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コーラル 前編

 草木が彩りを落とし、本格的に風が冷たくなる季節が始まろうとしていた。


 アパタイトがセオドアに拾われて早くも五ヶ月ほどが過ぎ、寮内は衣替えが行われていた。昨年に使っていた上着を引っ張り出してくるものもいれば、新しい衣服をセオドアにねだっているものもいる。


 どちらかと言えばアパタイトは後者になるだろう。アパタイトがやってきたのは冷季の始まりごろで、上着はまだ持っていなかった。


 プログラムによって得た給金や小遣いもあるが、あまりそれを持って外に出たくはない。弱者が身にあまるものを手にしていれば、強者に奪われてしまう可能性が高いから。


「なにをそんなに難しい顔をしているんです?」


 廊下から外を見ていたら、窓に美しい顔立ちが映る。相変わらずの爽やかなにこにこ笑顔を浮かべるコーラルだ。


「寒くなってきたので、羽織るものがほしいと思っていました」

「テディにお願いすればいいのでは?」


 セオドアは連日、友人たちにねだられている。一人、また一人と数が増えていて大変そうで、ほしいものリストなるものまで提出されていると聞く。


「では、俺と一緒に買い物に出かけますか? たしかアパタイトはすでにプログラムをこなしていますよね?」


 思ってもみない提案だった。


「ヒスイは今、ほかの友人にお熱みたいですし」


 今度は意地の悪い笑みだ。


「俺も新しい服がほしかったところなんですよ。テディには俺が外出の許可をもらってきますから」


 アパタイトは逡巡したのち、了承した。


 コーラルとはいったん別れ、身支度をするために部屋に戻る。狙われる確率を低くするため持ち出す荷物は最小限に。銀貨が数枚入った革の巾着を腰に下げ、玄関へと急ぐ。


 コーラルはすでに準備を終えていた。黒いシャツに灰色のコートを羽織っており、灰色のキャスケットをかぶっている。


 さらに腰元のベルトには珊瑚色の宝石があしらわれた剣が下げられていた。剣身がおおわれているところを見るに持ち運び専用のベルトなのかもしれない。


「ふふ。気になりますか?」


 アパタイトの視線を受け、コーラルが撫でるように柄へ手を置く。


「これは護身用のレイピアです。それと念には念を。背中にもあるんですよ」


 コートの下に隠れた背中部分には短剣が一本あった。これも剣身がすっぽり収まっている。


 アパタイトたちの住む町シールズは比較的治安はいいが、それも人目のある場所に限られる。


 それでも、この国は今、目覚ましい発展を遂げているとセオドアが言っていた。


 近い将来、国内は整備され、アパタイトたちのような孤児がいなくなるのではないかとも。それはそれは目を輝かせていた。


「表通りはともかく、ひと気のない場所は危険ですからね。ショーウィンドウにあまり気をとられず、俺から離れないようにしてください」


 これから行くのはアトラルという港町だそうだ。港町らしく商人の往来が激しく、輸入品を取り扱っている店が数多く出ている。そんな海の向こうからやってくる商人をターゲットに国内からも様々な品物が集まってきているのだとコーラルが道中に教えてくれた。


