〈第四面・表〉とりあえず、落ち着いて?
今回、久し振りに短め(?)な回です。次回と今回のでワンセットみたいな感じですかね。
一先ず、手分けして里の外を捜し回ってみることにした二人。
史織さんは北方面、小冬さんは南方面を捜してみることにしました。
まずは、史織さんの様子から・・・。
史織「ふぅ、何だか飛ぶのが当たり前みたいになってきちゃったわね。結構これも疲れるんだけど・・・。」
人里の北側を飛行中の史織さん。緑の山々が広がる北側には、さぞかし多くの生き物たちが住んでいるんでしょうね~。もちろん怪異も・・・。
???「うおーーー!!!止まれーーー!!!」
とまあ、早速お出ましのようです。何か怪異がこちらに近づいて来たみたいですね。
史織「この辺は山ばっかりだし空からじゃ少し捜し辛いかしらねぇ・・・。一旦降りようかしら。」
近づいてくる怪異には目もくれず、すぅーっ、と降りていこうとする史織さん。
???「ちょっと!何無視してんのよ!」
史織「えーっと、ああ、あそこの木。目印には丁度良さそうだわ。」
ふふふ・・・。史織さんは完全に無視を決め込んでいますね。ちょっと相手の怪異の方が可哀そうになってきましたよ(笑)。
???「きいぃぃぃ!何よ何よ!人間なんて怪異の相手もロクにできない弱い奴ばっかりで、ホント面白くないわねっ!やっぱり人間みたいな弱い奴に構うんじゃなかったわ。」
史織「・・・。」
???「前に聞いた何とかっていう強い人間。飛べるって聞いたからあんたがそうだと思ったのに!私ら怪異を前に逃げ出すような弱い人間なんかには興味ないわよっ!」
と言って、その怪異が去ろうとしたその時。
史織「・・・ちょっと待ちなさい。」
おや・・・?史織さんの様子が・・・。
???「はあ?何よ。」
史織「せっかく人が見逃してやろうと思って黙ってやってたのをいいことに、よくもまあ散々と言ってくれるじゃない・・・。」
???「ふんっだ!何よ、文句でもあるわけ?人間の癖に空を飛べるからって、調子に乗ってんじゃないよ!。」
ブチッ
あ、何かの袋の緒が切れた音が聞こえました。
史織「・・・。ふっふっふっふっふ・・・。丁度いいわぁ・・・。」
???「っ!?(ビクッ)」
史織さんのただならぬ気配を感じ取り、少しビクつく怪異さん・・・。
史織「アンタ、名前は・・・?」
???「プ、プラレン・・・だけど。」
この怪異はプラレンさんと言うようです。
史織「そう・・・。じゃあプラレン・・・?まずは・・・、私の怒りの捌け口になりなさいっ!!!」
プラレン「じょ、上等よ!わ、私を無視しようとしたバカな行為を悔い改めることねっ!!!」
と、結局お互い敵意剥き出しで決闘となってしまいました・・・。これも若鄙に住まう者の性というものでしょうか。仕方ありませんね。
・・・・・・
ですがしかし、ものの数分で。
プラレン「ひぃっ・・・!」
史織「ふんっ。」
ボカァァァン!!
あっという間に勝負ありのようです。
プラレン「きゅぅぅぅ・・・。」
史織「ったく、私に喧嘩を吹っ掛けるなんてバカなことするからよ。さあ・・・、アンタにはしばらく働いてもらうわよ!」
戦闘不能状態のプラレンさん相手に・・・、慈悲も情けもないとはまさにこのこと。
プラレン「ううぅぅぅ・・・。な、何すればいいのよぉ・・・。」
史織「そうね・・・、何してもらおうかしら。」
プラレン「考えてなかったの!?」
史織「あーっと・・・、そうだ。アンタ、人里の外に住んでる人間って、何か知らない?」
プラレン「えー?里の外にいる人間って・・・。ああ、ここから東の方にある図書館にそんな人間がいるって聞いたことあるかも。」
史織「私以外で、よ。」
プラレン「えー・・・。あんた以、あんた以外っ!!??へ、へぇ・・・。あんたがあの有名な人間だったのね・・・。道理で・・・。」
史織「それで?他には何か知らないの?」
プラレン「えー・・・。別に私、人間なんかにあんま興味ないし・・・。」
史織「はあ・・・。まあ、いいわ。じゃあ、ちょっと知り合いにでも聞いて調べて来てちょうだい。里の外にいる人間のこと。後、そうね・・・。最近何か怪異の間で話題になってることとか、奇妙なこととか、危険なことをしたとか、そんなところも聞いておいて。」
プラレン「えー・・・。」
史織「い・い・わ・ね(威圧)!?」
プラレン「ひぃっ!・・・わ、分かったよぉ・・・。」
史織「じゃ、何か分かったら、私のとこまで来てよね。」
とりあえず、史織さんはプラレンさんに情報収集を頼んでみました。これで何か情報が得られるといいですね。
(好戦的な怪異)プラレン 種族・虚仮威し 年齢・盛り時以上 能力・それなりに見破られない能力
飛行中の史織に食って掛かってきた虚仮威しの怪異。通称・見え透かない見栄。実に好戦的な怪異で強い相手との力比べを常に求めている。どんなに強そうな相手でも果敢に挑もうとするのだが、実は大半が見栄。実力はそれほど高くない。でも、負けた時は素直に負けを認めるし、いつかのリベンジも狙っている。負けた反動をあまり感じさせない心の強さはあるのかもしれない。自分の言動の裏側をあまり見破られない。なので、見栄が見栄だとあまり気付かれない。相手は余裕で勝負に勝っても、何だかいい勝負をしたと錯覚してしまいがち。言動の裏側をあまり見破られないとは言ったが、彼女に事の裏側まで策を巡らすほどの頭脳はない。基本的に、見破られないのは見栄だけ。