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そんなくだらない世界の冒険談  作者: くらりん
5/7

初めてと2回目

どうしよう、金が

「金が足りねぇぇぇぇ」

「うわっ、どうしたのいきなり」

とびっくりした目でセツナさんが俺を見る。

「あ、ごめん違うんだよ。借金が、借金が減らないんだよおお」

「ま、まあまあ落ち着いて、ね?」

「ごめん取り乱した」

「ふふっ、最初に会った時を思い出すね」

「やめろよぉ。あの時なにも知らなかったんだから」

「ふふふ、ごめんね」

とかこの人といちゃついてるわけだが、金がやばいのは事実。というわけで、2人の初めての共同作業もとい、パーティメンバーにっなって初めてクエストをこなすことにした。

「じゃあ、どれにする?」

と、掲示板を見る。

この掲示板の紙には依頼レベルが書いてあり、身の丈にあったのを自分たちで選ぶんだそうな。

「うーん、そうねぇ。薬草採集は?」

「いやレベル一で簡単だけど、報酬がな」

「借金返すならまだいいけど、ほら、俺はボロアパートだし、セツナさんはさ、受付嬢やってたから優遇でギルドで住まわせてもらってるじゃん?」

「うん、そうだけど」

「だから、さ、一軒家が欲しいなって」

「え?」

「ほらパーティメンバーだから一緒の方が効率いいでしょう?」

「…なーんだ」

すっげー露骨にがっかりしてるな。

「ごめんって。このクエスト終わったら奢るからさ」

「まったくもー。これで許すの今回だけだからね」

俺のなにが悪かったのか知らんが、とりあえず先に手を打った。

「…鈍感馬鹿」

「なんか言った?」

「なーんにも」

やばい機嫌が悪い。こういう時どうするんだっけ。えっと、んー。あっそうだ。

「ま、今度二人でどっか出かけようぜ。だから元気出せよ」

「え?あ、えっとその、うん…」

「元気出たみたいで良かったよ」

「……バカ」

「なんで?」

「まったく、まったくだよクモルは」

「えぇー」

「もう、この話終わりっ。はいっクエスト選ぶよ!」

「は、はい」

今日はこの人には逆らえなさそうだ。しょうがない極力この人の願いを叶えてあげよう。

「これなんかどう?」

とウキウキしながら持ってきたのは…

「ゲッ」

サンドワームの駆除依頼書だった。マジか、こいつトラウマがあるんだけど。

「これね、昔戦った時とっても弱かったから行けると思うんだ。あのへんな粘液さえよけて戦えばとっても簡単だったからね」

なるほど、確かに逃げてるとき一回も当たらなかったもんな。でもあいつ気持ち悪いじゃん、デカいミミズだぜ?

