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episode0002

 幼少期 第二話


 おどおどとした表情をみせる少女らしき人物。おそらく件の家庭教師であるとおもわれるがルークが高身長なこともありやたらと小さく見える。

 まあ今の俺よりは背が高い事は確かであるが。

 家庭教師はメイドたちの出迎えに完全に恐縮してしまっている感じにみえる。

 おそらく今手に持っている大き目の帽子を今までかぶっていたためだろう。少しペタンとした肩位で切りそろえられた黒髪の少女はメイドさん達にこれでもかというほどペコペコと頭を下げている。そんな様子があまり年齢を感じさせないのだが本当に家庭教師なのだろうか?

 少しだけ不安になった俺だった。

 客人はそのまま父の所に案内されるようだ。

 俺の横を通りする時に家庭教師と目が合ったが驚いた。

 前世ではまあカラーコンタクトとかでそういう事をしてる人がいたみたいだが実際にオッドアイの人間を見る事なんてなかったからな。

 そう彼女の瞳は真っ赤な瞳と黄金の瞳のオッドアイだったのだ。

 まだガキンチョの俺にもペコペコと頭を下げて通り過ぎる彼女の背をぼーっと見送った。

 後できっと紹介される事だろう。

 とりあえずこの後は何して過ごそう?


 この家の食事は朝と夜の二回、朝食を食べ終えている俺は今日何をしたかというと、弟のルシオに勉強を教えていた。

 この世界は実を言うとあまり教育が行き届いている訳では無い。

 話を聞いた限りだと字をかけない人間の方が多いそうだ。

 計算も日々使う程度、足し算と引き算が少々出来る位が普通という。

 そんな中なので俺は四歳(今日四歳になったばかりだけど)にして天才と言われている。

 そりゃそうだろ? この世界で生まれる前は義務教育だけでもそれ以上の事を習う世界にいたのだから…… だがしかし天才と言われてる俺もこの世界の文字をすべて覚えている訳では無い。

 ただ計算が早いだけでしかないのだ。

 だけどそれだけでも四歳なのだ凄い事である。

 俺の教えを受けルシオも何気に天才街道まっしぐらといった感じで計算は出来るようになっている。まあ足し算引き算くらいだけど三歳にしては凄いんじゃないだろうか?

 だって二桁の計算できるんだぜ? 三歳だぜ? 俺がガキンチョの頃そんな計算できたかと聞かれればノーと答えるね!! そんなこんなでかわいい俺の弟はおそらく俺よりも本物の天才として育つはずである。

 因みに勉強は一時間ほどやってしばらく遊んだりしてまた一時間くらいの計二時間くらいを目安としている。

 ちなみに時間の概念は俺の勘でしかない。この家に時計という物が無いのだからしょうがないだろう? この家に無いという事はおそらく村に赴いても無いだろう。村というか一応街になるのか…… まあ俺からすると村だ村!!


―――――


 という事で一時間くらいの勉強を終えた俺とルシオはメイドさんが作ってくれた布のボールでキャッチボール的な事をして遊んでいる。

 俺からすると何が楽しいのか分からないがルシオは満面の笑みなのでご満悦なのだろう。

 俺の腕が疲れるか飽きるまで続けようと思う。

 たまに俺達を見てくれているメイドにキラーパスを出しながら時間は進んでいく。


 次の勉強に時間は算数から国語にチェンジだ。

 これは俺もしっかりと覚えたいのでルシオと一緒に文字の書き取りだ。

 ルシオの字は正直ミミズがのたくったような感じでまだちゃんとした痔とは言えないが文字はある程度読めるようになっている。

 これは日ごろの俺とルシオの努力の賜物だな。


 その様な事をしつつ俺達の勉強の時間は過ぎ今体感でいうと十五時くらいだろうか?

 時計が無い生活に慣れたとはいえこの辺は不便と感じるところだな。


 勉強が終わって少し経った頃俺達を見ていてくれたメイドさん以外のメイドさんがきた。

 どうやら親が俺を呼んでいるらしい。

 別に案内が必要なわけではないがメイドさんの案内の下来客者に対応する部屋へ向かった。


「エレク様をお連れしました」


 ノックの後メイドさんがそう部屋の中へと伝えた。


「入れ」


 メイドさんがゆっくりと扉を開けてくれたので俺は慌てず、一呼吸入れてから部屋に足を踏み入れた。

 慌ててはいるとあとで怒られるからな……


 部屋に入ると一番奥のソファに父と母が座っていた。

 そして俺が入ってくるという事で席を立ちあがったであろう先ほどの少女がペコリと俺を迎えてくれた。

 やはり子供にしか見えないよなこの人…… 本当に家庭教師なのだろうか? 大丈夫なのだろうか?

