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僕と俺の異世界漫遊記  作者: P・W
第二部 建国と変貌編
199/285

第92話 カヴァデール店新店舗の新武具を作ろう


 タブレットを見れば簡単に作成できると考えていたがそうは問屋が卸さなかった。タブレットの中の1冊辺りの本の情報が少なすぎたのだ。特に写真も絵すらない文字だけで説明している本も結構あり、他のいくつかの本の情報を収集しなければならなくなった。だが、最終的にはほぼ同等以上の刀剣を再現できた。

 刀剣が広大な部屋の中に足の踏み場もないほど放置されている。これは途中からアイテムボックス入れるのが面倒になったためだ。邪魔になり次第、アイテムボックスに放り込んでいる。

 取り敢えず、次の種類の刀を作成する事が出来た。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【炎柳葉刀】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界の魔法刀。片刃で湾曲した片手刀。日本刀などに比べ刃の幅が非常に広い刀。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 これは【魔法・スキル能力付与】で、《火球(ファイアボール)》を付与した結果生まれた刀だ。特質級(ユニーク)レベル2だからステータスには変化はない。ディヴから聞いたところによれば大手の武器屋は《魔道具作成術》スキルホルダーを多く抱えており、武器に《火球(ファイアボール)》の性質を示す魔道具の宝石を埋め込むなどして魔法武器を作成しているらしい。つまり、さほど珍しいものではない。もっとも、翔太の作るものは武器そのものに《火球(ファイアボール)》の性質を付与することができるわけだが、完成した効果が同じならばあまり違いはないはずだ。武器の付与に使えるならば魔法を学ぶのも面白いかもしれない。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【土の柳葉刀】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界の魔法刀。片刃で湾曲した片手刀。日本刀などに比べ刃の幅が非常に広い刀。

■性能:一定限度で土を操作する事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【炎胡蝶刀】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界の魔法刀。短器のひとつ。日本刀などに比べ刃の幅が非常に広い刀。

■性能: 刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【カットラスフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界の魔法刀。湾曲した刃を持つ剣。刃が湾曲している側が鋭利になっている。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【シャムシールフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界(中近東)の魔法刀。わずかに曲がった細身の片刃刀。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ショーテルフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界エチオピアの魔法刀。刀身がS字や半円を描く様に大きく湾曲している両刃の剣。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【タルワールフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界ヨーロッパの魔法刀。大きく曲がった細身の片刃刀。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【サーベルフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界ヨーロッパの魔法刀。湾曲しているために斬りに適している片刃の刀。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【スクラマサクスフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界ヨーロッパの魔法刀。肉切り包丁や鉈に似た外見を持つ片刃の直刀。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


【ファルシオンフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界の魔法刀。幅広の刀。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


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【ククリフレイム】

■クラス:特質級(ユニーク)

■レベル:2

■説明:異世界の魔法刀。「湾刀」に分類される刀剣で、湾曲した刀身の短弧側に刃を持つ「内反り」と呼ばれる様式の刃物である。大きな特徴は「く」の字型の刀身が特徴。

■性能:刀に触れたものを燃やす効力がある。刀から炎を放つ事ができる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 1個当たり炎と土の刀を1500個程――合計3万個程作ったところで朝が来た。工房に設置されている時計は午前5時を示している。そろそろ片付けて宿屋キャメロンの自室へ帰ろう。

 【無限空間アイテムボックス】に作成した武具を入れて、キャメンロへ戻る。

 宿屋キャメロンの自室のドアを開け部屋の中に入る。

すると――。


「主様ァ~」


見たこともないオレンジ色の髪の凄まじく美しい女性が翔太の胸に顔を埋めて来た。


「君、誰?」


 彼女の中からは凝縮され、濃縮された途轍もなく強力な力の波動を感じる。どうみても目の前の女性は人間ではない。それにこの力の波長には覚えがある。マンティコアや、メリュジーヌと同様の悪魔の波長だ。

 どういうつもりで翔太の前に現れたのかは知らないが、碌なものではあるまい。翔太の憎悪と殺意が膨れ上がる。


「メリュジーヌでス」


 オレンジ色の髪の女は声が潤む。今にも泣きそうだ。その情けない様子とオレンジ色の髪のぱっつんストレートという髪型は確かにメリュジーヌだ。

だが、似ているのはそれだけだ。目覚めるほど美しい顔の造形、色艶の良いオレンジ色の髪、悪魔のごとき美しさとはまさにこの事だろう。

加えて、身体つきも違う。身長も男の中背の翔太と同じ程であり、女性ではかなり背が高い方だ。服の上からでもわかる大きいバストに、女性らしき凹凸の利いたボディーラインなどどう見ても同一人物とは思えない。


