第1スレめ 2
あれがサファイアだったらいいのに。一瞬そう考えた瞬間首を振って考えをかき消した。
「(だめよだめよ柘榴。あれはただの好青年よ!サファイアなわけがないんだから…!)」
「ん?あーっ柘榴ちゃん!」
「瑠璃!?」
「はーい瑠璃ちゃんですよー☆柘榴ちゃん、こんなとこでなにやってんの?買い出し?」
「(絡まれたら厄介だから適当に答えよう…)そ…そうよ。瑠璃は?」
「私も買い出しー。ネギと肉がなくてさー」
あはは、と笑う瑠璃を見て自炊だよ…ね?なにを食べてるんだろう…と思ってしまった。瑠璃のことをあまり知らないまま(無理やり)友達にされたけれど、瑠璃は気にしていないし…いいのかな?
「じゃあそろそろ帰るね!またね!」
「柘榴ちゃん!?」
瑠璃が何か呼んだ気がしたけれどわたしは全力で走った。もちろん、かなりかなり久しぶりに。
最後に走ったのはきっと中学最後以来だろうか。
「はぁ…はぁ…ここまで来れば…大丈夫…でしょっ…はぁ」
息を整えつつ家へと帰路を急ぐ。
しかし途中で、人とぶつかった。
「いたっ…」
「ご…ごめんなさい!大丈…」
はっと顔を上げて見ると相手はきょとんとした表情でこちらを見ていた。
「ボクは大丈夫。おねーさんこそ大丈夫?」
「え…ええ平気よ」
「良かった♪おねーさんお名前は?」
「紅螺柘榴…です」
「ざくろちゃんか…可愛い名前だね。ボクは黒蛸蒼だよ」
「黒蛸…?」
ん?どこかで聞いたような……兄弟?まさかね……
「おねーさん?どうしたの?」
「え?ううんなんでもない。…あ、もう行かないと」
「そっか、残念…またね?おねーさん♪」
「…うん////」
慌てて走って行くと少年…いや少女は呟いた。
「紅螺 柘榴……彼女がお兄ちゃんが言ってたガーネット……なかなか可愛らしいね」
少女は、ふふっと笑うと柘榴とは反対方向に向かって歩いて行った。
「ただいま」
「おかえりーお姉ちゃん!ねぇ外に遊びに行こうよー」
「…あとでね」
「えー!今がいい!」
「…っさいな、やめてよ!あたしに関わらないで!」
少し強めの口調で言うと水癒は黙った。紅螺 水癒は柘榴の妹だ。幼く、甘えたい年頃の彼女は姉である柘榴に懐いていて、遊んでもらいたいと思っているらしい。引きこもる前まではよく遊んでいたが、引きこもるようになってからは水癒を構ってやったりどこかへ連れて行くことは全く無くなった。母親からは水癒を構ってと言われるものの柘榴本人は気にはしておらず、今も関係は変わっていない。