 町の中心は建物を据えた店、海に近づくほど移動式屋台というふうに住みわけをしているようで、今回は町の中心が目的地だそうだ。


「アパタイトはどんな上着がほしいんですか? 俺が着ているようなコート? 動きやすいように軽めのカーディガン? それとも海外の民族衣装でも探してみますか?」

「寒さをしのげるならなんでもいいです。僕はなにがいいかわからないので、コーラルが選んでくれると助かります」


 難しい返答にも関わらず、コーラルは真剣に悩んでくれていた。


「わかりました。ちなみに予算はどれほどでしょうか」

「今持っているのは銀貨五枚です」

「なるほど。高価なものでなくていいのなら、十分すぎるほどですね。マフラーや手袋も一緒に選びましょうか」


 しばらく通りを歩き、コーラルが選んだ店に入った。


 店内は淡い橙色の照明に照らされ、静かで落ち着いた雰囲気だ。ちらほらと客もいてアパタイトは思わず足を止めてしまった。


「どうしたんですか?」

「……いえ。こんな場所に来るのは、初めてで」


 アパタイトは腰に下げている巾着を無意識に握っていた。ど、ど、と心臓が主張を強める。


「アパタイト。俺の隣に来てください」


 マネキンの前に立つコーラルの隣に、ゆっくりと近づく。


「なにか、不安に思うことがありますか?」


 コーラルは服を見ているようで見ていない。視線はアパタイトに向いている。


「コーラルも、殴られるかもしれません」

「も、ということは、アパタイトは殴られるんですか? 誰に?」


 内容が内容だけに、コーラルは声を潜めた。


「店の人に、です」

「アパタイトはここでなにか悪いことをしたんですか?」


 アパタイトは控えめに首を横に振る。ここに来たのはもちろん初めてだ。よからぬことなどしようもない。


「僕が店に入ると、殴られます」

「店にはすでに入っているじゃないですか。けれどアパタイトは殴られていませんよね?」


 まだ母が生きていて、隙間風の絶えないぼろ屋に住んでいたときの記憶だ。


 飢えないよう日銭を稼ぎ、その日の空腹を満たすために売れ残りのパンを買いに行く。それがアパタイトの日常であり、貧しい子どもたちの当たり前であった。


 けれどほんのわずかな銭も稼げなかった子どもが、親に叱られたくがないためにパンを盗むこともある。それは同じ店で繰り返され、やがてその地域ではぼろを着る子ども全員が警戒されていったのだ。


 店主は子どもの顔などいちいち覚えていられず、みすぼらしい子どもがパンを買いに来ただけで追い出そうと躍起になってしまっていた。


「だから、僕と一緒にいるとコーラルまで追い出されてしまうかもしれません」

「俺の心配をしていてくれたんですね。ふふ、ありがとうございます。ですがアパタイトは今、ぼろ布をまとっているわけでも服を盗みに来たわけでもありません。悪いことをしなければ殴られることもないでしょう」


