東雲華と言う人-手紙-
少し時間が空きましたが、ここから少しずつ進展していくので誰がどうつながっていくのか、推理してみてください!
東雲華が教室を去ってからというものはとても大変だった。男子からはあからさまな嫌がらせ、女子からは問答無用の質問攻め。何かそんなに悪いことをしただろうか...「僕は巻き込まれたんだ!僕には関係ない!ほっといてくれ!」と言いたいが、逆上して今後の生活に支障をきたすのは得策ではない。愛想笑いを忘れず、すべてを上手く受け流す。昔はこれをするのに苦労したが今では日常生活に必須のものになってしまった。なんて、つまんない退屈な日常なんだろうか...。
「ハル君。そんなにつまんないかい?僕にはそうはみえないよ」
実希が僕を見上げながら言った。実希は東雲華が教室にやってきた時から顔を突っ伏して動かなかったが今頃になって起きやがって。僕がクラスメイトにいじられている時は微動だにしなかったくせに。あからさまな嫌味を込めて実希に言った。
「そうかな?僕はみんなにいじられるのは全く楽しくも嬉しくもないんだけどね」
「ご、ごめんよ。仕方なかったんだよ、こうするしかなかったんだから。まぁ、でもつまらなくはないだろ?初日から刺激的じゃないか、これからもそうであるといいね」
随分と他人行儀な台詞に驚きが隠せなかった。特に「こうするしかない」とはいったい何のことなのだろう。実希にも僕の知らない友人関係があるのだろう。そこをあえて問い詰めてもお互いになんの有益ではない。あんまし興味もないのが本音だが旧友としてそれは言えない。
僕が顔を見て実希は笑った。
「人の顔を見て笑うなんて失礼にもほどがあるぞ」
「悪い悪い、ハル君が驚いたり渋ったり悟ったり、表情がコロコロ変わるのがとても面白くてね」
実希がいつもの感じに戻って良かった。今日は何だが違和感があったが戻ったのであればいい。と思ったが、急に実希は真面目な顔をして告げた。
「ハル君はほんとに隠しごとは向かないね。いやぁ、ほんとに。だから、そんな無垢なハル君にいいこと教えてあげる。今日ハル君の周りで起きることは偶然ではない全て『必然』である。僕が言えるのはここまでかな?ハル君のことだしもう全部解いちゃったしてないよね?それでつまんないとかもう笑えないよ」
実希が突然言ったことにはこの状況は偶然ではないという事実が含まれていた。だが、僕にはさっぱりだ脈絡がない。何について言っているのか分からなかった。ほんとに僕は感情」が顔に出やすいらしい。実希に「また、渋った表情」と笑われ、僕はふてくされ自分の席に戻った。
この後は何だっただろうか...。藤村先生に渡されたプリントに何か記載してあるのか確認しようとズボンのポケットから取り出そうとしたとき何か別のものも一緒に出て来た。床に落ちたそれを確認すると今朝の白い手紙だった。
そういえば、今朝はバタバタしていて読むことが出来なかった。手紙の封を開け中身を確認すると手紙同様の純白の1枚の便せんが入っていた。縦と横に一回ずつおられた便せんを開くと全く理解ができない文章が書きこまれていたが便せんを封していた手紙に書かれた宛て名と同じ様に冒頭には『先輩へ』と書かれていた。内容はこのようなものだった。
先輩へ
お久ぶりです。もうあれから何年経ちましたでしょうか。
あの日あなたが救ってくれたこの命をいつまでもいつまでも大切にします。
話は変わりますが...
あなたにはこの後私が作る密室の謎を解いてほしいのです。
申し訳ありません、これ以上はお教えすることはできません。
では、私と先輩の推理ゲームの開始ですね。
FAKER
送り主はFAKERと言う人らしいがこの人は誰なのだろう。FAKER...見知らぬ言葉だ。偽物?いや、捏造者、詐欺師と言ったところか。それよりもこの内容についてはほんとに理解不能だ。
密室を解く。この人が作るのだろうか?それとも、密室に閉じ込められるから事前に知らせたかった。しかしどこで起こるのか、皆目見当つかない。ましてや教えられないと来た。
そもそも、なぜ僕なんだ?渡す相手を間違えたとか?それはありえないだろう。これはぼくのズボンのポケットの入っていたのだから、僕宛である可能性が一番高い。だが、このFAKERが何かしらのつながりでかかわっているのは明白だと言える。
これ以上はやはり何も分かりえない。まぁ、なんでもいいや。
その、数分後に担任が教室にやってきたので、便せんを手紙にしまい、バッグの中にしまった。
このクラスの担任は自らを『佐々木恵美』と名乗り、自己紹介と呼べるものを始めた。
「はーい。みなさん入学おめでとう!私は佐々木恵美って言ってこのクラスの担任になりました。歳もみんなとほとんど変わらないから、恵美ちゃんとか恵美ねぇとか気軽に呼んでねっ!」
きっと生徒受けのいい方なんだろうな。こういう可愛らしく生徒との距離を短くしようとする先生はいつも人気な気がする。偏見かもしれないが...
