ダンジョンその2!
俺たちは、ダンジョンの最終階層に足を踏み入れた。
「さて、行くぞ!最終階層」
「「おぉー」」
ダンジョン。この響きを聞いて痺れないゲームオタはいまい。
しかも最終階層まで進んだ。うちのパーティの優秀さよ。
「まあ、なんにせよここまではそんな強く無い敵だったんだ。ボスもそこまで強いと思えないがな」
と俺が言うと、首を横振りながらエリナちゃんが渋い顔で言った。
「いーや、わからんぞ。このダンジョン、いつものと微妙に違うなと思ったらあれだ。悪魔族がいないんだ」
それを聞いて納得した表情でセツナさんが、確かにと呟いた。
そういえば入る時魔界に繋がってなんだのーって言ってたわ。
「へー、そりゃなんで」
「わからないからモヤモヤするんだ」
「そりゃそうか」
んんーっとずっと悩んでいるエリナちゃんとそれを聞いて怖気付いているセツナさん。
「なんでそんな顔色悪いんだ?セツナさん」
それを聞いてびっくりした表情を浮かべた。
「うっそ。顔に出てた?心配かけちゃった?ごめんごめん、もう、大丈夫」
と言っているがまだプルプル震えてるな。
「嘘つけ、身震いしてるぞ。ほっとけないだろ」
そういうとエリナちゃんも
「そうだぞ、我らは仲間なんだから相談に乗ってほしい。いつでも乗るぞ」
この声を聞くと、セツナさんの顔に安堵の表情が浮かんで、
「2人とも…ありがとう。ほら、私ダンジョンって光属性に弱い悪魔族がいっぱい出るから選んだんだけど、ほら、このダンジョンでは出てこ無いじゃん?だからほら、少しボスに近づいていくのが怖くて、さ」
なるほど。そう言うことか。
「大丈夫ここまでどうやってきたんだ?俺たちはセツナさんの強化魔法で敵を倒していくことができたんだ。大丈夫、俺たちならなんとかなるさ」
これを聞くと、エリナちゃんは共感をするように強く頷いた。
すると、セツナさんの目のハイライトが強くなり、
「ありがと、元気が出たよ。もう本当に大丈夫」
もう身震いすることがなくなった。
「よし、そろそろ着くぞ。大ボスの部屋にな。戦闘準備をしっかりしておけ!」
「おう!」
「うん!」
見えてきたぞ最後の扉。
なるほどそんなに大きくは無いな。2mあるかどうかか?
待て、中が狭ければあの作戦が通るのでは?幸い木材なら松明に使うかなーと思って持ってきたのがある。重かったがこれを考えるとよかったのかもしれない。
「よし、2人とも集合」
「ん?」
「なんだ?」
小声が通るくらいの距離で、この作戦を伝えた。どれどれ反応は…
「クズの作戦だね。でもほぼ確定で勝てると思うよ。クズいけど」
おいセツナさん。クズクズ言うのは良くないと思うぞ。これも立派な作戦なのに。
「これを思いつくお前は本当にダンジョン主に怒られたほうがいいと思うん。…いや、この扉の前に立って考えが変わった。どうやらこの中にいるのは只者じゃ無いようだ。この我の瞳と本能が言っている間違いはない」
「なあセツナさん。これ本当だと思う?」
「イタイ発言だね。と言いたいところだけどエリナとか風魔法が得意な人はとっても直感がいいの」
ほえーなるほど。
「あ、そういえば!あのペルスティクティブとやらでこの奥の部屋がどうなってるかわかる?」
「ああ、だいぶ狭いからその作戦は通じるだろう。だが心が痛むのだが…」
「できるんだな!じゃあ作戦実行だ」
「本当にやるの…?」
「ああ、やるとも。心の準備はいいか?」
2人はすげー渋々と言った感じで頷いた。
「それじゃ1、2の3で扉を開けるからそのタイミングで頼む」
「「う、うん」」
「いくぜ!1、2のさあああん!」
ガチャっと扉が開いたその瞬間。
「よくきたわね!我がダンジョンへ。長い道のりご苦労だったわ!でもこの地竜の竜人。リリィ・アークトゥルスが貴方達を葬り去ることになるわ!さあ、正々堂々…」
「今だ!木材全ブッパぁ」
「マジックアップ!いいよ!エリナ行っちゃって!」
「ふ、ファイヤボンバー!」
火がついた木材が狭い部屋にばら撒かれた。
「よし、全部入ったな全力で閉め出せ!」
「「了解!」」
そして3人の力が一気に扉にかかる!