 そんな事を思いつつもぺこりと頭を下げる少女に父に何度も教えられた貴族的な礼をする。

 どうにもこうにもこの作法だけは未だに慣れない。

 なんで子供がこんなに偉そうなんだよ……

 一通りのやり取りが終わった後父が口を開く。


「フィア殿、そこに居るのがエレクで今後貴女が教鞭をとって頂く私の息子です。ほらエレク挨拶しなさい」


 父に即され俺はフィアと呼ばれた少女に挨拶をする。


「どうも、今紹介にあずかりましたエレクです」

「ご、ご丁寧にどうも…… 私は今後貴女の魔法の指導をする事になりましたフィアネーデ・ポルッコルッコと申します」

「ポルッコルッコ…… 変わったお名前ですね」

「ええ、私魔族とドワーフのハーフでして、ドワーフという種族は少し変わったものが多いというか、ええ……」

「魔族とドワーフ…… なるほど」


 魔族とドワーフのハーフって意味が解らん…… 姓もなんかちょっと抜けてる感じなのは種続柄みたいだけど…… ん? そういえばドワーフとか魔族って長い気なんだっけ? という事はこの少女見た目通りの年齢じゃないこともあり得るのか?

 俺が怪訝な表情をしていたのだろう。そんな疑問を丁度抱いたタイミングでフィアさんは口を開く。


「あっ、私見た目は幼く見えますがこれでも二十四です。こんなお子様がとか思ったりしたかもしれませんがそこのところは安心してくださいね」


 言い終わるとニコリと微笑んで見せるフィアさん。

 なるほど、あんなに幼く見えてももう二十四なのか、って事はあれか? これは合法ロリ…… いやいやまてまて、俺は別にロリには興味ない。それに今の子の身体であればむしろ俺の方が年下じゃないか。だが将来ドワーフというのもありなのかもしれないな。うん…… おっといかんいかん、返事をしなければいけないね……


「なるほど、魔族の方やドワーフの方を見るのが初めでだったため解りませんでした。失礼な態度をとってしまっていたら申し訳ございません」

「あっ、いえ、そんな事、よくある事ですのできにしなくていいですよ」


 フィアさんは「それにしても」と一呼吸おいて父に向き合い言葉を口にする。


「エレク様はしっかりとした方ですね。私以前に他の貴族のご子息の教師をしたことがあるのですが……」

「ああ、エレクはとても優秀でな。言葉遣いや礼儀も人通り出来るのだよ、はっはっは」


 ちょっと鼻高々に俺を自慢する父、別に父の手柄ではないんだけどな。まあ俺の中身が大人っていうのもあるがもう少し子供っぽくした方が良いのかもしれない。

 そんな事を思った瞬間であった。


 その後、今後のあらかたの予定を説明した後、今日の夜俺のささやかな誕生パーティーとフィアさんの歓迎会を兼ねたパーティーを行うという事をいったら彼女はとても恐縮していた。

 まあ単なる家庭教師に来て早々いきなり歓迎の歓迎パーティーを行うなんて言われたらびっくりするよな。俺の誕生日をメインという事にしてるからまだましかもしれないけど。

 誕生日じゃなかったとしてもこの父ならパーティーをしそうな気もするが……


 その後俺は子供っぽさを全開にしフィアさんを案内した。

 色々案内指定しているうちにルシオが何時の間にかくっついてきてたりして可愛かった。

 父に聞いていたのでこれからフィアさんが滞在する客室に案内し終えたあと俺は自分の部屋に戻り今後の事について考えた。

 魔法というか魔術はフィアさんが今後しっかりと教えてくれるからいいとして、今俺が使えたりする魔法的何か、これは見せても大丈夫なのかな? アンとかを見ていてもなんか長ったしい詠唱をしている。もちろん他のメイドさんもそうなのだ。

 そんな中俺はそんな詠唱しないでも使えちゃうんだよな……

 これは様子を見てって感じで良いか?


