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episode0004

 幼少期 第四話


 休憩と言われた俺はルシオと一緒に普段の勉強をしていた。

 まあ、勉強と言っても計算を使った遊びのようなもの。だけどルシオからするととても楽しいらしく大喜びでやってくれる。遊びながら簡単な計算ができるようになる一石二鳥な遊びなのだ。

 因みに考案者は俺!! とはいっても俺が日本で生きているときにあった遊びだ。少しアレンジなどはしているけど、言う程変えたりしてはいない。

 メイドさん達もこの遊びは凄い凄い言っている。

 まあ今俺のいる世界では適した素材とかも無くて機械とかがある訳ではないので加工もできないって問題点もあったけどそこはほら、人力ですよ人力。

 俺の生まれた家はまあ普通にメイドさんなども居るのでこの遊びをするときは二人位呼んだりしてる。

 因みに今日の遊びは計七個、色付きのサイコロ一から六の物と十から六十の物の二つ、色なしのサイコロ一から六の物を五個だ。

 これをメイドさんに転がしてもらい色付きのサイコロの合計に色なしのサイコロで出た数字を必ず一度使って計算していくという遊び。

 計算をするときは石板を使っている。さすがに高価な紙を遊びに使う訳も行かないのでこれはしょうがないだろう。

 どっちが先に計算が終わるか勝負をしながら遊んでいるという訳だ。もちろん手加減している。

 俺が本気を出したら大人気ないだろう?


