覚醒
そんなある日。
いつも通り仕事をこなそうと思っていた。
「おはよございまっす」
「おはようございます、さ、今日も仕事始めましょう」
「はい」
今日は普通の仕事ができるといいな。
最近は今までより少しレベルが高い業務もできるようになって来た。
最初はギルドのご飯作ったり運んだりだった俺がよくここまで成長できたもんだ。
あの時俺が教えた日本料理で革命起こしたんだっけ、懐かしいな。
まあこの話は置いといて。
「今日何するんですか?」
「ん~、そうだね、」
「たいへんだぁぁーーーー」
「「うわっどうした」」
「どうされました?うわっすごい大怪我本当にどうしたんですか」
「出たんだ、あいつが。キンググレムリンが!」
ん?グレムリン?あいつって確か小悪魔だよな。
そいつにキングっているのか。
でも小悪魔なんかがこの王国の冒険者をこんなにきずつけることができるのか?
毎日資料見てる俺だから言えるけど、この王国の連中相当強いぞ。
「しかも結構下級悪魔連れてるんだ、60くらいか?」
マジかあいつこの世界で下級じゃないのか。
キングついてるくらいだしそりゃそうって話か。
「「あんたしかいないんだ、セツナさん。この町の最強聖職者は紛れもねえ、セツナさんしかいないんだ。もう一回やってみないか?」」
え?いや言ってた。事務作業中にちょっと前は私も冒険者やってた、でも仲間を救えなくてやめた。的な事を。
まさかそんなすごい人だったとは。
「いや、でも。私…あの、あれがトラウマで。また、誰かが私のせいで傷つくと思うと…」
「そうか、でも、あんた以外の聖職者で上級職はこの国にいないんだよ。そういう上級職は国から旅立っちまって魔王城付近で戦ってるのは知ってるだろ?」
「それくらいわかってます。でも、」
「あれはセツナさんのせいじゃない。あれが相手ならこの国のみんながそう言うはずだ」
なるほど。
理解した。この人は昔一緒の冒険者やってた人を守れなくて、それで自分のせいだって思っているのか。
でも周りの反応からして相手は相当強かったそうだ。
だから気にすんなと皆は言っているが、その人がそのことをひっぱってるなら自分で克服するしかない。
…よし
俺はこの時から、この人を守ろうと決めた。
「あの、」
「なんだよ!クモルは関係ないだろ」
「いや、借金で冒ライ登録することが可能って言ってましたよね」
「え、いや、できるけど…それがどうしたんですか」
取り乱しているのか俺と話すときの素と敬語が混じりながらこの人が言った。
「どうしたも何もこんな状況なんだから、冒険者は一人でも多いほうがいいでしょう。なら今俺がなって強い能力とかだったら、借金してでもなる価値はあるんじゃないですか?」
「「「!?」」」
その場の全員が息をひそめるように俺を見た。
「でも、クモル君がなったらわたし…」
「大丈夫ですよ。絶対死なないから」
「でも」
「大丈夫って言ったでしょ。はい、今持ってる全財産と、あとなんでしたっけ」
「体内の、マナを図るための、血液です」
マナはよくアニメに出てくるものと同じだったかな。
魔力値みたいなものだ。
「はい、よろしくお願いします。…っ」
セツナさんはまだ悲しそうな表情で、でも少し期待を持ったような目で採血を行った。
日本の注射と同じようなものだ。2倍くらい痛いけど。
「あの、採血が終わりました」
「ああ、ありがとう」
さあここからだ。
ここから、俺の運命の瞬間が始まる.
そうここからが本当の俺たちの冒険談が始まった時だった。
「す、すごい!これは!」
セツナさんはすごい驚いた感じで言ってきた。
まじで?すごいの?
「「噓だろ?このクモルが?」」
おっと、これは期待できるのか?
「こ、これは、闇属性超特化型ですよ」
「「「や、闇属性超特化型?」」」
なんだそれ?
俺でも聞いたことねえぞ。
いっぱい資料見たのに。
ほら回りも、しってるか?いや知らない、を繰り返してるぞ。
もしかしてみんな動揺するくらいすごい珍しいのか?
「これはですね、その名の通り闇属性の魔法にとても適している体質です。こんなの私も見たことがありません」
と、心の底から驚いたような声で言った。
見たことがない?冒険してたセツナさんでも?これは本格的にすごいんじゃないか?