「ん~。そうだなー」

どうしよう。すごーくキラキラした目で俺を見てる。

「はぁ、分かった。それ受けよう」

「ねえ、ため息吐かなかった?」

「はいてない」

「いや吐いたでしょ。まー、いっか。さあ行きましょ」

「…はい」

こうして俺らの初めての共同作業が始まった。まさかあんなことになるとは知らず。



「よし、ついたよクモル」

と張り切って腕を組みながら言うセツナさん。

「おぉ、広いな、こりゃピクニックがはかどりそうだ」

「ピクニックやりに来たわけじゃないでしょ。さ、ちゃっちゃと討伐して何か食べに行こ」

「ん、わかった」

いやー、さっきまでの憂鬱が噓のようだ。見晴らしもいいし、空気もおいしいしなによ…

「えーと、どうやるんだっけ。あ、こうだ。それっ」

――ズドォォォン

「ふわああぁぁぁぁぁ!」

なんか隣でやってるなーっておもったけどなんだありゃ。威力ちょっと控えめだけど爆発したぞ。

「え?なに?なんなの?」

「ぶふ、あは、あははははは、ふわああああて、ふああああて何よ。あはははは」

めっちゃ笑われたんだけど。そんな笑わなくてもいいじゃん。

「あれはねぇ、爆発するポーションよ。サンドワームは地中にいるからこれでおびき出さないと」

「へ、へー。そうなんだー」

「さ、出てくるよ。しっかり準備してね」

「わかった」

ちょうどこの一連の流れを見計らったように、サンドワームがうじゃうじゃ出てきた。

……前言撤回。全然見晴らしよくないわ。気持ち悪い奴らの集合体だ。

「よし、行くよ!シャイン・パワー!」

「おぉ力がみなぎってくる。…なあ、前のキンググレムリンの時もこれやってくれればよかったのに」

「ま、まあ。あの時のことはいいじゃない。ほら、頑張って」

「頑張ってって、セツナさんは?」

「あー、言ってなかったけ。実は私光属性特化型なの。だからバフと悪魔、アンデットキラーしかできないのよ」

「えぇー」

「だから、さ。頑張って」

「まったく。しょうがねえなぁ」

とは言ったものの10匹。地味に多いぞ。そう思ったのもつかの間、1匹が襲い掛かってきた。

そして俺は攻撃を繰り出した。

「おらぁ!残撃、残撃残撃!…あれ?効かない効かないよセツナさーん」

「あ、あれぇ?残撃ってマナをごっそりずばーんってやるやつだよねー」

と、遠くでバフかけながら見てるセツナさんが言った。

「かわいい表現になってベリーキュートだけどだいたいあってるよー」

「あ、わかった。グレムリンたちは悪魔族だから魔界に住んでるからこっちに姿を現すのはマナで形成するしかないのー。そしてミノタウロスは魔族だから、マナの塊みたいな生物だからこいつらは残撃が効くのー。でもサンドワームとかは魔族といえども雑魚の部類だから貯めてるマナがほんと―に少なくてぇ、ちょっと減っても自前の生命力と酸性のつばで意外とタフなの。そういえば、物理攻撃に弱かったわねー」

