透からの呼び出し
「あーーー……ビックリした……何がダメだったんだ……?牛乳か……?」
匠がトイレから出て歩いていくと、待合室で翼が待っていた。
「あれ?翼どうしたんだ?透さんのとこいってないのか?」
「お、戻ってきたか。透さんなら目が覚めたから診察してもらってるところだよ」
「ああ、なるほど。俺らがいても邪魔だよな」
「そういうことだ」
二人はぼんやり座っている。
「あ、そうだ!翼!お前刺されてるんだろ!?なんでそんなピンピンしてんだよ!?」
「へ?なんだよ突然、別に平気なんだからいいじゃんか」
「俺が気になるの!!」
「なんでー?俺自身が刺されたときの事覚えてないんだぞ?匠の知りたいことなんて答えられない!」
「……じゃあ、脱げ」
匠は唐突に、真顔でそんなことを言った。
「は???」
「傷口見たらなんか分かるかもしれないだろ?だから、脱げ」
「嫌だ」
「なんでだよー?いいだろ?減るもんじゃないし」
「俺の精神はすり減るわ!!」
「いいじゃんいいじゃん、ちょっとだけ?な?」
「いーやーだー!!」
じりじりと寄ってくる匠から距離をとる。離れはしないが近づくこともない。……これは、確実にタイミングを計っている。
「脱げ!」
「やだー!」
匠がまさに翼の服に手をかけようとした瞬間、救世主が現れた。
「あ、いたいた。西屋さんのところで昨日寝てた子……って、君たち何してるの?」
「ナイスタイミング!なんでしょうか!昨日透さんのところで寝てたのは俺です!」
「ちっ……」
匠の舌打ちが聞こえたが気にしない。
「西屋さんから伝言だ。みんなと警察を連れてきて欲しいそうだよ」
「わかりました!すぐ呼び出しますね!!」
翼は匠の魔の手から逃れるようにそそくさと電話を掛ける。
匠はというと、伝言を伝えに来た医師にあることを訪ねていた。
「あの、あいつ、ちょっと前に刺されてるんですけど、平気なんですかね?」
「彼?君たちふたりがやけどの治療に来たときに彼の刺し傷の手当てもしたけど、ほとんど塞がってたから平気だと思うよ?」
「そうなんすか……」
「でも、暴れすぎないようにって言っといてね。せっかく塞がったのひらいちゃったら困るし」
「あ、はーい」
「じゃあ、伝言伝えたからね」
医師はそう言って戻っていく。ちょっと期待外れ感が否めないまま、匠は翼の電話が終わるのを待った。
「はい。お待たせー」
「おお」
「……」
翼は若干構えながら匠に近づく。
「もう脱がさねえよ」
「あ、ほんと?」
翼は匠のとなりに座った。
「あ、そうだ。ここってさ、修ちゃんも入院してるんだよ」
「しゅうちゃん?」
「雨崎修也」
「なんで修ちゃんなんだよ」
「みちるが呼んでたから」
「……まあ、いいや。それで?雨崎がどうしたんだよ」
匠は本題に入るよう翼を促す。
「今回の事と無関係じゃないからさ、一緒に来てもらった方がいいかなって」
「まあ……確かにな。一応透さんに確認して連れてくるか」
「そうしよそうしよ」
二人は立ち上がる。と、なんと空気を読むのか、雨崎が歩いてきていた。




