〈番外面・序〉思い悩む三人、その裏に一人
今章の番外面は前章ほどの長さにはならない・・・はず?きっと、多分、恐らく・・・。
今回、後書きの設定はお休みです。
千鶴さんの一件から、しばらく。古屋図書館には平穏な日々が流れていま・・・。
バシュゴオォォォォォン・・・!!!
・・・はい。
史織「・・・はあ。」
千鶴「うぐぅぅぅ・・・・・・。」
小冬「はい、そこまでですわ。」
ここは古屋図書館の裏空き地。
・・・どうやら何か行われていたみたいですね。
小冬さんが千鶴さんの下へと駆け寄ります。
小冬「千鶴さーん?大丈夫ですのー?」
千鶴「ううぅぅぅ・・・・・・。」
小冬「・・・これはダメですわね。史織、運ぶの手伝ってくださいな。」
史織「えぇー、やーよ。いっつもいっつも千鶴の方から決闘を仕掛けてきておいて、何で私が介抱したげないといけないのよー。」
小冬「またそう言いますー。もう・・・。千鶴さんも千鶴さんですが、史織も史織ですのね。」
ここ最近、一週間置きに千鶴さんは史織さんの所へやって来て、決闘を挑んでいます。今のところ、史織さんの全勝快勝ですが。
史織「全く、毎度毎度相手する私の身にもなってほしいわー。落ち着いて一週間を過ごせないじゃない。」
小冬「史織の場合は、毎日ほとんどやることは変わりないじゃありませんの。」
史織「そ・れ・で・も・な・の!」
千鶴「う、ううぅぅん・・・。」
小冬「あら、目が覚めましたか?」
千鶴「こ、小冬さん・・・。あいったたたた・・・。」
史織「さ、もういいでしょ?早く休みましょー。」
と言って、史織さんは母屋の方へ戻っていきました。
千鶴「むむむぅぅ・・・。また負けた・・・。」
小冬「うふふっ。それにしても、千鶴さんも頑張りますのね。」
千鶴「えっ?」
小冬「何度史織に呆気なく倒されても、また次の週には史織に挑もうとするんですから。」
千鶴「呆気なくなんて言わないでくださいよー。私だってやられた経験を次に活かせるように高御さまたちと相談したりして作戦を立てているんですー!」
小冬「うふふっ。そういう風に頑張ってるところは、嫌いじゃありませんわ。」
千鶴「にしても、史織さん。強すぎじゃないですかー?もう、一向に手が届きそうにない感じしかしませんよー・・・。」
小冬「まあ、それが史織ですからね。」
千鶴「そういえば・・・、私はこう何度もやってますけど、小冬さんは史織さんと決闘したりしないんですか?」
小冬「私としても手合わせ願いたい時はあるんですけど・・・。史織ったら、私との決闘にはあまり意欲的でないみたいで。」
千鶴「へぇー・・・。あんまり小冬さんを傷つけたくないんじゃないですかね?」
小冬「私のことは気にしなくてもいい、と言っても、乗り気になってくださいませんの。まあ、そのうち機会があれば、史織との真剣勝負をやってみたいですわね。」
史織「ちょっとー、二人ともー?お茶が入ったわよー。要らないのー?」
母屋の方から史織さんの声が聞こえてきます。
千鶴「あら。じゃあ、行きましょうか。」
小冬「ふふっ、そうですわね。」
三人はある程度良好な仲を築けているみたいですね。
・・・・・・
史織「で、千鶴?あんた、一体いつまで続ける気なの?」
千鶴「それはもちろん、史織さんに勝てるまでです!」
史織「・・・見込みはあるわけ?」
千鶴「それがさっぱり・・・。」
史織「どうせまた高御でしょ。私に勝つまで頑張れ!とか言ってるんじゃないの?」
千鶴「・・・だって、あんな風に応援されたら断るに断れなくって・・・。」
小冬「木実さんは何か言ってませんの?」
千鶴「木実さまは木実さまで『ま、気楽にやってけばいいさー。』と・・・。」
史織「よぉーし、もう一遍高御の頭かち割ってこようかしら。」
千鶴「そ、それだけは勘弁してください~!」
史織「はあ・・・。あんたも面倒な親を持ったわねぇ・・・。」
千鶴「そんなことはありません!お二人はとてもいいお方です!」
小冬「ですが、このままでは史織も千鶴さんも大変なままですわ。」
史織「じゃあ・・・、私の隙を付いたーとか言って適当に誤魔化しちゃえば?」
千鶴「お二人に嘘や誤魔化しは通用しないんですよ。」
史織「ああ、そうだっけ?」
千鶴「高御さまは真実を司る神様、木実さまは虚偽を司る神様。どんな相手であっても、お二人を言い包めることなんて不可能ですよ。」
小冬「となると、やはり千鶴さんが史織に勝つしか・・・。」
史織「言っちゃ悪いけど、今の実力の千鶴に私が負ける要素なんて何一つないわよ?」
千鶴「ぐさぁっ!!!」
小冬「うーん・・・、困りましたわねぇ・・・。」
三人の苦悩は一先ず保留になりました。
しかし、その裏で三人の話を立ち聞きしている人物が・・・。
???「うん・・・、これはいい機会かもしれないね・・・。」
その日の帰り道、人里に立ち寄った千鶴さん。
千鶴「うーん・・・。やっぱり、せめて史織さんに一矢報いるくらいはしないとですよねー。さすがに高御さまはそれくらいしないと納得してくれそうにありませんし・・・。私だって、負けっぱなしは嫌ですけどね!」
と、少々思い悩みながら(?)歩く千鶴さんに声をかける人物が一人・・・。
???「お前さん、史織との決闘に苦戦して困っているんだって?なら・・・、ちょいとばかし私に付き合ってみる気はないかい?」
千鶴「えっ?」
???「聞けばお前さん、あの名草の神のところの者だっていうじゃないか。私もここしばらくは行ってなかったから、久し振りに行こうかとも思っていたんだよ。」
千鶴「は、はあ・・・。」
???「どうだい?史織に一矢報いるためにも一つ、私の話を聞いてみる気はないかい?」
千鶴「うーむ・・・、そうですね。私も現状の打開策に困っていたところですし。いいですよ。」
???「ふふっ、いいだろう。ここじゃあなんだ、ついでに神殿まで行こうじゃないか。」
千鶴「はい!あっ、私がお連れしましょう。」
むむっ。何やら千鶴さん、見知らぬ方を神殿まで連れていくようですが、大丈夫なんでしょうかね?
千鶴「それで、貴方の話とは一体何なんですか?」
???「おや、もうその気になってくれてるのかい?」
千鶴「ええ。まあ、余程のことでない限り、私はやってみるつもりですよ?!」
???「ふっふっふ、頼もしいねぇ・・・。後で高御たちにも話すつもりだったんだけど、少しだけ先に話してしまおうか。この間天楼永佳さん直々に教導する『至極の決闘修行』ってやつをね!!」