周りも、
「マジかよ、この人でも知らないってだいぶすごいんじゃないか?」
「だな、もしかしたらすごい存在になるかも」
とか言ってるぞ。
その時一人の声でその場が凍り付いた。
「でも闇属性って6属性の中でも、一番使用してる人がいないから魔法教えてもらうの難しいんじゃないか?」
え、なに?魔法教えてもらうって。
「そうかじゃあこいつ今なにもできないじゃん」
「くそ1舜期待したのに」
「しかもデバフが超強いから、余計期待値高かったのに」
と、さらに深刻な顔で周りの人々は言っている。
「え、なに?どういうこと?」
そういったら最近友達になった確か白銀の魔とかいうパーティーリーダーのブレブがやってきて、緊張感がある声で、グッと顔を近づけて言った。
「そうか、クモルは知らないのかこっちのほうのことは。教えてやる、魔法っていうのは2つに分かれる。自分で作るか、人に教えてもらうかの二つに。魔法は自分で考えてイメージを作るのが難しいんだ。だが昔の魔法使いは今でいう初級から上級までの魔法を作ってた。今の魔法使いや魔剣士たちはそんな昔からあるのものを使ったり、ちょっとオマージュしたりして使う。だが、闇属性に適しているやつは少なすぎてそれを教えられる人がいねーんだ。だから陰魔法の使い手は独特な魔法を使うから人に教えたがらない。お前で作るしかないんだよ」
なるほどね。
「じゃあ作ればいいじゃん」
「今の話聞いてた?イメージとか難しいって言ったよね」
ああ聞いてただが俺を誰だと思ってる、ゲームとラノベが生きがいだったクモルさんだぞ。
「まあまあ、ちょっとしたモンスターっている?」
「いや急にそんなこと言われても」
イメージだろ?暇な時、ここはゲームもラノベもエロ本もない。そして魔法書何て高くて買えない。つまりカッコイイ魔法イメージしかやってこなかったんだぜ。後会った美少女、美女たち。そんな俺だからマナのイメージさえこの間につかめれば。…むずくね?今まで無かった感覚出すとかよく考えたらむずいんだが。よし、人に頼ろう
「そういえば、魔法だすとっきってどんな感覚なの?」
そしたらほとんどのみんなが
「「「そんなんひゅーっとやってひょいよ」」」
と声をそろえて言って行ってきやがった。クソっこいつら全員感覚派かよ。まあ運動も長く続けたら感覚に頼るもんなぁ。じゃあ昨日なんとなく考えたこれでいこう。
よし、イメージはばっちぐーだ。
「おい、そこにワラゴキいるぞ!」
え?何?ワラゴキ?こっちの特殊性壁?
「うわ、気持ち悪、なんだこれ」
「お前こいつ知らないの?ほらあれだ、台所を放置してると出るやつだよ」
ただのゴキブリじゃねえか。しかもわらじ虫みたいな触覚がいっぱい生えてる!嫌だなこいつ。
だが今はこれを試す時だ。さあ、行け!
「残撃!」
…ショワーとした音を立てて、そいつは霧のように消えていった。よかった、闇属性の特性でデバフが最強ならいけると思ったが、ここまでうまく行くとは。これは敵の内蔵に負荷をかけてマナごと削り落としていくイメージで作ったんだ。
「なんだあれ、信じられねぇ、お前才能があったのか」
「ふっそうかもな」
いいえ、ただの妄想力です。
「まさかクモル才能持ちとはな、今まで馬鹿にして悪かった。本当、お前には冒険者なんて荷が重いだろとか言って」
「いいって、そんなん昔の話だ。気にすんな」
「本当にいいのか?ありがとう、才能持ち!」
「流石に気負いすぎじゃねえか?もっと気楽にいこうぜ?な?」
「いや、だって魔法をゼロから作れる才能持ちなんてめっったにいないし、それでいて闇属性なんて、これもうこの世に1人いるかどうかだぞ?」
まじか、もしかして俺、この世界で、最強になれるのか?なっちゃうのか?
