診察とお願い
「失礼します」
ノックと共に誰かが部屋に入ってくる。翼が呼んでくれた医師だろうと透は思っていた。
「西屋さん、具合はどうですか?」
「はい、大丈夫です」
部屋に入ってきたのは二人。医師と看護師だ。
「傷の様子見せてくださいね」
二人は手際よく診察の準備をしていく。
「うわっ、アザだらけだ……」
今更ながら自分の体がボロボロなことに気付いた。胸や腕に青アザがたくさん残っている。
「何言ってるんですか。こんなもんじゃないでしょ。あなた、撃たれてるんですからね」
「ですよね……」
「今はまだ麻酔が残ってて痛みもほとんどないでしょうけど、切れてからが大変ですからね」
腹部の傷は消毒されてもそこまで痛みはなかった。だが、頭の傷はそういうわけにはいかなかった。
「いたたたたた!!!」
「ガラスの破片刺さってましたからね、痛いのは我慢してください」
「あ、あのもしかして……髪の毛……」
「あ、大丈夫です。最低限しか剃ってないので、パッと見はわからないです」
「……」
透は今はどうでもいいことだとわかっていながら、ビジュアル面についてを考えてしまった。
「まあ、頭と顔の傷はきれいに治るでしょう。お腹の傷は跡が残りますけど、仕方ないですからね」
「はあ……」
「あと化膿止め、これも出しときますからね。飲んでくださいね」
薬を何種類か処方された。サイドテーブルに置かれた薬を見ながら、透はあることを考えていた。
「……あの、お願いしたいことがあるんですが……」
「なんでしょうか?」
医師と看護師は診察を終えて戻る準備をしている。
「退院させてはもらえないでしょうか……?」
「はい???」
「ちょっと、寝てる場合じゃなくて……なるべく早くやらないといけないことがあるんです……」
「な、何言ってるんですか!ダメですよ!傷も塞がりきってないのに何で……!?」
許可がもらえるとはさすがに思ってはいなかった。予想していた反応だったので、透は気にしなかった。
「……じゃあ、呼んでもらいたい人がいるんです。さっき呼びに来た男の子がいると思うんですけど、彼にみんなと警察の人を呼ぶように頼んで欲しいんです」
「……よかった、人を呼べばいいんですね。では、呼んできましょう」
医師は部屋から出ていく。このあとの行動をどうするか、透は考えていた。




