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ついに明かされる透の素性

驚いている透に雨崎は少しげんなりする。

「そんなに驚かなくてもいいだろ……?」

「あ、ごめんね!まさか、雨崎くんもここに入院してるなんて知らなくて!」

透は比較的元気そうな様子で3人に部屋にある椅子を進めた。

「でも、雨崎くんもいるならちょうどいいね。……雨崎くんには悪いことをしたと思ってたから」

「……そうだよ、あの組織からディスク持って逃げた俺から、なんでさらにディスク奪う必要があったんだよ」

「本当はそのディスクを渡さないといけない人がいたんだ。……あ、この話はみんなが揃ってからの方がいいかな」

本当は。と、透は言った。すなわち、透は途中で計画を変更したということになる。

「翼くん、他の人たちはあとどのくらいで来そう?」

「そうですねー、みちるたちも警察も同じタイミングで来るんじゃないですかね?あと、5分もしないで」

「透さーん!大丈夫なの?傷は痛まない?気分悪いとかない!?平気??具合悪くないっ!?」

バーンとドアを開けてみちるが入ってきた。一瞬で距離を詰め、透にまくし立てるように質問攻めにする。

「う、うん。みちるちゃん、大丈夫だけど、距離が近い……」

「あっ!ごめんなさい!つい、前のめっちゃって!」

みちるは透から少しだけ離れた。そこに、残りのよしみ、神宮、秋山がやって来た。

「みちる……そんなに急がなくても、西屋さんは待っててくれるだろ……?」

「待たせたわね。あら、修也もいるのね」

「おお、一応関係者だからな」

全員が集まったところで。透が口を開いた。



「早速ですが、皆さん、呼び出しに応じてくれてありがとうございます。今日は色々巻き込んでしまったことへのお詫びと事の顛末について話したいと思っています」

透は少し堅めの口調で話始める。

「まず、雨崎くん」

「ん」

「君がウィルスの悪用を恐れてディスクを持ち出したのは知ってたんだ。僕はそれをチャンスだと思った。組織の中から持ち出すのは難しくても、君から奪うのは簡単だと思ったから」

「……実際、とても簡単だったわけか」

「……うん、ごめんね雨崎くん」

「あの、組織については現在調査中で、詳しいことはまだこちらもわかっていないのですが、西屋さんはなぜ、コンピュータウィルスを持ち去ったんですか?」

ここで質問をしたのは秋山だった。

「……僕はスパイでした。いわゆる競合他社というヤツです。しばらく前からあの組織に潜入していて、情報を奪い、流すのが僕の仕事でした。……でも、あるとき世界的な驚異になるコンピュータウィルスを作成してることを知った僕が、それを報告すると、持ってこいと言われました。それが、持ち去った理由です」

そこで、翼はあることを思い出した。

「……そういえば透さん、全部終わったら処分するつもりみたいなこと言ってなかったですか?」

「あ、翼くん。覚えてたね。そう、僕は本来の自分の組織の上層部に持っていくつもりはありません。……それで、警察に協力してほしいんです」

透は警察にウィルスの処分を依頼した。ウィルスの入ったディスクはコインロッカーに隠したと透は言った。

「コインロッカーの場所は2ヶ所です。1つはディスクが、もう1つはディスクの入ったロッカーの鍵が入っています」

「じゃあ、ロッカーの鍵が入ったロッカーを開ける鍵は……?」

「……ここで、もうひとつ謝らないといけないことがあります。翼くん」

「へっ!?俺ですか?」

「僕は君に匿ってもらうという形で、君のことを巻き込んでしまった。でも、実はそれだけじゃないんだ」

「……刺されたことですか?」

翼にはピンと来るものがそれしかなかった。

「ううん、それは本当に偶然。……実は、匿ってもらった直後に、翼くんの家に鍵を隠したんだ」

「えっ!?」

全然気づいていなかった。いったいどこに……

「洗面台のパイプの裏側に鍵を張り付けたんだ。その鍵を警察の人に渡してほしい」

翼は何となくどのタイミングで透が鍵を隠したのか察しがついた。匿った時点ではもう何も持っていなかったはずなので、きっとポケットの中に入れておいたのだろう。

「山下くん、話が終わったら少しだけいいかな?」

「あ、はい」

翼は秋山の言葉に頷いた。

「……みちるちゃん、よしみちゃん、匠くん。……そして翼くん。本当に、危ないことに巻き込んでしまって申し訳なかった……!でも、君たちがいなかったら、僕は今こうして生きて、会話することも叶わなかったかもしれない……だから、本当に、ありがとう……!」

透は土下座する勢いで頭を下げる。

「……透さん、私たちは何にもしてないよ。……だって、私たちがもっと早ければ、透さんは怪我せずに済んだかもしれないもん……だから、申し訳ないのはむしろ私たちの方……」

透は頭を上げて、しゅんと俯くみちるの頭を撫でた。

「みちるちゃん……、ありがとう。でもね、みちるちゃんが気にやむ必要は無いんだ」

みちるは顔をあげる。優しく微笑む透にみちるの涙腺は決壊寸前だった。

「ウッ……透さん……!!」

みちるは透に抱きついた。秋山の周りの空気がピリッとしたのを神宮は感じていた。

「……みちるちゃん、刑事さんが怖い顔で見てる」

「はっ!」

「……ごほん。あ、そうだ。西屋さん、たぶん争ったときに壊れてしまったんだと思うんですが、こちらは西屋さんの携帯で間違いないですか?」

秋山は気を取り直して、袋を取り出した。折り畳み式の携帯電話が真ん中からパッキリと折れている。

「あー……はい、僕のです……はっ!そうだ!あの!もうひとつお願いがあるんです!!」

透は突然何かひらめき、前のめりぎみで警察にあることを頼んだ。

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