黒ずくめ
僕達は街を出て森の方へ行った。あれ、見たことある。ここは僕がヨック達を助けた場所だ。
「ここから森に入っていきますよ」
「「「はい」」」
森の奥に進んでいく。木々の間を通り抜け、高低差がある地面を登り小高い山の頂上付近に来た。
細い剣が置かれている。レイピアみたいだ。先生は細剣を手に取った。
「人々はゴールが近くなると油断するんです。もう少しで勝てる、もう少しで終わる。その考えが命取りだ。今、頂上が見えています。あなた達も疲れてきたんじゃないですか?」
先生は剣を僕達に向けた。
「心の焦り。あなた達に見て取れます。俺は、あなた達が思っている程お人好しじゃない」
「生死を賭けた戦いだ。いくぞ」
先生は剣を振りながら言葉を言った。
「剣撃 斬飛」
何かが飛んできた。細いガラスのようになっている。当たったらやばい!
「みんな、避けて!」
僕ら3人は避けた。飛んできたものは木を切り刻んでいった。なんだあの技!強すぎる!
「このままだとみんな殺されちゃうわ!」
「僕のストレージの中に入って!収納魔法 ストレージ」
僕は詠唱して、ヨックとヨアを空間の中に入れた。
「1人で大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。僕は魔法が使えますからね」
「やめておけ!」
「なんでですか。魔法は行使してはいけないと先生おっしゃってましたが今は敵ですよ。火魔法 ファイア」
僕は火の魔法を放った。その時、後ろで物音がした。
「避けろ!」
先生が僕の方に向かってくる。後ろを見てみたら、黒ずくめの人がナイフを僕に刺そうとしていた。
先生は僕を庇ってナイフに刺された。
「ぐ!」
「な、なんで、なんで僕を庇ったんだ!」
「言えない……だが、約束だからな」
「約束ってなんですか!」
「お前は知らなくていい」
黒ずくめはナイフを引き抜いた。胸の傷は深い。
「ぐぁ…助けられなかった。すまない」
「誰に向かって言ってるんですか!今助けますからね!」
僕は復元魔法を行使しようとしたら、黒ずくめが襲ってきた。やばい!先生が死んじゃう!せめて時間は止めておかないと!
時間魔法 ストップ
先生の時間を止めた。これで死ぬことはないね。
「リーゴを回復させはしない。リーゴも殺害対象だ」
「お前達は仲間ではなかったのか!」
「リーゴと、か?こいつは契約内容に従っているだけだ」
「契約?」
「教える必要はない」
黒ずくめの人はナイフを振った。
「剣撃 斬飛」
剣じゃなくて小さい刃物でも放てるのか!至近距離じゃまずい!避けれない!
「身体強化魔法 スピード」
僕は速くなって避けた。