その時、ずっと黙ってたセツナさんが、ブワッと泣きながら飛びついてきて言った。
「やった!クモルくん。これなら、これならいけるかも!よし、じゃあ私もぜんっりょくでサポートするよ!」
「よ、よし。じゃあいくぞ!討伐に!て、てかセツナさんアタ、当たってるんですけど。その、む、むね、が、」
「え、あ、きゃーー。」
と、すごい勢いで俺を、ぶん投げた。おいこら
「いってて、何するんすかこんな時に!」
「いや、ごめん!もうクモルくん以外にはやらないから」
もう、何やってんだか。
「じゃ、改めまして、いくぞ!みんなーー!」
「「…おおー」」
何故かわからんが恨めしげな視線がこのギルド内に俺を目掛けてやってきた。
…なんだよ、もう。
借金は3万5300ユラになった。
そんなこんなで、キンググレムリン退治が始まった。
もう周りは剣のキィンって音や魔法のズキューンズキューンのズドドドドっておとで溢れかえっていた。
右を見てみると
「ファイヤードラゴンフライ」
「アースドカッター」
とか、左を見ると
「大切断、大蜘蛛の霰」
「シールドブレイクキャノン」
だのなんと言うか、古傷が痛む単語がいっぱい並べられていた。
つうかなんだよ、ドラゴンフライってこっちじゃトンボの意味じゃねえのか?…考えたら負けか前、魚が飛んでたからな。
後から聞いてみた話によると、これらは中級魔法だそうな。魔王なるものの城から、そこから一番遠い街のほんと真ん中ら辺にここがあるらしい。
そんなことは置いといて、ほんとすごい光景だ普通の悪魔がザックザック消えていってるな。
よし、俺も
「残撃、ン残撃、残撃ぃ」
ぷしゅぅぅと悪魔たちが消えていった。何これ超気持ちいい。
いやおかしい。なんでこの程度で倒せる敵にあんなにドタバタしてたんだ?
この国最強セツナさん持ってこないとやばい状況じゃなかったのか?
ちっちゃいやつらほとんど討伐されちゃってるぞ。
と思っていた矢先、声が聞こえてきた
「う、うわぁぁぁ。出たぞ、キンググレムリンと中級悪魔の群れだああ」
は?何それ、結構マナ使っちゃったんダケド。と言うか疲れたんダケド。
「よし、行きましょう♪クモルくん。ここからが本番ですよ」
「え?まじで?」
「はい、まじです」
「なあ、もうマナ少ないんだけど、つうか、LV1だから体力限界なんだけど」
「なんとなくわかってましたよ。みてたから。はい、マナが少し回復する実。高かったんだから感謝しなさいよね。後、スタミナヒール。どう?ちょっと回復したでしょ」
「ありがとうございます。こんなにやってもらって」
「いいのいいの、私がやりたくてやってることだから、さ、いきましょ。あと、これで立場対等だから、これからはタメ口ね」
「お、おう。ありがとう」
と言った時、近くにいた冒険者が
「え、いいの?じゃあ俺も…」
と言いかけた時、すっごい見幕で勢いよくセツナさんが
「ダメに決まってるでしょ!」
「「えぇ」」
なんかみんなこっちをみてる。怖い
「まあ、こんなことは置いといてさっさといくぞ、前線に」
「「「そんなことじゃない」」」
と、今度はセツナさんもが声を揃えていってきた。なんで?
いろいろあったが、前線についた。いやおかしい。なんか今まで倒してきたのが嘘みたいにボスっぽいモンスターがいるぞ。
「なあ、あれは3体しかいないなのか?それとも3体もいるなのか?」
この答えに対して誰も答えない。これが答えか。
そう、誰も声が出せないのも無理はない。悪魔って言ってたじゃん。なんでキングっぽいのとおまけみたいにミノタウロスのちっこいのと、マッチョのグールがいるんだよ!
