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 幼少期 第一話


 俺は田浦雄介、現在はフォールダイン家でエレクレールとして生きている。

 明日で俺は四歳だ。この世界に生まれてから四年、俺が生きてきた記憶を全部合わせるとまあ四十一年。この世界に生まれてからの四年は長いようで短かった。

 動けるようになったころ魔法という存在を知ることになってからというもの家にいる人間に片っ端から魔法について聞いて回った。教えてもらったりもした。

 しかしながら魔法について分かったことと言えば、詠唱を唱えてそれが終われば魔法は自然に出る、そういう事だった。

 しかしながらその詠唱という物が、俺にはさっぱり解らないのだ。

 この世界の言語はまあ何というかこの四年で普通に理解することが出来た。

 この世界の言語を理解している俺からすれば詠唱も普通にできると思うだろう?

 だけどそんな甘い現実は存在しなかった。

 魔法を唱えるのには魔術言語が必要らしい。

 そしてその魔術言語ってのは何故か知らないけどこの世界の人ならいつの間にか理解している物だという。

 大体が六歳くらいで魔法を使えるようになるとの事らしい。だから焦らなくてもよさそうな気もするのだが俺の弟君は魔術言語を理解している。魔法を使えるという訳ではないのだけどね。

 それを聞いた時おれは正直焦った。

 もしかしてだけど、俺ってもともとこの世界の人間じゃないから魔術言語ってのを理解できないんじゃないか? そんなことをふと思ってしまったからだ。

 まあ今焦っても仕方がないとそのことを棚上げしたのだけど、やはり周りのメイドさんとかが魔法を唱える時に発音してる言葉だけは聞き取れない。

 しかしながら俺は今明日を楽しみにしていたりする。

 なんと魔法に興味を持った俺に明日から家庭教師が来てくれるそうなのだ。

 本来は魔法を使えるようなってから雇ったりするそうなのだが、かわいい俺の為に爺さんが探してくれたらしい。ありがたい事だ。

 あっ因みに、魔術言語は解らないけど魔法は何故か使えたりする。

 まだ誰にも教えてないけどね。

 そもそも魔法を使えるようになるのは大体六歳くらいで、そのくらいにならないと魔力というのが扱えないからだそうだ。

 そんな中何故俺が魔法を使えるのかというと、二歳過ぎの頃メイドさんに魔法とは何か、魔術って何か色々質問して知識を得ていたからだと思う。それに実際は大人の知識もあるのだ、色々試行錯誤も出来るというものさ。

 因みにこの世界では魔法の事を魔術と呼んでいるようだ。というか日本語的に言うと魔術って感じなんだけど……

 そしてなぜ家庭教師を早くに雇ってもらえたかというと俺がかわいいという事もあるが、爺さんが結構魔法に関して詳しく、俺が魔力を練って遊んでいるのを見た爺さんが、「この子には才能がある!! 立派な教師を早めからつけておけば将来立派な魔術師になれるはずじゃ!!」といって家庭教師を探してくれたという訳だ。

 現在の俺は簡単な魔法なら使えるけど本格的な魔法となると話は別なので、正直明日が待ち遠しくて仕方がない。

 家庭教師がどんな人なのか解らないけど、爺さんが探してくれた家庭教師だからおそらくはずれは無いと思う。一応魔法に関して詳しいという事だしな。


 という事で朝食も食べた事だし三歳の弟と遊ぶとしよう。

 俺の弟は、まあ何というかかわいいやつだ。

 俺の後をてこてことおぼつかない足取りでついてきたりするんだ。

 前世では結婚していなかったので子供は妹の子供位しかかかわりが無かったうえ、あまり俺には懐いてくれなかったからこのように懐かれるとどうしてもかわいく感じてしまう。

 俺の年齢もまだ幼いので家の手伝いとかそういうのはほとんどない、ほとんど言うかほぼないというのが正解か。

 たまにメイドさんと一緒に庭の草むしりをしたりするくらいだ。

 その草むしりもまあメイドさんからすると「エレク様がやる必要なんてないんですよ」など言われてしまうが、そこは暇潰しも兼ねているので「楽しいからいいの!」等言い包めてメイドさんと一緒に楽しんでいる訳だ。