 巾着の革ごしに硬貨の感触が手のひらに伝わる。


「そもそも俺が黙って殴られると思います?」


 コーラルがにこりと笑い、レイピアの柄に手をかけた。


 少し迷い、アパタイトはこくりとうなずく。アパタイトの返答にコーラルはきょとんとしたが、すぐに「ふふ」と笑顔を戻した。


「アパタイトは本当に面白いですね。それでは買い物を再開しましょう。不安なら俺の後ろをついてくるだけで構いません。気になったものがあれば呼び止めてください」


 アパタイトは握りしめていた巾着から手を離し、ゆっくりと歩きはじめるコーラルの後ろについた。


 マネキンが着ている服はどれも寒季に備えたもので、今のアパタイトよりも暖かそうだ。


 見るからにふわふわとした上着もあり、たまに友人が抱えているぬいぐるみを連想して思わず触りたくなってしまう。


「なにか気になるものはありましたか?」


 店を一周したようで、入り口付近まで戻ってきたところでコーラルが振り返る。


 目を引いたものはあった。あのふわふわな上着だ。けれど着たいとは思わなかったため、アパタイトは首を横に振った。


「そうですか。では別のお店に行ってみましょうか」


 次にやってきたのは華美さのない質素な店だった。壁や柱には飾りけがなく、窓も四角の簡素な造りになっている。


 入って正面にはまるで出迎えるように数体のマネキンが置かれていて、店内は狭い。十歩も歩けば奥はすぐそこだった。


「いらっしゃい。なにをお探しで?」

「寒季を快適に過ごせる上着を。あとはマフラーや手袋なんかもあればいいですね」


 奥だと思っていた壁は仕切りだったようで、向こうからから店主であろう初老の男が顔をのぞかせた。


 最初はコーラルの頭のてっぺんから足の先まで見ていたが、それに気づいたコーラルが一歩下がったことによって店主の視線がアパタイトへ移る。


 同様に何往復かされ、アパタイトはごくりと唾を飲んだ。


「こっちへ来な」

「行きましょうか」


 コーラルに背を押され、仕切りの向こう側へ行く。


「防寒具はその箱の中にあるから勝手に見な」


 店主がぱっと指さした木箱はいくつかあり、種類別になっていた。マフラーや手袋、耳当てなど各種豊富だ。


「手触りもいいですね。無地から柄物まで、よりどりみどりです」


 コーラルに倣い、アパタイトも手袋を手にとってみる。


 以前、野ざらしだった指先が冷えすぎてまったく動かなくなったことがあった。ものを掴もうとしても思うように指は曲がってくれず、息を吹きかけ続けてようやく動かせるようになったのだ。


 これなら指先が冷えることはないだろう。


「にしても、数が多いですね。気に入るものはありましたか?」

「これにします」


 アパタイトが選んだのは紺色の手袋だ。柄はなく無地の。それから似たような色で無地の防寒具を探した。


「アパタイトはシンプルなものが好きなんですね」


 手袋、マフラー、耳当てを選びおえたところで店主が上着を手に戻ってくる。腕には系統の違う上着が抱えられており、その辺にあったマネキンに着せていた。


 コートにカーディガン、どこかの民族衣装のようなものまである。


「傾向を鑑みると民族衣装はなしでしょうか」


 非常に暖かそうではあるが、模様が多い。アパタイトの好みからは除外されるだろう。


「実際に着てみてもいいぞ」


 店主は傍にあった椅子に腰を据え、新聞を読みはじめた。


 コーラルにもうながされ、アパタイトは袖に腕を通してみる。数値を測られたわけでもないのにサイズがぴったりでアパタイトは驚く。


 最初にじろじろと見られたのはサイズを確認されていたのかもしれない。だとするならば、よほど腕がいいのだろう。


「これが、いいと思います」


 アパタイトが選んだのは黒色のカーディガンだ。丈は膝裏まであり、かなりゆったりとしている。


「では、それを買いましょう。一着だけだと洗濯するときに代えがありませんから、もう一着選んだほうがいいかもしれません」


 もう一着は、せっかくなら茶色のコートを選んだ。コーラルが羽織っているのと少し似ているものを。


「まいど」


 コートは紙袋に入れてもらい、カーディガンはそのまま着て帰ることにした。冷たい風が吹いてもカーディガンが守ってくれる。


「せっかく商業区まで出てきたんですから、寄り道してから帰りませんか? ここまで歩き、慣れないことをしたので少し疲れているみたいですから。休息も兼ねて、いかがですか?」

