表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/82

香菜は本気だと気がついた


 香菜さんが、兄と会った日の朝は、洋さんが麻さんに指輪をくれてから、まだ2日しか経っていなかった。

 香菜さんが兄に会った朝、麻さんは、パソコンだけ会社のシステムに繋ぐと、何もしないで、ぼんやり指輪を眺めていた。


 いつもなら、真面目な麻さんは、リモワをサボることはなかったが。

 しかし、ここしばらくの麻さんは違った。

 麻さんは途方に暮れていた。

 麻さんはどうしていいか分からずにいた。

 洋さんに、結婚してくれと言われても。

 プロポーズのきっかけが、浮気からの喧嘩ではと、麻さんは思う。


 結婚は一生の問題だから。

 麻さんは、勢いで結婚を決めたくないとも思った。

 麻さんは、妻の役割を果たせるか心配だったし。

 なんと言っても、最大の問題は、子供を産み育てることに、自信がないことだった。


 洋さんの中で、付き合うイコール結婚に、こうも早く話が進むとは、麻さんは思っていなかった。

 付き合って、何年かしたら、考えていけば良いと、麻さんは考えていたのだ。

 その頃には、麻さんも、妻になり母になる自信が生まれているかもしれないと。


 でもまだ自信がなかった。

 しかも、洋さんの行動が、麻さんには理解できない。

 麻さんは、途方に暮れる。


 そこに香菜さんが訪ねてきた。麻さんが言う。

「東京で会って以来だね?」

 香菜さんが言う。

「東京行って宝、その後仕事が後ろ倒しになってさ、忙しかったんだよ」

 麻さんが済まなそうに言う。

「ごめんなさい」

 

 香菜さんが言う。

「いいの。麻さんも大変だったね。ちゃんと食べてる? あれからどうなったの」

 そう言いながら香菜さんが、麻さんの指輪を発見した。

 「あれ、その指輪どうしたの? それ高いでしょう?」

 「分かるの?」

 「そりゃね。私はブランド品や宝石には詳しいんだよ」

 麻さんが指輪を見ながら言う。

 「洋さんが、結婚して欲しいって言って、おいていった」

 「洋さん、だいぶ頑張ってこの指輪を用意したんじゃない? 高いよー。その指輪は。それで、プロポーズは受けたの?」

 「保留した」

 「だよね。あの入院女事件の後、指輪もらって、”わぁ嬉しい”ってわけにはいかないよね?」

 麻さんが頷く。

香菜さんが指輪を見て言う。

「でも、勝手に選んじゃったかぁ。一緒に選びたいよね?」

 麻さんが言う。

「私は別に……」

 香菜さんが言う。

「そうなんだぁ」


 「香菜さんこそ、朝早くからどうしたの? 何時ならまだ寝ている時間でしょう?」

 「私は、美容室を開ける前に、麻さんのお兄さんに会ってきたんだよ」

 「そうなんだ、それで」

 「兄さんに、私はビジネスパートナーだって言われた。だから、距離を取ろうって言われた」

 「ああ、確かに今まで距離が近過ぎたよね。夫婦みたいだった。あれは周囲に誤解されるよ」

 「そうだけど。お兄さんから言われると、かなりショックで」

 「何がショックなの?もう充分、恩は返したと思うよ」


 香菜さんはうつむいて、無言になった。

 何か考えている様子だった。


 そして香菜さんが言う。

 「麻さん。私、兄さんに本気みたい」

 麻さんは衝撃を受けた。

 「え? 嘘ぉ。本気って、兄が好きって事?」

 「本当。私、兄さんを、本当に好きになってしまった。もうマジ手放せない!」


 麻さんには兄の何処が良いのか全くもって分からない。

 「えっ? お兄ちゃんの何処が良いの?」

 香菜さんが大きめの声で言う。

 「全部。全部だよ。麻さん、私もう一度お兄さんに会ってくる。ちゃんと話ししてみる」

 そう言うと香菜さんは麻さんの家を飛び出た。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