応用
「ほう、速いな」
「それほどでもないよ」
「俺にとっては鈍いがな」
「剣撃 みだれ筋」
斬撃が視界を埋め尽くすほど飛んできた。
「避けてみろ!」
「身体強化魔法 ハイア」
僕は跳躍力を上げて飛び上がった。斬撃は僕の下を通っていった。
「おお!魔法が上手だな!怖くないのか?」
「高いけど怖くないよ。練習して慣れてるから!」
「そうか。だが、空中にいる間は身動きできまい。お前の断末魔を聞く時が来たようだな!」
「果たして、そうかな?」
「ふふふ。剣撃 みだれ筋」
僕の方に斬撃が飛んできた。うむむ、禁忌魔法になりそうな魔法は使いたくないからなぁ。よし!
「風魔法 ウィンド」
僕は自分の体を風で飛ばして、先生の方へ来た。身体強化があるからこの高さから地面に降りても大丈夫だ!
「逃げても無駄だぞ!」
「逃げてないよ!剣を拾いたかっただけ」
僕は先生の細剣を手に取った。見た目より重い。元の世界の体だったら持てないくらいだ。
「お前は魔法しか使えないだろう?」
「え?」
「聞こえないふりをするな!」
少し芝居をしようかな。
「えー僕使えるもん!」
「嘘だな。お前は魔法を習得している。その年で魔法技術が魔法師と変わらない。生まれた頃からずっと魔法を鍛えていないと説明がつかないんだ」
「魔法を三年ほど鍛えてもお前のように魔法は使えない。才能があるのだろう。しかし、達人級ではない」
殺さない程度に手加減してるからね。あとは、魔法で攻撃しようとは思ってないし。
「うーん、評価は低いか。悲しいよ」
「応用力は褒めてもいいがな」
「じゃあ、僕の応用。見せてあげるよ」
体は鍛えてあるから剣撃は打てるはずだ。ならば、無詠唱で打てばバレないはず。
僕の作戦は魔力を流さずに風魔法を詠唱する。そして、無詠唱で剣撃を使う。完璧だね!
「風魔法 ウィンド」
剣撃 斬飛
僕は斬撃を飛ばした。
「な、なに!?」
「ふふふ。僕は本気を出していなかったんだよ」
「それがお前の本気かぁ!」
僕はどんどん無詠唱で剣撃を放っていった。無詠唱だから心の中で言わなくても発動できるんだよね。
相手がキンキン音を響かせながら斬撃をナイフで弾く。へぇー斬撃は刃物で弾けるんだ。
「うおおおぉお!!!」
黒ずくめの人が頑張って弾いている。少し飛ばすのやめてみようか。
「はぁ、はぁ、お前の体力は尽きたか。これで終わりだ」
「剣撃 炎剣」
剣が炎を纏った。
「剣撃 みだれ筋」
炎を纏った斬撃が僕を襲ってきた。こういう使い方もあったんだな。これでこの人の技は見終わったかな。
「うん、終わり」
時間魔法 ストップ
僕は黒ずくめの人の時間を止めた。斬撃も止めといた。少し確認したいことがあったからね。
斬撃をよく見てみた。触ると硬い。空気が固まってるのかな?なるほどぉ。
捕縛魔法 キャプチャー
黒ずくめの人を縄で縛った。
僕の勝ち!やったぁ!あ、先生を治さないとね!