011「『何でも屋』を始めたようです」
第一章スタートです。
孤児院の子供達と森に『ヘチウマ』を採りに行ったあと、とりあえず20本を乾燥させ、孤児院の畑に種も植えた。ヘチウマ20本だとヘチウマ1本から『ヘチウマたわし』は5個は作れるので、最低でも100個の『ヘチウマたわし』が作れるよう準備をした。そして⋯⋯、
「「「「「完成ぇぇーーーっ!!!!」」」」」
約2週間とちょっとで『ヘチウマ』が完全に乾燥。その後、俺のスキルで具現化した『ヘチウマたわしの設計書』を皆に見せ、作ってもらう。
「ふ〜ん、こうやって作るんだー⋯⋯」
「わーい、かんたーん!」
「できたよ! 僕、できたよー!」
どうやら、設計書は小さい子らにもわかりやすかったようで、あっという間に合計113個の『ヘチウマたわし』が完成した。
「うわぁぁ、すごい、すごーい! ヘチウマたわし、めちゃくちゃ汚れ落ちるぅぅーっ!!」
「すげぇぇ! すげぇぇ!」
「ええっ!? こんなに汚れが簡単に落ちるのぉ!」
ヘチウマを乾燥させている間、子供達には俺の『48のお掃除術』を伝授したので、完成後、子供達は自分で作った『ヘチウマたわし』を使って効果を確かめていた。小さい子供達はもちろん、俺たちより1つ、2つ下の年長の子たちまでも『ヘチウマたわし』の洗浄力に皆ビックリしていた。
それは、もう⋯⋯、
「これ、本当にすごいね、リオ! 台所の汚れも、食堂の床も、靴の汚れも、どんな汚れでも簡単に落ちるよ!!」
「ミトリの言う通りだぜ! これなら掃除なんてラクラクじゃねーか! これは売れること間違いないぜ!!」
『テレビショッピング』のプロ観覧者ばりに(笑)。
ミトリもペトラも俺の話を理解してくれた後は『ヘチウマたわし作り』を率先して動いてくれた。いろいろ残念なところもあるが、やっぱり頼りになる二人である。
「これで、ヘチウマたわしも完成した⋯⋯! 俺の『48のお掃除術』も全員習得した⋯⋯! 舞台は整ったっ!! よって、これより『掃除とヘチウマたわしで大儲け作戦』を敢行する!! 皆の者、であえ、であえぇぇぇ〜〜っ!!!!」
「「「「「わぁぁぁぁぁぁ〜〜っ!!!!」」」」」
俺は時代劇パッションを存分に振り撒いて、子供たちを町中へと一斉に解き放った。
「仕事依頼をゲットした者には褒美をやるぞぉ! 心してかかれー!!」
「「「「「はぁぁぁぁぁいっ!!!!」」」」」
うむ、良い返事だ。
ちなみに、褒美は『俺手作りの賞状』である。いや、子供達に「褒美何がいい?」って聞いたら「リオ兄ちゃんの賞状が欲しい」などと抜かしやがったんだよ。
「全く⋯⋯控え目に言って超絶可愛いな、おい!」
********************
——3時間後
「「「「「ただいまー!」」」」」
子供達が帰ってきた。
「おかえり。どうだったかね、午前の成果は?」
俺は子供達に手柄の確認をする。
「はーい! 依頼もらってきたー!」
「おお!」
「僕もー!」
「おお!」
結果、午前の依頼は2件だった。
「内容は?」
「家の中の掃除ー!」
「僕は草刈りー!」
「家の中の掃除に草刈りか〜。『48のお掃除術』は活きたか?」
「うん、バッチリだったよ! すごい綺麗だって褒めてくれたよ!!」
「僕もー! 家の人に今度は家の中の掃除もお願いしたいって言ってたー!」
おおー、すごい! なんて、有能な子供達なんだ!!
「いいぞ! みんなもこの二人のように依頼されたら、きっちりと仕事をこなしてくれ。もし、わかんないことがあったら俺は孤児院にいるからいつでも聞きに来るんだぞ?」
「「「「「はーい!」」」」」
当初、俺も営業に行こうとしたのだが、みんなから「ボスは何かあったら相談できるように、孤児院にいて欲しい!」ということを言われたので、結果的に俺は営業活動はせず、孤児院で子供達の相談役として留守番をしていた。
「よーし、じゃあお昼食べたら午後の仕事も頼むぞー!」
「「「「「はーい!」」」」」
********************
——午後スタート
「よーし、では午後も頼むぞ!」
「「「「「いってきまーすっ!!!!」」」」」
子供達が一斉に町へと走って行った。
「ふむ、さらに依頼が増えるといいが⋯⋯」
とりあえず、俺は皆がいない間に、
(ステータス!)
と、脳内で念じてみる。すると、ちゃんとステータスボードが表示された。しかも、口に出さず念じる場合は自分の脳内にステータスボードが展開されるようだ。つまり、外部からは見られない状態で自分のステータスボードを確認できるというわけである。
「おおー、まさか⋯⋯と思って、試してみたらやっぱり念じるだけでステータスボードが表示された。しかも、念じる時は脳内だけに展開されるってのはかなり使えるな。それにしても、このステータスボードを見れるのは自分のだけなのだろうか?」
そんなことを考えていると、
「リオ」
「あ、シスター・マリー院長先生!」
ちょうど、シスター・マリー院長先生が声をかけてきた。
「子供達は?」
「町に行きました。午後も1件でも依頼があったらいいんですけど⋯⋯」
「そうですね」
ここで、俺はシスター・マリー院長先生に『他人のステータスボードが見れるか』の確認をしようとお願いをした。
「あ、あの、シスター・マリー院長先生⋯⋯」
「? 何でしょう?」
シスター・マリー院長先生は俺の様子が変わったのがわかったのか、少し怪訝な表情を浮かべる。
「え、えっと⋯⋯手を⋯⋯つないでもいいですか?」
「え、ええ⋯⋯いいわよ」
シスター・マリー院長先生は一瞬顔を赤らめ硬直した。ああ、やっぱり、子供でも突然そんなこと言われたらびっくりするよな〜。ごめん、シスター。
というわけで、俺はシスター・マリーの手を握らせてもらった。そして、
(ステータス!)
と、心の中で念じた。すると、
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名前:シスター・マリー
年齢:24歳
身体能力:57
魔力:121
魔法:治癒、異常治癒
スキル:天啓(光)
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【毎日13時更新】
明日もまたお楽しみください。
あと、下記2作品も読んでいただければ幸いです。
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
https://ncode.syosetu.com/n3084hz/
「生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜」
https://ncode.syosetu.com/n6900id/




