洋さんの不審な行動の理由
香菜さんに言われて、麻さんは次の土曜日に、洋さんのマンションを訪ねた。麻さんは不意打ちで、洋さんのアパートを訪ねた。
洋さんは戸惑っていた。洋さんが麻さんに言う。
「急に来て……。どうしたの?」
香菜さんにいきなり訪ねた方が良いと、香菜さんに言われたからだったけど、そうは言えない。
麻さんがオブラートに聞いた。
「最近、会えなかったから。ダメだった?」
洋さんは困っているらしかった。
「ダメじゃないけど。13時から用事があって……。麻さん、1人で部屋で待っていてくれる? 絶対夕方には帰って来るから。帰らないで待っていてくれる? 夕食は美味しい店にいこう」
麻さんが聞く。
「それは良いけど。何処に行くの?」
「あっ、お見舞いだよ。友達が入院をして、身寄りがないから、色々世話していたんだ」
麻さんが聞く。
「もしかして、会えなかったのはそれが理由?」
洋さんが説明してくれた。
「うん、そいつは最近手術もしたから。病院決めるのも。医者の話聞くのも付き合ったし。手術の日も一日中病院で待機したりしていて……」
麻さんは切なくなった。
「何で教えてくれなかったの?」
洋さんは煮え切らない態度だ。
「なんて言うか……。麻さんより友達を優先するのが悪いと思えて」
麻さんがその友人を気遣って言う。
「でも身寄りがない友人なんじゃ、仕方ないよ」
洋さんはホッとしたように笑った。
「ごめんね。麻さん」
麻さんが言う。
「良いよ。気にしないで」
そして、洋さんは13時近くになると、マンションを出て行った。
麻さんは追跡アプリで洋さんの位置を確認しながら、香菜さんに電話した。
何でそんなアプリが、麻さんの携帯に存在しているかと言えば。
お互い何処にいるか分かる追跡アプリを、心配性な洋さんに、麻さんが入れさせられたからだ。
皮肉にも、そのアプリで洋さんは、麻さんに追跡を受けていた。
麻さんが香菜さんに説明した。
「友達が入院していて、面倒を見ていたんだって。ちゃんと病院に入って行ったよ」
香菜さんが言う。
「麻さん、その友達の名前聞いた?」
麻さんは名前を聞くことなど考えもしなかった。
「え?」
香菜さんが同じ質問を繰り返す。
「その友達の名前は、ちゃんと聞いた?」
麻さんには、名前を聞く理由がわからない。
「何で名前聞くの?」
香菜さんは、既に疑っていた。
「まさか、女友達じゃないよね? 男友達だよね?」
麻さんが動揺した。
「まさかそんな……」
香菜さんが言う。
「今までの洋さんの説明が、怪しすぎるよ」
麻さんにはまだピンとこない。
「怪しいかな?」
香菜さんが、説明をしていく。
「男友達なら、もっと前から具体的に、色々話してくれてた気がする。会話の話題としてさ、話に多少は出たと思うのよ」
麻さんも、段々そんな気がしてきた。
「確かに、全然出てこなかったよ」
香菜さんが言い放った。
「だとしたら、やっぱり。その友達は女かもしれないよ」
麻さんが動揺して言う。
「洋さんが、まさか……」
香菜さんが言う。
「麻さん、私、明日そっち行くから。洋さんにちゃんと聞いてみよう。麻さんじゃ心配だから、私も行く。それまで素知らぬふりして過ごしていて」
本格的に探偵香菜さんが発動した。




