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透、巻き込む。

「思い出した!行方不明者のニュース!」

「行方不明がどうかしたのか?」

翼は思い出したらしい匠に尋ねた。

「行方不明だった雨崎修也が見つかったって!」

「雨崎?」

「まあ、知らないか。雨崎は若き天才プログラマーとして海外でも有名だったヤツだ。突然消息がわからなくなってたそうなんだが、今朝、胸を刺されて意識不明の状態で発見されたらしい」

透が息を飲む音を匠は聞き逃さなかった。そのあからさまな仕草を見逃すはずもなく、匠は更に問いただした。

「……俺は雨崎がそのコンピュータウィルスを作った本人だと考えている。お前の、その態度でな。そうなんだろ?だから、お前は出会ったばかりの俺たちに危険な目にあわせたくない。……でもな、お前が俺のバイクを盗んで、事故って翼に介抱されてる時点で俺たちは巻き込まれてるんだよ。……違うか?」

「君の言う通りだ……。僕が奪ったウィルスを作ったのは雨崎くんだ……でもまさか……もう雨崎くんのところまで……?」

透は青ざめる。と、その時、玄関のチャイムが鳴った。

「えっ?まだ誰か来る予定あったの?」

よしみに訪ねられたが翼は首を横に振る。

「いいや?誰だろうな」

インターホンの画面には見覚えのある人物が写っている。どこであった誰なのかを思い出せないまま、翼はインターホンの受話器をとった。


「どちら様ですか?」

『すいませーん、警察の者ですが、山下さんのお宅ですかー?』

「げっ!神宮さんっ!?」

玄関の外にいたのは昨日病院で会った神宮だった。

『山下くん!やっぱりいたか!!それにしてもげっ!とは失礼だな!病院を勝手に抜け出されちゃ困るよー!』

翼は一瞬考えて開き直ることにした。

「抜け出してません。正面玄関から堂々と出ましたから」

翼はドアを開けて、一応玄関先ではあるが神宮を家のなかに招き入れた。

「お邪魔します。あれ、お友達遊びに来てたの?ゴメンね?邪魔しちゃって」

「いえ、お構い無く。今日は一人なんですね」

「うん、秋山さん非番だから。まあ、それはいいとして、今朝のニュースは見たかい?」

「いいえ、見てないですけど」

「君の事件の手口にそっくりな事件があったんだ。年齢も近いし、体型も似てるからもしかしたら関係しているのかと思って聞きに来たんだ」

「なるほど」

「この人が今回の事件の被害者なんだけど」

そう言って神宮は一枚の写真を取り出した。翼と同年代くらいの茶髪の男だ。だが、見覚えはないので知らない人だろう。

「うーん、知らないですね」

「雨崎修也って言うんだけど」

「……はい?」

雨崎修也。さっき匠が言ってたのは……?

「ん?もしかして、名前には聞き覚えがある?」

「……すいません、その雨崎って何者ですか?」

「彼は高校生だけど、海外で有名らしくて。天才プログラマー?コンピュータのアプリケーションとか作るのがすごいんだって」

完全に同一人物だ。

「……ちょっとここで待っててもらっていいですか?」

翼は神宮にそのまま待機していてもらい、部屋に戻った。そして、神宮から聞いた話を4人にそのまま伝えた。


「……つーかさ、お前マジで事件巻き込まれてたのかよ?そんなこと一言も聞いてないぞ。刺されてんだろ?なんでここにいんだよ、素直に入院してろよ」

「そんなこと言われたってそのときの記憶もないし、全然平気そうだったし暇なの嫌だしだったら入院費掛かるから家帰るって選択肢選ぶしかないだろ?」

「まあまあ……二人とも落ち着いて」

喧嘩腰になっている男子二人を透がなだめる。と、二人は同時に透を見た。

「……お前、はじめから翼のこと巻き込んでたんだな」

「へっ?」

「透さん、俺と雨崎修也は似てますか?」

「あーー……後ろ姿は……似てる……見間違える可能性はあるね」

「あれじゃないの?翼と雨崎が間違えられたんじゃない?」

「 もしそれがホントならすごい運命だね!事件に巻き込まれた翼くんと事件に巻き込んだ透さん!」

透の心情とは裏腹にみちるは目をキラキラと輝かせている。翼ははしゃいでいるみちるを見て落ち着きを取り戻したのか、もう一度神宮の話を聞いてくることにした。

「いや、まだわからんけど……とりあえず神宮さんに続き聞いてくる」


「すいません、お待たせしました」

「雨崎くん、やっぱり知り合いだったかな?」

「いえ、知り合いではなかったです」

翼が首を振ると、神宮は少し残念そうな表情で話を続けた。

「そっか。雨崎くんなんだけど、今は病院で治療を受けてるよ。容態は安定しているそうだから、数日中に意識は戻ると思う」

「あの、雨崎修也に聞きたいことがあるんですけど、意識が戻ったら教えてもらってもいいですか?」

「ん?よかったら僕が聞いておくけど?」

「いえ、直接話が聞きたいんです」

「……わかった。雨崎くんは北原病院に入院してるから、意識が戻ったら教えるね。ところで……事件の時の事は思い出せた?」

神宮に訪ねられたが、それにも翼は首を横に振った。

「……いいえ、すみません。なにも思い出せなくて」

「謝ることないよ、精神的な問題が大きいんだと思うから、ゆっくりでもいいから思い出せたら思い出してみて」

「はい」

「思い出せたら連絡して。僕も雨崎くんの意識戻ったら連絡するから」

神宮は最後にそう言って帰っていった。


翼は玄関に鍵をかけ、リビングに戻ってきた。

「で、警察の人、なんだって?」

よしみが開口一番に聞く。

「雨崎修也の意識はまだ戻ってないみたいだ。北原病院に入院してるって」

「じゃあ、翼くんが巻き込まれてるかどうかわかるのは雨崎くんの意識が戻ってからになるんだね」

「おう、意識が戻ったら連絡してくれるから、そしたら直接あってみようかと」

「……」

翼が戻ってきてからやけにおとなしかった匠がパッと顔をあげる。

「匠どした?」

「翼、事件に巻き込まれてるけど、そのときの記憶がないのか?」

「さっきいっただろ?だから直接雨崎修也に会ってみようと思ってるんだ。何かわかるかもと思って」

「ふーん、そうか」

匠はなぜか頷き、透の方に向き直った。

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