雨崎と合流
「あ、修ちゃん」
「えっ?どこどこ」
雨崎は売店に何か買いに来ていたようだ。
「おーい、修ちゃーん」
翼が呼び掛けると、雨崎はすぐに気づいてこちらに来た。
「おお、翼じゃん。どうしたんだ?」
「うん、色々あってな」
翼は一言でまとめきれる自信がなかったので結局色々にしてしまったが、雨崎はそっとしておいてくれるようだ。
「あー……昨日の夕方くらいから騒がしかったもんな。で?こいつは?」
匠の顔を知らない雨崎は匠を見るなり訪ねる。
「俺は倉沢匠だ」
「匠……ああ、バイクのやつか」
「バイク?」
「透さんにバイク借りられてるの説明したからな」
「そういうことか……」
3人は椅子に座り、雨崎は袋を開けた。棒つきキャンディのバラエティパックだったらしい。
「やるよ」
「お?ありがとう」
3人でキャンディの袋をあける。
「修ちゃん俺オレンジがいい」
「もらってるんだから文句言うなよ……」
「別にいいぞ。はい」
翼は雨崎にキャンディを交換してもらい、忘れていた本題に入る。
「そうそう、俺たちがいることで少しは察してくれてると思うけど、今、透さんが入院してるんだ」
「……え?昨日の騒ぎって、それ?」
「うん。それで、透さんが関係者のみんなと警察を呼んでるんだ。だから、修ちゃんも無関係じゃないと思って声を掛けたんだ」
「なるほどな。でも、いいのか?西屋は俺がここにいること知らないんじゃ……」
「うん、知らないと思うけど……きっとなんとかなるんじゃないか?というわけでさ、一緒に透さんのところ、行こう」
「うん、まあ……いいけど」
「どうした?あんまり乗り気じゃなさそうだな」
歯切れの悪い返事に匠は気になって声を掛ける。
「いや、俺が持ち出したディスクを奪ったのが西屋で、西屋もそのディスクを処分するために動いてたんなら、協力できたんじゃないかなーって、ちょっとモヤモヤしただけだ」
「うん、じゃあ、それは本人に直接言おう!」
翼は勢いよく立ち上がった。
「よーし、西屋に文句言ってやる」
雨崎も乗り気になったようなので、3人で病室へ向かった。
「なあなあ、何があったんだ?」
昨日の出来事を雨崎に説明する。
「俺が翼のうちに向かってたら透さんが走ってたんだ。追いかけられてて」
「あー、見つかったのか」
「追い付いたからしばらくついてったら、翼たちに遭遇して、そのタイミングで俺は透さんにポイってされたのさ」
「ポイって?」
「足かけられて転んでる隙に透さんが走り去ってったんだ」
「そのすぐあとに透さんが誘拐されたんだ」
「追いかけたのか?」
「もちろん。みちるの父親に連絡して、タクシー捕まえて追いかけた」
「みちるの……ああ、あの刑事さんか」
「俺たちと、みちる、よしみの二手に別れたんだけど、あっちのふたりが透さんを見つけたんだ」
「俺らは部屋に閉じ込められて燃やされそうになったからな……」
「その燃えてる部屋で俺を刺した男に会ったんだ」
「……お前ら大丈夫かよ?」
「俺らは平気だ。でも、透さんが撃たれてた」
「撃たれてた……」
「そのあとすぐに警察も救急車も消防車も来たから平気だったぞ。そこにいた組織の連中はみんな捕まったみたいだ。俺を刺したやつももれなくな」
「事件の関係者で怪我した人は大体ここに搬送されてるらしい」
「え、俺それ初めて聞いた」
昨晩透の部屋で翼が寝ている時にしていた会話なので、翼が知らないのは当然だ。
「へー……じゃあ、俺や翼を刺した犯人はここにいるのか。俺は顔覚えてるから一発だな」
雨崎は悪い顔でニヤリと笑う。
「神宮さんが色々してくれてるからな、たぶん翼にもそういう話来ると思うぞ」
「んー、そっか。じゃあ、そこら辺は神宮さんに任せちゃおう」
説明しながら歩いているうちに透の病室にたどり着いた。翼がドアをノックする。
「はーい」
「失礼しまーす」
「えっ!?雨崎くんがいるっ!?」
部屋に入ると真っ先に驚かれたのだった。




