05.抱えた他人事
小説を書いている皆さんは、一度に一体何文字程度の文章を書かれるんでしょうか。
私は一時間半かけて1500~2000文字ぐらいが一番しっくり来るような気がします。
そして文章構成をもう少し工夫してみようと思い、色々と考えながら試して行こうと思います。
今回は《彼女》が抱えた心の闇、親しい幼馴染との関係が少し判明します。
電車を降り、改札口を抜けた私達は、駅から徒歩五分程度の場所にある学校へと向かう。
道中、同じ制服を着た若者達が、私の隣を歩く彼と挨拶を交わし、忙しそうに早足で学校へと向かう姿を多く見かけた。
どうやら彼は学内ではそれなりの人気者らしい。特に女子からの視線が熱い。
そして、その彼の隣を歩いている私に対して向けられる視線にも、何やら含みがあるものを感じる。……特に女子から。
「……どうした? どっか調子悪いのか?」
思わず俯きながら歩いてしまっていた私に、彼が心配そうに声をかける。
「ううん。大丈夫。なんでもないよ」
「そうか? 具合が悪いなら無理すんなよ」
「……うん。ありがとう」
彼はこういった小さな気遣いができる男なのだろう。今までも、彼女に限らず周囲の人間に対しても同じように振舞っている姿が、彼女の記憶に残っている。
しかし一方、彼女の方はといえば、気が小さく、自己主張が苦手で、消極的な性格なのだろう。他人に強く意見する事に抵抗があるようで、今までもかなりの場面で自分の意見を曲げ続けてきたようだ。
ただ、私自身、どちらかと言えば他人に流されるタイプではないし、悪く言うならば他人の意見をあまり聞き入れるようなタイプではない。
他人と敵対する事に抵抗を覚えるような性格をしていないので、彼女とは正反対の性格とも言えるだろう。
当面は周囲の人間とトラブルを起こさないように注意しなければならない。
少し前まで消極的で大人しい少女だったにも関わらず、ある日を境に、急に自己主張バリバリの跳ねっ返り娘に変貌しているというのも、なかなか穏やかではない……。
これからの振る舞いについて頭を悩ませていると、横から視線が送られている事に気付いて顔を横に向ける。すると、彼が心配そうに私の事を見つめていた。
「なあ、本当に大丈夫か? なんならこのまま保健室に……」
「ううん、大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」
咄嗟に笑顔を作り、その場を誤魔化す。
それでも彼の心配そうな表情は変わらなかったが、それ以上、問い詰めてくるような事はなかった。
そんなやりとりをしていると、私達は学校の正門に到着した。
「じゃあ。私は教室に行くから、またね」
「おう。……放課後、メールするから」
「……あ、うん。待ってるね」
教室に行く前に職員室に用事があるらしい彼とはそのまま正門で別れ、彼女の所属する2-Aの教室へと向かう。
彼女の通う高校は、一般的な高校よりも一回りほど大きく、校舎なども比較的新しめで、最近出来たばかりの私立高校だ。
正門を抜け、玄関で下履きに履き替えた私は、階段を登って2-Aの教室がある二階へと足を運ぶ。
二階に上がると、そのまま長い渡り廊下になっていて、一番奥にある教室が彼女の所属する2-Aの教室だ。
渡り廊下を歩いて教室に向かうため、右足を一歩前に出そうとしたその時。
「……うっ」
唐突に目眩が襲ってきた。
思わずよろめき、階段の手すりに手をかけた。
危うく倒れそうだった所を、何とか持ちこたえる。
……忘れていた。彼女にとって、高校生活は間違っても楽しい思い出なんかではなかった。
彼女は、毎日こうだった。
この長い渡り廊下に一歩踏み出す前、目眩に襲われる。
その原因はハッキリとしている。彼女は、2-Aというクラスの中において、ある一つの役回りを受け持っているからだ。
誰に言われた訳でもなく、また、誰に頼まれた訳でもなく、自然とそうなってしまった。
……やはり、無理を言ってでも母親を説得するべきだったかもしれない。
私はそんなに気が長い訳でもなく、他人と敵対する事にも抵抗がない。事が起きた時、冷静で居られる可能性はあまり高くない。
だがしかし、これから何年かの間、この身体で生活をしていく私には、通らなければならない最初の関門なのだろう。
意を決して、教室まで続く長い渡り廊下へと強く一歩を踏み出した。
一歩踏み出してしまえば、あとは教室に向かうしかない。
教室に近づくにつれ、心臓の鼓動が大きくなる。
そして長い渡り廊下を歩き終え、2-Aの教室の前に到着した。
私はもう一度覚悟を決め、教室のドアへと手を掛ける。
力まぬよう、自然に力をかけて、ゆっくりとドアを開ける。
すると、ドアが開いたその瞬間――。
次回は未定ですが、今日中にアップできたらいいなーとか思ってます。
多分、今までで一番動きのある展開になるかなと思います。
眠さが限界なのと、上手い描写が思いつかないので、今日中のアップは諦めます。
もうしわけ!