 まあ草むしりなんて毎日ある訳ではないので今日は弟と一緒に最近新しく来たメイドのアンをからかって遊ぶとしよう。


 メイドのアンは少々抜けているところがあるが仕事は一生懸命してると思う。

 俺にメイドの仕事のあれこれを聞かれても困るからこの位しか言えないのだが…… そんなアンは何というか走り方が下手だ、それもとてつもなく。四歳の俺がてこてこ走って逃げても何とかなるくらいと言えば解るだろうか? まあ転んだりしなければ体格差ですぐ追いつかれてしまうんだけどな。

 そして弟のルシオはとても賢く俺のいう事をよく聞いてくれる。

 よって今日もルシオにお願いしてアンの注意を引いてもらう事にしよう。


「ルシオ、今からアンと遊ぼう」

「うん!」


 満面の笑みで答えるルシオに俺はいつも通り指示を出す。


「ルシオはいつも通りアンに声をかけて、アンの気を引いてね」

「あい!!」


 これで俺の指示出しは終わりだ。

 ルシオはこれだけ言えばまあ分かってくれる子だからな。

 まあ特に作戦とかいうものでもないのだけど、今はこの位で良いと思っている。

 子供っぽさを出すのも重要なのだ。俺今子供の姿だし。


 俺とルシオはアンを探し回って家の中を歩き回る。

 やがて炊事場で衣類の洗濯をしているアンを発見することが出来た。

 アンの様子を少し炊事場の入り口の陰から伺う。

 アンはいまメイドたちの作業着などを洗っているようだった。

 そんなアンの姿を見て俺の中で今日の悪戯が決まった。

 俺はルシオに対して頷くと、ルシオは笑顔で俺に頷き返す。いつもの合図なのでお互い声に出さなくても解るという物だ。

 ルシオはてこてことおぼつかない足取りでアンの元へと進むと声をかけた。


「ねー、アン、なにしてうの?」

「あっルシオ様、おはようございます。いま私は洗濯をしていますよ」

「せんあく、ぼくもやりたい!」


 ルシオはそういうとアンの横に置いてある籠から何やら取り出した。

 なかなかうまい事やってくれる。

 さてそろそろかな?


