南央美は暴れました
南央美は暴れました
実はこの騒動の中、店内に香菜さんもいた。
クラブへ出る前に、香菜さんも兄の美容室に、髪型をつくりに来ていたのだ。
香菜さんが南央美に言う。
「ここではお客様もいます。ですから奥で話されてはいかがですか?」
南央美の表情は硬い。
「あんた誰よ?」
兄が説明した。
「俺の共同経営者の香菜さんだ。資金も出してもらった」
南央美の口調は険しい。
「はぁ?あんたが共同経営者だって?あんた悪いけど、私の亭主と別れてくんない。まだあんたと彼の間には、子供も居ないんだよね。私と別れた後に付き合ったんじゃぁ。付き合いも短いでしょう?」
香菜さんが毅然と言う。
「別れると言っても、そもそも、付き合っていないんです。単なるビジネスパートナーです」
南央美は勝ち誇ったように言う。
「だったら良かった。私は十数年付き合って、子供も出来たの。あんたに私の男を渡せない」
香菜さんが兄をみる。
兄は、目をそらした。
香菜さんが南央美さんを見た。すると南央美が香菜さんに聞く。
「あんた、この店にいくら出したの?」
香菜さんは答えない。
すると南央美は大声を出した。
「いくら出したか聞いているのよ!」
香菜さんが仕方なく答えた。
「900万です」
すると南央美が通帳と印鑑を差し出した。
「はい。あげる」
通帳を差し出されて、香菜さんが驚いて聞いた。
「え? なんですか? これ?」
南央美がぶっきらぼうに言う。
「1000万入っている。900万と、その利子と、慰謝料を合わせて100万円よ。だから今すぐ彼と別れて、今すぐここから出ていって!」
香菜さんが通帳を見る。それから兄をみた。でも兄は香菜さんの顔を見ようとしない。
「ひとまず。通帳と印鑑を預かります」
南央美が驚く。
「え?ひとまずってどう言う意味?」
香菜さんはピシッと答えた。
「弁護士の相談してみます。それからしか話し合いできません。私は資金を出しただけじゃないんです。共同経営者になっているんです。出資の形をちゃんととったんです。それに結婚はしてないので安心してください。私、これからお店に出るので。クラブも私が経営しているので、出ないわけにいかないので。では私はこれで」
香菜さんは店を出て行く。その背中を南央美が追う。
「ちょっと待ちなさいよ」
兄が南央美を止めて言う。
「これ以上はやめてくれ。香菜さんが居なかったら、店をオープンできなかったし。今も客を世話してもらっている。彼女なしに、この店は回らないんだ」
南央美は兄の顔を見て言う。
「本当、あんたって。自分だけでは何1つ出来ないクズ男よ。あんな女に頭が上がらないなんて! 悔しくてたまらないわ」
そして南央美は勝手に店の奥の住居スペースに入っていく。
それを見て、母親が兄に言う。
「本当によりを戻すの?母さんは香菜さんの方が好きだわ。南央美さんは嫌い。可愛くないんだもの。見かけはそこそこだけど、子供を産んで、また性格ブス度が上がったわね」
兄が母親を見て言う。
「もう何も言わないでくれ」
母親はフンとだけいった。




