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多彩なスキルで安心ライフを満喫したいな  作者: こるり
はじまり
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9.小さな出会い

はわわ、ここも改行失敗してたみたい・・・・うーぬ、訂正訂正


 「いいじゃんよ、ちょっと俺たちと遊ぶだけなんだからさ」

 「そうそ、ほんのちょーっとそこで遊ぶだけだよぉ」

 「ついでにちょーーっと気持ちよくなるからさ、さっさとこいよ」


 「もう、ほんとうに放してくださいませんか?」

 「そうよそうよ、あっち行ってよ」


 「んだこらぁ」

 「ガキ・・・ってわけじゃあるまいが」

 「いや、拙者はこのほうが」

 「なら、ついでに嬢ちゃんも来いよ、楽しいぜぇ」 


 なんか遠巻きな感じでそこそこな人だかりが出来始めてる。いや、人だかりというのも変かな、人の流れはあるもののどこかそそくさと足を緩やかにしていてたまたま人だかりのようなものが形成されているだけで、足は止めていないようである。

 そんな人の流れをするりと抜けて前列に混ざりつつ、観察した。そこには四人の屈強そうな男と二人の女性がいてなんか言い争ってた。

 男たちの方は革鎧きていて、剣やら斧やら弓やら杖やらとちょっと荒くれって感じである。妙に全員にやにやと対する女性らを見ていた。

 対して女性の方は一人は背が高くて細身だけど威圧的な眼光を目の前にしている男達にくれてやり、腰にさしたこれまた細剣に手を伸ばしていた。その背には僕と同じくらいの女の子をかばうようにしていた。

 

 「これが俗に言うナンパかぁ」

 

 わくわくしながらさながらちょっとしたイベントのような感覚で見ていた。

 まぁ、場違いな気はしないでもないけども。


 「ん?なんだ、坊主、見せもんじゃねぇぞ、あっちいってろ、しっしっ」

 杖を持った、男たちの中ではやややせ型の細い目がどこか胡乱そうに光る男が嘲るように言った。

 そういえば、立ち止まって見ているのって僕くらいみたい。

 きょろきょろしてみればなんか遠巻き感がさらに増してる。


 「いや、ちょっと待て。お前いいもんもってそうだな」


 後ろの手荷物を入れてるカバンを見てなんか言ってきた。

 「おい、ちょっと俺たちについてこいよ。なに、その中身のものを俺たちにくれたらおこぼれくれてやるよ」


 なんとなく選択肢を与えているようで実質与えていないような言い方である。

 斧を持った男の方がぼくのほうにやってくる。

 「俺たちはこれでも高位の冒険者でよ、ランクもなかなか上のものなんだぜ。小僧、運がいいな、俺たちと仲良くなれるってもんだぜ」


 言葉では友好的に言っているのかもしれないけど目が僕のカバンに釘付けである。

 

 ただ、なんとなくわかったことがある。

 今やこっちに抗議している女の人の手首をつかみ、それに抵抗して腰の剣に手をやるもいつ取り出したのか短剣で払い飛ばして、丸腰にしてる。下卑た表情を浮かべつつ、さらに服の紐まで切ってズボンから下着を覗かせている。羞恥心と純粋に力で抗いきれておらず、動けなくなって、悲鳴をあげてる。

 こうしてこれだけ騒ぎっぽくなっているのに誰も助けに来ず、遠巻きにして、ただ見ているだけっていうことに違和感を感じていたけど、ランクがどこかは伺い知れないけども高位冒険者っていうことだからそれなりに高くて強い『強者』が相手であるからというのがあるんだろうな。

 もしかしたら、こういう人たちは好き勝手できる位置にある『強者』なのかもしれない。

 確かに、首周りにじっちゃんがよくつけていた紐と同じものが見えるし。

 力で何でもできるって思ってるんだろうし、実際に魔物を撃退するにも必要不可欠な存在ゆえなのかな。

 

 どうも女の人も付けてはいるようだけど、それでも堂々としているってことはそれよりも力が強いってことなんだろう。



 うーん、ぶっちゃけ普通なら逃げなくやいけない状態なのかもしれない。


 けっこう凄まれているし。



 

 でもねぇ・・・・




 なんか、怖さがない。


 これならじっちゃんにガチでぶつかられているときのほうが余程恐怖である。

 

 僕、冒険者でもないというのに、変なの? 

 

 「こいつびびって動けなくなってるぜ、きゃっはっはっは」

 「なら、俺たちの憂さ晴らしにも付き合ってくれるぜ」


 弓をもった男の方が僕に大きく拳を振り上げて殴りかかろうとする。

 さすがにこれはまずいってのか女の人が男の手を振りほどこうともがいているし、後ろの女の子も少し離れながらも悲鳴をあげる。

 周りも何やら釣られて騒ぎ始めてる。

 


 そんな中僕は・・・・ちょっといらっときた。



 人の善し悪しってことで初めての人々の中というわけだけど、こーいうあっさり暴力を振りかざすのがのさばっていることを考えるといらいらする。


 こういうときってあれだ、罠を作って設置したけど、翌朝行ってみれば壊された上に糞まで落とされて馬鹿にされたような気分だ。

 決まってそういう日はいらいらして寝つきが悪くなる。


 うん、これは今日このままいけば寝付けず、気分が悪くなるパターンだ。


 

 そーいうときは、糞した相手を探しに探しまくってこてんぱんにしたあと、美味しく頂いて、そのあとの夜はよく眠れたことを思って・・・・・


 

 「うらよっ!」

 殴りかかった男をいなす。

 じっちゃんの動きに比べたらかたつむりなみだ。

 多分、機構の力は使ってないんだろうけど、それでも鈍い。

 そいで、カウンターで握りこぶしを男の眼前に作って顔に当たった瞬間一気に振り上げてから、勢いのままそのままさらに振り下ろす。

 

 「ぐがっ!」


 間抜けな声を上げて地面に頭を打ち付ける。

 『なっ?!』

 男たちが驚きの声をあげる。

 なんか女の人たちや回りの人たちも驚きの声をあげたような気がするけどもなんでだろ?