 俺の予想した通り、爺さんも夕方ごろやってきた。

 爺さんはフィアさんに気付き話しかけたりしていた。

 そこでもペコペコするフィアさんを見ることが出来た。

そんなこんなで時間は過ぎ俺の誕生日を祝うパーティー兼フィアさんの歓迎会の時間になった。


 パーティー会場となるのはまあいつも夕食を食べる時に集まる部屋だ。俺の誕生パーティーだからと言って大広間を使ったりすることは特にない。

 いつもと違うのは食事が普段は並べられていない席に並べてあることくらいだ。

 そこがフィアさんが今後座ることになる席になるのだろう。

 因みにフィアさんは今後この屋敷に住み込みで俺に師事してくれるようだ。


 そして皆が席に着き少し間を開けて父が口を開く。

 因みに今日は父と母の間に俺の席は用意されていた。

 一応主役という事で上座それも父を差し置いて中央だ。なんか少し偉くなった気分がする。


「今日は我が息子エレクレールの四歳の誕生日だ。今日まで健康無事に育ってくれた事に感謝を、そして誕生日おめでとうエレク」

「「おめでとう、エレク」」

「もう我が孫も四歳になるのか、早いものだ…… エレクや誕生日おめでとう!!」

「にいたま、おめえと」

「お、おめでとうございます。エレク様」

「「「「「エレク様お誕生日おめでとうございます」」」」」


 父、母、ルシオにフィアさん それにメイドさん達とルーク、皆が俺の誕生日を祝ってくれている。まあ毎年の事だから慣れたがエレクに生まれ変わる前なんてこんな風に祝ってもらう事なんてもうなかったから何だか嬉しい。少し恥ずかしくもあるが……

 俺は立ち上がり皆を見回し感謝の気持ちを伝えた。


「皆、どうもありがとう!!」


 パチパチパチと拍手が起こる。これもいつも通りの事だがこの位で拍手とか照れくさくてしょうがない。


 俺が席に座ると一呼吸おいて父がフィアさんの紹介に入る。


「そして本日よりエレクの家庭教師として我が屋敷に滞在することになったフィア殿だ。本日はささやかながらフィア殿の歓迎も兼ねているのでフィア殿も楽しんでいただければと思う」


 父の言葉受けフィアさんが立ち上がりペコペコみなに頭を下げている様子を見るとやはり子供にしか見えない不思議。あれで二十四歳なんて誰が信じろというんだろうか? 小学生にしか見えん。


「あ、あの、至らない部分とかも多いかもしれませんが、その、えっと、よろしくお願いします」


 もう一人の主賓となるフィアさんの言葉が終わると父が食前の祈りをささげた。

 それに倣い皆も同じように祈りを捧げる。

 まあ何というか日本のいただきますを大げさにしたような感じだ。

 会話を交えつつ食事の時間は進む。普段ならまあこれで食事は終わりなのだが今日は俺の誕生日でもあるから食後のデザートがあるはずだ。毎年の事なのでほぼ確実と言ってもいいだろう。


 恐らく父は皆の進み具合を見ていたのだろう。ルシオが今の皿を食べ終わり、少ししてから口を開いた。


「さて、今日で四歳になり、教師がつくことになったエレクにプレゼントがある」


 父がそう言うとタイミングよくルークが箱を手に父の横に立つ。

 箱の大きさはそこまで大きくはないが俺の体格だと少し抱えないといけないくらいの大きさ、大体長さが五十センチくらいで幅が三十センチくらいといったところか。

 今までの誕生日ではプレゼントなど無かったから今日は本当に特別なのだろう。


 そしてルークから箱を受け取った父は俺の方に体を向ける。

 俺も父に向き合うと父が


「エレク、今日この日よりお前には身を守るための武具を与える。本来ならば六歳の誕生日に行う事なのだがエレクは物覚えも良く、今日から教師をつけることになった。しかしだ、この武具は人を傷付けるためのものではない。大事な者を守るため、そして大事な事を守るための物と心しなさい」

 いつにもなく真剣な父の表情に俺はゴクリと鍔を飲み込んだ。

 このような真剣な表情で俺に何かを言う事はめったにないのでとても大事な事なんだと思う。

 俺も真剣にこれには答えないといけない。そんな気がしたので俺は小さく深呼吸をした。


「はい、父上」


 この答えに無駄な問答など必要ないと思ったので簡潔に済ました。

 そして俺が箱を受け取るとまたパチパチパチと拍手が起こる。


「父上、開けても良いですか?」

「ああ、開けてみなさい」


 俺はゆっくりと木箱の蓋を開けた。

 あっ因みに日本にいた時のように何かに包まれているとかそういうのではなかった。

 この世界紙とかどうやらお高いらしい。

初投稿初日50人近くの方に読んでいただけました。

ありがとうございます。


更新はなるべくこまめにしていきたいと思いますが一応不定期という事にしています。

ご了承ください。

余裕が出来たら毎日定期で更新していけたらと考えています。


9/9

抜けていた部分を修正しています。物語上直接関係はありません。

ご迷惑をおかけしました。



良かったら感想など頂けると嬉しいです。

悪い部分とかも指摘して頂ければ改善できる部分はしていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

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