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東雲華の日記帳と消えた日常  作者: 如月 楸
出会い
4/6

東雲華と言う人-告白-

すみません。まだ、謎に入りませんでした...ごめんなさい。しかし、これからどんな風になっていくのか予想するのもいいもんと思ったり...(ポジティブ)

「せ、先輩!わ、わたしと...付き合ってくださいっ!」


「......は?」


 東雲華からの急な申し出に一瞬全てが真っ白になった。

 先ほどまで、騒がしかったヤジも今では静まり返っている。

 僕の返答を待っているのだろうか?それとも、東雲華の言葉に唖然とし言葉も出で来ないのかどちらだろう...

 いくら考えようとしても、頭が回らない。それも、まぁ、仕方ない。そもそも、異性に告白されたことはないのだから。感動と動揺で頭が回らない。正確にはいつも通り自己分析は出来ているが、どう返答していいのか分からない。

 ヤジの目線が痛い。そんなに僕を見るな。僕は注目されるのが嫌なんだ。東雲華は依然顔を伏せもじもじしている。

 どこからともなく「早くしろよ!」と叫ぶ声が聞こえた。そんなに時間はたっただろうか、僕にはまだ30秒ていどしか経っていない様に思えるが、周りにはそんなことは関係なしと言うことなんだろう。なんて無責任なんだ。こんな状況初めてなんだぞ...初めて?ほんとに初めてか?昔にも同じことがあったような......


「おーい!そこぉ!何やってるんだ!新入生は配布したプリントに従って自分のHRクラスに移動しろぉ」

その声で思考が中断された。

「やばいぞ、先生きたから移動しないと...」

「なんだよこいつ。結局返事しねぇのかよ。つまんねぇの」

 次々と降ってくる罵倒の数々に僕はノックアウト寸前だったが、先の先生が僕の方にひとさし指を向けて、何やら口を動かしている。視界がはっきりしていないのと、ヤジの捨て台詞のせいで集中力が損なわれ、読み取ることが出来ない。こちらの意図が伝わったのかは定かではないが、先生はこちらに近寄ってきた。

 ふと、視線を感じそちらを見ると、東雲華がこちらを不安そうに覗いていた。東雲華も先生が来たことに危機感を感じたのか早口に何か言って去っていったが、僕にはまた読み取れなかったが、なぜか悪寒を感じた。


 それから十数秒後先生が僕に言った。

「おう。君が宮間春君か。待っていたよ。僕は藤村賢。遅刻については連絡を受けていたから、気にしなくていいよ。それにしても、東雲さんとは一緒に住んでるんかい?」

 藤村と名乗ったその先生は体つきがとてもよく日頃から鍛えているんだろうか。そのせいもあってとても熱血な雰囲気がとても出でいて苦手だ。決して悪い人ではないのだろうが、どうしてもこういう熱い人は苦手なのである。だが、それよりもこの藤村先生は不可思議なことを言った。

「先生。どうして、東雲華の名前がここで出るんですか?」

「そりゃぁ、連絡したって人が東雲さんが伝えてくれたからだよ。まぁ、10分遅れての到着だったがな」

 藤村先生は、がははと大きな笑い声は天高く消えていった。

「まぁ、そんなことは本人に直接聞いてみればいいさ。とりあえず、これ」

 そんな事とはなんてことだ。...仕方ないか、この人は現場を見てないし、見ていたとしても僕の気持が分かるわけない。

 差し出されたものはいちまいの紙だった。大きさ的に入学式で配られた学校生活についてのプリントだろう。先に先生が言っていた、配布したプリントとはこれのことなのだろう。しかし、説明を受けておいて損はないのだろう。

 プリントを受け取り僕は言う。

「これは一体?」

 自分で言ってあざといことに気付き後悔する。だが、藤村先生は名に知らぬ顔で話を続ける。

「これは生徒用の入学案内だよ。ほら、ここにアドミッションポリシーも書いてあるし裏にはみんなの名簿が載っている。まぁ、クラス一覧だな」

 藤村先生の言うとおり裏にはびっしりとこれしきかと生徒の名前で埋め尽くされている。ざっと見た感じでは、1クラス40人の6クラス計240人と見たが、さほど間違ってもないだろう。

 僕は2組、実希も2組のようだ。先の騒動から時間も経っておらず東雲華のクラスも気になり探そうとしたが、藤村先生の声で探すのは困難になった。

「とりあえず、時間も時間だ。自分のHR教室に行くといい。残念だが、僕は君の担任ではないからね、ここでお別れだね」

 また、がははと笑った。あぁ、この笑い方はわざとではないらしいし、担任でもないらしい。ふつうはこういうことは担任がやるものなのではないだろうか?...いや、今のは固定観念にすぎない。客観的ではない、取り消しだ。誰がこようが何も変わらないだろう。


 その後、藤村先生は一言「頑張れよ!!!!!」と言い残し、本校舎とは逆の方に走っていった。

 一人残された僕は、とぼとぼと今来た道を引き返して行った。

 本校舎までの距離はあまりないが、先に渡されたプリントの表面に校舎の見取り図もあった気がしたので見返すと案の定載っていた。しかし、見取り図と言っても本校舎だけだった。