 存外この人達高位ではなくハッタリ効かせてただけじゃないのかな?

 そのへんの扱いがうまいのかもしれないし、一点突破で力だけ強いとか。

 まぁ、ガタイがいいというのはそれだけで驚異かもしれないけどね。


 「いや、ただのまぐれだ。それにしてもこのガキ、舐めた真似しやがって。ただじゃおかねぇ」


 つと、女の人の手首を握っていた男がその手を放してすっと表情をかえて真剣な顔で短剣を構えた。

 雰囲気が変わった。


 うん、改めて機構の力を使ったのかな。



 

 でも、どうしよ、怖さがやっぱりない。


 考えてみれば、じっちゃんも強者の位置にいる人間だったんだろうけども、そもそも機構の力がなくても全然強かった。


 そのときでも恐怖は半端ないものがあったのに、この人たちは機構の力を使ってもこんなもんか。



 んー、ほんとうにこれはハッタリで生きてきたのかもしれないなぁ。


 「うぉらぁ」


 短剣を突き出して襲ってくる。

 もう、子ども相手になんてことをってとこか。


 悲鳴を背景音楽に突き出た腕をいなしてつかみ、顔のこめかみあたりを横殴りして、腕を基軸に殴った反動を使って、膝で顎を強打した。


 「がふっ」


 なんだっけ、じっちゃんが言ってたけども動物の急所もつきつめたら人間にも当てはめられるとかいってたっけ?

 とにかく顔や首とか狙うと一番効率がいいってとこか。

 熊とか猪とかだったら眉間とかね。

 罠にかかったあとでもけっこうかかるもんだったしなぁ。

 それに比べたら楽な仕事です。


 「このやろっ」


 少し後ろで様子を見ていた杖をもった男が指を顔の前にもってきて何かを軽く念じて、指先を突き出した。


 「イス ラーグ!」


 すると指先から次々と細い水の矢が高速で打ち出されていく。

 慌てて横に逃げる。

 後ろでは家壁の当たった箇所が氷となる。

 「おい、街中で魔法を放つな」

 「知るか、コイツの足さえ止めちまえばそれで」 

 

 ふむ、これが魔法ってやつなんだ。初めて見る。

 適性というか備わった才能がないと使えない魔力。

 へぇ、じゃぁ、やっぱし、すごいやつなのかな。


 「おい、いたぞ!こっちだ」

 「街中で騒ぎを起こしているのはお前らか」


 あれ、なんか男の人たちが走ってやってきた。

 10人くらいか、みな同じ服を着てる。


 衛兵ってやつかな。


 「げっ、まず」

 「暴れすぎたか」

 「おい、そいつ回収しとくぞ」

 

 倒れた仲間をおこして、男たちは逃げ出し始めた。


 んー、とりあえず僕もこの場からはさっさと退散しよ。

 

 「ちょっと」


 なんかさっき庇われていた女の子がこっちに声をかけてきた。

 

 お礼か何かかな?けど、礼がどうのとかいろいろ面倒そう。

 ま、このまま気分いい感じで立ち去れたらそれでいいかな。


 「じゃね」


 特に何も言わせる間もなくして、人の中に紛れこみ、面倒事から逃走した。

 はじめはこっちを見ている人もいたし、衛兵の「まてー」の声も聞こえていたけどそこは山育ちの足である。するすると人の波をかき分けるように、でたらめながらも大通りを右へ左へとさっさと進んでいき、気がつけば、雑踏の中に紛れ込むことに成功した。

 もう、衛兵の声は聞こえず、街の賑わいの音しか聞こえない。

 ほう、と一息ついて、改めてすたすた歩き、ちょっとした広場へと出た。

 中央に噴水があり、水の吹き出すところは綺麗な彫像がたっている。

 その淵まわりは石で覆われている。

 腰をおろして一息つき、手荷物から木ノ実を取り出してぐもぐもとゆっくり食べ始めた。

 これからのことを整理して考え始めた。


 目的地の宿がどこかはわからなくなっちゃったけど、まぁ、いっかといったところ。兄ちゃんが教えてくれたのは一件の宿のみだけど、ここはそれなりに大きな街みたいだし、そこ以外でも宿のひとつもあるだろう。


 けど、それよりも

 「ふぅ、さっさと、ギルドで認定済ませて、冒険者になってさっさと帰ることにしよ」


 街の喧騒にもやや慣れてきたけどさっきのようなこと、あまり関わり合いたくはないものである。

 はったりとかで強者名乗るのもあれだけど、あれだけ弱いのに周りはさっぱり手を出さない、そういう風潮にちょっと人に嫌気がさした。

 

 だから、まぁ、人についてはもういっかである。


 んー、だから、まずは宿よりもギルドへいくほうが先決かな。

 で、ギルドってどこにあるんだろ?



 「ちょっと、そこのあなた」


 ふと、声をかけられた。

 振り向けばさっきの庇われていたほうの女の子とその後ろにはなんか恥ずかしそうにしつつも護衛していた女性が立っていた。

 って、ちょっと手を腰に当ててこっちをびしっと指さしてる。


 妙に眉間に皺寄せてこっち見てるけど・・・・なんだろ? 


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