素顔をみせて
2話目!
俺は彼女の後ろについて行き目的地へと向かった。
そして到着するやいなや、彼女はこちらに向いてこう言った。
「まず、先程の悪口について謝ります、ごめんなさい。ほんとにごめんなさい。」
「……え?さっきの悪口?」
「そう、あの二人と一緒になって言ってしまった事深く反省してるわ…」
俺は驚いた、あの陽キャ三人衆のしかもその中でも特に可愛く、(俺の好みだが)しかもずっと睨まれていた子に謝られたからだ。俺はいまいち事態が把握出来ず思わず聞き返してしまった。それについても声を荒らげること無く、ふたりと一緒になって言った事を反省していると言ったのだ、深く頭を下げて。
「え、えーと、とりあえず俺は大丈夫だよ。そこまで思いつめないで、謝ってくれたことだけでも嬉しいから。」
「……本当にありがとう。」
彼女はひょっとしたら根はすごく真面目でいい子なのかもしれない。または周りに合わせてしまっているのかも知れない。本当の事は俺には分からない。しかしこうやって相手を傷付けたと思い、紳士に向き合い頭を下げて謝ることが出来る人は一体どのくらいいるのだろうか。俺はそんな彼女の姿勢に少しかっこいいと思ってしまった。
「うん。よっぽどの事がない限りは許すよ!しかも君今すごく泣きそうじゃないか。」
「っ!そ、そうですね。私本当は気が弱くて泣き虫なんです。ヘヘッ」
やはり彼女は根はすごく真面目でいい子のようだ。俺はそんな彼女の頭を撫でてしまいそうになった。
「そうなんだ。ちょっと無理しすぎじゃない?大丈夫なのか?」
「正直な所少し限界が近い…です。私本当はあんな陽キャの中に居てはならない存在なんですよ。でも頑張って高校では友達作りたと思って……まぁいわゆる高校デビューです。」
彼女の高校デビューは大成功と言ってもいいのではないか?彼女は学校の中では可愛いと有名だおそらく校内のTOP3には入るだろう。それぐらい目立てているし可愛くなれて友達もいるなら大成功だろう。
「そうか…それはすごいな素直に尊敬するよ。君の頑張りが今につながっているんだな。」
「……そう言って貰えて凄く嬉しいです。エヘへ」
その不意にくる微笑みやめてくれませんかね?可愛すぎて直視できないよ。それになんかいつもより自然に笑えているような。
「ところで、ずっと気になっていたのですが…なぜ変装なんてしているんです?」
「へ、変装?な、なんの事かなー」
「とぼけないでください。それカツラと伊達メガネですよね。」
「ギクッ!!」
何この子!やだ鋭い!やはりわかる人にはわかるんだな。
「はぁ〜バレちゃったか。そう俺は約十年間ずっと妹達にいわれてこの格好で過ごしてきた。」
「は、はぁぁぁ!?じゅ、十年ですか?と、という事は小学生の時から……で、でもどうして?」
「それは、妹達が教えてくれないんだよ。俺も従ってるだけだしね。」
「なんですか?あなたドMですか?」
「ち、ちがわい!!」
いやでも待てよ、十年間も言いなりのしかも何やら陰口とか言われてもなんとも思わなかったし。なんかされても大丈夫だった。俺ってもしかしてドM?
「とにかくその変装を解いたら謎が溶けるはず。さ、九条君?素顔を見せてください?決して拒否権はありませんよ。私の事も話したのですから。」
完璧に退路を塞がれたー!!ち、チクショー!もぉーどーにでもなれ!
「わ、わかった。」
俺はそう言いカツラと伊達メガネを外し彼女の方を見る。するとどうであろうか、目の前の彼女の顔がみるみるうちに赤くなっていくでは無いか。
「ど、どうした?何か怒っているのか?それなら謝るけど。」
「…………」
「おーい大丈夫かー?」
「……はっ!!すすすす、すみません!!!」
「お、おう。」
「わわわ、私はこれで帰りますー!!」
「あ!ちょっと!」
彼女は俺が素顔を見せるや顔を真っ赤にして一目散にかえってしまった。俺の顔はそんなに酷いのであろうか?少しショックになりながら俺も下校した。
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