「へ、へー」

なるほどなるほどつまり剣だの鎗だの持ってない俺たちにとって。導き出される答えはただ一つ。

「ピンチじゃねーか」

「あぁぁごめんなさい。うわぁああどうしよう囲まれちゃった私たち追い込まれちゃったああ」

「そうだ、スクレイプオブライフ!」

これは生命力を刈り取る技。よっぽど生命力が高くない限り耐えることは…

「こいつら生命力たけーじゃねぇか」

「うわーどうするのーー」

「知らねえよぉ。あ、あれは?あの合体するやつ」

「あの爆発ね?オッケー。行くよ!」

「おう」

「で、でで、ディ、ディープセイバーポリューション!」

「ざ、残撃!」

すぽん…すぽん…すぽん…

「ちょ、合体しないぞセツナさん!」

「お、おっかしいわね。もう一回!マナの操作に集中して」

「お、おう」

「ディープセイバーポリューション!」

「残撃ぃ」

すぽん…

「だあああ気が動転して集中できねぇ!こえぇよこいつら」

「いやぁぁ。マナぎれよ。もう私あれ使えない!」

こうしてる間にもどんどん奴らが近づいてきて…

「ぎゃああもうだめだぁ。セツナさん俺今まで楽しかった。ありがとう」

「いやぁぁぁ。諦めないでクモルー」

そして、もう1メートルもないくらいあいつらが近づいてきて―

「ファイヤーアロー!」

なんだこれは、どこからともなく火の矢が降り注ぎ、5体くらいが焼き払われた。まさか誰か助けに来てくれたのか。

その元にいたのは…

「我はエリナ・イーター。炎と風を操り、全てを爆炎で焦がしつくすもの。以後、お見知りおきを」

「「はい?」」

なんということでしょう。囲まれて危機状態になっていた私たちは、金髪ロリっ子中二病に助けて頂きました。

「ふっふっふ。この手にまといし炎。驚いて声も出まい」

「おぉ…いでっ」

すこーしゆれたお胸が気になっただけだって。肘で脇腹打たなくてもいいじゃん。

「別に凝視してないって」

「見てたってことでしょバカ!」

「な、我に恥辱を与えるとは。こやつ、成敗してやる」

「ま、待って落ち着いて。えっと、エリナちゃん」

「貴様にちゃんずけされてたまるかぁ!」

「そんなことより後ろ気を付けたほうがいいぞ」

「そんなことって、きさま…後ろ?」

ぐちゃ、エリナちゃんが、サンドワームに食われた。

「は?」

「ね、ねえ。クモル?頼みの綱…消えたんですけど」

「ごめん俺がくだらない話をしたばかりに…」

「ばかあああああ」

と、そこから、小さい声で詠唱が聞こえて

「エクストリームファイヤボンバー!」

と、サンドワームの腹の中からエリナちゃんが出てきた。

「ぜえ、ぜえ、ぜえ、ひ、ひどい目にあった。暗いし、臭いし怖かったよぉ」

キャラが変わった?いやそんなことより

「ご、ごめん。ほんとーに生きててよかった大丈夫か?ほら、手」

「うん…」

「ほんとにクモルがごめんなさい。こんなくだらないことであなたを危険にさせちゃて」

「ほんとだよ。もお死んだと思ったぁ。…はっ、ち、近付くな外道ども。我をここまで追い込んだこと、死ぬまで後悔させてやるぅ」

あ、あれ?こいつ急にかわいく感じてきた。なにこれ母性?いや待て

「おい、さっきの徒と本当にごめん。後、こんなこと言うの都合よくてあれなんだけど、今俺たち囲まれてるからさ、残りの4体片づけてくれない?」

「おい、本当に勝手だな。後で覚えておけよ。しょうがない私を汚しおって。このサンドワームども、生かして帰さん。炎よ風よ我に力をファイヤトルネードウィズハリケーン」

すげぇ、炎の竜巻とすごい風が合わさって…ハリケーンいらなくね?まあ、これで本当に助かった。

「ありがとう。助かった。何かお礼をさせてくれないか」

「ええ、そうね。私もできることなら何でもする」

「そうか、なら…」

あと、機嫌直しに。

「ほら、修学旅行のお土産…もといドラゴンのキーホルダーだ。これやるよ」

「なかなかかっこいいじゃないか。ではこれをもらおう。それでだな我は…」

暇なとき作ったけど結構大変だったんだぜそれ。

「んーじゃあ私は、はい。マナかなり消耗しただろうし、この実あげる」

「我のマナを甘く見るなよ。この国1,2を争うほどの魔力所持者だ。それでさっきから…」

「「えー!すごい!マジですごい人じゃんエリナちゃん(あなた)」」

見事に声がはもった。それで我慢の限界に達したような声で。

「さっきから言いかけたけど、あたしお風呂入りたいの。さっき食われてべとべとなの。ほら、はやくぅ!」

「「あ、ごめんなさい」」

うん。俺らが悪い。


ということで銭湯に来た。

「あ~、しみわたるー」

風呂はやはりいい。身も心もあっためてくれる。

ちなみにあの二人は女湯に入ってる。やっぱどこの国もいや、どの世界もえっちぃイベント何てそうそう起こんねえな。混浴なんてありゃしねえ。

「ふぃ~。1時間くらい入ったかな」

やっぱ日本人は長風呂に限るぜ。

「ただいまー」

と、のれんを出ると。

「遅い。ほんっとに遅い。どんだけ待ったと思ってるの?」

「ほほう。我を待たせるとはいい度胸をしているではないか」

「いやごめん。俺長風呂なんだよ」

「長風呂にも、ほどが、あるでしょう?」

「そう、我らは15分くらい。というかこれが普通なのだぞ」

「ええ、そうね。でもさすがに」

「ああ」

「「1時間半は入りすぎでしょう!」」

まじか。体感1時間だったのに!

「…ごめん」

「もう、過ぎたことはいいから。それで考えたんだけどさ。この後もらう報奨金。全部エリナに渡しちゃっていいかな?」

「いやいや全部って俺ら…いや、何もしてねえな。いいと思うぞ」

「え?いいのか?通りがかった際助けただけだぞ?」

「それがすごいのよ。私はそれじゃ気が済まないし」

「ということだしさ、俺たち気にしないからもらってくれや」

「な、なら遠慮なく」

「じゃ、さっさとギルド向かうか」

「ええ!」

で、ギルドに来たわけで。

「報酬、1匹150ユラになります。10体の討伐で1500ユラですね。調べたところサンドワームワイルドなので少し高くなります」

おぉ、日本円で15万か。ここで働いてた時よりいいじゃないか。

「じゃ、ほれ」

「ありがたくもらうぞ」

「どうぞ遠慮なく」

これで今日の仕事も終わりか。

「それじゃ、帰るか」

「そうね~今日も疲れた」

「んん、お前ら」

「「なに?」」

「少し止まって心してよく聞け」

「「?はい」」

「今日通りかかったとき助けたわけだが、あの程度の敵に後れを取るとは、パーティーバランスがなりったっていない」

「ぐっ痛いところを…」

「ええ、わかってる」

「それで、なんだ、私は今フリーだ。どう思う」

どう思うって、そりゃ

「フリーなんだなって思います」

「うん、わたしもそう思う」

「だあぁぁ。読解力がないなお前ら。いわないとわからぬか」

「「そりゃもちろん」」

「きぃぃぃ!こんなとこで声をそろえおって。しょうがない1回しか言わないからよーく聞け。この私が、お前らのパーティメンバーに加わってやろう」

「「まじで?」」

「まじだ」

「いやうれしいけどさ、エリナちゃんの実力ならどこもかしこも引っ張りだこなんじゃない?」

「ちゃんずけをするな。ちゃんずけを。そうだな。引っ張りだこだ…と言いたいところだが、なぜか皆があたしによって来なくて…募集をしてるけど…見つから…なくて」

なるほど、美少女だけど性格がアレだから、寄ろうにも近寄りがたいってわけか。

「で、何でここなの?私たちを助けたのが初めてじゃないでしょ?」

「えっと、助けても、お礼を言われただけで、なぜか皆がスっていなくなっちゃって。それで、ちゃんと話たけてくれたのが君たちが初めてで」

な、なんて、なんて悲しい過去を持ってるんだ。

「セツナさん」

「うん、言いたいことわかってる」

じゃあ、

「「ようこそ我がパーティへ。歓迎するよエリナ(ちゃん)」」

と言うと、目を輝かせて、

「あ、ありがとう。…はっ。あ、我と契約できるんだありがたく思え」

「「はいはい」」

「軽くあしらうなっ」

こうして、2人目の仲間が入ってきた。


帰り際にセツナさんが、

「大丈夫かなぁ、最初あの態度だし敵にはなんないよねぇ」

てきなことを言っていたのが気になる。

・・・あ!生活費無くなりそうだ!やべ!



借金3万2100ユラ



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