「では、私の言うことはもういいつくしたから、後はみんなに任せるけど、どうする?無難に自己紹介でもする?」
みんな異論はないようだ。いろんなところで「どうする?どうする?」答えの出ない問いかけを繰り返している。そんな中、ある生徒が「ふつうに自己紹介してもつまらないので、最近あった衝撃的なことを紹介するとはどうでしょうか?」その生徒の方を見るとなんと実希だった。完全にニヤついている、何か企んでいる顔だ。実希めなにするつもりだ...
「それ!いいじゃないの!採用!じゃぁ、自己紹介の内容は、名前、好きな食べ物と動物、趣味、特技そして最近あった衝撃的なことの6つね!さぁ、頑張っていってみよう!」
なぜ、こんなことを頑張らないといけないんだよ...。と愚痴る間もなく出席番号1からすでに始まっている。僕の名字は間宮だから当分来ないな。授業の時間は残り40分。項目が6つもあれば自分のところに回ってくるかは五分五分だな。
それから、1番2番3番............と自己紹介は続いた。何となく聞き流しているので内容は頭には残っていない。すると、実希の順番になったらしくぺらぺらと身の上話を淡々と進めた。実希の凄いところはその身の上話を相手に飽きさせず続けることが出来るというところだ、僕には絶対に出来ない。
そんな、実希の話も終盤に差し掛かったと思ったところでとんでもないことを言い出した。
「最後になりますが、僕のとっておきの衝撃事実を告白します...皆さんもご存じのとおりクラスメイトのハル君こと間宮春君は我らが生徒会長、そして男子の憧れともなったあの東雲華さんに求婚されているのです!ハル君は友達も少ない、いや全然いないましてや年齢=彼女いない歴の立派なボッチ!なのに、東雲さんに求婚されている。この不可解な謎が私が最近体験した衝撃的なことです。以上で終わります。ご清聴感謝いたします」
なぜか、拍手が沸いている。それも鳴りやまんほどの。先生など衝撃を受けているのか口が半開きになっている。そんなに、衝撃的か?そりゃ、友達と呼べる人はいないし彼女も出来たこともないけど、それで人生を失敗したわけではないし、巻き込まれることはなかったのだが...何かの間違えだろうか僕は東雲華に告白されて一躍時の人だ。些か不愉快だ。
大規模な拍手のせいでチャイム音は聞こえなかったが、もう授業は終わっている。今日はこれしか授業はないはず、もう帰らせてくれ、ここの空気は私には重すぎる。
恵美先生は自分の腕時計で時間をし、授業の終了を告げた同時に、下校の合図ともなった。
その後の生徒の行動は個々で異なっていた。帰るもの、他クラスにいくもの、教室で仲良くおしゃべりするものと十人十色だった。すでにそこに実希の姿はなかった。生徒会室に行く前にこの手紙について聞きたいことがあったのだが....。また後日でよいだろう。
僕はその十人十色の枠に入れるのだろうか?入学初日に生徒会室に向かう生徒などふつうはいないぞ。まぁ、実希の自己紹介で東雲華が生徒会長というのは分かり、呼び出しされたのが生徒会室なのは納得がいく。
「結局、なんて言って断ればいいのか、決まってないな。さて、どうしたものか」
そんなことを考えながら、本校舎の裏口から特別棟へ向かった。授業後佐々木先生に生徒会室について聞くと特別棟の2階にあるとのことだから、今その場所へと向かっている。
思考をフル回転差させていると時間というのはあっという間なのを実感した。気が付いたら、生徒会室の前に居た。正直かなりビビった。
ドアの前でもじもじしていてもはじまらないし、終わることもない。意を決してドアに手をかけるがあかない。鍵がかかっているらしい。
「どういうことだ...」
ドアがあかないことにパニックに陥り後ずさりすると何かを踏んだ。
シャンという音をたてたのでなにか金属のものなんだろうと目線を下ろすと、ネコのストラップと小さい鈴が付いた鍵があった。
「なんだこれ...」
小物感のある台詞を吐いたが実際何なのか、分からない。手には鍵、目の前には鍵がかかったドア、試したくなるのが人間だろう。
僕は鍵を差し込み、回した。すると、案の定、ドアの鍵はガチャという音と共に解錠された。
解錠されたドアを開き、中に足を踏み込むと、中央にある大きな机に腰掛け、本を読む。東雲華の姿があった。
「先輩。まってましたよ、それでご返事は?」
東雲華は表情1つ変えずに言った。しかし、その無表情は何かを隠すためもカモフラージュに見えた。
その答えは、すでに決まっていたが、数十分後には翻すことになることを僕はみじんも予期していなかった。
こんにちは。うみねこのなく頃にをアニメで見ましたが、全くなんてこったが感想です。ネットで続きやネタばれを見てみると、うん...やっぱり...ね。という感じでした。仕方ないよね、あれだし、あれだから。
本題に戻ります。中途半端なところで切って申し訳ありません。
明日明後日には続きを出せると思うので、少々今までのストーリーを読み返し、関係図を描いてもらえると今後のストーリーが分かりやすいかと...。