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再会と感謝

「透さん!!」

みちるとよしみが店の外に出ると、透は駐輪場にバイクを停めているところだった。

「あっ!みんな!!」

「透さん……!!いままで何してたんですか……!!心配してたんですよ!!」

「……翼くん……ごめんね。連絡するのが遅くなっちゃって……」

ずっと、何の連絡もなかった。翼は心配で、何度もみちるの父親や神宮に状況を確認していたのに何の音沙汰もなかった。その透が今、こうして目の前にいる。

「戻ってきたんだ。僕は、君たちに改めてきちんとお礼がしたかった。だから……」

「……お兄さんと話はできましたか?」

「…………うん」

あまりいい話ではなかったのだろうと、翼は思う。少し悲しげな、その表情でなんとなく察しはついた。

「透さん……!ひさしぶり!元気だった?」

「うん、元気……だったかな?」

「疑問形だな。とりあえず、暑いし店の中入らないか?」

匠の提案で、全員で店内に戻ることにした。


みちるとよしみは元の席に座った。お客さんはもう大分はけて、みちるたちの他に2組程度だ。

「透さん、何で今まで連絡くれなかったの?」

みちるは席についてまず真っ先に聞いた。

「……実はね、やっぱり体調崩して入院してたんだ」

「透、今は大丈夫なの?」

「うん、大丈夫だよ。よしみちゃん、心配してくれてありがとう」

「あ、そうだ。透さんなにか頼もうよ!せっかくの喫茶店だし」

みちるはメニューを透に渡した。

「あ、そうだね。何がいいかな」

透はメニューとにらめっこし始める。そのうちに、手伝いを再開した翼がみちるとよしみの頼んだパフェを運んできた。

「はい、パフェな。抹茶とチョコイチゴ、あと透さんと匠の分のお冷やな」

「翼くん、ここでバイトしてるの?」

透はエプロン姿の翼を見て、なぜか目をキラキラさせた。

「今日は違いますけど、たまに手伝ってます。友達の家なんでここ」

「そうなんだ!ねえ、翼くん?おすすめはある?」

「人気なのはやっぱりパフェ系ですかね。あと、チーズケーキも人気ですよ」

「じゃあチーズケーキにしようかな。あとコーヒーフロートで」

透の注文を受けたところで、翼は次に匠の方を向いた。

「匠は?決まったのか?」

「え?俺はアイスティー」

「それだけか?」

「給料日前だからな」

「それがどうした。なんかスイーツも頼めよ」

「……直接的だな」

匠はしぶしぶガトーショコラを頼んだ。匠の財布は眼鏡も合わせて大打撃だ。

翼は受けた注文を秋人に渡すとエプロンを外してみんなのいる座席に戻ってきた。

「透さん、元気そうでよかったです。俺、連絡くれるの待ってたんですよ?」

「ごめんね、入院と引っ越しの準備で忙しくて……」

「やっぱり入院してたんですか!?」

「うん、熱が下がらなくて動けなくなっちゃったんだ。気持ちも悪いし大変だったよ」

「今は大丈夫なんですか?」

「……みんな、僕のこと心配してくれるんだね……!!」

よしみに続き、翼も透のことを気に掛けてくれていて透は感激していた。

「僕は大丈夫だよ。傷も塞がったし、もう元気」

「それなら心配ないですね。ところで今日来たのは理由があるからですよね?」

翼は率直に尋ねる。

「うん、本当はもっと早く来るつもりだったんだけど、まあさっき言った通りでね。引っ越しのお知らせも兼ねて改めてお礼しに来たんだ」

「引っ越し?」

「うん、この町で働き始めたんだ」

「あ、そうか。透さん、組織を抜けたから無職になっちゃったのか」

色々あったせいで実質そういうことになってしまったのでそういわれても仕方がない。透は苦笑した。

「それで、僕は君たちに改めてお礼が言いたいんだ。……ありがとう。全く見ず知らずの僕を疑うこともしないで助けてくれて……」

「いや……俺たちは何もしてないです。お礼なんて……」

「もし、君たちがいてくれなかったら、僕はあっさり捕まって殺されてたと思う。きっと、これからもお世話になると思う。だから、ありがとう。これからもよろしくお願いします」

透は深く頭を下げる。顔をあげたときの表情は晴れやかな笑顔だった。

「……なんか物騒な話でもしてるの?」

透と匠のケーキを秋人が運んできた。少し透の話が聞こえたのだろう。訝しげな表情でみんなを見ている。

「ん?いいや?特に物騒ではないぞ?」

「ほんとに?」

「うん、それにもし物騒だったとしても過ぎた話だから大丈夫だよ」

透に声をかけられ、秋人は納得したようだった。

「ならよかったです。ごゆっくり」

秋人は安心したようでカウンターの奥に戻っていく。


そろそろ全員が食べ終わった頃、みちるが突如発言した。

「ハイ!私!透さんの家に遊びに行きたい!!」

「あ、うん。いいよ」

透はあっさり頷く。

「じゃあ、翼、オムライス作ってくれよ」

「何で」

何の脈絡もない匠の言葉に、翼は思わずすぐ聞き返してしまった。

「約束したじゃねえか。だから、透さんのうちに遊びに行くついでに」

「僕は全然構わないよ」

なぜだか、透の家で翼がオムライスを振る舞う流れになりつつある。

「あ、でもちょうど買い置きがなくなっちゃったところだから買い出しにいかないとだ」

しかも買い物もしなければならないようだ。

「……しょうがない。そんなにいうなら作ってやる。そのかわり手伝えよな!!」

「もちろんだよ!!」

「まこまこ!翼がオムライス作ってくれるぞ!」

匠は真に声をかける。

「まことも行っていいの?」

「うん、まことちゃんもおいでよ」

透の言葉に真は瞳をキラキラと輝かせた。

「とおるお兄さんありがとう!!」

「透さん、秋人もつれていっていいですか?」

「うんいいよ」

どさくさに紛れて秋人まで誘う翼。誘われた張本人は話題についていけていない。

「えっ僕!?」

「……嫌か?」

「嫌じゃないけど、ビックリしちゃって。あ、じゃあ僕父さんに言ってくる」

秋人が準備している間にお会計を済ませ、外に出る。透が全部支払ってくれた。

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