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もう一人の被害者

7月23日…

電話の鳴る音で翼は目を覚ました。髪の毛ボサボサ、寝ぼけ気味で電話に出る。

「ふぁい……山下ですけど……」

『もしもし、山下くんのお宅ですか?神宮です』

声の主は神宮だった。少しうれしそうな声で話している。

「あ、神宮さんすか。おはようございます。で、なんですか?こんな朝っぱらから」

『実は、雨崎くんの意識が戻ったんだ。それで、君に連絡したんだけど』

「……えっ!?それマジっすか?」

『うん。まじマジ』

「じゃあ、話聞きに行ってもいいですか?」

『うん、僕らもこれから事情聴取しにいくから、そのあとに時間つくってもらうよ』

「あざーーす!!じゃあ、友達と一緒に行きますんで」

『ん??なんでお友だちもなの?』

「事件のこと話しちゃいました」

『あまり無関係な人を会わせるのは……ちょっと……』

「俺一人じゃ心細いんですよね。というわけで友達も連れてくんでよろしくお願いします」

翼は一方的にそう言って電話を切った。そして急いで支度を始めた。

バタバタと着替え、身支度を整えたところで友人たちに電話を掛ける。

匠はバイトだったが、みちる、よしみは大丈夫そうだ。

電話を終えて一息ついていると透が起きてきた。

「……あれ……翼くん……、出掛けるの……?」

「透さん、おはようございます」

「うん……おふぁよう……」

いつもより睡眠時間の足りなそうな顔でソファに座る。

「さっき、雨崎修也の意識が戻ったって連絡があったんです。今から行こうと思ってるんですけど、透さんはどうします?」

「えっ!?」

その話を聞いた途端になぜか透は驚いた。

「透さん?」

「……あっ、ごめん。僕はいつも通りここでおとなしくしてるよ」

「そうですか、わかりました。じゃあ、行ってくるんで、朝ごはんは冷蔵庫の中のものを適当に食べてください」

「うん、ありがとう」

翼は少しだけ透の様子に違和感を覚えたが、そのまま家を出た。


翼が出かけて少し経った頃、透も行動を起こした。誰にも気づかれないように家を出る。自分のいた痕跡をすべて消して……。


「あっ山下くん、おはよう」

病院の待合室フロアまで行くと神宮と秋山が待っていてくれた。

「おはようございます」

だが、秋山はみちるの顔を見るなり驚きの声をあげる。

「えっ!?みちるっ!?」

「ん?秋山さん、山下くんとお友だちと知り合いですか?」

「あれっ、お父さん。どうしたの?こんなところで」

神宮の質問はみちるの言葉であっさり解決した。

「みちる……山下くんと友達だったのか?」

「うん、お父さんこの前翼くんの電話出たじゃない」

「え?あっ……」

秋山は思い出したらしい。確かに翼がみちるの家に電話を掛けたとき、出たのは父親だった。そしてその時神宮は翼の家に訪ねてきたが、秋山は居なかった。

「……とりあえず、話し聞きに来たんでしょ。おじさんもほらっ、早く!」

「よしみちゃんまでいるのか……」

何はともあれ、5人は雨崎の病室に向かった。

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