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高速に挑む君へ -SoulCHANGE-  作者: ヒレカツ定食
第二章
7/10

07.《魂交換》A

もう少し続く話ですが、まだ時間がかかりそうなのでパート分けしました。

書き終わった時に、まとめるかもしれません。

 保健室に着いた私は、室内に誰もいない事を確認し、先の件で濡れてしまった制服を脱いで下着姿になる。

「……はあ」

 まさか、こうも早くトラブルを起こしてしまうとは思っても見なかった。

 私にはもう少し堪え性というものがあると信じていたのだが、さすがに今回は彼女達の過度な行いが仇となってしまったようだ。

 誰の物かわからないが、ハンガーに掛かっていた制服を拝借する。今まで着ていた制服とは違う物のようだが、もしかしたら他校の制服なのかもしれない。

「……でも、水をかけるのはやりすぎよ」

 もしも今回の事件が上履きを投げられた程度の事ならば、きっと私も《彼女》の反応を真似して、穏便に解決できただろう。

 しかし、あそこまで派手ないじめに遭ってしまうと、さすがの私も理性を保つのが難しい。

 当然の事ながら、《彼女》の持つ異能である《影》については、一般人に対して乱用していいようなものではなく、本来ならば厳重に秘匿すべき能力である。

 今回の件が公になれば、私だけでなく、《彼女》の家族にも迷惑がかかってしまうだろう。

「……どうしよう」

 次々と襲ってくる問題に頭を抱えていると、保健室のドアが開く。

「……よお。とりあえず、教室に居た連中は何とか言いくるめ……ん?」

 頭をボリボリ掻きながら、やや疲れた様子で保健室に入ってきた彼は、私に視線を向けると、一瞬、目を丸くする。

「……お前、どうしたんだ、その制服」

 きっと、違う学校の制服を着ていた事が目に止まったのだろう。

「あ、えっと……制服、濡れちゃったから。ここにあった制服を借りたの」

「……ふーん」

 彼はどこか含みのある声と共に、何かを推し量るような視線を私に送る。

「……なあ。一つ聞いてもいいか」

 そして、今度は先ほどよりも鋭い声で質問してきた。

「……うん? 何?」

 私は、それにできるだけ真剣に応える。


「……あのさ、お前――誰?」


 彼の言葉は予想外だった。

 思わず、その場で固まってしまう。

 この男、私の正体に気付いているのだろうか?

「……隠さなくていい。俺はアイツとガキの頃から一緒に居るんだ。今のお前が、俺の知っているアイツじゃないって事くらい、もう分かってる」

 私の動揺を読み取ったのか、畳み掛けるように彼が言う。

「……わ、私は」

 言い訳をするべきか、正体を明かすべきか、判断しかねる。

「……あいつを……いや、あいつはどうなったんだ?」

 複雑な表情を浮かべる彼からは、あまり感情が読み取れない。

「……」

 突然の質問に応えられず、依然として私は立ち尽くしたままだ。

 よく見ると、彼の目が僅かに緩んでいる事に気付く。

「……教えてくれ。頼む」

 悲しげな声を上げた彼に、私の胸が強く締め付けられる。

「か、彼女は」

 ……彼女、と言ってしまった。

 もう、後戻りはできない。

「彼女は……もう、この世には居ないわ」


Bに続く予定です。

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