能力バトル
突然だか、俺は今ありえないことを体験している。
そう、それは約一時間ほど前に遡る―
「いや〜やっぱり学校は楽しいね!ねきょうちゃん!…て何でそんな死んだ顔してんの!?」
全くうるさい奴だな...そう、この茶髪をなびかせているのは、幼馴染の茉莉花だ、一応俺も自己紹介しておこう。坂上京也だ。
「死んでるも何も俺はいつもこの顔だ」
「えー?そうかなー確かにきょうちゃんはいつも何にも興味ないですよーって顔してるけど、なんか今日はいつもと違う気がするの」
さすがは幼馴染、確かに俺は今ものすごく萎えている別にこいつに理由を話してもいいのだが…
「あ、もしかして模試の結果の点数悪かったとか?それともそれとも振られちゃったとか?」
やはりなしっかりと当ててきやがる。
「前者だ」
「ふーんそうなんだぁ、まぁきょうちゃんいい大学目指してるもんね!」
「ま、そーゆうことだなだから俺は萎えているんだ。死んだ顔に見られてるのは、そういうことだ。」
俺の家は母親と妹と三人暮らしだ。父親は俺が五歳の時に不倫がバレて離婚をした。だが母さんはめげることなく俺たちをしっかりと育ててくれた。母さんのおかげで今の俺たちがいる。だから恩返しをしたいから俺はいい大学入って、いい仕事をして、養ってやりたいんだ。
もうすぐ17時か…
「ねぇねぇこれからガ○トにでも行かない?奢っちゃうよー」
「そうだな。奢ってくれるなら行くか。」
そう、俺たちは大人しく家に帰るべきだったんだ。
「ふふーん何食べようかなぁやっぱりハンバーグかな?きょうちゃんは何食べるの?」
「俺は適当にポテトとかでいいよ。あんまり高いのもアレだしな」
「もうっ遠慮しなくていいのに家族みたいなもんでしょ?」
「いいさ。そこまでお腹も空いてないしな。それよりもう着くぞ」
ガ○トはもう目の前に迫っていた。店は線路が一本はさんだ向こうにある。電車が来た。当然俺たちは電車が過ぎ去るのを待つ。これは当たり前の事だ。何かがおかしい、気づくのが遅れた。茉莉花の足は止まらない。何故さっきまであんなに明るい顔をしていたのにそんなに暗く黒い、まるで茉莉花じゃないような、何かが取り付いたような―
「茉莉花!!!!」
俺はとっさに茉莉花の肩を掴み後方へと飛ばした。あまりに勢いが強すぎたのだろうか。俺はその拍子に前へ出過ぎてしまった。電車との距離は数メートル。もはや助かりようがない。俺は走馬灯のようなものを見た。俺の人生は面白くないな、振り返って改めてそう思う。俺は何かを成しえたのだろうか。そんなことを死ぬ間際に考えている時点で俺は心が腐っているのかもしれない。普通の奴ならば好きな子を思ったり、親友、家族、など人間に関わることを考えるはずだ。まぁ今更どうにもなりはしないんだが。
電車の勢いが止まることなく、残り数センチ。
そして俺は―
死んだ。
それが約一時間前の出来事だ。
何故か俺は病院のベッド…ではなく、どこか薄暗く、見覚えのない空間にいる。
もしかしてここは天国か?いやでも、考えていた天国とは全然違うというかむしろ地獄を思い出させるような空間だ。
すると―
「ようこそ歪んだ世界へ」
そう言って俺を出迎えたのは白髪の黒いドレス姿の黒い吸い込まれそうなほど綺麗な目をした女性だ。?この感じどこかで…
「歪んだ、世界?ここは天国か地獄じゃないのか?確か俺は死んだはずだぞ。」
「いや、君はまだ死んでなどいないさ、というよりも、僕が君をここに連れてきて死ぬはずだった運命を救ってあげたのさ。」
「よくわからないな。俺を救って何になる?」
「君には元いた世界に戻ってもらいたい。だが普通の生活に戻るだけではないよ。君には能力を授けた。」
能力?戻る?どういう事だ?俺は生きていて、能力を授かった。か、どうにも信じがたいな俺は夢でも見ているんじゃないだろうか。
「何故能力が必要なんだ?そこをもっと詳しく教えてくれないか」
「そうだね。説明しよう。それはね、君のように能力を授かった人が何人もいるんだよ。そしてその人たちは全て君の通っている高校にしかいない。これは何故だかわからないんだ。そして、能力を悪用しようとする者を君にどうにかして欲しいんだ。その理由はその内わかるよ。これが君に能力を授けた理由だね。」
「とりあえず理由はわかった。だが何故それが俺なのか、だ。別に誰でも良かったんじゃないか?」
「そういうわけにもいかない。強いて言うなら僕が見てきた中で君が一番悪用しないだろうと思ったからだよ。そして悪用している人を止めてくれる。そう確信したからなんだ。もちろん証拠はないけどね。」
なるほど、な。俺を選んだ理由、能力を授けた理由もわかった。だがまだわからないことがある。それは急におかしくなった、茉莉花だ。まぁある程度予測はついているが…
「ちなみにその能力はなんなんだ?それともさ俺が約束を守らなければどうなる?」
「これは申し訳ないんだけど、僕は授ける能力を決められない。つまり、君に一番あっている能力が勝手に選ばれてそれを僕が授けるだけなんだ。その能力は」
「感情」
感情が能力?てっきり火、や水、などそういうわかりやすいものどと思っていたんだが。それに俺の欠けているものが感情だとおもっていたんだかな。
「あぁそれと守らなかった時だね。その時は君を電車に轢かれる瞬間に戻す事にするよ」
つまり強制か。まぁその点は問題ない。気になるのは―
「お前は死ぬ運命だと言ったが本当は違うんだろ?お前が強制的に介入してきて俺の運命を変えた。その証拠にお前は茉莉花を乗っ取ったんだ。こうすれば俺は死んだと思い混乱を少しでも抑えようとしたんだろ?」
「さすがだね。その通りだよ。僕は茉莉花という女に乗っ取って君に説明しやすいようにしたってわけさ。それで、協力するのかい?」
「あぁ協力する。最後に一つだけいいか?」
「なんだい?」
「お前の名前は?」
「有栖。小鳥有栖だよ。今から君をガ○トに行くあたりに戻す。検討を祈る。」
俺に能力か。どこのラノベの世界だよ。まぁでもちょっとは退屈しのぎにはなるかもな。大学にもちゃんと行きたいしな。あの時は死んでもいいと思っていたが、気が変わった。俺は―
死なない。