悪魔関係ないじゃん。ねぇ
「うそだろ。ありえねぇ。なんであんな奴らがここに?」
クソッなんで、やっと異世界という俺の憧れのところに来たのに、なんで
「なんでここに来るんだよぉぉ」
いや、やってみなきゃわかんない。ここは覚悟を決めて、
と残撃を繰り出す瞬間、その時だった。
「ナゼトイッタナニンゲン」
と、真ん中のキングっぽいやつが急に人の言葉を使い始めた。
これは誰もが予想外なようで、
「なんだありゃ人語を喋ってんのか?」
などとざわつき始めた。そしてこの一言で回りぬ空気がガラッと変わった。
「ありえねぇ、よっぽど上位種じゃない限り、喉が使えるわけ…まさか」
「ソノマサカダ。ダガキンググレムリンはそこらの雑魚より少し強い程度。だろ?」
なんだこいつ、急に流暢に。
「だから私は考えたレベルを上げてあげてあげまくれば」
そう相手がグダグダ喋ってる時に、セツナさんが、驚きから戻ったのか俺に尋ねてきた。
「ねぇねぇ、クモルくん。こいつずっと喋ってるから、不意打ち攻撃行けるんじゃない?」
「確かに。俺残撃横の1匹にやるから。聖職者なんだっけ、真ん中のやつどうにかできる?」
「何度か打ち込めばだけど、油断してるから結構余裕じゃないかな。レベル上げたとか言ってたから少し打ち込みまくるよ!魔力切れになった時は頼むよ」
「了解」
俺は隣のミノタウロス(何故か動かない)目掛けて、セツナさんは真ん中の悪魔目掛けて、魔法を打ち込んだ。
「…あの旅は長かった強くなるため毎日…」
「フォーティスエクソシズム!ピュリフィケーション!ディープセイバーポリューション!」
「注ぎ込んでレベルをギィヤアアアアア」
「残撃、残撃、残撃ィ!」
そして今セツナさんのおかげで思いついた新魔法
「スクレイプオブライフ!いまだ!剣士のみんな!そいつをぶった斬れ。いつまでもぼーっとしてんじゃねぇぇ。」
この声で正気に戻った剣士たちが
「うおおおお」
と声をあげて突っ込んで、ミノタウロスは突破した。
「最後の残撃!グールもぶっ飛ばしてやる」
「しぶといわねキンググレムリン、私の魔力最大、ディープセイバーポリューション!」
その時不思議なこと。いや、ありえないことが起こった。俺の残撃とセツナさんのディープセイバーポリューションが、一つに混ざり合ってー
あたり一面が、爆散した。
それで、危険を察知して逃げ出したグール諸共消し飛んで、あっさりと勝利した。隣のセツナさん、いや、セツナさんだけじゃない、これをみてた全員があいつらが現れた時よりも、はるかに呆気に取られていた。
そして、勝利の祝いが始まった。
もちろんギルドでお祝いだ。
「いやなんだったんだありゃ、あんなの上級以上の魔法威力だぜ」
とブレブが。
「いや最高だったよ、みたかあの時のあいつらの顔。今となっちゃ、ぷくく、笑いが押し寄せてくるよ。はははは」
と、そのパーティの仲間のゼイドが。
みんながあの時の話題を話している。
と、その時
「クモルくーんちょっといいかな?」
とセツナさんが駆け寄ってきて。
「なんですか?じゃないや、なに?」
「あのね、ここのギルマスが、私達によくぞ討伐した。掲示板には貼ってなかったが、近くで同じような騒動が起こったからこちらも目をつけて貼ろうと思ってた。だがお前らがやってくれて助かったありがとう。今回の功労者に向けて報奨金だ持ってけ。ってこの袋渡してくれたの」
「…まじで?」
「それで、参稼報酬250ユラで、討伐報酬で3体で3000ユラ。キンググレムリンで1500ユラで、グールとミノタウロス一体討伐ごとに750ユラだって。つまり私たちでキンググレムリンとグール倒したから2250ユラだって!やったーーー」
いやまじかよ。最高じゃないか。ん?
「いや待て。じゃあほとんどセツナさんの力で倒したから、全部セツナさんがもらうべきじゃ」
「あー。みなまで言わなきゃダメ?」
だって伝わらないもん。と思っていたのが見透かされたんだろう。こんなことを言ってきた。
「んー、そうだな。じゃあここで言おう。クモルくんってさ、パーティメンバー欲しかったでしょ?」
「そりゃもちろん」
「じゃーあ、クモルくん。いや、“クモル”、私をそのパーティに入れてください!」
「「「「ええーーーーーーー」」」」
このギルド内全体で声が上がった。
中には恨めしげな、いや全体からだ、全体から鋭い視線が。何回目だよもう。やっぱ怖いっす。
「返事は?」
ともじもじしながら言ってきたセツナさん。超かわええ、じゃなくて。いや守るって決めただろ俺。
「もちろん、はいですよ」
「まったく、また敬語に戻ってるよ」
「あ、ごめん」
「「あははははは」」
と一部和やかに、一部泣いて、一部金切り声を上げている男性冒険者さんによって、この長い1日は終わった。
そして本当の冒険がここから始まる。
「どんまい、男性諸君。俺は、この国の天使と共に冒険していくぜ!」
無論俺はぶっ飛ばされた。
借金3万2100ユラ




