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健全な短編集

走馬灯のような出来事

作者: 海原 川崎

なんとなく考えるのです。将来についての不安とかそういうドロドロとした感情を…。

「ハロー、ハロー。この世界は幸福ですか?」そんなくだらない言葉を吐いたのはどこの誰だか忘れてしまったけれど今の私はおそらく幸せと言えるであろう。

 数年前に出した本が売れに売れて社会的現象になるほど売れ知名度も上がった。金も入った。名も売れた。ここまでくれば残りの人生は自分の自由に使うことが出来る。

  吸っているタバコの煙を前に吐き出すとモクモクと煙が前に広がり消えていく。いつの頃かこの煙に慣れてしまったのは。吸うことも吐くことも全て慣れてしまった。脳内で沈静成分のようなものが分泌され始めたのか、ゆっくりとタバコを味わい始める。

 さて、次には何を書こうか。タバコを吸いながら次の話のアイデアを練り始める。プカプカと浮かんでくる煙を眺めながら考えているとそういえば自分の今までの人生についての事を書いていない事に気がついた。自伝という奴だ。

 そうか、自伝か。今までの出来事を振り返ってみるか。


 次男として生まれた私の幼少期は本より外で遊ぶのが好きな少年だった。近所の友達と鬼ごっこをしたり、かくれんぼしたり活発的な幼少期だった。

 初めて文学と言うものに触れたのは他の人達と同じ小学生の教科書。最初に授業で読んだのは「おおきなかぶ」皆で巨大なカブを引き抜く話だが、よくある「この時のおじいさんの気持ちを考えて下さい。」という国語の問題に触れたのもこの時だ。似たような問題で「この時の作者の気持ちについて述べよ。」もあるが、こういう問題が私は大嫌いだった。おじいさんの気持ちなんて「貴重な食材だ」だし。作者の気持ちは「締め切りに間に合わせないと。」だし。国の都合の良い型に嵌めるような大人達が満足する答えが正解だという現状に子供ながら怒りのような物を感じていた。だが、教科書に書かれている過去の偉人の方々の作品は私の好奇心を高めた。夢のようなストーリー、残酷な人間性。そのどれもが当時の私の胸を掴んでいた。

 胸を掴んだといえば道徳もそうだ。国語と違って出される問題の答えが無かった事があの時の私にとってはとても楽しかった。何かに縛られないで自由でいられる気がした。道徳なんて退屈なんて言う人もいるがそんな奴は勝手に寝ていろ。

 だが、学校という閉鎖的空間での同調圧力が邪魔をして完全には自由になれていなかった。

 誰かと違う発言をしたら嫌われてしまうかもしれない恐怖感。これは社会になっても残っている糞みたいな問題だと思う。

 さて、考えが脱線してしまったな。小学生中学生と特に何も夢を持たずに生きていた私は適当に高校を選びそこで小説に夢中になった。

 新興系で出る話も過去の話も。感動的でいて、それでいて新たな考えを提示してくれる。本を読んでいると時間は過ぎていきいつの間にか小説で生活をしたいと思うようになっていった。

 そこで話を書こうとするがストーリーは書けない。最初の出だしで文字が止まる。だが、書いていく内に数行、数行とお話は進んでいき。数ページにしかならない短編が生まれた。

 正直つまらない作品だったが、やり遂げた達成感はあの時が一番大きかったのではないかと思う。

 そこからチマチマとお話を書いて応募した小説が私のデビュー作となった。

 そこからは納期に追われながらやりたくない文章を書いたり、楽しい文章も書いたりした。今ではいい思い出だ。


 ゆっくりタバコの煙を吸うと肺の中に煙が入ってくるのがわかる。ゆっくりと肺に入り込んだ煙を口で吐き出すと。近くにあった電話の音が鳴る。

 おかしいな、今日は特に電話が掛かってくるような用事なんて無いはずなんだけれどな。夏場の蝉のように煩い電話の受話器を取り耳元に当てると音は止み、受話器から女性の声が聞こえ始める。

 「どうですか?この世界は?」初めて聞く女性の声に疑問を覚えながら私はタバコを灰皿に置くと女性は再び話を始める。

 「もう終了です。後5秒、4,3,2,1。」受話器の声が零と言うのと同時に私の意識はぶっ飛んだ。


 目を覚ますと私の頭にヘルメットが被らせてあり視界が真っ暗である。

 「あら、目を覚ましましたね。」先ほどの女性の声が聞こえたかと思ったら私の被っていたヘルメットを誰かが取った。

 暗闇とは一変して目の前には白衣を着た長髪の女性が一人私が被っていたであろうヘルメットを持っている。

 「さて、回復しましたか?」女性の声に対して私は寝起きのような脳が働かない状態になっていたので反応が出来なかった。

 「あら、まだ回復していませんか?ではゆっくりと私の声を聞いてください。」おそらく相当なアホ面をしていたのだろう女性はしっとりとした声で言葉を発し始めた。

 「XXX XXX、年齢25歳。職業 無職…。」無職と言われた所で私は思い出す。

私の今見ていた出来事はあの理想の夢をみるヘルメットで見させられていた数十年間だということ。現実の世界では一日も経っていないこと。私は小説で賞など取れずに働いてもいない、いわばニートだということ。

 女性はずっと私の情報を言ってくるがそんなものは耳に入らず先程までのタバコの味も夢で成功した事も何もかもが夢であったという絶望感が私の心に溶けたチョコレートのようにゆっくりと広がっていった。


深夜のテンションで一発書きをした為ミスがあるかもしれませんがその時は教えてくれると嬉しいです。

後、感想を貰えるとさらに嬉しいです。

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