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高速に挑む君へ -SoulCHANGE-  作者: ヒレカツ定食
第二章
4/10

04.《彼》の存在

おはようございます。

二時に起きてしまいました。完全に生活が昼夜逆転しております。

いろいろと心構えを変えて、とにかく今後も継続的に書いていこうと思います。

小説は勉強しなくちゃいけない事がたくさんあるなぁ。

 次の日、私は《彼女》の記憶を頼りに学校へと向かう。

 彼女の通っていた学校は、駅から電車でおよそ一時間ほどかかる距離にあるらしく、彼女の記憶によると、この高校に通うと決まった時には、通学時間に関してかなり渋い思いをさせられたらしい。

 彼女が愛用していた自転車に跨がり、自宅から十分ほどの距離にある駅へと向かう。

 本来、魂交換によって転生を行ったからといって、わざわざ転生先の人物のライフスタイルをそっくりそのまま辿る必要もないのだが、今回のように若者に転生した場合はその限りではない。

 転生した先が自立している中年サラリーマンだったり、一人暮らしで独身のOLだった場合は、ある程度、私の意思によって行動してもそこまで問題が起きたりはしないのだが、若者というのはとにかく束縛が多い。

 もしも急に姿を暗ますような事があれば、まず家族が黙っていないだろうし、外でも警察官に職務質問や補導を受けてしまう危険性がある。

 特に、今回のような特異な家系に生まれた子供の場合は尚更だ。きっと、一日無断外泊する事すら難しいだろう。

 駅についた私は、いつもの駐輪場に自転車を停め、ホームへと向かう。

「……はあ、厳しすぎるのも問題よね」

 階段を登りながら、ため息と共に愚痴をこぼす。

 昨晩の出来事である。

 《記憶の整理》によって、彼女の特異能力、そして彼女の特異な家系に気付いた私は、今後の方針を決めるためにも、しばらく休学しようと考えていたのだ。

 そして「しばらく学校を休みたい」という話を夕食の際に打ち明けたのだが……。

 はあ? そんなのダメに決まってるじゃないの。明日も叩き起こしてあげるから、ちゃんと学校に行きなさい。と、取り付く島もなく母親に一蹴されてしまったのだ。

「理由を聞こうともしないなんて、母親としてどうかと思うわ」

 そんな経緯があったため、仕方がなく、私は彼女の母校へと向かう事になってしまったのだ。

 私自身、学校ってあんまり好きじゃないのだけれど……などと考えていると、駅内にアナウンスが鳴り響いた。どうやら目的の車両が到着するらしい。

 この路線は彼女と魂交換を行ったその日にも使った路線だが、そもそも彼女の自宅がかなり田舎寄りなので、これを逃すと遅刻確定というわかりやすくも全く嬉しくない車両なのだ。

 目の前に停車した電車が、聞き慣れたエアーの排出音を出して、自動ドアを開ける。

 いつものように最後尾の車両の一番隅の席に座った私は、彼女が愛読していた面白いのか面白くないのかよくわからない文庫本を開き、読み始める。

 ……残念ながら彼女の趣味と私の趣味は全く方向性が違うらしく、四ページほど読んでみたものの、私には面白さが伝わってこなかった。

 このまま面白さのわからない文庫本を読み続けてもいいのだが、彼女の生活にまだ慣れていない私は、趣味の違う本を無理して読むほどの余裕はなかったので、そのまま鞄の中へ文庫本を戻す。

