし。さあ、では・・・。」

史織「(は、早く何とかしないと・・・!とにかく、アイツとの距離を空けて・・・!)」

伊戸「クロマリーヌ守護者たる礼儀を以って、この私の究極奥義で沈めてあげます・・・!」

史織「(ぐっ・・・!?あ、足が、もう・・・!)」

伊戸「はぁぁぁぁぁ・・・!受けてみなさい、強き人間よ!!!」

史織「・・・っ!!??」

伊戸「いざ、『翡翔天翠波(ひしょうてんすいは)』ぁぁぁ!!!!!」

ドゥゥンンン・・・!パリィン、ズガガアァァァァァン!!!!!!!!

ドガガアァァァァァン!!!!!!!!

・・・・・・・・・・

伊戸「げっほげっほげっほ・・・、す、砂ぼこりが・・・。げほげほ!」

伊戸さんの究極奥義が史織さんの方角全方位に渡って炸裂しました。

伊戸「ふう~!いやー、究極奥義を打つのなんて本当にいつ以来でしょうか。あぁーっ、気持ちいいーっ!・・・、さてっと、あの人間は・・・。ん?」

シュゥゥゥゥゥ・・・

伊戸「えぇ!?あの技に対してシールドを張ったの!?でも、さすがに・・・。」

史織さん、決死の力で最低限度のシールドを展開できたようです。ですが・・・。

史織「っ・・・・・・。ま・・・、まだ・・・。私は・・・・・・!」

小冬「・・・史織ぃぃぃぃ!!史織いいいい!!!!」

おや?遠くの方から小冬さんがこちらの方に近づいてきていますよ。史織さんを追ってここまで来たのでしょうか?

伊戸「ん、あれ?誰か飛んで来てますね。」

史織「うっ・・・、ぐふっ・・・!!!」

どさっ・・・!

ああぁ・・・っと。この決闘、勝負ありのようです・・・。

小冬さんが史織さんの元へ駆け寄ります。

小冬「史織ぃぃ!ああぁっ、なんてボロボロな姿に!あなたが負けちゃうなんて・・・!」

伊戸「んん?その人間の知り合いですか?丁度いい、早く休める所に連れてってあげてください。今は気を失ってるだけですから、ゆっくり安静にしてればすぐによくなりますよ。」

小冬「さっきの、やけに豪快な技はあなたがやったんですのねっ!すぐに私が史織の雪辱を果たしに来て差し上げますからっ!!!」

小冬さんが史織さんを抱えて、飛んで帰っていきます。

伊戸「ええ、こんなに燃える決闘ならいつまでも待っててあげますよー。ふうー、いやー本当に久し振りに楽しませてもらいました!」

当主「へえぇ・・・、その代償がこの荒れ放題景色ってことかしらねぇ(怒)??!!」

そうです。伊戸さんの放った究極奥義のおかげ(・・・)で緑豊かだった館周辺が、一瞬にして荒廃した岩肌景色へと変貌してしまったのです・・・。

伊戸「え・・・、ああぁぁぁぁ!!!???私の長年積み重ねてきた緑の楽園がぁぁ・・・。」

当主「お・ま・え・が、壊したんでしょうがぁぁぁ(怒)!!!!!」

伊戸「ひやあぁぁ、も、申し訳ありませんんん!!!」

側近「憐れな・・・。」

午後四時過ぎ。決闘に敗れ満身創痍な史織さんを抱え、小冬さんが急いで図書館へと連れて帰ります。

〇伊戸の究極奥義『翡翔天翠波(ひしょうてんすいは)

 手甲部分一点に全ての力を注ぎこみ、下から振り上げるように裏拳を打ち込む。直接相手に打ち込むのが最も良いが遠距離からであっても、裏拳を打ち込まれた部分の空気の層が粉々に砕け散り凄まじい衝撃波となって、前方全範囲(上方下方も含む)に襲い掛かる。破壊系の技としては最高クラスであり、使うと前方一帯が何も残らぬ荒野と化す。通常ならこの技はここで使うべきでなかった(周辺の緑がなくなるため)のだが、伊戸も久々の高揚感ゆえに周りが見えなくなってしまっていた模様。

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