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帰路にて

さっきまで女の子と話していたが今は一人で下校している。勿論カツラも伊達メガネも装着して。

それにしても今日は最初の方は憂鬱だったが、今は少し気分がいい。彼女が根っからの陽キャじゃなくちゃんと常識と言うものを知っていたからとかではなく。悪口の事を謝ってくれたということでもない。いやそれはそれで素直に嬉しかったのだが。


本題はそこではない。人は変わろうと思えば変われるし、自分の意志というのも必要だと言うことを彼女と話している時に気付いたことに対してほんの少し胸が高鳴っている。


そもそもどうして俺が妹達の言いなりになっていたかと言うと、俺の家は母子家庭で家に帰ったら男一人の女二人になってしまう。それに加えそこに近くに住んでいる従姉妹の三姉妹もよく一緒にご飯を食べるのでそこに加わるのだ。その従姉妹も合わすと男一人に対し女が五人になるわけだ。

それで俺は何としてでも俺の居場所を確保するために母の言うことを全て聞いたし家事全般も完璧にこなせるようになった。何せ家族だけには嫌われたくなかったから。


そしてその母や彼女達もまた、それはそれは美人で男は絶対にほっとかないであろう。だがしかし彼女達に【男】の【お】の字すら聞いたことがないので本当に不思議だ。小さい頃から五人でよく遊んでいたし一緒に成長してきたからこそ不思議に思う。母は俺達が居るから特に俺が居るから充分らしい。


因みに妹とは年子で、従姉妹は一番上の姉が同い年、真ん中が二つ下、一番下が小学校六年生だ。


まぁそんなこんなで、この妹達の言いなりになってきたというわけである……のだが今日あの子が話していた通り、俺も変わろうと思えば変われるのであろうか。

いや違うな自分で決めて行動するしかない。そう出ないと変わりたくても変われないのだから!


そうと決まればまずは手始めにワックスでも買いに行こうか!フフフなんか妙にテンションが上がってきたぞ!

これもきっとあの子のおかげなんだよな!




「……あ、それより名前聞くの忘れてた」


☆★


決めたら行動と思いドラッグストアへ向かっていたところで一人の女子生徒が男のチンピラに絡まれていた。


「ね?いいじゃん!今日だけ!な?俺と気持ちいいことしようぜ?」

「気持ちいいことってなんですか!てかもうホントなんなんですか!」

「気持ちいいことって言ったらもう……な!とにかくこいよ!オラ!」

「いや!やめてください!いやっ!」


いかにも下心丸出しの気持ち悪いチンピラだな。こういう奴が居るから男はケダモノやオオカミって例えられるんだよ!


「オイ、お前何してんの?その子嫌がってんじゃん、離してあげなよ。」

「あ?なんだお前?俺とやろうってのか?あ?」

「はぁ、だーかーら!この子が嫌がってるから離せって言ってんの!」

「は?何言ってんの?俺達今から用があるんだよ。」

「ありません!!!はなしてください!」

「っち!暴れんじゃねーよこのクソアマッ!!」


なんとも話の通じない男だろう。それに都合が悪かったら殴りかかろうとするなんて。

俺は殴ろうとしているチンピラの手を掴み少し握力を込める。そしてそのまま彼女を解放し彼女の前に立つ。


「まさか自分の都合が悪くなったら女の子に殴りかかろうとするなんて。とんだクズ野郎だな。」

「クソがっ!なんだてめぇは、腹立つんだよぉぉ!」


半ば自暴自棄になっていたんだろう。男は俺に殴りに掛かってきたので俺はそのままわざと(・・・)殴られる。その時に何かが落ちた音がした。


「キャーお兄さん!……へ?」

「へっ!大したこともねーくせに出しゃばってんじゃねーよ。」


女の子には少し刺激が強かったのであろうか。まぁ何にせよこれで正当防衛だ。


「たいしたことがないのは、そっちの方だろう。」

「あ?まだ何か言って……ブハッ!」

「一発だけで伸びてんじゃねーよ。」


いやほんと雑魚すぎね。口ほどにも無いとはこういう事を言うんだな。おっとそれよりも。


「君!大丈夫かい?怪我はなかったかい!?……って!顔が赤いじゃないか!こうしちゃいられない!すぐ病院に…」

「だだだ、だいじょうぶでしゅ〜、ほほ、ほんとにだいじょうぶでしゅかりゃ〜……あぅ」

「そ、そうか!良かった!君を助けることが出来て良かったよ!って俺と一緒の高校だったんだな!」

「はわぁわわぁ〜、ひゃい〜」


ふぅー彼女に何も無くてよかった!物凄く顔が赤いけど。しかも顔がなんかとろけてるように見えるし!

しかし人助けするのもなかなか気持ちいいんだな!


「このまま家に帰られるかい、良かったら送っていこうか?」

「いいいいい、いえ、そそそそ、それはほんとにだいじょぶでしゅ、このたびは、ほほほ、ほんとうにありがとうごじゃいました!」

「そっか!気をつけて帰ってね!」


俺はそう言い軽く微笑んで彼女を見送った。すると彼女はさっきよりさらにトロトロの顔で俺に挨拶をしてフラフラしながら帰って行った。ほんとに大丈夫なのか?そんな事を思っているとそこであることに気づく。


「あれ?メガネもカツラもいつの間にか取れてる。もしかしてこれのせいで……何か彼女に変な思いをさせたのであろうか?」


そんな全くの見当違いな事を一人でポツリと呟きつつ、カツラと伊達メガネを装着し目の前で伸びている男を背負い近くの交番に突き出し、少し事情聴取を受けてから家へとかえったのであった。









「あっ!また名前聞くの忘れたし。あっ!それにワックスも!!俺ボケてきてんのかな?」

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