「はい、そうします」


 コーラルとアパタイトは市場までやってきた。屋台がずらりと並んでおり、工芸品などもあるがほとんど飲食物が売られている。


「魚と肉、アパタイトはどちらが好きですか?」

「肉のほうが好きだと思います」

「わかりました」


 コーラルが人混みに消え、しばらくしてふらりと戻ってきた。両手に肉の串焼きを持っていた。串の持ち手には紙が巻かれているため手が汚れる心配はなさそうである。


「どうぞ」

「ありがとうございます」

「向こうに座る場所があるので、そこで休憩しましょう」


 テーブルを囲み、一息つく。


 直前まで熱されていた肉に翻弄されながらもアパタイトはぺろりと平らげてしまった。甘いたれの味が口に残り、胃が「もっともっと」と欲する。


「アパタイトは食べるのが早いですね」


 コーラルはまだ一つ目の肉しか食べられていない。


「飲みものがほしいです」

「たしかに、味が濃いのでのどが渇きますね。そこに飲みものを売っている屋台があるので、俺の分も買ってきてもらえますか。味はアパタイトに任せます」


 コーラルは片手で器用に硬貨を投げた。二人分だ。


「コーラルから離れて大丈夫ですか?」

「俺の目が届く範囲にいれば問題ありません」


 アパタイトは屋台に向かう。列に並び、順番が来るのを待つ。脇の看板にメニューが書かれており、なにを買うか考える。


 ちらりとコーラルのほうを見やるとひらひらと手を振ってくれた。串焼きもようやく三つ目の肉に到達しており、戻るときには食べおえてちょうどいい頃合いそうだ。


 アパタイトはメニューから紅茶を選んだ。以前、エイヴァと飲んだときにおいしかった記憶がある。


 こぼさないように席に戻ると、予想通りコーラルは食事を終えていた。


「ありがとうございます」


 紅茶を一口飲み、アパタイトはカップから口を離した。


「どうかしましたか?」


 紅茶の味はする。けれど前とは確実に違う。


「もしかして、甘い紅茶のほうが好きですか?」


 アパタイトは小さくうなずいた。


「甘さ控えめで俺はこっちのほうがいいですが……シロップをもらってきましょうか」


「飲めないことはないので大丈夫です」


 甘くなくとものどは潤う。それにお金を出したのはコーラルだ。贅沢は言えない。


「ほしいものはほしいと言ってくれていいんですけどね」

「……それは、わがままになりますか?」

「どういう意味でしょうか?」


 コーラルは意図を拾いきれず、首を傾げる。


「よく、もっとわがままになってもいいと言われます。シロップがほしいと言えば、わがままになれますか?」


 真剣な顔をしておかしなことを聞く。コーラルは「ふふ」と笑った。


「そうですね。わがままになるかもしれません。なにせ商品はもう提供され、口にしていますから」


 コーラルはテーブルに肘をつき、指を組んだ。


「どうします? シロップはほしいですか?」


 アパタイトは眉間にしわを寄せた。本当にほしいと言っていいものか、頭のなかでぐるぐるしている。


「ふふ。そう難しい顔をしないでください。これは俺の考えですが、わがままというのは故意になる必要はないと思います。けれど今回は俺が誘ったわけですから、アパタイトにも満足して帰ってもらいたいです。よりおいしく飲めるようにシロップをもらってきますので、少し待っていてください」


 店からシロップを受けとってきたコーラルはアパタイトのカップに垂らす。お礼を述べて飲めば、それは以前に飲んだ味とほぼ同じだった。


「それでは帰りましょうか。人にぶつかってこぼさないように気をつけてください」


 帰路は静かなものだった。


 アパタイトもコーラルも積極的に話すタイプではなく、共通の話題もない。特にコーラルは寮にいるよりもプログラムに出ている期間のほうが長いくらいだ。


 そのためアパタイトはコーラルという人物を計りかねてもいた。いつもにこやかな笑みを浮かべる柔和な人ではあるが、エイヴァに対する一面をアパタイトは知っている。けれど今日、手を引いてくれたのは事実で。


 先を歩くコーラルの背中を見ながらもんもんとしているうちに寮についた。玄関先で軽く埃を払っているとぱたぱたと足音が近づいてくる。


「やっと帰ってきたのね、コーラル」


 青い目、ハーフアップにされたブロンドの髪。トレードマークの水色エプロンドレスがふわりと揺れる。


「俺になにか用ですか? ペリドット」


 コーラルに名前を呼ばれて照れるペリドットと目が合う。一瞬いやそうな顔をしたが、コーラルの前で品のないまねはできないのだろう。さっと顔をそらされ、一瞬でいないものとして扱われることとなった。