 と、何度かこれを繰り返しているうちに窓の外に先ほど見た光の明滅が目に入る。

 丁度サイコロも振り終えて計算に入ってるところだったからこれが終わったら向かうとしよう。

 今回の出目は色付きの合計が三十二、色なしは一、四、二、五、一なのでさくっと計算してみよう。

 ふむふむえっとこれは五マイナス一と、四と一を掛けて、それにさらに二を掛けた物を最初にできた四と掛ければ三十二になるな。

 と割と普通のペースで計算していたら


「できまいたー」


 ルシオが俺より早くできたようだ。

 あれ、おかしいな…… 掛け算も入ってる計算なのだ。俺の方が早いと思っていたのに……

 因みにうちのルールでは先にメイドさんに提出してあっているか確認してもらってあっていたらそれで勝利となる。

 まあ後は答えのチェックで不正解であればまあ俺の勝利だな。


「ルシオ様正解です」


 はじかれる事は無かった…… 我が弟ながら末恐ろしい。


「わーい、にいたまにかったー」

「ルシオは凄いな。三歳でこの速さでできるなんて驚いた」

「がんがったー」


 メイドさん達がぼそぼそ呟いているが聞き取れないので置いておき、俺は喜びの笑みに満ちたルシオとともに庭に出た。


 庭に出た俺達を待っていたのは地面に少し大きな布を広げ、そこに座っているフィア先生だ。

 まるでレジャーシートを敷いて花見をするかのような見た目だが勿論、美味しそうなものやお酒などがその上に並べられている訳でもなく……

 そこに並べられている物はなんか大小さまざまな木の枝だった。


 座っているフィア先生の傍に近づき、声をかける。


「えっと、フィア先生何をしていらっしゃるんですか……? 木の枝うりごっこ?」

「おみせやたん?」


 ごっこという俺の声を拾ったルシオが楽しい事なの?という感じで聞いてくるがそれに答えたのは俺ではなくフィア先生だった。


「いいえ、ルシオ様、申し訳ないですけどこれはお店屋さんごっこではないのです。これはですね――」


 どうやら木の枝うりの少女を演じるわけではないようだ。

 なのでそのまま説明を聞いた。


 話を聞き終えた俺が初めに思ったことを言おうと思う。

 そんなことする必要あるのかな? 正直な感想を言うとこれだった。


 要はこれから魔術について指導していくにあたり、魔力の上昇をサポートする杖などがあると効果的だという事だった。

 杖は別になくても魔術は発動できるが、どうやら杖が無いよりはあった方が同じ魔術でも効果が大きくなるのだそうだ。

 まあ魔法使いに杖はある意味定番なのでしょうがないと思う事にしよう。


 そしてこれからそれを作るのが次の課題になるらしい。

 本格的な魔術の指導は杖が出来てからになるとの事。

 そしてフィア先生の手招きにより地面に引かれた布の上に腰を下ろす俺とルシオ。

 それを核に任したフィア先生が説明を続けてくれた。


「ここにこの辺の土地に生えている魔力を流しやすくなる木の枝をいくらか取ってきました。エレク様はこの中から自分の魔力の流れにあった枝を選んでもらいます」


 だが、今のフィア先生のエレク様はという俺一人に向けた言葉に異を唱えるルシオがいた。


「ぼくのはー?」


 少し悲しそうな表情でフィア先生を見るルシオ。

 その表情にアワアワとしだすフィア先生。


「る、る、ルシオ様はえっと、ほら、その…… あっ、ほらあれですあれ、そうあれです。ナイフとかで削ったりでこの作業は危ないのですよ……」


 確かにナイフとかを使う作業ならルシオにはまだ早い気がする。というか俺にもまだ早い気がする。先程遊んでいた道具を作るのも実はひと悶着あった。結局ルークがあれを全て作ってくれたわけだ。

 なので俺はフィア先生に問いかけた。


「えっと、ナイフとかを使った作業は私も以前止められました。ルシオと年齢も一つしか違わないから私でも危ないのでは?」

「あっ、エレク様は旦那様より許可を頂いております。おそらくエレク様はしっかりしているから大丈夫だとは思うがしっかり見ていて危険のないようにとの事でした」

「なるほど、それでしたら俺は構いませんが…… ルシオを仲間外れにするのはちょっとかわいそうなのでちょっと聞いてきても良いでしょうか?」

「あっ、はい、そうして頂けると助かります」


 言うなり俺はその場から離れ、父の元へと向かった。

 結果としてはルシオにもやらせて構わないとの事だった。

 しかし心配性の父はルシオにはルークをつけるとの事だったので戻ってルークが来るまで少し雑談しながら過ごした。


 俺が気になっていた魔族とドワーフのハーフについてなども聞けた。

 まだ俺がこの世界のそういう事に疎いというのもあるが魔族というだけで悪という訳ではなく、魔族の中にも人間と融和を望む者も多く、そういう穏健派の魔族がフィア先生の母親で、父がドワーフとの事。

 因みに顔は母親ゆずり、身長は泣きそうになりながら父親譲りかも知れないと言っていた。

 どうやら身長は気にしているようだ。

 ちなみにドワーフだからといって皆が皆髭もじゃという訳ではないようだ。

 普通に女の子もいるとのこと。

 まあ小さいのはイメージ通りだった。あれだよね、女の子も髭もじゃだとかなしくなるよね。


 しばらく他愛もない会話を楽しんでいたらルークがやってきた。

 恐らく父の仕事が一段落したのだろう。


 こうして俺の初めての杖づくりがスタートした。


 杖作りの最初の段階としては自分の魔力の質にあった枝を選ぶことから始まった。

 まずは各枝を握ったりつついたりいろいろしてみた。結構な種類を用意してくれていて選ぶのが大変である。

 何個目かの枝を握った時今までの感触と違うものがあった。

 なんと言うか俺の中にある何かがざわめくような感じとでもいうか。

 因みに俺は知っている。これは魔力の流れる反応であると。

 俺はこれだと思ったので、他はもう選ばずこれに決める事にした。

 他に良いのがあるかもしれないが直感が告げるのだコレが良いよと。


「決まりました。俺はこれにしようと思います」

「それは、えっと…… ガランガラの枝ですね。良いでしょう。ルシオ様の方はルークさんが見てくれるので私達はエレク様のペースに合わせて進めてくれとの事ですのでこのまま説明を続けますね」