 見取り図を簡単に説明すると。

 

 本校舎は横に広く、西エリアと東エリアに分かれていて屋上を含めると計4階の建物だった。

 1階には3年生までの生徒全ての靴を納める下駄箱がメインで他には事務室がある程度で目立ったものはないが、玄関が二つあり正門からの方を正面口、もうひとつがそれと真反対にあり、そちらはグラウンドや体育館などに移動する際に用いる裏口があるらしい。

 2階には1年生の教室とPC室、職員室と講義室がいくつかあるのだけらしい。

 3階には、2年3年の教室があるだけで他に何もない。

 

 きっと、他の特別教室と教室は特別棟の方にあるのだろう。

 そんなことを考えていたら、裏口の前に立っていた。先輩だろうか、正面口から続々と下駄箱に向かって歩いてきている。この調子だと、あっという間に玄関は人であふれかえってしまう。急がねば。

 靴を履きかえた後は階段を上り2階にある自分のクラスに入ったとたんにクラスの全員が僕を一瞥した。その後、ちらちら覗き見るようにこちらをうかがっている。特に男子の目線が怖い。

 何かしただろうか?心当たりはないが...そういえば、実希も同じクラスだったはず。周りの目線を無視し、あたりを見回すと中央後方の席で一人突っ伏してる生徒がいた。きっとあれが実希だろう。実希に聞きたいことがあり、クラス後方に向かい歩くが、目線も一緒についてきて気分が悪い。文句を言ってやろうかと思ったが僕にはそんな度胸はなく、口のふたを取ることはなかった。

 実希は僕の気配を察したのか顔をあげて僕に言った。


「やぁ。ハル君。生きていたか」

 作り笑顔を作って普段の自分を守ろうとしているのだろうか。しかし、目が全く笑っていない。寧ろオオカミから追われる子ヤギみたいによわよわしい。だが、今回ばかりは、こっちの事情を優先させてもらう。

「あぁ、生きていたさ。それよりも、東雲華って誰なんだ?実希何か知ってるんだろ?」

 つい語尾が強くなってしまった。しかし、実希は顔色一つ変えず言った。

「聞いたよ、東雲さんに告白されたんだってね。もう、この学年では知らない人はいないみたいだよ。まぁ、僕も誰かがしゃべってるのを盗み聞きしていただけだから真実のほどは分からないんだけどね。とりあえず、僕が知っているのは、僕たちがのほほんと今日登校している時に東雲さんは入学式で新入生代表としてスピーチをしたらしい。ハル君も分かるけど東雲さんはあの容姿だからね、一気に話題になったらしい、それでその東雲さんが君に告白した...ましてや、いまだ返事をしていないとなると..。これでもう、分かるよね」

 分かるもなにも...。これでは僕が悪ものではないか。なんて、厄日だ。こんなことになるのであれば、遅刻確定の時点で休むことを消えていればと本日2度目の後悔をする。だが、もうなってしまったのだから仕方ない。丁重に断って穏便な日常を取り戻そう。とにかく、今は、東雲華についての情報が欲しい。しかし、その願いは思わぬ形でかなってしまう。




『コンコンコン...』

扉がノックされる音がした。全員がそちらを向きクラス全体が静まりノックの音が部屋を反響し続けている。もちろん、僕と実希も唐突の来客に注目している。


『…ガラガラガラ』

扉が開かれると同時に男子がガヤガヤし始めた。実希はそれとほぼ同時につくえに額を再度合わせた。次の瞬間女子がキャーキャー言いだした。

あぁ、今話題の中心人物の東雲華だ。それよりも、他クラスに入るだけだというのに無駄に丁寧だ。僕と実希以外の新入生はそれを入学式で感じたのだろう、女子は憧れ、男子は恋心を抱いてもいたしかたないのだろう。その東雲華がどこの馬の骨とも知らない奴に告白したともなれば、男子からは反感を買うだろう。今も僕ににらみをかましてる人もいる。


しかし、東雲華はそんな異様な空気などものともしない様に僕の前に立ち言った。

「先輩。返事を聞きに来ました」

緊張しているだろうか?先の雰囲気とはまた変わった感じだった。淡々と言うその姿は、凛ともしているが何か分からない迫力感があった。その、迫力に圧倒されてると体育館入り口前の時と同じ状態になってしまった。周りの生徒が僕の返答に期待の目線を送っている。このまま、引き伸ばしても、仕方ない。

「東雲」

「はい?」

「今、ここで返事することはできない。もう少し待ってくれ」

とりあえずこれでこの場は逃げられる。その言葉を聞いて一瞬東雲華が笑ったように見えたが...気のせいらしい

「分かりました。放課後、生徒会室で待っていてください。ですが、先輩の答えは分かっているので」

端的にそう言うと東雲華は名前に似合う『ハナ』の様なきれいな笑顔を振りまいて去っていった。


その笑顔の正体に気づくことなくこのあと僕は生徒会室に向かってしまう…。



前書きにも書きましたが、なぞには次回触れていきます。キーアイテムにつてはもうたくさん出てきましたね?アイテムだからと言って、ものだけとは限りませんからね?

第1章完結まで頑張っていきたいと思います。感想、評価くださるとうれしいです。

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