「え、ちょ。嘘でしょ!ゴホッ。なんか苦わ。ぐっ。ねえダンジョン建ててから初めてのニンゲンがこんなことゴホッ…するわけ?ゴホッ。20年の苦労がこんな形で…ちょ、息が…ゴホゴホっ出来な…」
よし、勝ったな。作戦勝ちだぜ。
要は、エリナちゃんのトラウマ、同じのを植え付けよう作戦。
閉め出してから10分くらいたっただろうか。
「よし、勝利ぃ!」
「勝利ぃ!じゃないでしょ。流石に可哀想じゃない?」
「こ、これは流石に…相手が気の毒すぎるって言うか…ダンジョン建てるのって時間がかかるらしいぞ。それをこんな形で…言ってることから察するに正々堂々と強いやつと戦いたかったらしいぞ」
「でも流石に地竜のなんたらって言ってたから、まともに戦ったとて勝てなかったと思う」
「ま、まあそれはそうだけど」
あとは、扉をちょっと開いて、これで動けなくなってるまだ顔も合わせてない相手に。
「マナドレイン。からのダークバインドっと」
これらは名の通りマナを吸い取り自分のものにする魔法と、闇魔法版の拘束みたいなもんだ。
「うわっ。そこまでやらなくても…」
「一応だよ一応。目覚めて暴れ出すと困るからな。…あれ?しばらくマナドレインしてるのに全然終わらねえ」
と呟くと、当たり前だと言わんばかりにエリナちゃんが説明してくれた。
「さっき竜人だのなんだの言ってただろ?竜人はマナ量が多く、使える魔法も人50人分ほどに匹敵する。こうやって戦闘不能に追い込むことが出来たのは奇跡と考えたほうがいいだろうな」
「マジかよ。そんな手強いはずだった相手だったのか。お、そろそろなくなったかな。引きずり出しても大丈夫そうだ」
「引きずり出すってそんな強引な」
ズルズルと引きずられて出てきたのは…
「おっとこれまた美少女」
そう、藍色の髪をした美少女がいた。
目はわからないが、眉毛の代わりに角が生えている感じか。髪型はショートでドラゴンの尻尾らしきものが付いている。そして最大の特徴が…
「ちっちゃいねこの子」
「だな120cmくらいか」
エリナちゃんよりもちっちゃい。
途端、スライムの時より強い後悔が押し寄せてきた。
「クソッ、なんでこんな可愛い子にあんなことを…」
「よし、あんたがロリコンなことはわかったからのちょっと黙っとけ」
「そうだね。黙らないなら強制的に静かになってもらうよ」
おっと、後悔が強すぎて声に出てたみたいだ。
あれ、今ひどいこと言われなかった?
「おい。誰がロリコンだ。別にロリっ子が好きなんじゃない。俺のタイプは…そうだな。セツナさんみたいなお姉さん系だ。もう一度言うぞ。ロリコンじゃない」
ちょっと妹キャラっぽくていいなとしか思ってないもん。
「いやでも、エリナの初見時、すっごいニヤニヤしてた…いやちょっと待ってタイプが私ってどう言うこと」
「あ、あたしを見てニヤニヤってなに?はっまさか。このパーティにいると身が危ない?」
「待てセツナさん語弊があるぞ。俺はニヤニヤしてない。してなかったはずだ」
そこに一つの声が割り込んできた。
「そんなくだらない話はどうでもいいわよ。さっさとこの拘束を解いてほしいのだけど」
起きてましたか。
「起きたのに、私を蚊帳の外にほっぽり出して、勝手に違う話になるの信じられないわ!」
「「「すみません」」」
「と言うか解いたとして、多分あんた暴れるだろ」
「そ、そうだよ。どうせまたあなた正々堂々勝負しろーだの言うんでしょ」
そしたら顔を真っ赤にして怒鳴り散らかしながら竜人が言った。
「誇り高い竜人がそんな負けを認めないことをするわけ無いじゃない!負けは負けよ!認めるわ!私は負けました!これで満足?」
「いや、信じられん。おばあちゃんが。間違えた。我の先祖が言っていた。竜の戯言には気をつけろ。と」
「「おばあちゃん」」
「うるさい!」
こちらも顔が真っ赤になった。
…ボロを出したお前が悪いんだぞ。
「はあ、下手に出ていればピーチクパーチク、人間ってほんとうるさいわね。少しは静かに出来ないの?」
「お前だって、ツノと尻尾なけりゃただの人間じゃ…」
と言った途端、シュッと竜人の手から爪が伸びた。
「何か言った?」
「い、いえ、なんでも」
「そう」
え、こわ。何この子威嚇方法が怖い。
ーシュルシュルシュル
「なんだ?この音」
音の出た方を見ると、なんということでしょう。魔法で作ったはずの拘束が竜の爪によってぶった斬られていました。
「「「「あ」」」」
しばらくの静寂があった。それを途絶えさせたのは。
「えーっと、そういえば竜の爪って地を砕き、魔法を削り取るって昔の絵本で読んだことあるよね。竜人もそんなことができたんだね」
セツナさんだった。
その後声を上げやすくなったのか、この竜人が言った。
「第二ラウンド、ファイッ!」
こんのクソッタレロリ竜がぁ。
そこから、俺たちの戦いが再び始まった。
「てい、とう、そりゃぁ!」
この竜人、声に反して、ちょっと、火力が、火力が高い!