 そういって説明をしてくれたわけだが……

 流石にここまで来ると俺も訳が分からなくなってくる。

 うちにあった魔術の本や、メイドさん達の生活魔術とは違う分野になってきているというのが解る、そんな話の内容だった。

 まず、用意された各枝には気に宿る元々の属性という物があり、その属性と自分の属性の相性がいいものを選ぶというのが今行った事。

 そしてこれから行う事が、自分の魔力を枝に流しながら魔力をなじませつつ自分好みの使いやすい形に削っていくという事。ちなみに失敗しても予備を何個かずつ取ってきているので大丈夫らしい。

 フィア先生に次にやれと言われことは自分の使う杖を思い浮かべてどのような大きさにするか考える事だった。

 そのためガランガラの枝小から大を俺の前に並べてくれる。

 大きいものになると俺の身長とあまり変わらないものもある。

 これどうやってこれだけの量運んできたんだろうか? 謎である。


 俺は言われた通り杖を使ってる自分を思い浮かべる。

 俺が知ってる魔法使い、それはゲームの中の魔法使いしか知らない。生活魔術とかはメイドさんが使ってるけど杖とか使わないからゲームを思い浮かべるのは仕方ない事だろう。

 あっ、因みにフィア先生みたいなしっかりとした魔術師の人からすると魔術には生活魔術と基本魔術、そして戦略魔術に別れているようだ。まあこれは今は置いておこう。

 今俺がやらなければならいのは杖をどのようにするかだからな。


 俺のやったことのあるゲームの魔法使いはどのような杖を持っていただろうか?

 うーん…… 長い杖を持っているキャラクターも致し、短いワンドとかいうのもあった気がする。

 長い杖はなんか本格的な魔法使いというイメージだな。ちょっとあこがれる。

 だけど長い杖だと持ち運びが不便そうであるよな……

 よし、ここはワンドみたいな短めの片手でも扱えるようなものにしとくか。別に削るるのが面倒そうだとか思ったわけじゃない。


「決まりました。私は片手で扱える大きさの物を作りたいと思います」

「片手杖ですか、解りました。ではまずそこに並べてあるガランガラの枝から自分のイメージした大きさの枝を選んでください。ない場合は私が切りますので言ってくださいね」


 そういわれた俺は並べられたガランガラという木の枝を見てみる。

 一番長いのは先ほど俺が思った通り今の俺の身長と同じくらいの大きさがある。

 一番小さいサイズだと俺の知ってるもので例えるなら指揮棒くらいの長さだろうか? 指揮棒も近くで見たことないから正しいか解らないけど。

 ただ削ることを考えると少し大きめの方がいいよな? そんな事で一番小さいやつより少し長めの物を選ぶことにする。


「これがいいかな」

「じゃあそれをこのナイフで削っていきましょう」


 言いながら俺にナイフを手渡すフィア先生。

 ナイフを受け取った俺は違和感を覚えた。

 そして疑問を浮かべたままフィア先生に向くと……


「それを手に持って感じたと思いますが。それはとても魔力を通しやすい材質で作られたナイフです。魔力を込める事により切れ味も良くなりますし。このように杖を作るときなど魔力を枝に流しやすくなります。その代わり、魔力が流しやすいという事は調子に乗って流していると疲れやすいので気を付けてくださいね。杖作りは今日一日では終わらないのでこれはゆっくりで大丈夫です。」

「なるほど、解りました。でも何日もかかるとなるとルシオの方はどうしましょうか? 毎度ルークに手伝ってもらう訳にもいかないと思うのですが?」

「エレク様、それでしたら大丈夫です。今ルシオ様に杖は最初簡単な物にしましょうという事で納得していただきました」


 俺の心配事を見事に跳ねのけてくれるルークは流石である。ルシオの方は枝選びが終われば今日中にも終えることが出来る位のものにするようだ。

 ルークは万能であり、もちろん魔術にも精通しているのである程度の事を理解しているのだろう。

 俺の心配事も解消されたので早速初めて行こうと思う。


 そして俺はナイフを鞘から抜き枝を削りだした。

やはり進行が遅いですね……

ですがエレクとしての基礎となる部分なので書きだすと思ったよりも書くことが多い、そんな感じです。


昨日も70近くのアクセスを頂きました。

ありがとうございます。

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