君がいる日
私は日曜日の部活が好きだ。
「今からお昼ご飯ね。この時間にお水がなくなった人は買ってきてください」
監督の声がテニス場に響き渡る。
「つかれたー。暑すぎ~」
私、清水唯は同じテニス部の子たちと涼しい食堂へ向かう。今日は日曜日で食堂の営業はしていないが部活生のために開放してある。
日曜日なのでもちろん部活をしている人しか今は学校にはいない。テニス部と食堂を結ぶ道には体育館がある。
「キュッキュッ」
体育館からバッシュの音がする。
平日に比べ人が少ない学校にはよく響く。
無意識に音がする方を見てしまう。
「唯ちゃん?どした~?お弁当たべにいこー」
私自身止まっていたことに気が付いて我に返る。
「あ、ごめんごめん!おなか減った!いこいこ~」
「唯ちゃんほんとよくたべるねー」
友達が私の持ってきたお昼を見て毎度のごとくおどろく。
「食べなきゃ体が動かないよー」
「それにしても食べ過ぎて体動かなくなりそうだよ」
「えー?あ、でも今日スポドリあと1本しかないから買いに行かなきゃ」
そう言えば今日1本来る途中に飲み切ってしまったことを思い出す。
「熱中症だけは気を付けなきゃだもんね。てかこの季節の部活はほんと地獄だよ……」
「えー?そうかな?確かに暑いけど私は好きだよ」
「唯ちゃんは元気だな……おばさんに体力分けて?」
「おばさんって!同い年じゃん!」
私はそう言って友達の背中をたたいてパンにかじりついた。
「ごちそうさまでした」
私は食べたごみをごみ箱に捨てて自販機絵向かう。
セミの声がいつもより響き渡る。
「吹奏楽部も今は昼休憩なのかな?」
小さくそう呟いて音楽室のほうを見ると親友の篠原紗耶香が小さく見えた。
「さーやーかー!」
私は紗耶香のほう向かって手を振る。
少し高めの声なのでよく響く。紗耶香も私に気が付いたのか小さく手をふってくれる。
「元気だね」
「ん?」
私の体が大きな影に包まれる。
「おつかれ、唯。紗耶香もだね」
横の男の子、バスケ部で三木良太も紗耶香に手を振り紗耶香も小さく振り返す。
「三木もおつかれさま。バスケ部めっちゃ頑張ってるね」
「テニス部もでしょ?」
笑った笑顔がまぶしい。
「おたがいさまだねっ!」
三木の背中をたたいて自販機に向かう。
「まってよ、唯。俺も自販機だから一緒にいこ」
「じゃあ、競争する?よーいどん!」
私は自分で言って自分で走り出す。
「いや、あついよ……。しかたないなー」
後ろからそう小さく聞こえたかと思ったらすぐに私に追い抜かれる。私は大きい背中を追いかけていった。
「唯……結構はや……い」
三木が隣でベンチに横たわっている。
「いや、三木速すぎ……私男子にもあんまり負けないのに……」
私自身走るのにはそこそこ自信あったのだが三木には追いつけなかった。
「三木手加減してくれてもいいじゃーん」
私はぷくーと頬を含まらせる。
「いや、手加減しても怒るでしょ?」
「そうだけど~」
図星を突かれてさらに膨らませる。
「はいはい、よしよし」私の頭を三木がなでる。
「むー!子ども扱いするなー!」といいつつ私は抵抗しない。
三木にこうされるのはすごく好き。いつメンのことも好きだけど、三木とこの二人の時間がすごく好き。
「ね、三木?」
「何、唯?」
「部活おわったら一緒にかえろっ!」
「りょーかい」
「そろそろ戻ろっか!」暑い太陽にスキップして出ていく。
私は日曜日の部活が好きだ。