1 異世界転生
「なるほどね」
寝かされてる実菜木マコトは状況を把握した。
生まれて数ヶ月、自意識すらあやうい赤児である。
そのはずなのだが、マコトにはしっかりとした意識や思考があった。
持って生まれた不思議な力というか。
それのせいなのかとマコトは考えている。
なにせ、周りにいる者達の考えが分かるのだ。
言葉にせずとも、意識が流れてくるというか。
「テレパシーだよな」
頭の中にある前世の知識からそう考える。
当てはまるのはそれくらいだ。
「となると、異世界転生か?」
これまた前世の知識にあてはめるとそうなる。
そう思うふしはある。
前世と思われる日本での暮らし。
そこでの最後。
報われない人生、最後の最後で清算したが。
決してよいものではなかった生涯の記憶がある。
そして、死んで何もない空間を浮遊するような感覚をおぼえ。
どこかへと流れていくような気がした。
気付いたら、今ここに赤児として生まれている。
何らかの理由で転生したと考えても良いと思えた。
同時に、今の状況に救いがないのも理解してしまう。
決してよい環境ではないのだ。
このままでは程なく死ぬかもしれない。
「何とかしないと」
ため息を吐いたマコトは、出来るだけあがこうと考えた。
自分自身のために。
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