第25話 お金を貯めつつ冒険者としての技術を身に着けよう(1)
3日目の魔の森の3時間は浅域での狩りであり、大量のスライムとゴブリンにエンカウントして数秒で倒す事を繰り返していた。レベルは1だけ上がりレベル11となる。浅域で上げるべき適正レベルは11らしい。これ以上は尋常ではない数の魔物を倒す必要があり非効率的という事だった。
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ステータス ショウタ タミヤ
レベル 11
才能 ――
体力 107
筋力 109
反射神経 110
魔力 105
魔力の強さ 108
知能 104
EXP 76/200
(やはり能力値は100以上あるよね。でもやっと全能力が100を超えた。なんかうれしい。早くもっとレベル上がらないかな。
そろそろ、スキルも一つぐらい覚えたいんだけど。まったく覚えてくれないんだよね。僕【才能】の値が低いのかな? 値が傍線となっててわからないや)
大量に倒したスライムとゴブリンを材料に魔晶石の取り出し方をフィオンからひたすら習った。おかげこつがだいぶ掴めてきて、翔太一人でも魔晶石を取り出せるまでになっていた。
ついでなので魔晶石についてフィオンに詳しく聞く。
魔晶石とは魔物と呼ばれる魔属性の生物が持つ特殊な核である。要は魔物の塊のようなものであり様々なアイテムや武器の材料となる。この魔晶石は冒険者ギルドへ持っていけば、その魔晶石に対応した値段で引き取ってもらえるらしい。
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魔の森の中域に入ってから1時間を過ぎたところで翔太の目の前に巨大な湖が広がっていた。その湖はまるで空の色を映しているように真っ青であった。その引きずり込まれそうな青い湖を見て翔太は思わず身震いをする。
湖の周囲を探索していると、突如三日月状の水の刃が空に浮かび丁度一番湖に近い縁を歩いていたレイナをブーメランのように舞い襲う。
(っ!? 危ない!)
翔太は即座にレイナまで疾走するとその身体を右腕で自分の方に抱き寄せて、水の刃を掴み左手で握りつぶした。
翔太の中に力が湧き上がっているのに気付く。その力はレベルアップの際に体内を暴れまわる程ではなかったが、少し体がだるくなっているようだ。
(何これ? レベルアップでもしたの? いや違うか。僕今何も倒してないし。それに、レベルアップのときとは微妙にその感覚が違う)
そんな翔太の混乱を露も知らずレイナは当初事態が飲み込めず疑問符を浮かべじっとしていたが、直ぐに覚醒して顔を紅潮させながらも翔太に文句を言ってくる。
「もう放してくれる? それに私一人でも避けられたわ!」
「ご、ごめん」
(でも、絶対レイナ気付いてなかったよね)
翔太が口を尖らせていると、フィオンから呆れたような声が飛ぶ。
「おいおい、今は戦闘中だぞ! 遊んでないで戦闘態勢を整えろ」
翔太も水刃を飛ばしてきた敵を見る。
敵は透明なツチノコのような形をした魔物だった。
透明のツチノコ6匹が地面をピョンピョン飛び跳ねながら、翔太達の様子を窺っている。すぐに戦闘を仕掛けてこないのは、翔太が素手で水の刃を握り潰したからだろう。翔太の強さを図りかねているのだ。
(この魔物は『魔物大全集編』で読んだ。ウォータースネイクだ!)
翔太はウォータースネイクの情報を頭の中から引き出す。
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〇ウォータースネイク 討伐推奨クラスE
■形態: 胴が太いヘビのような形態をしている。すべてが水で構成される。
■生息地:川、湖、沼の近辺
■性質:火の属性の攻撃に弱い。水の属性には耐性がある。水の刃を放つ 。
■対策:火炎系の魔法やスキルで攻撃すべき。水の刃は防御壁で防御可能。
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(火炎系の魔法も使えるけど、フィオン達まで巻き込んじゃう。僕の魔法は威力が高すぎるんだ。仕方ない今回は刀で応戦しよう)
頭の中で作戦を組み立てていると、フィオンがウォータースネイク共に指をさしながら真剣な視線を翔太とレイナに向ける。
「ウォータースネイクだ。先ほどの水の刃に気を付けろ。俺とディートが左にいる3匹を倒す。翔太とレイナは右の3匹を頼む」
「「了解!」」
翔太とレイナはすぐに戦闘態勢をとる。翔太は刀を鞘から抜き敵を確認する。ウォータースネイクはウサギの様に飛び跳ねながら、前後左右に移動を繰り返している。水の刃を使われたら、翔太はともかくレイナは怪我をするかもしれない。即急に処理するべきであろう。
飛び跳ねている3匹のうち一番近くいる個体に向け地面を蹴る。土煙を巻き上げながら高速で接近すると刀を左から右に横凪にする。
ゴォォー!
刀は空気を切り裂きながらウォータースネイクの太い胴体を切断させようと高速で迫る。
ザン!
ウォータースネイクの胴体は呆気なく横断される。
バシャ!
横断されたウォータースネイクは直ちに水へ返り、カラーンと魔晶石が地面に落ちる小気味の良い音が当たりに反響する。
次に翔太に近いウォータースネイクに対し地面を滑るように駆け、上段に振り上げた刀をウォータースネイクに対し真上から垂直に斬り下ろす。
ブォーー!
轟音をあげながら死を体現させたかのように煌めく黒刀はウォータースネイクに頭部に吸い込まれていく。
ドォン!
