14 楽しい娯楽を周辺にひろげて文化的に侵略していく
娯楽の効能は宗教と同じだ。
国境を越えてひろがり、勢力を作り出す。
少なくとも支持者や賛同者などを作る。
これが大きな権勢になり、敵への牽制になっていく。
利用しない手はない。
もちろん、マコトとしてはただただ娯楽を頼みたいだけだ。
しかし、娯楽がもつ力を放棄するつもりもない。
利用できるものは何でも使う。
それで有利になるならば。
何も悪い事が起こらないなら。
もっとも、これをやるためには条件がある。
最低限、文字が読めること。
でないと小説や漫画は理解されない。
なので、最初は音楽や演劇が基本になる。
これなら文字が読めなくても楽しめる。
まずはここから始めていく。
その間に国内に娯楽を更に蔓延させる。
他国のものでは満足できないように。
こうして地元に、自国に定着する理由を作っていく。
ここにいた方が面白いし楽しいと。
生活が安泰なら、それ以外にその場にいる理由が必要になる。
領民は領主の所有物というだけでは人を縛る事は出来ない。
これでどうにかなるなら、農民の逃亡という事態が起こるわけがない。
物扱いしても人を留まらせる事は出来ない。
だからこの場にいる、この国にいる理由を少しでも作っていく。
マインドコントロールや洗脳以外にも、留める理由は多い方が良い。
そうして確保した人間に新たな文物を作らせていく。
なにせ知識も技術も植え付けるために国内各地に出向いたのだ。
その分の見返りは手に入れねばならない。
でなければ割に合わない。
そうして作り上げた人材が更に高い段階の文物を作り上げていく。
科学の発展であり、よりよい道具や機械の創造をしていく。
科学だけではない。
娯楽の分野でも同じだ。
よりよいものを見た者達がその後に続く。
出来上がるのは、よりよいものの複製や模倣程度ではあるかもしれない。
しかし、それならそれで構わない。
高い水準の現状維持になるのだから。
今までより下がらなければ、とりあえずは良い。
そうして高い水準を保ってるうちに、優れたものは更に良いものを作り出す。
そうして発展は継続していく。
だから、よりよい人材を確保しなければならない。
ここにいた方がよいと思える状況を作りださねばならない。
マコトはそんな状態を作り出そうとしていた。
外に新天地を求めるのではなく。
内側に理想郷を作り上げる。
その為に出来る事をしていった。
なにより、こうして出来たものが他国を圧倒していく。
浸透していく。
そうする事で自国の産品を求めるものも出て来る。
科学や技術による製品だけではない。
娯楽品もだ。
愛好者が増えれば支持者も増える。
それが不用意な侵略を遮る事にもつながる。
もっとも。
そんな優れた知識や技術、娯楽があるなら奪ってしまおう。
そう考える連中も当然出て来る。
旨みがあれば強奪したい、そんな連中も確かにいる。
そういう連中は難癖をつけて侵略してこようとする。
「鬱陶しい」
面倒なので、これらも一掃していく事にした。
もちろん、容赦はしない。
その為に、マコトは他国に足を向けていく。
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