「またコーラルに手紙が来てたのよ」


 ペリドットは封蝋の施された手紙をコーラルに手渡した。まるで恋文を渡しているような雰囲気が出ている。


「ありがとうございます。ではアパタイト、また出かけましょうね」


 コーラルは手紙をさっと懐にしまうと部屋に戻っていってしまった。


 アパタイトがコーラルと出かけていたことが気にくわなかったようで、去り際にぎろりとペリドットに睨まれる。


 ――もう、なんとも思わなくなってしまったな。


 それから数日、アパタイトは一人で寂しい日々を過ごしていた。ヒスイはスピネルにかかりっきりで、アパタイトに声をかける暇もなくなっている。いや、スピネルに邪魔されていると言っても過言ではない。


 アパタイトとヒスイが話していると、まるで番犬のように威嚇してくるのだ。悪知恵を働かせ、ヒスイにばれないよう後ろから睨んで。


「わっ、とと。ごめんね。急いでるから」


 考えごとをしていたせいで注意が散漫していた。曲がり角で危うく誰かとぶつかりそうになる。すんでのところで回避した友人は腕に何通もの手紙を抱えていた。


「すみません。落としています」

「あー、えー、ごめん! 代わりに届けて!」


 アパタイトが落ちた手紙を拾ったときにはもう後ろ姿は小さくなっていた。


 呼び止めようにも聞いてはくれないだろう。仕方なく封蝋のされた手紙を裏返すと宛先と差出人が書いてあった。


「差出人はレオとルシア……宛先は、アトレ?」


 聞いたことのない名前だ。誰か確認しようにも先ほどの友人はすでに姿形もない。


 ほかに手がかりはないか、アパタイトはしばらく手紙と見つめ合う。封蝋の印は鷹を模しているようだが、あいにくそれらの知識は持ち合わせていない。


 ――テディに確認したほうが早い。


 どれだけ考えたって知りもしない答えなど出ないのだ。アパタイトは踵を返してセオドアの執務室へと向かった。


「ああ、これはコーラル宛てだよ」


 手紙を見せればセオドアはあっさりと教えてくれた。


「コーラル?」


 宛先はコーラルとはなっていなかったはずだ。


「アトレというのはコーラルの本当の名前だよ」


 アパタイトは気づく。誰もが名前を持っていないわけではない。むしろ自分の名前を知らないアパタイトのほうが少数だろう。


「せっかくだから一緒に届けに行こうか」

「一人で行けます。部屋の場所は友人に聞きます」

「いや、ちょうど私もコーラルに用があったんだ。来てもらうよりもそちらのほうが早い」


 二人でコーラルの部屋に行き、ノックする。出てくるまでに間があったが、快く迎え入れてくれた。


「僕は手紙を渡しに来ただけですから、入る必要はありません」

「そう言わずに。テディもいいでしょう?」

「もちろんだとも」


 コーラルはアパタイトから手紙を受けとると、一瞥もせずに机の上に置いた。


「どんな案件でしょうか」

「……プログラム希望者はリーゼロッテという十四歳の少女だ。親ではなく、彼女自身の希望でプログラムに申し込んでいる」


 セオドアは小さく息を吸う。


「彼女は生まれつき体が弱く、病気でね。余命もあとわずかだと聞いている」

「俺になにをしてほしいんですか?」

「思い出を作りたいそうだ。健康な子がしていることをしてみたいと」

「それなら、性別が同じほうがいいのでは?」

「彼女も常に体調が悪かったわけではない。体調のいい日には学校にも通っていたが、彼女の病気を受け入れられない子もいてね。ひどい言葉をかけられたそうだよ」


 だから怖い女の子ではなく男の子を希望している。


「今回は事情が事情なだけに、こちらもより慎重に扱わなければならない案件だ。悲しい思いをするかもしれない」

「俺は構いませんよ。いつも通り、友人になるだけですから」


 コーラルの返事を聞いたセオドアがアパタイトを向く。


「君を同席させたのは、コーラルと一緒に行ってほしいからだ。一人よりも二人で、彼女に素晴らしい思い出を。ただし、無理だけはしないように」

「わかりました」


 二人の了承を得られたセオドアはほっとしたように眉を下げた。


「詳しいことはまた後日に」

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