ウォータースネイクは呆気なく切り裂かれ、地面もその衝撃派によって大きく抉られる。
翔太が二匹目を倒し終わると、レイナも上手くウォータースネイクに引導を渡し終えたところだった。
翔太は例のごとくポケットからギルドカードを取り出しステータス欄を確認する。
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ステータス ショウタ タミヤ
レベル 11
才能 ――
体力 107
筋力 109
反射神経 110
魔力 105
魔力の強さ 108
知能 104
EXP 96/200
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スキル
《水刃(第1級)》 0/2
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(さっきのウォータースネイク経験値10しかないの? 水の刃とか出してくるからオークジェネラルよりは僕的には厄介だったんだけど……これはレベル上げに苦労しそうだね。
ん? 何か違和感あるような――)
ギルドカードに今までなかった項目があるような気がする。もう一度精査してみよう。
(っ!? スキル欄に《水刃》がある。今の戦闘でスキルを獲得したってこと? とすると条件って一体何?)
翔太は先ほどの戦闘を再度頭の中で再生しなおしてみた。
(今までの戦闘と今回の戦闘での違いか――。別に大した違いはない。唯一《水刃》というスキルを左手で握り潰したことくらいかな。どう考えてもこれだよねぇー。とすれば、スキルの攻撃に触れないとダメとか? いやいやそれ無理だから! 今回は偶々だから!
取得条件がかなりヤバイかもしれない。少しへこんできた……)
翔太が肩を落としていると戦闘が終了したフィオンが翔太の方へ歩いてきた。
レイナが真剣な顔で翔太を見ていたような気もするが用があるなら話しかけてくるはずだ。気のせいだろう。
再度、湖の周囲に魔物がいないかを確認してから、フィオンがここで昼食にすると宣言する。食事と分かってディートがお腹を鳴らしたが、つられてレイナのお腹も『キュルル』と鳴る。レイナは顔を真っ赤にして俯きながら、『これは違うのよ』などとブツブツずっと言っていた。
翔太はその仕草に思わず微笑んでしまが、レイナからすごい目で睨まれ慌てて視線を逸らす。どうやらさらにレイナの機嫌の悪化を招いてしまったようだ。
そんな翔太とレイナの様子を見守るフィオンとディートの目が妙に生暖かくて居心地がすこぶる悪かった。
昼食の後、食休みの際にスキルについてフィオンに聞く。
まずスキルは1級から7級まであるらしい。
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第1級=初級
第2級=中級
第3級=上級
第4級=最上級
第5級=伝説級
第6級=神級
第7級=超越級
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この等級の上昇はスキルの使用回数に密接に関わってくるらしい。そしてこの使用回数もまた【才能】が高ければ高い程、少ない使用回数で次の等級へ進めることになる。
(つまりこの世界は【才能】がすべてを決定しているというわけだよね。それいやだな……)
翔太は自分に才能があるなど思ってはいない。だからなんとかスキルの等級を上げる抜け道がないかを考えて、駄目もとで思い付いたことをフィオンに聞いてみた。
「一日中、森でスキルを使い続けるなんてどう? それならすぐに上がると思うんだけど」
「それを誰も考えないと思うか? 戦闘中にスキルを使用しないと等級は上がらない。
その理由は諸説あるが、メジャーなところでは戦闘のような極度の興奮・緊張状態に精神がおかれていないと駄目だという説。戦闘で相手の生命力を少なからず吸収しているとする説がある」
「もしかして、スキルの等級上げるのって難しい?」
「ああ。5級を超えた戦闘スキルを持つ者は国に数人しかいない。第7級(超越級)など確認されてすらいない」
「え? 確認されてなくてなんであると分かるの?」
「七賢人があると主張しているのさ。七賢人の言葉の信頼性を疑うものはもはや今のこの世界にはいない」
「な~るほど。じゃあさ。スキルの威力はどうやって決まるの? やっぱり等級?」
「ああ。そうだ。スキルの威力と効果のほとんどが等級で決まる。
だがそれだけではない。例えば肉体強化系ならば【体力】と【筋力】の値も関係するし、水や火に関係するスキルには【魔力】と【魔力の強さ】も関係する。スキルの等級とステータスが総合して威力を決定する。だから、ステータスが高いものがより低いスキル等級で、より強い威力を発揮することあるそうだ。
もっともほとんどお目にかかったことはないがな」
フィオンに礼を言い、次の等級までのスキルの使用回数を調べることにする。
(使用回数というと、スキルの右に表示されている0/2の事かな? 確認してみよう。確かスキル欄にあるスキルの項目をタップするとスキルの詳細が表示されるはずだ。)
翔太はギルドカードのスキル欄の《水刃》の項目をタップする。
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スキル
《水刃(第1級)》
■説明:水の刃を1つ飛ばす。
■必要使用回数: 0/2
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(やっぱり0/2が使用回数でいいらしい。でもこんなんで本当にいいの? 2回でいいなら直ぐにでも次の等級に進める。レベルと同様、等級が進むにつれて極端に上がりにくくなるみたいだね)
スキルの事をフィオンに聞いていると大分時間がたってしまったようである。もう休憩は終わりだろう。フィオンは地面に敷いた敷物を鞄にしまい『出発するぞ』と出発の宣言をする。翔太達の午後の冒険が始まった。
お読みいただきありがとうございます。




