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東雲華の日記帳と消えた日常  作者: 如月 楸
出会い
2/6

謎の手紙

そこで僕は目が覚めた。


あれから2日たった今でも鮮明に覚えている、と思う。

記憶力には自信はない、きっと記憶違いも生まれているのだろう。

でもそんな些細な違いなど問題にもならない。あの世界のこと、あの初めての感情のことを覚えていられればいい。

きっと、いつかは忘れてしまうだろう。だから、出来るだけ長く、この胸の中に収めておきたい。




「お兄ちゃん!いつまで寝てるの!もう、8時だよ。学校遅れちゃうよ!朝ごはんもまだなんだから、早くしてよねっ!」

妹の奈緒の声で我に帰った僕は驚愕し、我に帰らなければ...と後悔した。

普段ならこの時間でも、学校には間に合うのだが...あいにく本日4月7日は僕が新しく通うことになる、私立紫桜高校の入学式だった。


「最悪だ...」

開会式は8時30分から残り30分しかない。自転車があれば可能性はあったのかもしれないが、昨晩の出来事で僕の愛車は大破し修理に出していて使えない。

この状態ではどう抗っても間に合うことはない。

時間は元に戻らないし、ネコ型ロボットも僕の部屋にはいない。仕方ない、入学式には遅刻していくしかないか。だが、なるべく急ごうと思いクローゼットの中にある新品の制服に手をかけた。

真新しい制服は自分の体には馴染んでおらず、大きさも合っていなかった。「成長するから」と試着もせず買ってしまったせいだ。何とも歩きずらい。でも、この制服を見るのは2週間ぶりだろうか、紺のブレザーに緑と白のラインが入ったネクタイだ。もちろんズボンも紺色だ。

ズボンのサイズも確認するために目線を下に落とすと右のポケットに何か入っているのか少し膨らんでいた。

ポケットに手を入れ確認する。質感から何か紙の様なものだと分かった。取り出してみると白い手紙が入っていた。裏には『先輩へ』とものさびしげに書かれていた。自体から察して女子のものだった。丸字だが、とても凛とした字体だった。

きっと、何もない真っ白な白生地に『先輩へ』と三文字しか書かれていなかったから、その文字に過干渉しものさびしくなったのだろう。

時間がなかったため、今は読むことは出来ず入学式のあとに読むことにした。



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