当日の夜
面会時間もとっくに終わった午後9時半。翼は目を覚ました。
「……痛い……」
案の定変な格好で寝ていたため、筋肉が凝り固まっている。そーっと関節を回したりして体をほぐすと、透の様子を確認した。
落ち着いて眠っているようだ。様子がおかしいということもないし。
「どうするか……あれ?そういえば匠は?」
匠の姿が見当たらない。透を起こさないように注意しながら、翼は病室を出た。
廊下を歩いていると当直の看護師に見つかってしまった。
「あれ?君確か西屋さんのところで寝てた子でしょう?」
「西屋……あ、はい」
「もう面会時間過ぎてるよ?一応許可はもらってるけど……」
許可をもらっていると言うことは、居座っていてもいいわけか。まあ、それはおいといて。
「あの、友達を探してるんです。眼鏡かけてるんですけど」
「眼鏡のお友だち?ああ、待合室にいたよ。ていうか、君たち1度帰ったら?西屋さんの容態も安定してるし、大丈夫だよ?明日の朝また来たら?」
「うーん……その方がいいですか?」
「うん、色々考えるとね、そのために面会時間の制限もあるわけだし」
「そうですか……じゃあ匠に声かけて帰ります。ありがとうございます」
待合室でぼんやりしている匠に翼は声をかけた。
「……匠」
「ああ、翼。起きたか」
「うん、帰れって言われたから帰ろう」
「マジか」
「うんマジだ。匠、帰ってないってことはうち泊まるんだろ?」
「そのつもりでお前起きるの待ってたんだよ」
「みちるとよしみは?」
「あの二人は父親に連れてかれて帰ったよ」
「まあそうだろうなとは思ってた」
最後に二人は透の様子をみるために病室に戻った。変わらず落ち着いて眠っているようだ。
「さ、帰るか」
二人は帰路につく。バタバタして気が付かなかったが、ここは北原病院だった。
「透さんのお見舞いついでに修ちゃんのお見舞いにも行くか……」
翼はぼんやり思ったのだった。