「ああ、ルシオ様それは、だ、ダメですよー、ま、まだ洗ってないからその、よごれてますのでっ」


 慌ててルシオの手に握られた布を取上げようとするアンを見て俺は先ほどの考えを改める。

 あの布はおそらくアンの下着だろう。案の顔が赤くなっているうえにあの慌てようだ。

 間違いないだろう……

 あれを奪って逃げたらきっとアンは大慌てになるに違ない。

 そして捕まらなかった場合あれを隠そう、そうしよう。


「やー、ぼくもせんあくするのー」


 ルシオがうまく気を引いてくれる今がチャンスだな。

 俺はなるばく音を立てずに、気づかれないように二人に近づく。

 そしてアンの後ろに立ち


「わっ!!」


 ちょっと大きな声で脅かした。


「んひゃっ!?」


 驚いた案は少し飛び上がった後俺の方に意識を向ける。


「エ、エレク様、ビックリしました。エレク様もおはようございます」

「ルシオ今持ってるのを俺に頂戴!」

「あい!」

「えっ、あっ、えぇぇっ?」


 ルシオに手渡された純白とはいかない小ぶりの布を手に握った俺はその場から逃げた。


「あっ、エレク様待ってくださいぃ」

「にいたま、あってー」


 弟のルシオも俺について来ようと必死で歩みを進めている。

 まあここで一回弟から離れても後でちゃんと戻ってあげれば泣く事は無い。

 あと、何故か知らないけどルシオは俺が隠れてもすぐ俺の居所を突き止めるのでしばらく隠れたとしてもこれと言って問題が無い。

 今回はこの戦利品をじっくり見るためにもどこかに一回身を潜めようと考えながら「お待ちください―」という声を聴きながら家の中を走り回った。


―――――


 俺は戦利品を手にし階段下の納戸に身を潜めている。

 もうじきルシオがここに訪れるであろう。その前にこの戦利品をじっくりと確認しようと思う。

 俺は手に持った布を両手で広げる。

 やはりこれは俺の予想通り下着だった。

 まあ下着とはいっても、日本の文化を知っている俺からしたら色っぽい物ではなく、ショートパンツみたいな感じと言えば良いだろか? 女性の下着の種類なんて知らないので形容し難いがそんなかんじだ。

 だが形はどうあれ、女性が直接身に着けていたという事に意味があるのだ。

 というかこれじゃ俺が変態みたいじゃないか…… 興味が無かったなんてことは言えないが、女性の下着を持って喜ぶような趣味はしていなかったとだけ言っておく。


 そんな事をかんがえているとルシオがやはりやってきた。


「にいたまめっけた」


 満面の笑顔である。

 この弟には俺みたいにならないでもらいたい。


「ルシオにはかくれんぼで勝てる気がしないなぁ」


 そんな事を呟き、アンの下着を納戸の奥に隠した後俺達は納戸を抜け出す。

 そしてアンを探してちょっとした頃、目的のアンを発見したが、メイド長に叱られていた……


「仕事を放って何をしているのですかっ!!」

「も、申し訳ございません」


 原因は俺達なんだけど、メイド長が怖いからこっそりとその場を二人で後にした。


 そんなこんなで一日適当に過ごし翌朝。


 俺とルシオは朝食を食べた後アンの所に向かった。

 昨日怒られていて可哀想だということもあるので謝りに行くことにしたのだ。

 少しして玄関の掃除をしているアンをすぐに見つけることが出来た。

 俺はアンに駆け寄って昨日のことを謝る。


「アン、昨日はごめんなさい。僕たちのせいでエルマに怒られちゃったよね」

「おはようございます。エレク様、ルシオ様。そのようなこと気にしなくても大丈夫ですよ。ですがあの、その、昨日持って行ったものを返していただけると助かるのですが……」

「それは嫌だ!」

「やー」


 ルシオは俺の真似をしたようだ。

 俺は折角の戦利品を返すつもりは毛頭なかった。

「うぅ、エレク様おねがいしますよぅ……」


 とりあえず謝ったので俺達はその場を後にする事にした。


「ちょっ、え、エレク様―」


 後ろから悲しげな声が聞こえてくるが気にしない事にしようと思う。

 やがてしばらくした後、門衛が屋敷にやってきた。客人のようで執事に対応を窺がっている。

 恐らく今日からやってくるという家庭教師が来たのであろう。

 爺さんとかはおそらく今日のパーティが始まる前くらいに到着だろうからな。

 だけど俺の誕生日と家庭教師の歓迎パーティーを同時に行うというのはどうなんだろうか?

 まあそこは俺の考える事でもないし気にしないでおくかな。


 門衛から話を聞いた執事(俺は心の中ではセバスチャンと呼んでいるが皆はルークと呼んでいる)は客人を迎えに行った。

 しばらくしたら客人を連れて戻ってくるのだろう。

 メイドさん達が揃って出迎えの準備を始めている。

 このように出迎えの準備などがあるからせバス改めルークは庭などを案内しつつ時間をかけて戻ってくるようにしている。

 やがてメイドさん達の出迎えの準備が終わって少ししてルークが客人を連れて戻ってきた。


 ルークの隣にいるのは頭二つ分くらい身長が低い少女?だった。 


続けて第一話となるお話です。

いずれ主人公の過去の話も出てきますが、まだしばらく先の事になります。


なるべく気を付けているつもりですが誤字脱字などがあった場合こっそりと教えて頂けると助かります。

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