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ほっと安心

「みちる!」

よしみはひとりだけ先にみちると合流した。秋山、神宮はやけどしている翼、匠と一緒にいる。

「よしみ!!早かったね!あれ?お父さんたちは?」

「翼たちと一緒よ」

「その翼くんたちは?」

「やけどの治療中よ。それで、透は?」

「今は治療終わって個室に移ってるよ。このあと説明してくれるって。でも、危ない状態じゃないから大丈夫だって」

「よかったぁ……」

よしみがほっとしていると、医師がやって来た。

「あ、君。確か彼の付き添いで来た子だよね?」

「はい、そうです」

みちるがうなずくと、医師は説明を始めた。

「えーと、お腹の弾丸を摘出して、頭の傷を縫合しました。顔は大変なことになってるように見えるけど、擦り傷に薬塗ってあるだけだから、あまり気にしないで。あと、手首を捻挫してるようだったので、一応湿布貼ってあるからね」

「ねんざ?透さん、捻挫してるんですか?」

「うん、あの感じは昨日今日じゃないね。しばらく放置されてたみたいだから、目が覚めたら叱っておいてね」

「はい」

医師は説明を終えると去っていく。ふたりは透の病室に向かった。


透は落ち着いて眠っていた。

頭には包帯が巻かれ、顔半分はガーゼで隠れているが、顔色は悪くない。

「はあー、やっぱり顔見ると安心するわね」

「そうだね、あっ、椅子あるし座っちゃお」

二人は部屋においてある椅子に座った。

「ところで、どうして翼くんと匠くんはやけどしてるの?」

「なんか、部屋が燃やされたらしいわよ?」

「燃やされた……?」

話しているうちに、複数人の足音が聞こえてきた。みちるが部屋から顔を覗かせると、翼、匠と神宮、秋山だった。

「翼くん!お父さん!」

みちるの声に気づいた4人はすぐに病室にやって来た。

「透さんは?大丈夫か?」

「うん、今は寝てるけど」

「みちる、……ちょっと来なさい」

「えっ?な、なに……お父さん……」

みちるは秋山に病室の外に連れ出された。みちるの座っていた席に翼が座る。

「うあーーーー……ほっとしたらどっと疲れたーーーー……眠い……寝てもいいか……?いや、俺は寝る……」

翼は本気でそのまますやすや眠り始めた。

「……マジか、ガチ寝だぞこれ……」

「山下くん、こんな格好で寝たら身体中痛くすると思うんだけど……」

「疲れてるみたいだし、ほっときましょ」

「僕は秋山さんが戻ってきたら1度署に戻ろうと思うんだけど、今のうちに聞いておきたいことってある?」

「あ、じゃあ、俺たちと一緒に燃えてる部屋から出てきたアイツが、本当に翼を刺したやつなのか知りたい」

「あ、彼ね。あの事件の関係者はだいたいここに搬送されてるはずだから彼もこの病院のどこかにいるはずだよ。あ、もちろん彼は治療が終わったら逮捕するけどね、そしたら色々話は聞く予定だ」

「その色々がわかったら教えてくれよ」

「うん、君にも連絡すればいいかな」

「そうだな……翼だけだとアイツ黙ってるからな……頼むよ」

匠は神宮と連絡先を交換した。

「倉沢くんね。うん、登録したよ」

神宮は携帯をしまい、みちると秋山を待つ。

「……みちるとおじさん帰ってこないわね」

「怒られてるんじゃないかな……?」


しばらくしてみちると秋山が帰ってきた。

「うっ……よしみ……」

今にも泣きそうな顔でみちるはよしみにすがり付く。

「あー……ハイハイ」

「さあ、神宮。一旦戻ろうか」

「は、はい」

秋山親子に何があったのかはわからない。だが、今回のことでみちるがこっぴどく叱られたことは確かだろう。

「みちる、ちゃんと!まっすぐ!!家に帰るんだぞ」

「……うん」

みちるはこくこくと頷く。

「よしみちゃんも、みちるが暴走しそうになったらなにがなんでも止めてくれよ?」

「え、無理です」

「よしみちゃん……!」

「おじさんだってわかってるでしょ?私がストッパーにならないことくらい」

「でも、よしみちゃんしか頼めないんだよ……!」

とても困っている様子の秋山。

「とりあえず、今日のところは警察に戻る前に秋山を送り届ければいいんじゃないか?今ここでこうしてても仕方ないだろうし」

匠が思い付いたことを述べる。と、秋山は驚いた様子で手を口に当てた。

「ナイスアイディア……!!」

「え」

「よし神宮!みちるとよしみちゃんをうちに送り届けてから署に戻ろう!!」

「え、あっはい!」

秋山はみちるとよしみを引き連れ、神宮に車をまわすよう指示を出す。

「匠くん、そういうわけだからわたしたち、帰るね……。翼くんと透さんによろしく……」

みちるは意気消沈した様子で病室を出ていった。

「匠はどうするの?」

みちるほど厳しくされていないよしみはそのまま部屋に残る。とは言っても神宮が車を準備してくる間だけの話だが。

「俺は翼のうちに泊まるって連絡しとくから大丈夫だ。翼が起きて一旦帰るって言えばついてくし、このまま寝てたらどっかで時間潰すよ」

「そう、わかった。たぶんお見舞いくらいなら許してもらえると思うから、その時に顔出すわね」

「ああ、よろしくな。じゃ、気をつけて帰れよ」

女子二人は車に乗って帰っていく。翼も寝ていて暇になってしまった匠はどこかで時間を潰すことにした。

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