モテすぎ注意!美少女たちの宣戦布告
3人との放課後デートを終えた翌日の朝。
教室に入った瞬間——俺は悟った。
(……なんか、ヤバい空気を感じる……!!)
クラスメイトの視線が妙に俺へ集中している。しかも、みんなが興味津々の顔をしているのが気になる。
(な、なんでそんなに俺を見るんだ……!?)
次の瞬間。
「おはよう、修也くん」
「修也♡ おはよ〜!」
「……しゅーくん、おはよ……」
3人の美少女が完璧なタイミングで俺を包囲した。
(き、来たぁぁぁぁぁ!!!)
美麗はいつもの優等生スマイルを浮かべつつ、しかし目が笑っていない。
日菜はニコニコしながら、すでに俺の腕を掴んでいる。
風花は無表情……だけど、じっと俺の顔を見つめてくる。
(こ、これは……詰められるやつ!! 100%詰められるやつ!!)
俺はすぐさま逃げ道を探したが——
美麗が微笑みながら言う。
「さあ、修也くん?」
日菜が俺の顔を覗き込む。
「どの放課後デートが1番楽しかったのかな〜?」
風花が無表情で迫る。
「……私?それとも?」
……逃げ場なし。
(お、終わった……)
俺を囲む3人の美少女。
クラスメイトたちは、固唾を飲んで成り行きを見守っている。
(頼む、誰か助けて……!!)
しかし誰も手を差し伸べてはくれない。
それどころか、野次馬たちから好奇の目で見られている。
「ちょっ、みんな! そんなに注目しなくても……!」
「そりゃ気になるだろ。3人の美少女と放課後デートして、1番を選ぶとか」
「宮野、お前、人生最大のモテ期じゃん?」
(こんなモテ期、嬉しくない!! 逃げたい!!)
美麗が長い髪を耳にかけながら、微笑んだ。
「修也くん、あなたは私と図書室で知的な時間を過ごしたよね?」
「確かに勉強になったな……!」
「お互い、至近距離で見つめ合って、ドキドキしたよね?」
(う……確かに美麗の美少女っぷりを堪能できたけど……)
「じゃあ、私の勝ちだよね?」
すかさず日菜が前のめりになった。
「ちょっと待ったー! 修也、私とクレープ食べたじゃん? あ〜んもしてあげたし!」
「なっ……! そ、それは……!!」
「可愛い女の子と一緒に甘いもの食べるって、最高の放課後デートでしょ?」
(いや、確かに日菜といると楽しいけど、でも……)
「……夕焼け、綺麗だったよね」
風花がぽつりと呟く。
「しゅーくん、私と一緒に……落ち着いた時間、過ごせた」
(それは……確かに)
俺はあの公園での穏やかなひとときを思い出す。
美麗の知的でドキドキする時間。
日菜の甘くてスキンシップ多めの時間。
風花の静かで心が落ち着く時間。
(どれも……それぞれに良さがあるんだよなぁ……)
しかし——
美麗が一歩近づき、静かに問いかける。
「修也くん、どれが1番だったの?」
日菜が甘えるように顔を覗き込む。
「修也、正直に答えていいんだよ?」
風花がじっと俺を見つめる。
「しゅーくん、選んで?」
(ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!)
俺の心臓が跳ね上がる!膝が震える!
俺を見つめる3人の目が、めちゃくちゃ鋭い。
クラスメイトたちからの視線が突き刺さるように感じる。
(いや、無理無理無理!! これ、どう答えても修羅場確定!!)
ここで間違った答えを出したら、俺の命が危ない。
(こうなったら、最善の策を……!)
俺はゴホンと咳払いし、真剣な顔を作る。
「お、俺は……!」
3人が息を呑む。
「どのデートも、それぞれ違った良さがあった!」
「「「それで?」」」
3人が俺を追い込んでくる。
(ぐっ……詰んだ……!!)
だが、ここで諦めるわけにはいかない!!
俺は全力で取り繕うモードに入った。
「えっと……美麗のデートは、すごく知的で、新しい発見があった!」
「ふふっ」
「日菜のデートは、すごく楽しくて、甘くて……その……心が温まった!」
「えへへ〜♡」
「風花のデートは……落ち着いた雰囲気があって、心が癒された!」
「……うん」
3人はじっと俺の言葉を聞いていた。
そして——
「「「で?」」」
(あぁぁぁぁぁ!! もう逃げ道がない!!)
ここまで来たら——
「ぜ、全部1番だった!!」
「「「は?」」」
教室内が静寂に包まれる。
そして——
美麗と日菜が顔を見合わせ、不満げな表情を浮かべる。
風花は相変わらず無表情のまま、どこか納得のいかない目をしていた。
そして、3人の間に奇妙な緊張が走った。
「……じゃあ、どうすれば一番になれるの?」
沈黙を破ったのは美麗だった。
「え?」
俺が困惑していると、日菜がすかさず続ける。
「そうよ! これからもっと頑張れば、修也の中で一番になれるんでしょ?」
「……しゅーくん、私が一番がいい」
風花までさらっと主張する。
「ええぇぇぇぇぇ!?」
突然の宣戦布告に、俺は大混乱!!
「そ、そんなこと言われても……!」
「いいわ。私、完璧な彼女になる……。修也くんに選んでもらえるように」
美麗が頬を紅潮させながら、宣言する。
「んも~! 私はもっと甘えちゃう! 修也が私のことしか見えなくなるくらい、いっぱいくっついちゃう!」
日菜は腕を絡めながらにっこりと微笑む。
「……しゅーくん、私がそばにいたら、一番落ち着くよ」
風花がぽつりと呟く。
「ひゃあぁぁぁぁぁ!!!」
俺の悲鳴が教室中に響き渡った。
「宮野ぉぉぉ!! ふざけんなぁぁぁ!!」
「リア充爆発しろぉぉぉ!!」
周囲の男子たちから怒号が飛ぶ。
「いや、違っ——」
「ねえ修也くん、次の放課後デートは私と——」
「だ~め! 次は私が決まってるんだから!」
「……しゅーくん、私と」
「ちょ、ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!」
俺の叫びは教室中に響いたが、3人の視線は鋭さを増し、それぞれ「次こそ勝つ」と言わんばかりのオーラを放っていた。
俺は戦慄する。
まさか……ここからさらに、デート合戦がエスカレートするのか……!?
俺を巡る戦いはこれからが本番のようだった——