「よ。相変わらずそんな面白さのわからねえ本読んでんのか?」

 すると、いつの間にか目の前に立っていた彼に声をかけられた。

「あ……おはよ、勝君」

「ああ、おはよ。昨日はどうした? 寝ちまったのか?」

 昨日……? 何かあっただろうか。

「……メールだよメール。いつもは返事があるのに、昨日は突然無くなったろ。鍛錬はちゃんとやったのか?」

 何の事かわからないままぼんやりしていると、軽くため息をつきながら彼が言う。

「……あ。ご、ごめんね。昨日はちょっと疲れてて、あのまま寝ちゃったんだ」

 そういえば、彼からのメールに返信するのを忘れていた。まあ、内容も大したものではなかったのだが……。

「ふーん。なんでもいいけどさ、お前んとこ、親がうるさいだろ? 親の前だけでも良い顔しとかねえと、あとで面倒になるぞ」

「……うん。そうだね、今日はちゃんと鍛錬するよ」

 彼の言う「鍛錬」というのは、もちろん《影》を使った「鍛錬」である。幼馴染である彼は、彼女の持つ特異性について知っていて、その上でちゃんとした理解がある。これまでも、彼のおかげで助けられた事は多い。

「しっかし、学校なんてつまんねえよなぁ。俺達、どうせまともに就職なんてしねえのに、なんで学校には行かなくちゃいけねえんだ」

「……そ、それはほら。たしかに私達は《特異持ち》だけど、それでもちゃんとした人間なんだから、普通の生活も送れるようにって」

「ばーか。そんな優しい理由なわけないだろ。どうせ、本家での決まりごとーとか、周囲に怪しく思われないためにーとか、そんな理由に決まってらぁ」

 どうやら彼自身も《特異持ち》の家系を快く思っていないらしく、嫌そうな口調で愚痴をこぼす。

「ダ、ダメだよ。そんな風に本家の人を悪く言ったら……」

「あのなー。お前、本家から相当な嫌がらせを受けてきてるんだろう? なんで本家の肩を持つんだよ。あいつらは俺ら個人の事よりも、家系とか伝統とかそーいうもんの方が大事なんだよ」

「そ、それは……」

「本家の人間は、誰もお前の幸せなんて考えてねえんだよ。欠陥扱いして、まるでよそ者みたいに振る舞ってさ。おばさんだってそうさ、お前の事をちゃんと考えてるんだったら、もっと色々と」

 一瞬、胸の奥で熱いものが込み上げてきた。

「……やめて。お母さんの事は悪く言わないで。お母さん、ちゃんと私の事を考えてくれてる。それはとても伝わってる」

「……あ、あぁ。すまん。ちょっと言い過ぎた」

 母親を悪く言われた事で、彼女の記憶がそれを強く抵抗したのだろう。

「ううん。ありがとう。私の事でそういう風に怒ってくれるのって、勝君だけだよ」

「な、いや、お、俺は別に……」

 顔を真っ赤にしながら、彼は反射的に顔を逸らす。

 ……ふむ。もしかして、彼は《彼女》に対して好意を持っているのだろうか。

 たしかに昨晩、自宅の浴場にある大きな鏡で彼女の裸体を見た時は、彼女自身、かなり顔立ちの良い女の子なのだなと関心したものだ。それにスタイルも悪くない。学校内でも彼女に対して密かな恋心を抱いている男子は少なくないのかもしれない。

 ただ残念なことに、彼女自身はそれらに全く気付いていないようだが……。

「……おっと、そろそろ駅か」

 車内にアナウンスが流れる。まもなく目的の駅に到着するとの事だ。

「なあ、今日の放課後……なんか予定あんの?」

 真っ赤になっていた顔は既に平常時に戻りつつあるが、まだ少し紅潮しているように感じた。

「……えーと、放課後は特に何もないかな。行事の居残りがあるから、ちょっと遅くなるかもってお母さんには言ってある」

「ふ、ふーん。そっか。……ちょっと連れて行きたい場所があるんだけど」

「? 連れて行きたい場所って……?」

「あ、いや……それはその時に教えるよ。お、お楽しみって事で」

 そんな会話をしていると、目的の駅に到着した。

「ほら、着いたぞ」

「あ、うん」

どこで切ったらいいのかわからなくなってしまったので

とりあえずこの辺りで切りました。

次回は学校内での描写になるかなーと思います。

ある事件が起きるかも……?

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