「本当にメリュジーヌ?」


「はイ」


 おそらく進化した事による副次的作用だ。本人も気にしていないようなので放っておこう。

 窓を見ると、けぶったような青白い夜明けの光が部屋の中に入ってくる。先ほど工房で確認したときは午前5時ジャストだった。あれから、数分しかたっていない。多少はゆっくりできるだろう。

 今日の予定は、フィオンとレイナ、ディートに数日間魔の森探索ができなくなる旨を伝える事、喫茶店ブリューエットでのアルバイト。その後、ギルドハウスへ行きデリックとエルドベルグ領主の下へ行く。

 午前5時となると、まだフィオンは起きていないだろう。ニュクスのケーリュケイオンにでも銭湯に入りに行こうと腰を上げようとすると、メリュジーヌから抱きしめられキスをされる。甘いメリュジーヌの匂いが翔太の嗅覚を刺激し、希薄になったはずの感情を呼びさます。

 メリュジーヌが翔太の舌を探し、捕まえ絡みとる。翔太もメリュジーヌを強く抱きしめ――。


               ◆

               ◆

               ◆


 メリュジーヌは全身真っ赤にしながら翔太の胸に顔を埋めていた。彼女の恥じらいの色と溶けるような幸福感溢れる表情を見て、翔太の心も平常を取り戻していく。昨日から溜まるに溜まった憎悪が霧散していく。このまま悪意に支配されればどうなるかは火を見るよりも明らかだ。まただ。また、メリュジーヌに借りを作ってしまった。悪魔のメリュジーヌにこれ以上借りを作ると後々厄介な事になるかもしれない。これっきりにするべきか……。

 右手の無意識発動していた頭撫でスキルを解除し身体を起す。抱き付いているメリュジーヌを払いのけ服を着る。メリュジーヌはそのぞんざいな扱いに頬を膨らませるが、翔太がキャメロンを移動するとわかると、慌てて服を着る。もっとも、昨日と異なり今のメリュジーヌの服は特殊能力で形成されているらしく、両手の掌をパチンと合わせると、服が形成され、それが着衣されていた。魔力か何かで造り出したのだと思われる。進化した事で可能となったのだろう。確かに、メリュジーヌの今回の進化は劇的だ。他に変化があるのかもしれない。



 メリュジーヌの腕の時計では今は6時15分。キャメロンから、喫茶店ブリューエットまでは15分はかかる。だから、7時15分にはキャメロンを出ないとマズイ。丁度、1時間ほど時間がある。ケーリュケイオンで風呂に入る時間くらいある。

その前に――。


「あの……主様、今日もあちきと契約してくだサイ。魔力はいりまセン。ただ、傍に居させてくれるだけでいいデス」


真剣な物言いのメリュジーヌ。


「……それはできない」


「っ!? お願いしマス! 魔力は、いえ、何もいらないカラ!」

 

断られるとは思わなかったのか、メリュジーヌは狼狽の色を隠せない。

 

「くどいね。それは出来ないよ」


 メリュジーヌの顔が絶望一色に染まる。


「あちきと契約……グスッ……して……ヒック……」


 メリュジーヌはとうとう泣き出してしまった。全く外見は成長しても中身は悪魔っ子のままだ。頭を撫でながら優しく語りかける。


「最後まで聞きなよ。僕が出来ないと言ったのは何の対価も上げないで契約を結ぶ事さ。僕は君達悪魔に借りを作りたくはない」


 そうだ。メリュジーヌには先ほど翔太の憎悪や悪意を消してくれた借りがある。その借りは返す。悪魔には決して借りは作らない。それが今の翔太を形成する方程式の唯一の解だ。


「借りなんてそンナ」


「兎も角、契約内容は『田宮翔太の魔力の4分の1をメリュジーヌに与える』と『メリュジーヌは今日1日田宮翔太を守れ』でいいよね?」


「『メリュジーヌは今日1日田宮翔太を守れ』を『メリュジーヌは一定期間田宮翔太を守れ』にしてくだサイ」


(一定期間? 今日の契約で終わりにしようと思っていたんだけど、これは少々不味いな。

メリュジーヌとこれ以上一緒にいれば、僕自身が彼女から離れられなくなる恐れがある。人間種や魔物ならそれでもいいが、彼女は悪魔だ。それが、後々僕の足を引っ張らないとも限らない。仮に彼女が裏切って、一番被害を受けるのは悪魔から現に狙われているラシェルだ。それは御免だよ)


「『メリュジーヌは5日間、田宮翔太を守れ』だ。まずそれで様子を見させてよ」


「はい……」


 渋々、メリュジーヌは頷く。羊皮紙に契約内容を魔力によって刻み込み、効力を発生させる。翔太とメリュジーヌを眩い光が包み込む。

 そして契約は為された。



 次から話しが少しづつ進みます。

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