「おぉーい、竜人ってこんな強いのか?」
するとエリナちゃんが逃げながら言った。
「あ、当たり前だろう。あの竜の血を継いでいるんだぞ!簡単にいうと力はそのまま見た目が人になっただけだと思え!」
まじかよ。
「よし、ダンジョンから逃げるぞ!」
「「賛成」」
ヤバイヤバイヤバイ!これは勝ち目がない。
「逃がさないわよ!私にあんな苦しい思いをさせておいて、逃げられると思わないでっ」
「うわっ追って来た。てか速っなんか追いつかれそうなんだけどぉぉ」
「クモル!あれだよ、ここは俺を置いて先に行けっていう場面でしょ!」
「そうだ!我はお前と過ごせて楽しかった。ありがとう」
「勝手に殺してんじゃねえよ!」
どうしよう、このままじゃ本当に引き裂かれそう。
「そろそろ追いついちゃうわよ。正々堂々勝負しなさいっ!魔法が使えないのが厄介だけど」
ん?こいつは正々堂々勝負したいだけなのか?なら、
「おい少し待て。正々堂々勝負したいんだろ?だったら受けてやるよ」
この言葉を聞いて、竜人が止まった。
「え、本当に?じゃあ今すぐあっちに戻って…」
「いや、外でやろう。俺たちが戦うとダンジョンが崩れるだろうしな」
もちろん誇張表現だ。外に出れればなんでもいい。
「へえ、結構自信家ね。でもダンジョン内でやってもらわないとダメなの」
こいつまだそれに拘ってるのか。いやまだだ。
「だが、確かお前が建てただの言ってなかったか?それが壊れてもいいのか?」
すると、少し強張った。あと一歩か?
と思ったところで爆弾発言を落として来た。
「えっと私結界の魔法間違えて、自分がダンジョンから出られなくなっちゃったの」
…
「てへっ」
「…スゥ」
10秒くらい溜めて、俺は2人に天才的な指示をした。
あと少しで出口だぁぁぁ!走れぇ!」
「当たり前」
「自分から言うなんて馬鹿なやつだな」
「だから言うの躊躇ったのよ。ばかあ!こうなったら意地でも止めてやるぅ。ウォールブロック!」
「うおっなんだ!?」
「あれ?何も起きない!」
「そういえば、マナドレインしてたな。あはははは。今だああああ」
この時だけは尋常じゃないスピードを出していた気がする。
「こんの人間どもめえ」
お口悪ぅ。
「光が見えて来たよ!」
「よし、もうちょっとだ!一応その竜人を風魔法で落としとく!伏せろ」
まずい後ろの呻き声のせいで何も聞こえない。
「エリナちゃん。なんだって…」
「ウィンドバースト!」
奇遇なのか、俺らの声が重なった。
ビュンと風が来るのを感じて。
そう思った時はもう遅かった。
竜人と共に俺はまたダンジョンの奥底に落ちていったのだ
「ちょっと、何やってるのー」
「ごめん伏せろって言ったんだがー」
この2人の声がどんどん遠ざかっていく。
頭をどこかにぶつけた鈍い音がして、意識がどんどん遠ざかっー
受験の為少し開きます




